『昨日深夜、◯◯市駒王町役場にて外国人の二人組の少女が長剣の様なモノで恐喝行為を行ったとして銃刀法及び恐喝未遂の疑いで逮捕されました。駒王署は供述内容から少女2人が倒錯したカルト宗教の入信者であると見て精神鑑定及び、出国した国を調べて送還する方針で進めて居ます』
「……最近、怖いわね」
『寧ろ隣で海老龍帝を味噌汁の鍋に突っ込んだ奴を素知らぬ顔で一緒に飯と食っとる狐花の方がよっぽど怖いんやけどな』
エリザベス一行との対談。及び狐花の危険極まりないお買い物から一夜明けて翌日の朝。
『ふ、フフフ、遂に味噌汁の出汁混じりになったか……涙が流れないのに泣けてくる……』と、何時もの様に海老龍帝エビイグを味噌と一緒に煮込んだ味噌汁とご飯と言うシンプルな朝食(普段の狐花からすれば想像だにしない進歩。具体的には猿から超人への劇的な進化)を食べながら朝のニュースを見ていた。因みに今日は土曜日であった。
内容としては宗教染みた少女が長剣と思われる刃物を持って深夜の町役場に現れて恐喝行為を行った、と言う物。信仰がどうたらこうたらで警察はカルト宗教と認識して事態の収束を図る様である。変な事件ではある。
「……いや、慣れたし。狐花ちゃんがベルセルクバーサーカーのジェノサイドなのは変わらないし」
『慣れたらあかん‼︎ いや、マジで慣れんといて⁉︎ 最後の良心の砦が崩れ去ったらどないしたらええねん⁉︎ ボケばっかのこの集団、収拾つかなくなるで⁉︎』
「いや、私も疲れちゃったし」
『朝から疲れんといてくれぇ‼︎ 頼むからボケに回らんといて⁉︎ 俺様1人やと手に負えん‼︎』
「もう、五七〜。朝から五月蝿いよ〜。5個隣の部屋まで届いているよー」
『もっと頭が痛なる奴がおったよ⁉︎』
その時、襖が開かれて天照大御神様が現れる。巫女の概念を有する為に普段着も巫女服であった。そして、流れる様な動きで狐花を抱き抱えた。
「朝ご飯終わった〜? 何時も同じ巫女服だとマンネリが否めないから、新しい服を見繕ってあげるね」
「んにー(ーwー)」
『おーい、あー、もう……しゃあないなぁ』
狐花は其の儘、天照大御神様に連れて行かれた為に五七は嘆息しながら食器類を片付け始めるのであった。
天照大御神様は狐花を抱き抱えて数ある部屋の内、箪笥類が置かれた部屋に連れて来た。其処には裁縫道具の類も置かれておりどうやら天照大御神様が自分で裁縫しているらしい。
「ふふん、ちゃんと新しい服を用意してあるから着替えて着替えて」
狐花の為に用意したのは赤と白のセーラー服を元にした巫女服だった。ただ、袴は従来の長さよりも半分以下、もはや巷で言うミニ袴と言って良よく膝くらい迄の長さしか無い。それから上に羽織るケープコートは和装の形状で裾もある千早レベル。しかも膝まで長さがある仕様だった。
「んにー」
「うんうん。似合ってる似合ってる。小さいから動き易いと思うんだ〜。本来の巫女服も良いけどやっぱりお洒落したいもんね〜」
それは単なる天照大御神様のご趣味だと思われるがツッコミを入れる者はこの場には居ない。そして狐花は完全にされるがままに着せ替えられた。
「(ーwー)ンニー」
「……陸な事にならないわね。絶対にこのニュースの逮捕された2人組って昨日の連中ね」
その頃、兵藤家。旧校舎の根城を失ったリアスは下僕であるイッセーの家にホームステイ(と言う名の乗っ取り、事実上他人の家庭に上がり込み占領する様な真似)して其処をオカルト研究部の拠点の様な形に持ち込んだ。かと言って居間を占有する訳には行かないと言う虫ケラ程度の呵責心から兵藤家の地下に部屋を作り其処を拠点とした。
そして今朝のニュースで教会陣営の連中がどう言う経緯でアホな真似をして逮捕の流れになったのか呆れていた。昨日の対談の際、日本神話の神の闖入により自身は天井に突き刺さり内容から聞きそびれた。ソーナからの連絡待ちではあったのだが……。
『此処は悪魔の縄張りでも領土ではありません。その為、この地に顕現している日本神話の者達に向かわせました』
との返答であった。つまり進展無しと言う事である。そしてリアスには心配の種がもう一つあった。一同が部屋に揃っている中でリアスの視線は1人の眷属に向けられていた。
「祐人。ヤケを起こさないで頂戴……気持ちは分かるけど、下手な真似は止めなさい」
数日前から自身の眷属である『騎士』の祐斗の様子が可笑しかった。その理由はリアスは知っている……だが、その理由が目の前に現れた為に抑え切れなくなっている。
「……部長。コレは僕自身の問題です。聖剣、エクスカリバー……遂に、目の前に現れた。同志達のお陰で逃げ果せた。報いを、恨みを、晴らす為に生きて来たんです」
祐斗の瞳には決意が宿っていた。燻っていたのは憎悪の形。それは絶対にしなければならないと言う確固たる決意の憎悪。此の儘では、祐斗の憎悪の象徴が手の届かない所に行ってしまう、ならばその前に砕く為に部屋から出ようとしていた。
「待ちなさい‼︎貴方はこのリアス・グレモリーの眷属である『騎士』なのよ⁉︎ 私の下を離れるなんて事は決して認めない‼︎ 『はぐれ』になって貰っては困るわ、留まりなさい‼︎」
「……僕は聖剣に復讐が果たされるのならば死しても構いません。その為に叩き斬る為に生きて来たんです。その果てに『はぐれ』になろうが野垂れ死のうが、構わない。聖剣が粉々に砕け散る前に死ぬ訳にはいかないんです」
要因としてはやはり狐花の影がチラついている。復讐を誓う祐斗は狐花の嫌悪の心が憎悪である事を察していた。彼女も自分と同じ『復讐』を糧に生きているのだろうと。最も自分より彼方の方が要領が良いのかも知れないが。
「待ちなさい‼︎ 貴方の才能は復讐にだけ囚われるべきじゃない‼︎ もっと有意義な生き方を」
「部長が僕を心配してくれているのは痛い程分かります。でも、忘れる訳には行かないんです。そして怖かったんです」
「……怖かった、ですか?」
扉に視線を向けたまま祐斗は振り向かずにそう続ける。振り向かないと言う事は踏み留まる事を止めている、だが、言葉は伝えようと思っているのだろう。
「絆される自分が。犠牲になった同志達の怨嗟を尻目にのうのうと生きている自分が。その復讐を忘れてしまった自分が怖かった」
「ま、待ちなさい、祐斗‼︎」
そして再び歩き始める。リアスの静止の声はもう届かない。膨れ上がり燃え上がる憎悪の炎は猛々しく宿る。
「部長……。無事に戻って来れる保証はありません。最悪の場合、はぐれとして敵として会うかも知れませんね」
「そ、そんな事は絶対にさせないし認めないわ‼︎ 居間この状況で天使達の事情に首を突っ込むのは危険過ぎるのよ‼︎ 思い留まって‼︎」
リアスの評価は低迷中。此処で大きな亀裂を入れてしまえば愈愈、挽回が難しくなるであろう。
「…………」
もう話し合っても無駄か、と考えた祐斗は無言のまま部屋を出て兵藤家から立ち去って行く。向かう先は件の2人組が勾留されているであろう駒王署。
——……邪魔する奴は誰であろうと斬る。復讐しなければ僕は、前に進めない……‼︎
没案
狐花ちゃんのはじめて(⁉︎)のおつかい。
元士郎が鈍器兼ブーメラン。
ハゲゼル総督、ブーメランで殴り倒されて〆る。
でしたが頭が痛いので没案となりました。