雷ガ咲く花園デ   作:夢現図書館

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好奇心は隣人を殺す

 

 

 『空間を剥がす』。レーキュはそう告げた。空間に裂け目を作る魔力は知っては居るが空間諸共、剥がすと言うのは如何言う事かサーゼクスには見当が付かなかった。

 しかしながら、サーゼクスには他に手立てが無く頼む他に道は無かった。その場で行うのでは無く『近くが良い』と言い、その場所へ向かった。流石に何も手伝わないのは魔王としての沽券に関わるとしてサーゼクスは協力を申し出てその場所に案内する事にした。その場所は……。

 

「おい、無能」

 

「な、何だい?」

 

 其処はルシファードと呼ばれる旧首都の街。とは言っても寂れた訳では無く街として普通に発展している。そのほぼ中央部に存在する広場。其処には物見の様に多数の悪魔が集まっていた。

 

「何だ、この、ゴミ、溜まりは?」

 

「えーと、流石に君のやる事に皆、興味があるんだよ。その、異世界から来たと言う話は君が来てから翌日には広まっててね。私もセラフォルーも否定しなかった。

 それに、自分で言うのも何だけど、君は誰の眷属になろうともしなかった。未知の力を持つと言うのは駒の余裕がある悪魔からしたら興味を唆るモノなんだよ。

 普通なら眷属の勧誘は多くあったと思う。皆、私が眷属にするであろうと遠慮しているから音沙汰無かったんだろう」

 

 つまる所、物見の悪魔の大半は『王』の貴族悪魔と言う事である。未知数、故に今は様子見。サーゼクスが勧誘していると言う噂もある上に魔王の眷属候補に横槍を入れる訳には行かないと考えて歯噛みしている。という事であった。それを差し引いてもレーキュの容姿は好事家問わず目を惹く程に整い白銀の少女、手元に置きたくなる気持ちもあるのだろう。しかし、中身は最悪と言って良い程に悪辣ではあるのだが。

 

「くだらない、つまり、死に、たがり、か」

 

 レーキュの反応は相変わらずの無表情。そして、罵倒であった。実行する前に『死にたかったら』と、言った。つまり、死ぬ可能性があると言う事である。

 

「そんなに危険なのかい? 流石に危ないなら引かせるけどね」

 

「好きに、しろ。死ぬ、奴が、悪い。死んだ、死体、は、解剖、や、餌、の足しに、すれば、良い」

 

 レーキュは止めない。死ぬ奴が悪いとまで言い切る。巻き添えで野垂れ死に、好奇心の果てに死ぬのならばそれも悪く無かろう。レーキュはそう言いたいのだ。

 

「時間の、無駄、邪魔」

 

「おっと、そうかい。悪魔の存亡の危機に、その作業の邪魔をする訳には行かないね。出来れば、君の顔を見て何が起こるか是非とも見たいから回り込むから少し待ってくれないかい?」

 

「其の儘、心臓、抉ろう、か?」

 

「ははは、流石に勘弁して欲しいね、それは」

 

 サーゼクスは冗談とも本気とも呼べない言葉を笑い飛ばす。レーキュからしたら本気かも知れないが、そう簡単に魔王の首は渡せない。レーキュの機嫌が更に悪くなる前に向かいの真正面に位置する場所、その離れた位置に移動する。其処には多数の貴族悪魔がおり、魔王の登場に自然と場所が開かれた。

 

「サーゼクス様、あの小娘の態度は、如何なモノかと」

 

「彼女の性格が、アレなんだ。逆を言えば忌憚が無いとも言う。ズバズバ言ってくるよ、無能とか怠けとか、真正面から言ってくる。今時、ああ言う者は見ないからね」

 

「な、何たる狼藉者⁉︎」

 

「止したまえ。私が良いと言っているんだ、それに現在の冥界の環境を如何にか出来るのも彼女だけだ」

 

 貴族悪魔達はレーキュのサーゼクスに対する態度が気に入らないのか忠言するがサーゼクスは構わないと諌めた。

 

「それから、死にたく無かったら死なない様にしたまえ。私としても目の前でお前達が朽ち果てるのは早々、見たくないからね」

 

 レーキュは『死ぬ奴が悪い』とも最終通告をした。死ぬ可能性がある状況を作るとも言える。

 

 

 

 

「はぁ、呆れた。まぁ、良い。目覚め、悪く、叩き、起こす、が、芝居、に、付き合え」

 

 サーゼクス達が行末を見守る中、物怖じせずにレーキュは始める事にした。此の儘、時間の浪費する事は耐え難い。何せ人の命は有限、限りある故に謳歌するのが必然である。それはレーキュとしての心か、或いは******としての思想か、いざや。

 

——流石に、今のまま、では、無謀、か。合わせ、技……、後が、不安、だが、仕方ない。

 

 その時、レーキュの姿が変化して行く。長く白銀の髪が闇を彷彿させる濡羽の色に染まっていきその双眸が青白い眸から煌々と輝くピンク色に変色。そして、両腕にはピンク色に発光し二重の螺旋に纏う鎖が顕現した。

 その変貌を見て物見の悪魔達はある程度の驚きを見せる。

 

——疲れる、んだよ、ね。さて、死ぬ、程、謳え、雑念、共、‼︎

 

素は大気(クル・ヌ・ギア)

 

 その呟きと共にレーキュを中心として突如として大気が震え、凡ゆるモノを圧壊し、砕き、融かし、滅ぼす様な絶対的な威圧感の顕現。

 同時にレーキュの足元から赤黒い靄の様なモノが溢れ出して行く。それは煙の様に放射状に広がって行く、その煙が——。

 

 

「なっ、あ゛‼︎⁉︎」

 

「グル、しい⁉︎」

 

「な、何、がァ、⁉︎」

 

「ま、お、う、ざ、まッ……‼︎⁉︎」

 

 

 悪魔達の脚に達した直後、苦悶の声を上げながら腐食され次々と頽れて行く。煙に触れただけでこの惨状、唯一サーゼクスだけは何も影響が出ていないがこの惨劇は見過ごせるモノでは無かった。

 

「れ、レーキュ……‼︎⁉︎」

 

「言った、筈。死に、たけれ、ば好き、に、すれば、良い、と。好奇心、は、死を、意味、する」

 

 レーキュは悪びれない。警告はした。警告を無視する事は命を脅かすと言う事である。警告を無視した者が悪い。

 煙に触れただけで、蝕まれる。そしてそれを吸えばどうなるか、分かり切っていた。倒れ込み口の中に煙が入り込み肺へと進んだ悪魔は全身が腐蝕して行き更に悲鳴が周囲に木霊して行く。

 

「……始める」

 

 その光景を尻目にしたその直後、レーキュの頭上の空間が罅割れて一振りの剣が空間の罅を砕き割って降り地面に突き刺さる。青白い光の刀身を持つ長剣がレーキュの眼前に突き刺さる。

 

「……3秒、付き合え、『青鳴の魔剣』」

 

 

 

 

 

 

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