雷ガ咲く花園デ   作:夢現図書館

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子治世之能臣亂世之奸雄

 

 

 狐花が『劫魃』を引き起こす1時間前。

 

 

 

 

 

 

 

「……流れに流れてこう言うタイミングで来ちゃったわね。まぁ、仕方がないわ」

 

 冥界の某所にある鬱蒼気味な森林地帯。其処にリアス・グレモリー以下、眷属達が転移魔法陣を介して訪れていた。

 

「気を取り直してイッセー。此処は様々な魔物が棲まう森よ。此処で貴方の使い魔を探すわ」

 

 駒王学園で起きた爆発事故により1週間単位での休校が決まった翌日。リアスはこの機会に眷属であるイッセーの使い魔を探す事に決めたのだ。ライザーとのレーティング・ゲームでゴタゴタしていた為に流れに流れてこの日に訪れる事になったのである。

 

「悪魔の使い魔と言っても蝙蝠だけじゃないわ。人によっては朱乃なら小鬼の様に千差万別。貴方にとって相応しい使い魔を見つけなきゃね」

 

「部長、と言っても……どんな奴が居るんですか?」

 

「そうね。素人じゃ何から探せば良いか分からないからその道のプロがこの森に居るわ」

 

 イッセーの言葉に最もだと頷いたリアスは適任者が居る事を告げる。その者に会いに歩き出そうとした時、木々の枝が揺れた。

 

「使い魔、GETだぜ‼︎」

 

 揺れる音と同時に頭上から痩せこけた壮年の男性がそんな決め台詞らしき言葉を叫びながら飛び降りて現れた。その服装はタンクトップに帽子と言う夏休みに駆け回る虫とり少年の様なラフなスタイル……。

 

「よう‼︎ 待っていたぜ、俺はザトゥージ。使い魔の事なら魔王様よりも詳しいぜ‼︎」

 

「彼がザトゥージさん。使い魔のプロフェッショナルだから良く聞いて決めなさい。ザトゥージさん、この子の使い魔を見繕って欲しいの」

 

 リアスがイッセーとザトゥージの間を取り持った。

 

「ほお、量産型アニメに良くある冴えない面構えの少年か。OKOK‼︎ この俺に掛かればどんな使い魔でも即日にGETだ‼︎」

 

「冴えないってのは余計ですよ⁉︎」

 

 ザトゥージ基準ではイッセーは冴えない面構えらしい。その事に不満は持つがリアスに嗜められ溜飲を呑まざるを得なかった。

 

「で、少年。どんな要素が希望かな?強い奴?速い奴?痺れる奴?それとも即死する程の猛毒持ち?」

 

「ラインナップが後半に行く程、物騒ですよ⁉︎ そう言うのは勘弁ですよ⁉︎」

 

 使い魔と言うモノは主人より強い奴だと下剋上される恐れがある。制御出来なければ返って危険である。こう言う事に疎いイッセーであっても理解は出来る。

 

「そうか。じゃあ俺のオススメ行っとくか‼︎ オススメはズバリ『天魔の業龍』。ティアマトだ‼︎

 伝説のドラゴン。五大龍王の一角にして、龍王唯一の雌でもある‼︎ その上、魔王級の力を持つから扱い熟る奴は未だに現れていない‼︎」

 

 使い魔の森の図鑑(ザトゥージ編集)を開きその写真を見せながらザトゥージは高らかにそう告げてオススメする。

 

「いやいやいやいや⁉︎ 無茶過ぎますって⁉︎ こんなの使い魔にって出来る訳無いでしょう⁉︎ 使い魔ってホラ、小さいイメージ‼︎ コレ、ラスボス級‼︎ RPGだと確実に後半のボスキャラ‼︎ 或いは隠しボス級‼︎ 確実にこんがり焼かれる‼︎」

 

「イッセーは赤龍帝で私の下僕なのだから、そのレベルの使い魔を使役して貰うのもアリね」

 

「部長⁉︎ コレ、友好的とかそんなレベルじゃ無いっス‼︎ 寧ろ見敵必殺オーラバリバリですよ⁉︎ ザトゥージさん‼︎ こう言うのは良いからもっと友好的になれそうなのは居ませんかね?ホラ、可愛い女の子系とか……」

 

 イッセーは此の儘だとドラゴンに焼き尽くされかねないと考え話題を変えるべく自分の希望を伝える。

 

「成程な。ならウンディーネが該当するな。四大精霊の水を司り美しい女性の姿を取るんだ。丁度、最近になって使い魔の森の泉にウンディーネが住み着いたんだ。どうだ?」

 

「是非ともご案内お願いします‼︎」

 

 欲望に忠実なイッセーは猛烈な勢いで頭を下げ、リアスは頭を抱え朱乃は微笑み、子猫は呆れる。唯一祐斗は心此処に在らずと言う様子であった。

 

 

 

 

 

 ザトゥージの案内で使い魔の森にある泉へと向かう。話によるとウンディーネは穢れなき清らかな水にしか住まないと言う。冥界なのに清らかとはどう言う事か色々とツッコミたいが答えれる者はこの場には居ない事だろう。

 

「ウンディーネも強い精霊だ。使い魔としては上格と言えるだろう」

 

「マジっすか⁉︎」

 

「無論、そう簡単には行かないだろうな。そもそもウンディーネは滅多に人前に姿を現そうとしないから拍車を掛けていると言っても良い」

 

「あ、逢えるんですか?」

 

「この道何十年‼︎ 任せておけ‼︎ ほら、例の泉に着くぞ‼︎ 心の準備は済ませたか?少年‼︎」

 

 森の中の畦道を通り抜けた先、開けた場所に泉が存在していた。透き通り穢れが全くない綺麗な水、確かに精霊が宿りそうな場所であった。

 

「え?」

 

「嘘……?」

 

 その泉の中央には岩肌が剥き出しの小島がある。その場所に1人の子供が腰掛けていた。

 

 皓。一言で言えばその言葉が似合う。色素が完全に抜けて溶け逝きそうなまで穢れ無き煌めく白銀の長い髪は左右に枝分かれている。その髪に黒ずんだ天蓋花の髪飾りを付けているのもまた目に付く。

 その双眸はまるで碧玉を嵌め込んだ透き通るかの様に蒼い双眸。

 

「皓咲……狐花……⁉︎」

 

 その姿はリアス達にとっては出会したく無い姿形と言えた。色や髪型の差異はあれ、その顔や体躯は正しく狐花ソノモノなのだから。

 その少女はダボダボな白衣を羽織り試験管を振るい何かしらの検証を行なっている様に見える。

 

「あれ? 知り合いかい?」

 

「……出来れば会いたく無い部類のね」

 

「サーゼクス様から便宜図ってくれと言われてよ。何でもあの嬢ちゃん、研究がどーたら」

 

「呼んだ?」

 

「「「ッ‼︎⁉︎」」」

 

 その時、寒気がした。気付けば皓い髪の白咲 狐花がリアス達の背後に立っていた。全く気付かれずに移動と言う行動を見せた。

 

「い、いつの間に⁉︎」

 

「……良く良く見ると違うみたいです。髪色も目の色も……服装も」

 

 近くで見ると狐花と差異がある事がよく分かる。瓜二つと言う意味でもリアスからしたら不気味と言える。

 

「この、辺りの、サンプル、は、採れた。次」

 

「マジで今日中に使い魔の森全部の使い魔候補の魔物やドラゴンのサンプルを集める気かい?」

 

「無論、時間は、有限。無駄、は、出来ない」

 

 口調は辿々しくこの時点で狐花とは別人であると理解出来る。そもそも狐花ならば悪魔と対話すら成立しない筈であるからだ。

 

「えーと、ザトゥージさん? その人は誰かしら?どうやら私達、彼女と良く知る人と見間違えたみたい……」

 

「レーキュ・ツィオーネらしいんだ。何でも魔王様からの特別待遇を受けているらしいんだぜ。実際にサーゼクス様を始めとした魔王様直々の公文書が届いてよ……」

 

「ッ⁉︎ お兄様から……‼︎」

 

 皓咲 狐花と瓜二つである事にも驚きだが、魔王直々の特別待遇。一体、何者なのだろうか気になる所ではある。

 

 その時、レーキュと紹介された皓い幼女はリアス達に興味を示したのか近付く。

 

「悪魔?」

 

「え、ええ、そうよ。ごめんなさいね。ちょっと瓜二つの人と見間違えちゃったみたい」

 

「悪魔の、各臓器の、サンプル、欲しい、から、解体、させろ。君達、別々の、要素、混じって、る、から、各々の、サンプル、に、出来る」

 

 が、思考回路は狐花と大差なかった。会話は出来るが理由違いで悪魔をぶっ殺そうとしていた。

 

「ちょちょちょ⁉︎ いきなり何⁉︎ 最近のロリキャラってどうしてこんなにバイオレンスなんだ⁉︎ しかもサンプルって、実験材料としか見て居ない⁉︎」

 

 レーキュのぶっ飛んだ言葉にイッセーは叫ぶ。口を開けば物騒な言葉を言い放つ光景を見て慄く他に無い。

 

「私達は貴方のサンプルにもなるつもりは無いのだけど……?」

 

「それは、残念。興味、深い、サンプル、になると、思ってい、たの、に」

 

 裏で複数人の悪魔が実験サンプルにされて居そうな気もする。

 

「お兄様も、何を考えているのかしらね……」

 

「代わり、に血液、は貰った、から、良し、とする」

 

 レーキュはそう言い左手の指に挟んだ複数の試験管と右手に持つ注射器を白衣の中に仕舞う。

 

「え?え?い、いつの間に⁉︎」

 

「驚いた、僕達全員が全く気付かなかったなんて……‼︎」

 

「貴方は一体何者なの……?」

 

 リアスはそう言い思わず身構えた。自分達全員に一切気取られずに動き、注射器の痛みを感知させずに採血して見せた。その気になれば一瞬で自分達の息の根を止める事も造作も無いだろう。自分の兄が関与しているとは言え無条件に信用する訳には行かない。

 

「……さぁ?なん、だろう、ね」

 

「答えになって居ませんわよ?」

 

「e8a180e5bc8fe5b091e5b9b4e38081e3819de38186e38081e5908de4b997e381a3e38081e381a6e38282e38081e889afe38184e3818be38081e381aa」

 

 その言葉は全ての言葉が分かるリアス達であっても分からなかった。

 

「……悪魔、の血の、サンプル、は得た。次」

 

 レーキュはそう言い足速にリアス達の前から立ち去って行った。

 

「……何だったのでしょうか?彼女は?」

 

「ザトゥージさんも、知らないのよね?」

 

「ああ、あんな風に辿々しい幼女にしか見えないぜ?使い魔の森に来たから使い魔が欲しいのかと思ったら『サンプル、欲しい』と言って片っ端から血やらを採血して集めていた。変な趣味の嬢ちゃんだぜ……?」

 

 その時、世界が急に明るくなった。薄暗い空は青々とした青空へと変わり果てた。

 

「え?コレは、一体……どう言う事⁉︎」

 

「おいおい冥界始まって以来、こんな空は見た事無ぇぜ⁉︎」

 

 この時、冥界は未曾有の危機に晒された事をリアスが知るのは30分後の事であった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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