雷ガ咲く花園デ   作:夢現図書館

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秩序亡きモノに明日は要らぬ

 

 

 グリゴリに連続で爆轟が響き渡る。その轟音は直様、グリゴリ内の堕天使や総督であるBureizā Shainingu Oa Dākunesu Burēdo the Hagesale総督にもその凶報は届く。

 

「何だ⁉︎ 何が起きているんだ⁉︎」

 

「し、侵入者です‼︎ 侵入者がグリゴリ内部に侵入して破壊行動を‼︎」

 

「何だと……⁉︎」

 

——まさかコカビエルの奴の行動が俺の想定よりも早かったからか⁉︎ その報復か⁉︎ クソォ、和平を結ぼうって矢先に戦争が始まったって言うのか⁉︎

 

 Bureizā Shainingu Oa Dākunesu Burēdo the Hagesale総督としては三大勢力同士での和平を画策している矢先に内輪揉めの戦争は避けたい。

 

「誰だ⁉︎ 何処のどいつなんだ⁉︎」

 

「そ、それが……業火を纏った小さな幼女です‼︎」

 

「はぁ⁉︎ いや、待て……」

 

 見た目で判断してはならない。小さくとも強大な力を有する存在なぞ、幾らでも居る。その類だとしたら最悪である。

 

「と、兎に角‼︎ 何とか取り押さえろ‼︎ これ以上、被害を」

 

「そ、総督‼︎ 神器保管庫が大炎上しています‼︎」

 

「うぉぉぉぉぉ‼︎⁉︎ 今すぐ止めろォォォォォォォォ‼︎⁉︎」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 皓咲 狐花は絶賛不機嫌中であった。と言うか始めから(・・・・)相応に不機嫌であったと言っても良い。何故ならば周りから無関係な人間が多数、生息している為に大技は控えろと何度も何度も止められていたのである。遍く壊滅と燼滅の権化。何度も加減せねばならぬは不満も募る。そして先日の暴走を止める薬……実は製作者も予期せぬ『副作用』があった事を知らない。浄化はと言うが、それは一時的に過ぎなかったと言う事……。

 

——『冥界』、邪魔する者は居ない。して転生悪魔も慈悲は要らない。

 

 グリゴリの一画が赤熱化して融解して行く。赫く焼けた廊下を征くは双眸を桜色に光らせた狐花であった。

 

「グハハハッ‼︎ 遂に辿り着いたか、悪の化身め‼︎このアジトはやらせはせんぞ‼︎ いでぇい‼︎ 我が部下達よ‼︎」

 

「「「グーッ‼︎」」」

 

 前方から鎧兜にマント。眼帯と顎髭を蓄えた大柄な男性の堕天使。左手には盾、右手には斧を持っている。鎧兜には鷲か鷹かイメージしたデザイン。そして盾にもレリーフが施されている。そしてその周囲には鷲だか鷹だか分からない意匠の仮面やデザインと受け取れる全身タイツを着込んだ変態共が多数、現れた。

 もう、何処からどう見ても特撮映画の悪の組織の敵幹部とその戦闘員にしか見えない連中が狐花の行手を阻む。戦隊ヒーローの次は戦闘員+悪の幹部と言う光景。

 

「グハハハ‼︎ 対魔術が相手ならこのアルマロスの出番よ‼︎」

 

——人海戦術。馬鹿じゃないと言う事か。

 

「煉獄、燎原、災禍の導となり焰の主の呼び声を聞き賜へ」

 

「詠唱型の魔法か‼︎ 戦闘員達よ、発動させる前に速やかに阻止せよ‼︎」

 

「「「グーッ‼︎」」」

 

 狐花の霊術の詠唱を見て堕天使の幹部が1人アルマロスは速やかに部下達に阻止する様に指示を飛ばす。見た目こそはイカれては居るが行動は的確であった。

 

——そんな事、分かっている。

 

 その行動を見て狐花は『分かっていた』と言わんばかりに口元を半分歪めた。

 

「滲み/暗い/否定/贖え」

 

 戦闘員達が狐花の5m先で見えない壁に激突したかの様に硬質な音を響かせて転倒し行手を阻んだ。

 

「ぬ⁉︎ 詠唱の途中で別種の詠唱だと⁉︎ そんな真似、出来得る事か⁉︎ あの幼児は何者だ‼︎」

 

——理解が早い。此処が通路だからこの手が最善。

 

「天上穢界、天下欲界。焰による平定を。尸よ屍よ、骸と成りて」

 

「防御魔法で阻みその間に攻撃魔法か。させん‼︎ 戦闘員達よ、道を開けよ‼︎」

 

「「「グーッ‼︎」」」

 

 アルマロスは右手に掲げた斧を勢いよく投げ付ける。前方に居た戦闘員達は指示により壁際に移動しており、その間を通過し『壁』に衝突、空間に蜘蛛の巣状の亀裂が走り瓦解した。

 

「ッ‼︎」

 

「グハハハッ‼︎ 我がアルマロスの斧に破れぬ魔術壁は無ぁぁぁぁい‼︎ アンチマジックの権威は伊達では無いぞ‼︎」

 

——見た目はアホ臭いのに『点』を良く見ている。あの鎧兜も伊達じゃないな……。なら。

 

「さぁ、壁は破られた‼︎ 行けぃ‼︎ 戦闘員達よ‼︎」

 

「「「グーッ‼︎」」」

 

 張り直しても同じ手で砕かれる恐れがある。かと言って戦闘員の数も多い。

 

「チッ」

 

 狐花は詠唱途中で破棄し即座に足元に豪炎を放ち炎の波を放ち自身の前方を炎上させて戦闘員達の行手を再び阻んだ。

 その直後、業火の壁の裏側から多数の弾丸が飛来し戦闘員の頭や肩に命中し断末魔の声が響く。その1発がアルマロスの眼帯をしている側のすぐ隣を掠った。

 

「ぬぅ⁉︎ 炎の魔法の壁を突き破って弓矢の狙撃か⁉︎ 魔術師一辺倒では無いと言う訳だな⁉︎」

 

 アルマロスは右手に新たな斧を持ち直し炎の壁へと投げ付ける。投げられた斧は炎の中、その炎上している床に突き刺さると同時に鎮火した。その炎の壁の向こう側には狐花では無く、青白い焰を眼窩から覗かせた頭蓋骨、その胴体は青い骨の骸骨の鎧武者の幻影達。更に加えて青白い炎で形成された巨馬に跨る騎馬。騎馬武者の骸骨兵が其処に現れていた。

 

「何と⁉︎ まさかコレは『魔獣創造』か⁉︎ 然も亜種禁手か‼︎」

 

 よもや此処で炎の骸骨兵団を投入して来るとは思っていなかったアルマロスは相手が創造系神器の最高峰とも言われる神滅具『魔獣創造』の持ち主だと認識。更に本来とは異なる禁手に至っていると判断した。

 

「コレはマズいぞ‼︎ 戦闘員達よ、奴らを止めよ‼︎そして一部の者は Bureizā Shainingu Oa Dākunesu Burēdo the Hagesale総督にも伝えよ‼︎『敵は『魔獣創造』の所有者である‼︎』と‼︎ 皆、私に続け‼︎ 一先ず奴らを倒すぞ‼︎」

 

「「「グーッ‼︎」」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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