高温と溶岩により融解しつつ行く町。混乱極まる地獄、人ならざる者達の歓喜の叫声が鳴り響き渡る。
サーゼクスとグレイフィアの会話を盗み聞いたレーキュ。その結果、此処、駒王町にて乱戦が行われる事を知った。実験の結果の試作品を試すには都合の良い機会。故に半ば強引に援軍と言う形でこの町に乗り込んだ。
「…………」
駒王町と言う響きから日本と言う国の町だろう事は容易に想像出来た。だが、来て見れば結果どうだ?
「……」
赫い。只管に赤い世界が広がっていた。アスファルトの道路の代わりに赤熱化したかの様な溶岩が犇き流れ、民家が壁が焼け爛れ頽れて溶岩の川に沈んで行く。風に流され舞う木の葉の代わりに熱風に吹き荒れ火の粉が舞うと言う溶岩の中に沈んだ町の光景が広がって居た。
「コレ、は、素直、に、驚いた。どうや、ら、超常、の、概念が、あれ、ば、比例、して、人間、も、進化、する、らしい。素晴ら、しい」
——環境、が、狂え、ば、生きる、為に、適応、適合、する、他に、道、は、無い。出来ぬ、者は、淘汰、され、る。
その光景を見てレーキュは笑っていた。目の前に地獄が広がって居ようと悪夢が犇いて居ようと生きる為には生きる為の進化をせねばならない。運、実力、手段は問わない、生きる道を掴んだ者が生存出来るのである。
「試作品を、試す、為に、わざわざ、映える、舞台を、用意、した、のか。気が、効く……」
——……この町、の、学校、に、居る、みたい、だ。さて、喜んで、くれる、と良い、んだ、けど。
『試作品』は標的であるコカビエルが居ると言う駒王学園に落として来た。そして、レーキュ本人はと言うと……。
——想定外、も、想定外。異なる、世界。類似、した、者、が、存在、して、も、不思議、じゃない。
駒王町北部。其処では大規模な溶岩の流れが南部へと向けて発生し数多くの建物を巻き込み押し流している。
「……ッ‼︎」
赫黒い煙で形成された腕翼が溶岩に浮かぶ残骸を破壊する。そうでなくても溶岩の熱量により残骸は自然と融解して行く中、この戦場に目的があって現れたリィティアは当然現れたレーキュ相手に困惑するばかりだ。
「……悪いんだけど、今、君の相手をしている余裕はこれっぽっちも無いんだけどね……‼︎ それに、知らない相手に因縁吹っ掛けられても反応に困る」
破壊された残骸から周囲に漂って流される大型トラックの貨物室の上に降り立ちその手に持つ日本刀を片方を鞘に納めて腕翼を広げて飛ぶレーキュを睨む。
——あの、時を、思い、出す、光景。惨殺、されて、行く、自衛隊、の、隊員、達。凍った、ガレオン、擬き、に、轢殺、される、者達。そして……。
レーキュは現在の構図があの時の構図とほぼ同じ光景である事を思い出した。違うとすれば相手の人数、セカイの環境、そしてお互いの状況。
「……?」
——矢……?
溶岩が犇く環境。周辺に健在なままの民家の屋根の上に足軽の青白い骸骨兵が多数、現れた。その骨腕にはクロスボウと呼ばれる小さな弩が取り付けられていのが見えた。他にも火縄銃と思わしき長銃を持った骸骨兵も確認出来る。布陣からして溶岩の川に漂う瓦礫に乗っている者達を狙っているのだろう。
「……行動範囲を限定させ、その間に物量差によって狙い撃つか。彼女らしい確実性を求めた布陣だ」
——無粋な、真似。しかし、まだまだ、未知、が、ある、と見た。コレは、面白い。あの、骸骨、どうやって、動いて、いる。死んだ、人間、の魂か? それとも、骨に、擬態、化、させた、存在か? 悪魔、の、駒、も、そう、だが……この、世界、も、随分と、命が、安い、様だ。叡智を、持って、進化、すれば、する程、に命、の、価値、が、安く、なる、らしい。
レーキュは命の意味を知りたくなって来た。如何やら進化すればする程、命と言うモノは値下がりして行く様である。つまり、二束三文よりも安くなる。
骸骨兵から多数の青白い矢や弾丸が次々と飛来して来る。一方はリィティアや残骸を狙い、また一方はレーキュを射抜く様に飛来する。
「……ッ‼︎」
「……遅い」
だが、その矢や銃弾は2人には届かない。リィティアの刀に折られ、斬られて打ち払われ、レーキュの腕翼に纏めて掴まれ朽ち果てて粉と消えた。
「こんな時に、面倒臭いな……‼︎」
乗って居た残骸が限界を迎え瓦解し溶岩の川に沈んで行く。別の残骸に飛び移りリィティアは状況を打破するべく思考をする。
——彼に、似て、いる、者、が居る、と言う、事は、他の、者達、も、似た、者が、居ても、不思議、じゃない。あの時、は、状況、が、状況、故に、事が、上手く、運んだ、けど。
骸骨兵の横槍。流石に無視を決め込める状況とは言えない。それに似た者が他にも居る可能性が浮上して来た以上、其方の件でも考慮の余地が現れて来る。
「……ッ‼︎」
「ん?」
思考に更けつつ放たれる矢や銃弾を腕翼で薙ぎ払って居る頃、リィティアはと言うと矢の雨を掻い潜り流れ行く瓦礫の上を伝い、民家の屋根へと飛び移り、その場所を陣取っていた骸骨兵を斬り伏せ離脱した。
——逃げた、か。まぁ、四方八方、敵、だら、けの、包囲、戦。突破、する、事が、重要の、点。擦り抜け、る、様に、逃げた。
残されたのはレーキュ。骸骨兵は速やかに標的を再認識し直ぐに此方へと向けて攻撃を集中させて来る。
「…………」
——……『彼女』、か。少なく、とも、彼とは、敵対、存在。ふぅん。
腕翼を広げた直後、溶岩の川に沈殿して居る融解寸前の瓦礫が空中に巻き上げられ周辺の民家へと次々に降り注ぎ骸骨兵達を押し潰した。
「……興味、深い。この世界、何処まで、楽し、ませて、くれる?」
骸骨兵の出現の理由は『彼女』にある。そう認識したレーキュは『試作品』の試行と並行してその存在の解明に着手する事に決めた。見ているだけではつまらなかろう。リィティアの事は捨て置く。大凡、の行動は把握は出来ている。優先事項としては『彼女』の存在が上に上がる。
——……もっと、楽しませ、ろ。セカイ……‼︎