雷ガ咲く花園デ   作:夢現図書館

145 / 182
焚殺ノ開宴

 

 

 

 

——……役者、は、揃った。始めよう、……ボク、だけ、の、エンタ、ーテイ、ンメン、トを。夢の、続き、新しい、夢の、始まり、を。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『えーと、何て言うんだっけ?』

 

『頭の脳細胞全てが筋肉で出来ている貴方に定期連絡の概念は些かハイレベル過ぎたわね。私が』

 

『なにおうっ⁉︎ おーい、リィティア‼︎ 此方は終わったよ‼︎』

 

『主語は何処へ消えてしまったのかしら? リィティア。予定通り、駒王学園の校舎に爆弾をセットしたわ』

 

『そ、それから学園のグラウンドにコカビエルとその一味の人達が現れました‼︎ グラウンドで大きめの魔法陣を描いて居ます‼︎』

 

『エクスカリバーを統合させる為の魔法陣と思われる魔法陣が見えますわ。予想よりも大きいですわね……』

 

『リィティア。コカビエルの姿が確認出来たわ。上空で待機して何かを待っている様にも見えるわね……』

 

『コカビエル達が見える高所の狙撃ポイントを確保した。何時でも狙える』

 

 連絡用の通話魔法陣からその様な連絡が次々と飛んで来る。想定の誤差の範囲。寧ろ遅かった方である。

 

「分かった。アカ姉達はコカビエル達に気付かれる前に離脱して。乱戦になるから確実に面倒臭い事になる」

 

『リィティア。アイツの姿が確認出来たわ。やはり高い場所にいる』

 

 次はエリミアから連絡が来た。やはり予想通り狙撃の為、高所を選んだ様である。かく言うリィティアも現在、この町の中で高い建物の屋上部に居る。そして視線を見渡せば小柄な体躯の割には大型の対物ライフルを持った狐花の姿を確認出来た。

 

「僕の方でも確認出来た」

 

『大丈夫? 向こうも気付いているんじゃない?』

 

 相手を見つけると言う事は此方も気付かれる。相手が狐花ならば尚更だ。

 

「イディスの能力のお陰で暫くは大丈夫。見つかれば確実に襲って来る……」

 

 見つかれば作戦は台無しになる。狐花が暴れ出せば町中が混乱するわコカビエルに悟られるわと散々な事になる。

 

『リィティア君。複数のタンクローリーが町中を走っているわ。あら、その上に迫撃砲が乗っているわ〜』

 

 そしてシャルロッテからはタンクローリーが駒王町内を走って居る。然もその上に迫撃砲が乗せられていると言う妙な組み合わせの報告が寄せられた。

 

「……意図が読めない。何を考えているんだ?」

 

 狐花達も動き出して居る。そうなれば残りの面々も既に動き出していると考えて然るべきだ。

 

——……コカビエルがエクスカリバーに固執する理由は無い。けど、万が一の時もある。その時は僕が時間を稼ごう。シノア達に言えば止められるだろうけど。

 

「結界か。正直な所、アレで防ぎ切れるとは思えないんだけどね」

 

 その時、駒王学園全体を覆う様なドーム状の結界が張られた。強度的に心細く申し訳無さ程度の結界だと思われる。強力な攻撃、即ち爆撃1発でアッサリと破壊されそうな程の脆弱な結界だった。

 

『魔法陣が光り出しましたわ。複数のエクスカリバーを魔法陣に浮かべて居ますわね……コレが統合の儀式なのでしょうか?』

 

『あ、リィティア君。グレモリー達が現れたわ。人数が1人足りない気もするけれど……』

 

——始まったみたいだね。最初の内はグレモリーとコカビエルが激突って所かな?

 

『おいおい⁉︎ 何かデカい三つ首の犬のバケモンが現れたぞ⁉︎』

 

 事態が変わる。リィティアから見ても分かる通り駒王学園のグラウンドに頭が三つ存在する巨大な犬の様な存在が現れ戦闘を開始した。時間稼ぎと言うモノだろうか。

 

「皆、手出し無用。目的に集中しよう」

 

——介入する理由が無い。故に必要の無い戦闘は避ける。

 

 リィティアは序盤の戦闘は様子見だと判断しグレモリー達に任せる事にした。恐らくあの怪物は冥府の番犬であるケルベロスであろう。

 

『リィティア。アイツが動く気配が無いわ。銃を構えて学園の方を見ているけど……撃つ気配が無いわ。其方から何か分かる?』

 

『うん。何か、待っている気がするよ』

 

 狐花の様子を窺っているエリミア達は彼女が戦闘が始まっているにも関わらず横槍を入れない事に不自然さを覚えていた。

 

「……狙撃の機会を窺っているのかも知れない。或いは、ッ⁉︎」

 

 その時、次々と発射音が鳴り響き町中の上空に向けて迫撃砲から放たれた榴弾が次々と放物線を描き飛び上がった後、射程が短いが故に駒王町に降り注ぎ爆轟と共に火災を引き起こして行く。

 

「……本当に町を破壊する気か⁉︎」

 

『リィティア⁉︎ 上空に向けて砲弾が飛び交ってる⁉︎ まさか迫撃砲⁉︎』

 

 轟音により次々と民家に照明が付いて行く。そして赫赫と光る炎が燃え上がり火災が各地で発生し混乱が広がり始めていると遠目からでも分かる光景が広がり悲鳴も聞こえて来る。

 

「うん。タンクローリーの上に乗せている迫撃砲から次々と榴弾が放たれている‼︎ でも、全部が全部、駒王学園には一切向けられていない‼︎」

 

——その殆どが道路や橋と言った交通路ばかりに着弾している……‼︎ 民家には直接狙っては居ないみたいだけど……。

 

『此方でも確認したわ。彼方此方で火災が発生しているみたいね。 でも、住宅には火の手が回っていない……? それから人間達が町の外へ避難しているのが見える……炎上の仕方から誘導している様にも見えるのが気掛かりね』

 

『げっ、不味い。アイツに私達の居場所がバレたわ‼︎』

 

『わ、狙撃されている‼︎』

 

 エリミア達の存在が狐花にバレたらしく狙撃銃による遠距離砲撃を受けていた。仕掛ける前に強襲された。

 

——狙われると他の皆が動き難くなる‼︎ 恐らく雷花はコカビエルの行動も把握している筈。それでも……‼︎

 

 狐花のイカれっぷりは周知の事実。そしてコカビエルの行動も把握している筈。かと言って現在、学園に来襲されるのは危険だ。

 

『って、迫撃砲の砲撃⁉︎ 岩を出して防いだけど、其方からも狙われている‼︎』

 

『ごめんなさい。立て続けに砲撃されて、あの子の妨害を出来そうに無いわ……‼︎』

 

 余計な連中は砲撃砲で迎撃。つまり本命は別にあると言う事の証明と言えた。この砲撃の雨の中では、気付かれた狐花の妨害は難しい。

 

「エリミア‼︎ 後退して立て直して‼︎」

 

『分かったわ‼︎ 私達の存在がバレたと言う事はアンタが居る事もバレている筈‼︎ 充分、気を付けなさい‼︎』

 

「うん、分かっている」

 

——少なくともエクスカリバーの統合までは持ち堪えたい。その後の戦争は知った事では無いから。

 

『リィティア君‼︎ 貴方はあの子に気付かれたみたい‼︎ 気をつけて‼︎』

 

——狙いは、僕みたいだ。なら、僕が引き付けて引き剥がすしかない‼︎

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『き、狐花さん‼︎ やり過ぎでは⁉︎』

 

「民家には当てていないから問題ない」

 

『そう言う問題じゃ無いと思うんだけどね……』

 

 狐花は狙撃の機会を窺う為に高所でボーイズ対戦車ライフルを構えて眼下に広がる炎上した街並みを見ていた。その際、アーシアとアイラからの無線機による音声も飛んでくる。

 骸骨兵にタンクローリーを操縦させ、その上に迫撃砲を設置しての移動式の大砲にし、街中に榴弾を降らせた。その最後には爆破させれば後始末が楽である。昼間からカルト宗教による警察署の爆破テロ、駒王学園の旧校舎爆破テロ(狐花がやったが)の存在により衆目は関連付けて納得する。

 

——悪魔のゴミ虫や天使のカス共、そして堕天使のノミ連中に加えて、ペンドラゴンや自分達が一斉に暴れ出して秘密裏に処理しようなど無茶な話だ。

 だったら、物理で災害起こして避難させる方に誘導した方が手っ取り早い。適当に街中に火災を起こせば人間なんて勝手に避難していく。

 

 そして、騒ぎを聞き付けて呼んでも居ない招かれざる客も来る。そして現在進行形で余計な悪魔を3匹見つけて、狙撃したが躱されたので腹癒せ代わりに迫撃砲の榴弾を四方から叩き込んでおいた。途中で岩盤が迫り上がって来た事から恐らくは悪魔『アンドラス』の連中だと判断した。

 

『コレはコレは随分と派手にやったモノですわね? 見た目とは裏腹にやんちゃなのですね』

 

 アーシアやアイラの通信に加えて別の声の無線が飛んでくる。エリザベス・ペンドラゴンだった。

 

「……無線機の周波数、教えた覚えは無いけど」

 

『この程度、調べる事は容易いですわ。さて、案の定招かれざる客がいらっしゃった様ですね。暫し、足止めして頂けませんか?』

 

「何故?」

 

『コカビエル一派はエクスカリバーの統合を開始した模様なので、これ以上邪魔が入ると面倒ですわ。既に現地の悪魔が戦闘中との事ですので、乱戦になると隙を窺い難くなります』

 

「…………」

 

『貴方は自分が手を下さずとも何らかの理由で悪魔が死亡する事は良しと見做すでしょう? 私達の邪魔になれば現地の悪魔も始末しますわ』

 

 エリザベスは狐花の内面を見透かした様な言動であった。そして認めると言う確信を持った声音であった。

 

「そ、手間が省ける。其方の件は好きにしたら良い」

 

——悪魔『アンドラス』を葬れば、あの連中は瓦解する。中心となる者が消えれば、その絆は容易く崩れる。

 

 悪魔に絆なんて言葉は必要か?

 悪魔に仲間なんて単語は必要か?

 悪魔に家族と言う概念は必要なのか?

 

 必要ない。狐花はそう断言していた。そんなモノ、必要ないのだと。

 

「…………」

 

 狐花は見据える。自分と同じように高所で様子を、正確には駒王学園の様子を窺っているリィティア・アンドラスを視界に捉える。

 

——『狙う』、その意志を示す。

 

 引金を引いた。だが、相手に自分の存在に気付いているので躱される。無論、躱される事は分かっていた。これは宣言。『お前を殺す』と言う宣言を改めて告げた。

 

「逃げられるモノなら、逃げてみろ‼︎」

 

 狐花は飛び降りる。時同じくリィティアも居た場所から飛び降りた。追う者と追われる者による鬼ごっこが始まった。

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。