雷ガ咲く花園デ   作:夢現図書館

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DARE DEVILS

 

 

「日本神話は如何かしらねー? グータラ、何か知らない?」

 

 そしてもう一つの懸念。それは戦場の舞台となるのは日本神話の国だ。其処が様子見など決め込むだろうか? その事に関してエリミアは隣に座る黒い着物と言う和装の出立ちをした黒髪の少女に意見を求めた。

 

「私はグータラじゃありません〜。まぁ、可能性としては介入する確率は極めて低いでしょうね〜」

 

 手に持った扇子を閉じて彼女、ハルタ・ダンタリオンはそう断言した。ハルタは一時、市井に交ざり偵察行動をして居た。故に見えて居た。自分達の前の世代が日本神話と如何言う交渉を行い自分達がこの地に滞在出来て居るかは知っている。だが、ソレとコレは別件だ。

 

「日本神話のスタンスは何方かと言うと他人任せな所がありますので〜。そもそも、日本神話も雷花は持て余す存在なのですよ〜」

 

「まぁ、彼奴の暴れ方は難儀なモノだし。そう見えても当然かぁ」

 

「無論、日本神話としても冥界の悪魔陣営は怒り心頭。それこそ戦争も辞さない対応となるでしょう。ですが、雷花が勝手に悪魔を滅殺して行きますので、放置しても雷花により息の根を止められる……故に動く可能性は低いと言えます。誰とて巻き添えは御免でしょうからね〜」

 

 逆を言えば狐花は見境が無いと言う問題点を常に抱えている事になる。本当に面倒な性格であった。八百万の神でさえ扱いに困る神楽鈴とは……。

 

「……リィティア、その様子だと作戦は決まったみたいだね」

 

 次々と放たれる情報を受けてリィティアは机の上に紙を広げてペンを走らせる。

 

「うん。僕達は乱入する形になるから序盤はグレモリー達、教会組とコカビエル一派が激突する流れになるだろうね。統合して挑発する目的がある以上、悪魔の影響力が強くなり易い場所、駒王学園と考えられる」

 

 リィティアは恐らく確実に双方が激突する事を確信していた。調べた限りリアス・グレモリーは挑発に弱い傾向がある。プライド高さ故の弱点とも言える。逆にソーナ・シトリーは慎重派とも言えるので迂闊には動かないだろう。

 

「雷花達の動きは具体的には読み辛いけど、恐らくは雷花は狙撃を狙うと思う。それに町中で何度も街の破壊を身内に阻止されている」

 

「……でも爆発物を買い込んだ意図は?」

 

「其処が分からない。コカビエル対策と思われるけど」

 

「おーい、リィティア‼︎ シャルロッテ‼︎ ヤベー事が分かったぞ、おい‼︎」

 

 その時、扉を開けてダボついた服装に赤髪のサイドテールを靡かせた少女が皆が集まるこの部屋に飛び込んで来た。

 

「あら?如何したの?イディス?」

 

 シャルロッテが頬に手を添えてあらあらと言った体で飛び込んで来た自身の妹であるイディス・アスモデウスに何事かと尋ねる。

 

「いやな、エリミアが言ってたあのヤベー幼女が何を買ったのかと、気になって衛星カメラとかクラックして色々、調べたんだけどよ……アイツ、大型のタンクローリーとか迫撃砲とか、用意してやがるぞ‼︎」

 

 イディスは引き篭もりのゲームオタク。部屋に篭ってゲーム三昧の1日が好きなヒッキーな性格。だが、その為にリィティア達の中で1番、ネット環境社会に適合出来ている。

 

「た、タンクローリーって、アレだよね? 引火性の高い……」

 

「そうだよ、危険物第四類を運搬する車輌だ‼︎ それはガソリンとか灯油の類だ。然も5台とか……正気の類じゃねぇよ‼︎」

 

 大型のタンクローリーが爆発した時の威力は下手なナパーム弾に匹敵し得る極めて危険なモノ。運搬内容にも左右されるが大事故は必然、それが5台、同じ町に攻撃目的で用意されたとなれば恐怖でしか無い。

 

「コカビエル対策と考えるにしてはミスマッチだ。いいや、悪魔嫌いの彼女がそんな初歩的なミスを犯すとは思えない……となると狙いは……」

 

 三大勢力の連中はごく一部を除き、大半が飛行能力を有する種族だ。その為、地上を征くタンクローリーは破壊力があれど飛ばれれば容易く躱される。その為の迫撃砲と言いたいがアレは何方かと言う遠方から拠点破壊の役割を担うモノであり飛び回る者に対しての対抗策と言うには無理がある。

 

「別の意図、そう言う意味があるんだね?」

 

「闇雲に街を破壊する理由もちょっと理解出来ない、必ず意図がある……その点も踏まえて作戦を立てる。介入するタイミングはエクスカリバーが統合された直後だ」

 

 リィティア達の目的はエクスカリバーの奪取。バラバラに分けられたエクスカリバーでは無くて統合され1つとなったエクスカリバーである。そう考えると事前に介入し妨害する理由は無い。

 

「判明している事は、コカビエル一派には主犯となるコカビエルの他に教会から追放処分された『皆殺しの大司教』ことバルパー・ガリレイとはぐれエクソシストであるフリード・セルゼンの2人ね。特にフリード・セルゼンはエクソシストとして優秀だったらしく剣術の腕はかなりのモノね」

 

「扱いが上手い者に使わせるのが合理的だわ。となると手にするのはフリードと見るべきね」

 

 コレはほぼ確定と見ている。フリードが統合前のエクスカリバーを振るっていると言う情報を既に掴んでいる。コカビエルの性格上、自分の力で戦闘を好んでいる。消去法とも言わずとも断定出来る。

 

「うん。其処でターリアとセツナの2人がフリードを狙撃してエクスカリバーを落として」

 

「ん……ッ‼︎」

 

「分かった」

 

 遠方から狙撃してフリードを始末し、エクスカリバーから手を離させる。この役目をエリミアの妹であるターリア・ベルフェゴール。そして第二射役としてセツナ・フェニックスが務める。

 

「そのタイミングでエルネシアとストーリーが飛び込んで地面に落とされたエクスカリバーを奪取して逃亡。恐らく統合されたエクスカリバーは柄の部分すらも触れるの不味いだろうから、処理した髪飾りで掴み取るんだ」

 

「分かりましたわ」

 

「うん、わかった‼︎」

 

 落としたエクスカリバーを足が速いエルネシア・レヴィアタン。そのエルネシアに掴まってエクスカリバーを掬い上げる役として1番の幼いストーリー・ベルゼブブの2人が務める。エクスカリバーは本体が聖なるオーラで包まれている以上、生身のまま触るのは危険。故に処理された部分で掴む必要がある。そして走りながら拾う事になる上に戦場のど真ん中では立ち止まれない。その為、髪を自在に操れるストーリーがエルネシアの肩に掴まって掻っ攫う形を取る事にしたのだ。

 

「注意して欲しいのはグレモリーの眷属の中にエクスカリバーに執着する悪魔が居ると言う事だ。確実に邪魔しに来るだろうね。確か木場 祐斗だったかな?」

 

「ええ、その様な名前だったわ〜。でも、今、行方不明になっている見たいよ〜。駒王署で一悶着を起こしたみたい。最悪の場合、公務員の攻撃行為と捉えられて手配されちゃうかもね〜」

 

「……其処で終わると思えないけどね。で、エクスカリバーを奪ったら其の儘突っ切ってシノアとイディスの2人が潜伏する場所に到達次第、転移して駒王町から離脱して」

 

 紙に情報を書き込んで作戦の説明。戦闘区域を突っ切った先にシノア達を配置して其処から離脱させる。逃げるならば転移魔法陣と言うモノはあるが、あの(・・)狐花が居る戦場。一瞬のタイムラグすら危険。その為、シノアが1番転移魔法を発動させるのが速いのでこの配置となった。

 

「ええ、分かったわ」

 

「うへぇ、オレもやんのかよ〜」

 

「ターリア達が動く同じタイミングでエリミアとシルヴィアは雷花の注意を逸らすんだ。正直、かなり危険な役割になると思う。駒王学園が見え、尚且つ高い場所を選ぶ筈。シャルロッテも一緒に行動して欲しい」

 

「やるは良いけど、持って1分か数秒よ。ズレたら全員終わりね」

 

「でも、失敗したら皆が死んじゃう事になる。頑張らないと……」

 

「大丈夫、心配しないで。きっと上手く行くわ」

 

 狐花の注意を逸らす。失敗れば一瞬で狐花は業を煮やす可能性がある。コレばかりはその時に如何転ぶか分からない。

 

「で、私達は何すれば良いワケ? 乱戦上等な戦場になる訳でアイツが居る以上、派手な動きは出来そうに無いのは分かるんだけどさ」

 

「アカ姉達は、駒王学園にブランティーヌの作った爆弾を仕掛けて回るんだ。離脱した後に爆破して注意を引き付ける。流石に街のほぼ中央に位置する学園が突如として爆発、爆轟に晒されれば街全体に轟音が波紋して衆目の目に留まる。そうしたら、僕達の事、所では無くなる」

 

 戦場の時間帯は恐らく深夜。その時に突然の爆轟が発生すれば寝ている人間達は飛び起きる事になる。そして見る筈だ爆発して炎上する学園の姿が……昼間にも駒王署の爆破事件があったばかり、世間の注目度が高まり乱入して来たリィティア達に構う余裕が無くなる。

 

「うわぁ、エゲツない手を使うなぁ」

 

「あ、ちゃんと計算して作りましたので、住宅街には広がらない程度の破壊力ですから、大丈夫です‼︎ 多分」

 

「イディス。気付かれると失敗するから、お願いするね」

 

「オレだけ過重労働じゃねぇか⁉︎」

 

「……………」

 

「リィティア? まだ、何かあるの?」

 

 大凡の作戦は決まった。しかしリィティアはまだ考え込んで居る。その様子にシノアはいち早く気付いた。

 

「うん、作戦は立てたけど、この通りに上手く運んでくれるとは限らない。何処か、嫌な予感がするんだよ」

 

「……ほう? 何があると言うのだ?」

 

「分からないけど、凄く嫌な予感なんだ。コカビエルも充分、脅威的な存在で仮に僕達が真正面から挑んでも勝てる見込みは中々、見出せそうに無い……」

 

「何だ、歯切れが悪いでは無いか。何、心配するな、ワレが、皆が居ろう? 失敗すれば、逃げれば良いだけの事だ‼︎」

 

「……僕は嫌な予感がするから、その『嫌な予感』の対処をする。勿論、無理はしないし作戦の続行が不可能になったら皆、素早く離脱して」

 

 言葉に出来ない予感。説明しようにもソレがどんな存在でどんな理由かさえ、分からない。只々、嫌な予感がするだけ。自分でも分からない悪寒……ソレが何なのか分からないから恐怖が生まれている。

 

「……分かったわ、無理だけは絶対にしないで頂戴」

 

「お前だけ死んだら、シノア達をどうやって纏めれば良いんだ? 僕はゴメンだぞ、そう言うのは」

 

「……そうね〜。殆ど跡追いしちゃうから、死んじゃダメよ〜」

 

「うん、分かっているよ。無理はしないから」

 

 作戦は決まった。後は……上手く事を運ぶだけであった。

 

 

 







駒王学園「もうダメだぁ‼︎ お終いだぁ……‼︎」
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