雷ガ咲く花園デ   作:夢現図書館

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 ぶっちゃけリィティア達のパートが1番、書き難い。


渇望のジレンマ

 

 某刻、某所。

 

「リィティア君。コカビエルが動き出した見たいね。統合予定のエクスカリバーってのを集めたみたい」

 

 日本国内、某所にある白い建物の一室。其処でシャルロッテがコカビエルの一件に関する報告をしていた。そして、この部屋にはリィティア達、離反組の純血悪魔の少女達が集まって居た。

 

「……駒王町には龍穴。それを利用して分けられたエクスカリバーを統合する。然も、駒王町にはグレモリーとシトリーの純血悪魔が居るから、妹が心配になる魔王達も不安になるでしょうね〜」

 

「私が魔王の立場だったら、気が気でならないでしょうね。それが身内思いで有名な魔王だったら語るに能わず、ってね」

 

「挑発する手段としては、非常に効果的よ。それに日本神話も巻き込めば更なる混沌な戦争に発展するでしょうね……」

 

「ふん。戦好きならば、大きな戦争を望もう。奴にとっても非常に都合の良い舞台となろうな」

 

 コカビエルの目的はエクスカリバーの統合。無論、それが本命では無い事はコカビエルの性格上分かっていた。

 

「コカビエルは相当な戦闘狂だからね。恐らく挑発して戦争を再発されるつもりだろう。アレは戦場でしか生きられないタイプだから」

 

 リィティア達はコカビエルの目的は大凡、検討が付いていた。知る限り過去の大戦で大暴れした堕天使幹部コカビエル。アンドラス家も相当、大暴れしたと聞いている。その終盤、二天龍の乱入により戦争所では無くなり、不完全燃焼の形で終戦へと縺れ込み終わったのだ。納得の行かない終わり方だった故に決着を付けたいのだろう。

 推測出来る筋書きとしてはこうだ。まず手始めに天使陣営が管理する重要なエクスカリバーを強奪。堕天使幹部と言うネームバリュー故に奪還の為に軍勢を差し向けると踏んで居たが、天使陣営は大きな動きは見せなかった。その為、予定変更して駒王町に現れる。駒王町には四大魔王の身内が生息しており、尚且つ身内に甘い魔王の妹達。何か有れば魔王が釣れる。其処で悪魔を即死させる事が出来るエクスカリバーが猛威を奮えば、魔王が直々に軍勢を展開する……そうなれば大規模な戦闘が発生する……この様な形での戦争が勃発する。

 

「良し、準備を済ませ次第に駒王町に向かおう。統合されたエクスカリバーを横取りする」

 

「……現地には悪魔陣営のグレモリーとシトリーに加えて、天使陣営。コカビエル一派、そして『祟り神』まで居る混沌とした場所ね……」

 

「本格的に戦闘はしない。流石にコカビエルと雷花の2人を纏めて相手出来る余裕は僕達には無いからね……」

 

 古の堕天使コカビエルの騒動に釣られて『祟り神』、狐花まで現れる可能性が非常に高い。と言うか現地に居る以上、確実に把握されていると考えた方が良い。介入されると安全地帯はほぼほぼ消える。何せ、彼女にとっては地方都市全体が攻撃射程範囲内と言うぶっ飛び過ぎる射程範囲を誇り作戦とかどうでも良くなる。転移魔法が無ければ即死攻撃の雨霰の中、逃げ惑う羽目になる。

 

「普通に地獄にしか見えない光景だぞ、リィティア……‼︎」

 

 白と赤のメッシュがある黒髪の男装少女がその光景を脳裏に浮かべて呆れた顔をする。

 

「あ、あの……まさかとは思いますけど、利害の一致から手を組んじゃったりしたら……本当に危険ですよ?」

 

「ん、ん……ッ‼︎ 破壊と、狙撃。危険……‼︎」

 

 コカビエルは単純にその戦闘能力。狐花はスナイパーライフルによる射程距離と霊術による範囲攻撃が脅威である。

 

「あり得ない話では無いわ。雷花は私達を含めた大の悪魔嫌い……でも、堕天使に対してどう考えているかは分からない。可能性としてはあり得るわ」

 

「……使えるモノ、利用出来るモノは何でも使いますから。過去にも偶然、近くを通りかかったはぐれ悪魔をぶつけて来ましたし……」

 

 狐花は外聞とかプライドとか度外視した戦術を用いる事が多々ある。街諸共、葬る。無関係な奴を巻き込ませる等のやりたい放題な戦法も普通に使う。その癖、真正面から相手するとも限らず認識の外や遠方から狙撃までして来る。

 

「彼奴は相手がどの様な理由であれ、死亡すれば良いと言う中々、面倒な性格であるからな……」

 

 勝手にくたばれば万々歳。殲滅の意志はあるが、その理由が自分でなくとも構わない。それが狐花の思想。

 

「……確定情報では無いけれど、双方が手を組んだと言う事を前提に作戦を立てよう」

 

 コカビエルと狐花のダブルパンチ。地獄にしか見えない光景だった。オマケにお互いの死角や隙を潰して噛み合う組み合わせだった。確実に示し合わせなくてもコカビエルが前衛、狐花が後衛となるだろう。片方が敵の隙を作りもう片方が必殺の一撃を見舞う……厄介な事、この上ない。

 

「リィティア。ペンドラゴン家が今回の件で既に昨日で雷花と接触を図っていたわ。現時点では共同戦線を匂わせている……」

 

「昨日も言った通り、例の闇店で銃火器の類を仕入れて居たわ。爆買いする事でも有名だし恐らくは爆発物でしょうね……」

 

 ソフィアと小柄な赤髪ツインテールの少女、エリミア・ベルフェゴールが狐花の最新の動向の情報を開示する。

 

「うん。でも、雷花が素直にペンドラゴン家と協力するかどうかさえも疑わしいんだよ。コレはコカビエルとの協力も含めて、だけど」

 

 狐花は大の悪魔嫌いで有名だが、それの同じく人間嫌いでもあった。その為、素直に協力体制を確立するかどうかさえも疑問が残ってしまう。邪魔になれば平気で攻撃する可能性も捨てきれないと言う曖昧な行動方針が敵対者に取って判断を迷わせる。

 

「やっぱり、彼奴がジョーカーになるわね……」

 

 狐花がコカビエル、ペンドラゴン家の双方ともに『利害』が発生する。双方協力して現地の悪魔を葬るか、或いは味方諸共、粉砕するかと言う事態になる。無論、後者は街全体を巻き添えにする災禍を招くだろう。

 

「となればやはり彼女を1番最初に封殺しないと陸に動けないわ」

 

 元々、狙撃手の戦闘スタイル故に索敵と攻撃範囲はかなり広い部類。無視しても相手は問答無用に襲ってくる。ならば先手を打ち動きを阻害する他に無い。

 

「だけど真正面から邪魔するのは危険だ。彼女の殺意の矛先を一手に引き受けるのは無謀だ。僕達の誰であっても長くは持ち堪えられない」

 

 が、狐花の怒りを引き受けると言うのは即死級猛攻の惨禍に晒される事を意味する。1人と思うなかれ、亡霊の軍勢を召喚されれば瞬く間に人数差は覆される。

 

「と、なると……長くても数分か数秒が限度、って事ね。その間にエクスカリバーを強奪して逃亡……と言う流れになるわね」

 

 ソフィアが大まかな作戦の骨組みを組み立てる。言うは易いが実際は早々上手く行く様な環境じゃない。何せ、三大勢力勢揃いな上にペンドラゴン家、狐花達日本神話まで乱入してくるカオス極まりない戦場だ。最初も難しいが逃亡迄も難しい内容となるだろう。

 

「全国のニュース番組を見たけど〜、例の教会の人達、別件で逮捕されちゃってその後、その警察署が爆破されちゃってる。早くも想定外な事が起きているから更に天界さら援軍が来ちゃうかも知れないわね〜」

 

「冥界の方は雷花のお陰で壊滅状態から踏み留まって復興で躍起になっているから其方は援軍を出せる余裕は無いでしょうね」

 

 不確定事項、それは冥界や天界からの増援部隊の存在。何せコカビエルと言う堕天使幹部だ。挑発目的とは言え悪魔や天使からしたら面倒な相手、屋台骨がガタガタになっている情勢の中、根幹を崩す真似は避けたがる筈だ。

 現時点では天使陣営は派遣した者が生死不明の報道を知っているであろうから増援が来るかも知れない。悪魔陣営は冥界其の物が壊滅的被害を受けて復興途中の為に人員を割ける余裕が無い筈。

 

「日本神話は如何かしらねー? グータラ、何か知らない?」

 

 そしてもう一つの懸念。それは戦場の舞台となるのは日本神話の国だ。其処が様子見など決め込むだろうか? その事に関してエリミアは隣に座る黒い着物と言う和装の出立ちをした黒髪の少女に意見を求めた。

 

「私はグータラじゃありません〜。まぁ、可能性としては介入する確率は極めて低いでしょうね〜」

 

 手に持った扇子を閉じて彼女、ハルタ・ダンタリオンはそう断言した。

 

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