「話長くなりそうだから、黙れ。そもそもお前らの信仰やらくだらんゴミの飯事に興味無ぇからな。で、茄子女の妹、取り込み要件は消えたぞ?」
——ほ、本当に無茶苦茶な神様ですね⁉︎
緊迫した空気は天魔雄様の闖入によりより一層、緊張感溢れる状態に陥ったのであった。
「……て、テメェ⁉︎ いきなり現れて何だ⁉︎ 部長に何をした⁉︎」
場の状況が混沌化している最中、展開に追い付けて居なかったリアス眷属のイッセーが再起動して口を開いて啖呵を切った。物怖じしないのは良い事ではあるのだが……。
「……何だ、蛇か。いや、蛇の皮を張った元人の子か」
その啖呵に対して天魔雄様はイッセーを一瞥した後、興味を無くしたのか視線を外す。
「おい、無視すんなッ⁉︎」
その態度が気に入らないのかイッセーは更に吠えて一歩前に出る。
「茄子女の妹。あの赤蛇の抜け殻は何だ? お前の奴隷か?」
「匙。兵藤君を押さえて下さい。死にたくなければ、口を押さえて黙らせて下さい。これ以上、死体を見たくありせん」
ソーナは自身の眷属にそう指示を出す。既に目の前の存在に自身の眷属を3名、屠られている。リアスは天井に突き刺さったまま、本人の知らない所で眷属が蹂躙されたら今度こそ外交問題に発展しかねない。こと、冥界は大打撃を受けた直後……ボロボロの状態で戦争に縺れ込めば本当に滅びかねない。
「お、おい⁉︎ 離せ‼︎」
「お前はもう黙ってろ‼︎ 会長の言葉からしてヤバい気がするんだよ‼︎」
「……申し訳ありません。現在、私の眷属以外の悪魔の眷属が同席していますので何卒、ご容赦の程を」
——リアスの眷属は激情家が多いですね。兵藤君はリアスを心配しての事ですが……場合が悪過ぎる。
「ふん……。まぁ、良い。長居する気は無い。とうとう
——ババァ……?
ソーナから見て天魔雄様は正しく暴君に等しい存在。その存在が相手したくないと言い切る相手が此処、駒王町に来た。故に長居したくないと言い切る。
「裏幕府の件はお前らゴミ共に言っても無駄だからな……。聞かねばならん理由は、コイツらの事だ」
天魔雄様はそう言い、ソーナ達の前に多数の人型の物体を放り投げる。年齢は様々な悪魔の男性達。下半身はぶった斬られ両腕は欠損していると言う完全なる達磨の状態で転がされる。その状態であっても生きているのだから悪魔と言うのはしぶとくシツコイ生命体だと言える。
「……出雲や美濃で天然山林の無断伐採をしていた輩よ。他にも童を誘拐しようとしていた。申し開きがあるなら5000文字以上で答えろ」
——さ、最悪なタイミング……‼︎
ソーナは冥界の惨状に関して伝聞でしか聞いていない。何でも凄まじい日照りに襲われていると聞いている。突如現れた太陽は消え去ったものの大地は罅割れ痩せ果て、荒れ果てた故に植物が全く育たない環境が広がった。その上に湖も全て枯れて深刻な水不足や食糧不足に陥っているそうである。魔物達もほぼ死滅し植物も焼き尽くされ残るは荒れた大地。中には砂漠化した領域もあるらしい。
「……冥界が酷い日照りに襲われたらしくて」
無断で日本の山林を冥界に移転させる。当然、日本神話のみならず日本の人間達にも大迷惑な行動。ソーナに言い訳出来る筈が無く、苦し紛れの返答しか出来ない。かく言う冥界では魔王達も冥界の惨状で全く手が回らない。
「森林を移転させれば良いってか? 流石、耶蘇教らしい自分が『絶対』でそれ以外は全て『悪』だと信じて疑わん。だから何をしても自分が正しい……それに耶蘇教は無謬主義で唯一無二の存在だと信じて疑わんし、それ以外の概念を破壊する……。だから扶桑での布教は失敗したのだよ」
「……何だと?」
その言葉に青髪の少女が反応する。天魔雄様の視線は先程、蹴り飛ばした彼女に向いていた。
「この国ではな、宗教は『道徳』では無くて『手段』なのさ。上面しか知らないし根本には興味を持たない。その内容に関しては大半が無関心さ。クリスマスやハロウィン、正月、お盆が良い例さ。なぁ、伴天連?」
「……ッ‼︎」
「救いか?導きか? 神が救う?神が導く? 面白い、やってみろ。その神とやらが
神が救った? 違ぇよ、人の子本人が自力で助かる様に足掻いた結果さ。信仰で飯は食えるか?腹は満たるか? 満たない、ああ、満たない」
「そんな筈は無い‼︎ 神は愛を持って」
「まぁ、人の子がどんな存在を信じようが本人の勝手だ。俺も狂って荒ぶる荒神であろうと日本神話が一柱。別に信仰なぞ求めん。が、俺から見たら悪魔も天使も堕天使も同じ愚物に成り下がったゴミにしか見えん」
「貴様ッ‼︎」
異端。異教の神の罵倒の連続で遂に我慢がならなくなったのか青髪の少女は遂に剣を抜いた。
こうして会話が成り立つだけ狐花よりかは数倍、マシ。