爺口調な男子高校生が、のじゃろりになってTSライフを送るだけの日常   作:九十九一

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日常93 打ち上げ。暴走するまひろ

「ふぅ、ちと疲れたのう」

 

 色々な所を回りつつ会話をひとしきり楽しんだ儂は、適当な席に座りデザートを食べる。

 

 気が付けば時間がかなり経っており、出て来る料理も食事からデザートへ変わっておった。

 

 適当に手に取り口に放り込んでいく。

 

「むぐむぐ……うむ、美味いのう」

 

 口の中に広がる甘みに思わず顔が綻び、自然と笑みが浮かぶ。

 

 やはり甘い物は良いのう。

 

 元々、和菓子を除けば甘味は人並み程度じゃったが、この体になってからという物、甘味が前以上に美味く感じられるようになった。

 

 そのおかげか、もとより胃袋が小さめの儂でも、甘味はパクパクと食べられてしまう。

 

 和菓子ならもっと入るが……ここには和菓子はわらび餅程度しかないからのう、仕方あるまい。

 

 とはいえ、この店は元々喫茶店。

 

 店長が常連の要望に応えまくり、メニューを魔改造しまくった結果、飯系の料理が増えただけで、本質は喫茶店じゃ。

 

 それ故、ここのスイーツやコーヒーはマジで美味い。

 

 個人的には、緑茶があれば尚よかったんじゃがなぁ。

 

「うむうむ、やはりスイーツは良い」

 

 周囲を見れば、女子たちが幸せそうにスイーツを頬張る姿が視界に映る。

 

 男子たちもうめうぇうめぇと言いながら頬張っておるしな。

 

 甘味があまり得意ではない男子や女子も中にはおったが、ここのスイーツは問題なく食べられるようで、美味しいと言いながら食べておる。

 

 ちなみに、一番食べておるのはまぁ……ましろんじゃな。

 

 あやつ、マジでなんなん?

 

 ケーキワンホールを一人でぺろりと平らげてしまってるんじゃが。

 

 実はあ奴、幼少の頃に発症しておって、その結果胃袋が常人以上に強化された、とかないじゃろうな?

 

 正直、ましろんはありそうでのう……。

 

「まひろ」

「むぐむぐ……ごくん。美穂か。どうしたんじゃ?」

「いえ、一人でスイーツを食べてるまひろが目に入ったからちょっとね」

「そうか。……ならば、一緒に食べるか?」

「そう? なら遠慮なく」

 

 そう言いながら、美穂は儂に寄り添うようにして座る。

 

 対面じゃないんかい。

 

 予想できとったけど。

 

「にしても、ここの料理とスイーツ、美味しいわよね」

「まあの。儂もよく通っとったよ。じいちゃんに教えてもらった場所じゃからな」

「へぇ。あんたのお爺さんって、結構交友関係が広かったの?」

「んー、どうじゃろうか? 少なくとも、母上が会社の社長をやってるところを鑑みるに、割とじいちゃんは顔が広そうではあるが」

 

 そもそも、母上が運営する会社自体、じいちゃんが興した可能性すらあるからのう……。

 

 ま、じいちゃんの知り合いがそれなりに多かったと記憶してはいるが。

 

「そうなのね」

「うむ。……む? これはなんの菓子じゃろうか?」

 

 話しつつスイーツを味わっておると、ふと見たことがない菓子があった。

 

 クッキーらしきものにレーズンとクリームのようなものが挟んである菓子じゃが……気になるな。

 

「あぁ、それはレーズンサンドね。前に食べたことあるけど、美味しいわよ?」

「ほうそうか。ならば、どれ一つ……はむ」

「……ん? レーズンサンド? あ、まずい! まひろ、それ食べちゃダメー!」

「むぐむぐ……おぉ、これはうま、い………………」

 

 口の中に広がるしっとりとしたクッキーの甘さに、上品な風味を感じるレーズンクリームがなんとも美味。

 美味しいと思った次の瞬間、儂の意識が途絶えた。

 

「お、遅かったかっ……! 旦那集合ー!」

 

 まひろを止めることが出来なかった私は、打ち上げを楽しむ旦那たちに招集をかけた。

 

 いきなり私が大きな声を出したからか、周囲で楽しんでいた他のクラスメートたちも何事かとこちらを注目する。

 

「どうしたのですか? 美穂さん」

「何かあったのかな?」

「……問題ごと?」

「どうしたのかしら~?」

 

 瑞姫たちは、私の招集をかけた直後にすぐこちらへやって来る

 

 店内がさほど広くないから助かったけど……このままじゃ色々とまずい!

 

「……まひろが、レーズンサンドを食べたわ」

「……え、レーズンサンドですか?」

「レーズンサンド? 真白さん、レーズンサンドってなに?」

「……簡単に言えば、ラム酒が入ったお菓子」

「たしか、贈り物によく用いられる物ね~。でも、ひろ君食べちゃったの~?」

「はい……だから多分――」

 

 私の頭の中に浮かぶ今後起こるであろう未来に頭を痛めている時だった。

 

「――ふふ、ふふふふふ……にゃーーーはっははははははは!」

 

 まひろが突然笑い出した。

 

 しかも、私たちが知らない笑い方もセットで。

 

『『『まひろちゃん(桜花)が壊れた!?』』』

 

 それを見ていた周囲のクラスメートたちも突然笑い出すまひろに素っ頓狂な声を上げていた。

 

 くっ、まずい!

 

「んらぁ~……んろぉ~……んふ、んふふふふー!」

「ま、まひろ君、大丈夫――」

 

 顔を真っ赤にし、あたまをふらふらさせ、突然笑い出すまひろが心配になったアリスがまひろに近づく。

 

「あ、アリス近づかない方が!」

 

 しかし、私は酔った状態のまひろがどうなるのかを知っていたから、アリスに近づかないように注意を促したんだけど……時すでに遅し。

 

「んぁ~? あぁ~! ありあらぁ~! ぎゅ~~っ!」

「はにゃ!? ま、まひろ君!?」

 

 いきなりまひろがアリスに抱き着いた。

 

「えへっ、えへへへぇ~~~、やはりふあふあらろ~……くふっ、くふふふ!」

 

 そして、胸に顔をうずめるようにして甘えだした。

 

 ……い、今のところは問題ない、のかしら?

 

『ね、ねぇ、美穂。まひろちゃん、どうしたの?』

 

 と、一体どういうことかと、女子友達の一人が話しかけて来て、目の前のことの説明を求めて来てた。

 

「……まひろは、ものすっっっっっっっっっごい! お酒に弱いの」

『そ、そうなの?』

「えぇ。その弱さは、ウイスキーボンボンを一個食べただけで酔っぱらうほど」

『それ弱くない!? え、大丈夫なの!?』

「大丈夫じゃないわ。事実、今年のバレンタインは何と言うか……地獄だったから」

『美穂が遠い目を……!』

 

 ほんと、あの時は大変だったわ……。

 

 まさか、酔っ払いがファーストキスになるとか、想像できるわけないでしょう……。

 

「わ、わぁ、まひろ君が珍しく甘えて来る! なんだか可愛いね! あ、そうだ、どうせなら椅子に座って……よいしょ、と。はい、まひろ君、もっと甘えてもいい――んむぅ!?」

 

 何を思ったのか、椅子に座ったアリスだったけど、椅子に座った瞬間アリスの唇をまひろが自身の唇で塞いでいた。

 

「あぁ! 第二段階に移行した!?」

『『『第二段階って何!?』』』

「ちょっ、ま、まひっ……んむぅ!? ぁむ、んんっ!」

 

 突然キスをされて驚くアリスは、すぐに振りほどこうとするけど、それは失敗してしまう。

 

 ってかあれ、どう見てもディープキスよね!? え、ここで!?

 

「あむ、れる……ん、ふぅ……ちゅる……」

「んんっ!? んんんんっ! んん~~~~っ!」

 

 なかなか振りほどけないらしく、アリスがじたばたともがく。

 

 その瞳からは涙が溢れだし、顔は真っ赤に。

 

 というか、顔がとろんとしだし、動きが小さくなる。

 

「ちゅく……ん、はぁ……んふふふぅ! ありあはあわいいろ~」

「……きゅぅ~~~」

 

 そして、まひろが唇を離すとアリスは気絶した。

 

 ちょっ、キスだけで気絶させに行ったんだけど!?

 

『や、やべぇ、目の前でとんでもねぇ百合百合しい光景が見られて、すんげぇドキドキする!』

『わかる、わかるけど……あ、あれ、本当に桜花か!?』

『音田、あれマジどういうこと!?』

「まひろは、酒が入ると、その……キス魔になる上に、なぜか力が激増するのよ」

『どこに二次元ヒロインだよ』

「それは私も思う。あと、男子には注意してほしいんだけど……」

「あれ? 桜花先輩どうしたんすか?」

 

 って言ってる傍から、まひろの同僚のたしか……高畑君!

 

 まずい、逃げるように言わないと!

 

「高畑君! 悪いことは言わないわ! まひろから離れて!」

「へ? 一体何を――」

 

 高畑君の言葉は最後まで紡がれることはなかった。

 

 なぜなら。

 

「んぁ~? あぁ~~~~、ららはらら~……んふっ、すいありぃ~~~!」

「え、ちょっ――ごふああぁぁああぁぁぁぁぁぁ!?」

 

 次の瞬間には、まひろに殴り飛ばされていたから。

 

 しかもあれ、笹西の時と同じように鳩尾にクリーンヒットしてない!?

 

「んふ、あっははははははは! ふっろんらろらぁ~!」

 

 強烈な一撃を貰った高畑君は床でもんどりうってるのに、まひろは楽しそうに、そして無邪気に笑っていた。

 

「……見ての通りよ。なんか、突然殴ってくる」

『『『いや怖いわ!?』』』

『桜花の奴、酒飲むとあんなんなるの!?』

「あぁ、あいつはああなる。俺も酷い目に遭ったぜ……」

『なに!? あの無駄に頑強な若干筋肉バカの気がある笹西がだとぅ!?』

「誰が筋肉バカだ!? ……いや、今はそんなことはどうでもいい。とりあえず、男子はマジで逃げた方がいい。俺もあの時のことを思い出すだけで……うぅっ、か、体がふ、震えて来るぜ……!」

「あの時の笹西、冗談みたいに吹っ飛んだものね……」

 

 普段はいがみ合う私たちだけど、あればかりは普通に同情する。

 

「……と、ともかくだ! マジで離れとけ!」

 

 健吾の切実さと必死さが混じった声に、男子たちは一斉にまひろから距離を取る。

 

「……まひろん、水を飲んだ方がいい」

「んんぅ~~? ……ほんろはましろんらぁ~~~~」

 

 あっ、今度は真白さんが!

 

「と、止めないと!」

「待ってください、美穂さん」

「でも、今のまひろは普段以上のわけがわからない状態よ!? ここで止めないと!」

「いえ、考えてみてください。真白さんは、わたしたちの中で一番のキス魔と言える方です。実際、まひろちゃんも真白さん相手に勝てたためしはありません! ならば、きっと大丈夫だと――」

「……あのー、瑞姫? 熱弁してるところ悪いけど……多分、ダメそう」

「へ?」

 

 私は瑞姫が熱弁するところを遮り、苦い顔をしながら視線の先を指さす。

 

 そこには――。

 

「……んうう!? んんっ!」

 

 まひろにディープキスされ、いつもは無表情なのに、珍しく泣きそうになっている真白さんの姿があった。

 

「はぁ、ん……れる、れろ……ぢゅる、ふはぁ、あむ……」

「ま、まひっ、んむぅっ……はぁっ、んくぅ……」

「……はぁ…………ましろんもかわいいろらぁ~」

「……ふ、ふかく……ガクッ」

 

 まひろがキスを止めると、今度は真白さんが倒れた。

 

 心なしか、びくびくと体が痙攣してけど……だ、大丈夫なの? あれ。

 

「そ、そんなっ、ま、真白さんがまひろちゃんに負けてしまうなんて……!」

「……あんなひろ君、見たことないわ~」

「くっ、早速二人もやられるなんて……!」

 

 酒に酔った瞬間戦闘力が上がるまひろに、既に二人が唇を狩られてしまった。

 

 しかも、私たちの中で一番体力があるアリスと、一番のキス魔である真白さんがやられるとか、あの状態のまひろはマジでどうなってんのよ!

 

『う、うわぁぁ~~~、なんだかすっごいことになってる……』

『ま、まひろちゃんって、あんなに積極的になる、んだね……ど、ドキドキする』

『あんなに濃厚なキスを実際に見ると、その、すっごいね……』

 

 おそらく殴られる心配はないであろう女子たちは、目の前で繰り広げられている超が付くほどのキス魔に堕ちているまひろたちを見て、顔を真っ赤にしながらガン見していた。

 

 まぁ、年頃だし、興味津々になるわよね……。

 

「くっ、まひろちゃんからキスをしてもらえるのはすごく嬉しいのですが……あのままだと、色々と大変なことになる気がします!」

「でもあんたの場合、普通に喜び勇んで死地に赴きそうじゃない?」

「……否定はしません」

「でしょうね」

 

 むしろ、瑞姫的にはかなり役得な状況なんじゃないの? これ。

 

「で・す・が! アリスティアさんとキスをするタイミングで既にビデオ撮影をしてはいましたが!」

「いやしてたんかい!」

 

 ほんと手が速いと言うか、瑞姫のロリコンっぷりには呆れるほかないわ……。

 

「わたしが早々にリタイアしてしまえば、その後の撮影が出来なくなってしまうではないですかぁ!」

「今はそう言う心配はいいわよね!? ってか、それ以前にまひろの正気を取り戻すことを考えなさいよ!」

「そうね~。そこは同意するわ~。私も止めなきゃとは思うし~」

 

 私が止めることを優先するように言うと、結衣さんからの援護射撃が飛んで来た。

 

 さすが年長者! ありがとう!

 

「た、たしかにそう、ですねっ……!」

「……あんた、血涙を流しそうな勢いで悔しそうにするんじゃないわよ」

 

 ギリギリと歯を食いしばりつつ、心底悔しそうにする瑞姫に私は少し冷ややかな視線を向ける。

 

 ……まあ、後で動画は見せてもらうけど。

 

「こ、ここは、苦渋の決断でまひろちゃんを、と、止めなくてはっ……あぁっ! わたしの体が、う、動かないっ!」

「どんだけ録画したいのよ!?」

 

 まるで拒絶反応が出てるかのような動きは止めてくれない!?

 

「ですが、ここは止めなければ――」

「みういらぁ~~~、みうい~~~、らっろ~~~……」

「喜んでぇ!」

「やっらろら~~~……あむ」

「んんむぅぅぅ!?」

「即落ち二コマやめい!」

 

 絵に描いたような即落ち二コマを現実で見ることになるとは思わなかったわ~……。

 

 け、けど、相手は私たちの中で一番ロリコンであり、同時に異常なまでの欲をまひろに見せてる人物……!

 

 さすがに、瑞姫には勝てな――

 

「我が生涯に一片の悔いなし…………ガクッ」

「無理だったああああ!」

 

 瑞姫、一瞬でKO。

 

 ただ、ものすごい幸せそうな表情で、尚且つビックンビックンと震えてるけど……まあ、幸せそうだし、放置でいいわよね、うん。ド変態のロリコンだし。

 

「瑞姫ちゃんもダメだなんて~……私も何とかしてみましょう~」

 

 そう言って、結衣さんがまひろに近づく。

 

 ……一瞬、結衣さんの母性と、いついかなる時も柔らかい微笑みを浮かべる精神性ならば、問題ないと思ってしまったけど、どう考えてもフラグよね? これ。

 

 い、いやでも、さすがに結衣さんなら……。

 

「ひろ君~、おいで~」

 

 ……結衣さん、自殺しに行ってるの?

 

「んふふふぅ、ゆいねぇらぁ~~。ぎゅ~~~~」

 

 あ、でも、まひろが普通に抱き着いたわ。

 

「ふふ、よしよし、いい子いい子~」

 

 母性を感じさせる笑みを浮かべつつ、結衣さんがまひろの頭を撫でながら椅子に座る。

 

 なんか、本当に母親っぽいのがなんとも……。

 

 で、でも、なかなかいいんじゃないかしら?

 

 このままいけば、まひろを落ち着かせることが――

 

「ゆいねぇろもひふするろ~……あむ」

「あ」

 

 案の定と言うべきか、やはりキスされた。

 

「んっ、ひろ、くん……んむぅ」

「はむ、れる、ぢゅるる……はぁ……んん、れろ……」

「……ぁ、これ、んんっ、だめ……はぁ、ん……」

「ちゅる……ん、はぁ……はむ……んく……はぁっ……」

「はふ……あ~……これは、ダメね~…………」

 

 ……な、何かしら。

 

 一番大人しかったのに、一番エッチだった気がするわー……。

 

 今までの三人とは違い、なんというか、吐息がいちいちエッチだし、何より動きが艶めかしかった。

 

 年上の色香と言う奴ね……!

 

 実際、少し離れた位置にいる男子とか、割とすぐ近くにいる女子たちもすんごい顔を赤くしながらじっと見てたし。

 

 あと、男子は前かがみになってる上に、鼻血を出してる人さえ出る始末。

 

 まあ、それを言ったら女子も鼻血出してる人いるけど。

 

 ……ただまぁ、今だったら男子の気持ちがわかる。

 

 私たちも色々経験したからね、例の薬とか。

 

 ……おかげで、通常は知り得ない感覚を知ってしまったからこそ、あれは仕方ない、と思ってしまうわけで。

 

 ……うん、現実逃避は止めよう。

 

「の、残るは私だけ、か……」

 

 気が付けば旦那たちは全員まひろの餌食になっていた。

 

 残るは私だけで、助は期待できそうにない。

 

「……みほぉ~」

 

 来たっ!

 

「な、何かしら?」

「……ひふ」

 

 くっ、ド直球に言ってきやがったわ我が嫁は!

 

 しかし、ここで醜態をさらすのはちょっと……。

 

 というか、なんでこの店の人たち、何も言わないわけ?

 

「いやー、まさかまひろ君がああなるとはね。はっはっは! いやぁ、酒の力とはすごいもんだ」

「って、店長ですよね!? あれ、止めてほしいんですが!」

 

 気が付けば、この店の店長が面白おかしくこの状況を楽しんでいたので、私はすぐにどうにかするように頼む。

 

「そいつは無理ってもんだぜ、まひろ君の旦那さんよー。オレ、あんな姿初めて見るし。是非とも楽しませてもらおうと」

「店の責任者としてどうかと思うんですけどぉ!?」

「まあ、いいじゃねーの。っと、気をつけな、まひろ君が近づいてるぞ」

「え? はっ、しまっ――」

「さいろはみほらろら~~」

「ちょっ、まっ……んむぅ!?」

 

 よそ見をしていたことが仇となり、いつの間にか近づいてきていたまひろに気付かなかった私は、すぐさままひろのディープキスをくらった。

 

 まひろの舌がにゅるりと口内に侵入したかと思えば、まるでそれ自体が意思を持った生き物かのように口内を蹂躙しだす。

 

「まひろっ、や、やめっ……んむぅっ、んんっ! んんんんーーー!」

「み、ほぉ……んちゅ、ぁむ……れるれろ……ぢゅるる……はぁ……」

 

 や、やばいっ、マジでヤバい!?

 

 あまりにもまひろのキスが上手すぎて、なんか意識が飛びそう……というか、マジで飛びかけてるんですけど……!

 

 くっ、き、木をしっかり持つのよ、わ、私ぃっ……!

 

「はむ……んむ、ふぅ……はぁ……れる……」

 

 ……あ、やっぱ無理。

 

 あまりにも気持ち良すぎるまひろのキスに、私の意識は朦朧とし始める。

 

 まるで永遠にすら感じるキスに、次第に私の意識がさらにぼやけて行き……。

 

「……ふぅ」

 

 まひろが唇を話す頃には、私の意識は途絶えていた。

 

 おのれ、まひろめ…………ありがとうございました……。

 

 

 その後、意識を取り戻すと、まひろはぐっすりと眠っていた。

 

 被害に遭ったのは、私たちを除けば高畑君と笹西の二名のみ。

 

 どちらも仲良く床に倒れており、親近感でも湧いたのか、二人は仲良くなっていた。

 

 というかあれ、被害者の会的なアレよね?

 

 周囲で見ていた他の人たちなんかは、私たちが起きるなり、顔を赤くしながら気まずそうに、同時にちらちらと興味津々にこちらを見て来ていた。

 

 なんかもう……酷かったわー。

 

 私たちが起きると同時に、打ち上げはお開きとなり、私たちは帰路に就いた。

 

 ……ちなみに、これが原因でまひろは酒に酔うとキス魔兼、物理ファイターになると言うことが発覚し、男子は恐れおののき、女子は熱いまなざしを向けることになった。




 どうも、九十九一です。
 酒に弱いと以前ありましたが、まひろは酔うとなぜか力が増します。
 なぜでしょうね。
 次回ですが、実はある程度書いてあったりします。もともと、体育祭の前にまひろの検査の話をする予定だったのですが、あまりにもめんど――時間がかかりそうだったので、後回しにしました。
 ですので、割と早い段階で投稿できるのでは? と思っておりますので、少々お待ちください。
 では。
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