爺口調な男子高校生が、のじゃろりになってTSライフを送るだけの日常 作:九十九一
「おかえりじゃ、ましろん」
「……ん、ただいま」
「おめでとう、真白さん。すっごい速かったわ」
「……まひろんの応援があればあれくらいは」
100メートル走が終わった後、ましろんがこちらに戻ってきた。
その表情はどこか嬉しそうであったのがなんとも印象的じゃ。
「とりあえず、あれじゃな。儂らに関係がある種目は……あー、アリアの障害物競争かの?」
「多分そうかな? あたし、この学園の体育祭、どんなものなのか楽しみだったんだー! 一応、去年はまひろ君の応援に来てはいたけど、あまり見られなかったしね!」
「おぉ、そう言えばおぬし、去年来ておったな」
「うん! あれを見て、『楽しそうだなぁ』って思ったよー。だから、今年は一緒に参加する側に回れてすっごく嬉しいんだ!」
「ははは、そうかそうか。ならば、今日はめいっぱい楽しまねばな」
「うん!」
うむうむ、元気いっぱいでいいことじゃ。
「そう言えば、結衣さんは?」
「あぁ、結衣姉なら仕事じゃ。最近勤務し始めたばかりとは言え、れっきとしたこの学園の教師じゃ。色々やることがあるらしいぞ」
「なんか、もったいないわね」
「その辺りは仕方ないですね。わたしたちは生徒ですが、結衣さんは教師ですし」
……まあ、そもそも教師と生徒が結婚している、という状況からして異常なわけじゃが……その辺りはもう、今更じゃろう。
恐るべし、『TSF症候群』。
「で、次に私たちの中で出場するのって……誰なのかしら?」
「ちょっと待ってくださいね。今、パンフレットを見ますので。えーっと……」
学園から配布されたパンフレットをなぜか胸の谷間から取り出し(なぜそこから)、パラパラと捲る。
「あ、ありました。おそらく次は、障害物競争ですね。たしか……アリスティアさんではありませんか?」
「うん、そうだよ! でも、それまでまだ時間あるよね?」
「そうですね……少なくとも、一時間近くはあるかと」
「それなら、みんなで観戦しよ!」
「「「「おー」」」」
とりあえず、次の種目になるまでは観戦することにした。
結衣さんを除いた五人で体育祭を観戦すること一時間弱。
「じゃあ、障害物競争に行ってくるね!」
「うむ、頑張るのじゃぞ」
「もちろん! 目指すは一着! 行ってきまーす!」
あたしは自分の出番だとわかると、すぐにみんなに声をかけて、たたたっ! と校庭へ駆けていく。
心の内はただただ楽しみ、という気持ちで埋まっていく。
去年までは、金銭的な余裕がなくてあまり楽しむことができなかったから、こういう状況はとっても嬉しいしわくわくする。
それにそれに、まひろ君からの応援もあるし……最高です!
『障害物競争に出場する人はこちらへ集まってください!』
体育委員会らしき生徒さんが集合をかけてる。
急がないと。
やや駆け足気味に集合場所へ向かうと、なぜか視線を集めた。
あれれ? なんでこんなに見られてるんだろう?
『あ、あれが、アメリカン……』
『なんと言うか、でかい』
『……正直、声をかけたいんだが……』
『『『結婚してるんだよなぁっ……!』』』
んん~? なんだか、男の子たちがすごくがっかりしてるような、それでいてちょっと嬉しそうなのはなんでだろう?
女の子の方はどうして顔が赤いね。
ちらちらっとこっちを見てくる。
うーん、不思議。
まいっか!
『それでは、選手が集まったようですので、これから今年度の障害物競争のルール等を説明させていただきます!』
あ、放送が始まった。
ちゃんと聞かないとね!
むんっ、と両手で握り拳を作って気合を入れる。
『選手の皆様、前方をご覧ください』
そう言われて、あたしを含めた障害物競争に参加する人たちが一斉に前を向く。
そこには、いろんな種類の障害物があった。
おー、あれがこの学園の障害物競争なんだね!
『一番最初に視界に入るのは、足つぼマット。そして、銀の丸いお盆と水の入ったコップでしょう。第一関門は至ってシンプル! 選手の皆様には、ウエイター、もしくはウエイトレスをしてもらいます』
ふむふむ。
じゃあ、喫茶店でアルバイトをしてるあたしにとっては、かなり簡単な関門だね!
……でも、なんで足つぼマットなんだろう?
なんとなーく理由はわかるけど。
『第一関門のルールですが、選手の皆様はあの足つぼマットが敷かれている運動マットの手前で靴を脱いでいただきます。そして、水の入ったコップを三つほど乗せたお盆を片手で持っていただき、足つぼマットの上を歩いて向こう側へ渡っていただくことになります。この際、お盆を両手で持ったり、足つぼマットから出てしまったり、三つのコップの内二つ水が零れてしまったりした場合、第一関門の最初から歩いてもらいます』
その瞬間、あたしたち選手が集まった場所から、えぇぇ!? という、嫌そうな声が聞こえてきた。
なるほど、普通にお水を運ぶだけじゃ面白くないから、足つぼマットを用意したんだね!
あたし、足つぼマットってやったことないからちょっと興味があります。
『ちなみに、途中でもう片方の手に持ち替えるのはありですが、その際立ち止まってから持ち替えるようにしてください』
あ、そういうのはありなんだ。
『続きまして、第二関門の説明に参ります。ウエイター足つぼマットを超えていただきますと、次はバットとマットが目に入るかと思います。こちらもシンプル。その場でぐるぐるバットをしていただき、マットの上を後ろ歩きで進んでもらいます』
おー、あれがぐるぐるバット!
前の学校ではなかったし、アメリカで暮らしていた時も見たことがなかったから、こっちも楽しそう!
噂では、ふらふらするみたいだけど、どれくらいふらふらするんだろう。
『この時ですが、その場で回る回数は、各レーンにいる生徒、もしくは教職員の方と三回じゃんけんしていただき、その際の負けた回数で決まります。一敗で十回。二敗で二十回。三敗で三十回となります。ちなみに、全勝した場合は、五回でOKです』
あ、全部勝ってもなくなるわけじゃないんだね。
なるほどなるほど。
『ただ、こちらの関門は転ぶ可能性がありますので怪我がないよう、慌てずに行うようにしてください。もちろん、転んでも大丈夫なように、柔らかいクッションなどを敷いてはありますが、万が一もありますのでご注意を。尚、こちらでは転んでも最初から、などという事はありませんのでご安心ください』
その説明に、周りにいる人たちはほっと安堵していた。
うん、最初からになったら嫌だもんね。
『続きまして第三関門。こちらは、横幅六十センチほどの台の上に載っていただき、その上に設置された網を潜っていただきます』
あ、網潜りだ!
こっちの学園でもある辺り、やっぱり定番だったりするのかな?
でも、どうして台の上?
という疑問が頭の中に浮かんだけど、それはすぐに説明されることに。
『網を潜る時、台から落ちてしまってもそのまま次に進むことが可能になります。当然、その分早く進むことができるわけですが……そのしわ寄せが次の関門で来ることになります。その流れで、最後の関門の説明をしましょう。えー、第四関門の所に、職員がいるかと思います。その職員のすぐ目の前の机にご注目ください』
そう言われて、よーく目を凝らして机を見てみると、そこには白い箱と……鬼? の顔が書かれた箱が置いてあった。
あれはなんだろう?
『第四関門ですることは、ずばり! お題箱! お題箱とは読んで字のごとく、お題が書かれた紙を引き、その紙に書かれたことを実行する、というものになります。そして、そのお題が書かれた紙が入った箱こそ、あの白い箱と鬼の箱。ではなぜ、二つ存在しているのかを説明いたしましょう。第一、第二、第三と、順調にクリアしていった選手の方は白い箱を引くことになるのですが、第三関門にて台の上から落っこちてしまった選手の方は、速く第四関門に行ける分、鬼の箱を引かなければいけません。当然、速く行くわけですから、中身はかなりえげつないお題が入って居る場合があります。というか、鬼の箱に入っているお題は基本、えげつないものであり、普通以下のお題を引くことはかなり難しいでしょう。ちなみに、白い箱の方は比較的安全なものばかりですが、こちらも稀にえげつないお題が書かれている場合がありますので、安全だ! と思っても油断しないようにした方が身のためです。尚、死んでも嫌だ、と思えるようなお題を引いた方は、その場でバービー百回で解放されます』
その瞬間、一部の選手の人たちからちょっと嫌そうな、それでいて期待したような声が聞こえてきた。
おー、なんだか一番面白そう!
どんなのがあるのかな? すっごくわくわくする!
けど、そう言う反応をしているのはあたしを含めて、結構少ないみたいで、大半の人たちは嫌そうな顔をしていた。
むむむ、みんな楽しみじゃないのかな?
あたしは楽しみだけど……何かあるのかな?
でも、あたしは全力で楽しんじゃうよ!
頑張ろうっ!
って、心の中で力強く気合を入れると、あたしは自分の番が来るのを待った。
そうして二十分ほど経って、あたしの番に!
その間行われた障害物競走は、なんと言いますか……とってもすごかったです。
例えば第一関門は、
『いってぇぇぇ!? クッソいってぇぇぇぇ!』
『こんなんで水運ぶとか無理だろ!? おおぉぉぉ~~~~っっっ……!』
『ああぁぁぁぁぁぁっ! あと数センチだったのに、この足つぼめぇぇぇぇぇぇぇっっっ!』
『あ、ちょっ、い、痛いっ、んだけど……!?』
『うっ、くぅっ……が、んばらない、とっ!』
こんな風に、阿鼻叫喚でした。
足つぼって、あたしやったことないけど、そんなに痛いのかな?
たしか、不健康な人ほど痛く感じる、だったっけ?
んー、あたしはどうなるのかな?
なんて思いながら、次の種目のグルグルバットからの後ろ歩きに。
『うおぉぉ、目が回る……おぇ』
『き、気持ちわりぃ……つ、つか、この状態で後ろ歩きとか、鬼かよ……うっぷ』
『うぅぅ……これ苦手なのにぃ……うっ』
『……三十回は、きっつい』
こっちはこっちで、目が回ったことによる気持ち悪さで、すてんっ、て転ぶ人が続出。
たまに普通に進める人もいたけど、それでも後ろ歩きが難しくて、つまずく人もいたり。
次の種目は、網潜り。
『っとと……あっぶねぇ……台の上で網潜りとか、地味にむずいだろ……』
『わわっ……いたたた……あー、落っこちちゃったー……』
『あぶなっ……ふぅ、なんとかギリセーフ』
『あっ、ひ、引っかかったっ』
こんな感じで、前二つとは違って、かなり和気藹々とした雰囲気でした。
台の上、というのは難しそうだけど……なるほどなるほど。
それで、最後の関門は……。
『くっ、鬼の箱か……ええぃ、これだぁ! ……自分の性癖(フェチ)を暴露する……バカ野郎っ!』
『よし、白箱! えーっと……『逆立ちを合計で十秒間する』……え、これ本当に白箱なの? 地味にきつくない?』
『こっちは……『激辛カレーパン(……)』を食べる? ん、なんか小さな文字で何か書いてある……? まあいっか』
『これは……『購買でパンを千円分購入してくる』だとっ? 私小食なんですけど!?』
な、なるほど……本当に難易度が違うね。
性癖の暴露って、結構恥ずかしいし、逆立ちもちょっと……ってなりそうだけど、まだマシかな?
それで、次のカレーパンの人は……あまりの辛さに一口で悶絶していました。
どれだけ辛いんだろう? すごく気になる!
あと、最後はわざわざ購買に行かないといけないのがいやらしいところだね。
あたしも、気を付けよう!
あたしがそう意気込んでから少しして、遂にあたしが走る番に。
あたしはすごく楽しみなんだけど、他のレーンにいる人たちを見ると、なんだか嫌そうな表情をしていた。
うーん、一般的に見ると、たしかに嫌そうなものもあるよね。
でも、あたしはそれすらも楽しみだからね!
『それでは、次の選手の皆様の準備が整ったようです』
『位置について。よーい……』
パァンッ!
と、スタータピストルが鳴り響くと同時に、一斉に走り出した。
ふむふむ、障害物競争だから、あんまり走るのが得意じゃない人もいるみたい。
足が早ければ勝てる競技じゃないもんね。いいと思います。
「まずは、足つぼマット……よいしょっ、と」
靴を脱いで、水が入ったコップを三つ持って、足つぼマットに乗る。
乗る…………あれれ?
「痛くない?」
てっきり、すごい痛みがあるんだろうなぁ、なんて思ってたんだけど、なぜか全然痛くなかったです。
もしかして、あたしが乗ってるマットが不良品――
『いだだだだっ! ちょっ、すんげぇいてぇんだけど!?』
『あぁっ、くぅっ……い、いったい……!』
『おおぉぅっ!』
じゃなさそう?
じゃあ、単純にあたしが健康ってだけかな?
……なるほど! やっぱり、まひろ君をいじめ――じゃなくて、えと、可愛がってるのがいいのかもね!
うんうん、それなら今後もたっくさん可愛がらないとね!
「~~~っ!? な、なんか今、ゾクッとしたんじゃが……」
どこかで、まひろ君がそんなことを言ってた気がした。
「じゃあ、ちゃちゃっと進もう!」
痛みが無いなら大丈夫、とばかりに、あたしは駆け足気味に足つぼマットの上を進んでいく。
『おーっと! ほとんどの選手が足つぼマットで悶絶する中、一人の選手が足つぼマットをものともしないで、見事なバランス感覚で進んでいきます!』
あ、あたしのことだ。
なんだろう、実況されるのって、なんだか気恥しい……。
特に、お客さんも多いからなおさらで。
「ふぅ、これで第一関門は終わりだね! じゃあ、次々!」
靴を履いて、あたしは次の関門へ移動。
遅れて、後ろから声が聞こえて来て、直後に足音も聞こえてくる。
むむっ、誰か来たね!
負けられないよ!
「お、時乃か。早いなー」
「四方木先生! 先生とジャンケンを?」
「そういうことだ。ほれ、三回勝負なー」
「はーい! 最初はグー」
四方木先生とのジャンケンは……
「やった! 全部勝ちました!」
あたしが全部勝ちました。
「お前強いなー。んじゃ、五回だけな」
「はい!」
一番少ない回数で済んだのはラッキーです!
じゃあ、ちゃちゃっと回っちゃおう。
マットの前に置いてあるバットを掴んで、その場でぐるぐると回る。
ん~、五回でもちょっと気持ち悪いかも……。
十回以上じゃなくてよかった。
「で、えーっと、後ろ向きに……わわっ! ……っとと」
言ってる傍から後ろに倒れ込みそうになったけど、あたしはすぐにバク転をして転倒を回避。
うんうん、意外とできるね!
『おぉ! 時乃選手、まさかのバク転で転倒を回避! さすがの身体能力です! というか、五回とはいえグルグルバットをしてそれができるってすごいですね!』
そうかな? あたしはよくわからないけど……。
さてさて、次の関門!
「んと、この上の網を潜ればいいんだよね?」
台の上に登って、網を潜り始める。
あ、あれ? なんか、すぐに絡まっちゃう……って、
「わ、わわわっ! きゃっ!」
落ちそうになって慌てて体勢を立て直そうとしたら……見事に落っこちました。
「あたた~……うぅ、落っこちちゃった……」
お尻をさすりながら悔しさをちょびっとだけ滲ませた声で呟く。
むぅ、なんだかあたしに優しくないなぁ、この網。
おっぱいとかお尻が引っかかっちゃう……。
『時乃選手、ここで落ちてしまいました! ですので、次は必然的に鬼の箱となるわけですが……果たして、マシな物が引けるのでしょうか!』
あ、そっか。鬼の箱になっちゃうんだ。
うーん、変なのが出ないといいなぁ……。
お題について、ちょっとだけ心配しながらも、箱の前に到着。
ここまで、今の所一位です。
あとは、ここの箱でいいお題が引けるかどうかだけど……
「うーんと……これ!」
あたしは無造作に掴んだ一枚の紙を取り出す。
果たして何が書かれているのか、緊張とわくわくで胸をドキドキさせながら、紙を開くと……
『恋人とキスをする。恋人がいない場合は、好きな人、もしくは親しい人とする』
…………うん、簡単だね!
よかったぁ、あたし恋人がいて! あ、でも、結婚してるから恋人じゃなくて、妻婦?
じゃあ、早速まひろ君を探さないと……あ、いたいた。
「おーい、まひろくーん!」
「む?」
まひろ君を観客の中から見つけて、たたたっと駆け寄る。
近づいてくるあたしを、まひろ君は不思議そうな顔で見つめてきました。
「まひろ君、ちょっと一緒に来て!」
「儂か? なんじゃ、儂がいないとできないお題でも引いたのか?」
「うん! だから、お願い!」
「あいわかった。では、一緒に行こう」
「わーい! ありがとう、まひろ君!」
「いいってことよ」
了承得られたから、あたしとまひろ君は手を繋いでお題を確認する担当の先生の所へ。
『おーっと、最初にお題確認ゾーンへ到達したのは、時乃選手! 見れば、桜髪の美少女と一緒にいるようですが……』
『お題を見せてください』
「はい、これです!」
『確認します。…………な、なるほど、これを、引いたんですか』
あたしが引いた紙に書かれたお題を見た瞬間、先生は少し引き攣った表情をしました。
あ、やっぱりえげつない系なのかな、これ。
「……む? なんじゃ? そんなに変なお題なのか?」
『あー……人による、と思います』
「そうなのか。して、アリアが引いたお題とはなんじゃ?」
『……恋人とキスをする、となっています』
「ほう、キスか。……って、キスじゃと!?」
「うん! だから、まひろ君! 早速しよ?」
「……やらない、という手段は?」
「んー……あたしがお友達とするキスをする、という事になるかなぁ。それが無理なら、あたしがバービー百回になるよー」
「なぬ!? 友人とはいえ、他の者にキスなどさせんぞ! ……ま、まあ、他の旦那共ならまだいいが……じゃが、それ以外はダメじゃ!」
「おー、まひろ君が独占欲を見せてる! なんか新鮮」
珍しく、まひろ君がぷりぷりと怒ってるのがすごく新鮮で、すごく可愛い。
まひろ君にも独占欲ってあったんだ。
……まぁ、まひろ君がここでそう言うセリフを言わなかったら、お仕置きだったけどね!
「わ、儂とて独占欲くらいあるわいっ! というか、当然の反応じゃろ。じゃから――んむぅっ!?」
「ん、ちゅ……」
何か言い募ろうとしたまひろ君の口を、あたしは自分の唇で塞いだ。
『『『おおおおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!?』』』
『な、な、なんと! 時乃選手と桜髪の美少女が、あっついキスをかましたーーーーー! なんという眼福! なんという百合! なんというありがとうございますな光景! 現在、会場は大興奮の嵐でございます! あ、だからと言って撮影などは控えるようにお願いしますねー!』
「ん……はぁ。ふふふー、キス、しちゃったよ?」
顔を熱くさせながら、あたしは小悪魔っぽく笑って、まひろ君にそう言った。
「な、なななっ―――」
うん、すごくうろたえてるね。
しかも、顔が真っ赤なのが可愛いです!
「やっぱりあたしたちのお嫁さんは最高だよ!」
「わわっ! ちょっ、いきなり抱き着くでないっ! は、恥ずかしいじゃろうが!」
「いいもーん! まひろ君はお嫁さんだから、旦那さんのものなんですー!」
「それだとおぬしらの所有物みたいなんじゃが!?」
「え? でも、その方が興奮しないかな?」
「ちょっとする。……ではなく! あーちくしょーめ! 口が勝手にぃっ!」
「ふふふ! これぞ、普段の成果! だよっ」
「くっ、おのれドSな旦那様共めっ……!」
あははは、やっぱりまひろ君をいじるのは楽しいね!
それにしても……なるほどー。所有物みたいに言うと、ちょっと興奮するんだ。
……でも、まひろ君のことだから実際はかなり興奮してそうだけどねー。
『お、おい、聞いたか? あの桜髪の美少女、所有物って言われて興奮するらしいぞ……?』
『しかも、嫁なのか、あっちが。……でも、旦那、共? まさか、複数人いるというのかっ! なんという百合!』
『まひろ君って……もしかして、M、なのかな?』
『それはそれですっごく興奮するね!』
『つまり……無理やりすれば、イケる?』
「―――っ!」
「まひろ君?」
「す、すまん、なんか今、ものっそい悪寒が……」
「風邪?」
「い、いや、そう言うのとは違うような……ま、まあよい。と、とりあえずお題は終わったんじゃろ?」
うーん? と、腕をさすりながら、考え込んだ後、先生にもういいかと尋ねていた。
風邪じゃないけど、大丈夫かな?
『あ、は、はい。OKです。……まさか、本当にキスするとは……恐るべし、桜花ファミリー』
「ちょっ、儂らそんな風に言われとんの!?」
『あ、はい。正確に言えば、桜花さんを中心にして、他の旦那さんたちに群がられてる、というのが正しいですが』
「尚酷いわっ!」
『まあまあ。さて、ではどうぞゴールへ。あ、桜花さんは元の場所に戻っていいですよ』
「う、うむ。……ではな、アリアよ。また後で」
「うん! じゃあ、一着でゴールしてくるねー!」
そう言って、あたしたちは別れました。
それからほどなくして、あたしはゴールテープを一着で切った。
『ゴーーーーール! 一着でゴールしたのは、時乃選手です! おめでとうございます! ついでに、尊い光景をありがとうございました!』
キスしたの、そんなに嬉しかったのかな?
なんて思いはしたものの、一着でゴールできた上に、堂々とまひろ君とキスできたのがすごく嬉しかったです。
……ちなみになんだけど、あたしとのやり取りが原因なのか、この後まひろ君はMなんじゃないか疑惑が出ることとなりました。
どうも、九十九一です。
一ヶ月半ぶりくらいです。遅れて申し訳ねぇ……。理由については、活動報告に書いてありますので、気になる方はそちらをご覧ください。
えー、ついでに、ちょっとしたお知らせ。
活動報告を見た方(上記の奴)は知っての通り、これの外伝(主に、アレな方向性の奴)の三話目を投稿しましたので、気になる方は、読んでみてください。
次の投稿ですが……正直わかりません! まあ、一ヶ月以内には出せるかなぁ、とは思いますので、お待ちくだせぇ。
では。