時間がないので短い……。
エリザベスにチビ狐花が送り届けられる直前。駒王町、皓咲屋敷の地下。皓咲城にて——。
「……急な訪問、誠に痛み入る。天照殿」
「別に気にして居ないよ〜、長っちゃん」
皓咲城、3階にある大部屋の一室にて天照大御神様と長門が対面する形で面会していた。天魔王が去った後、相変わらずエビイグをフルボッコ状態にして居たが、気配を察知して地下にある皓咲城の最下層の庭園に赴くと地下水源を伝って訪問して来た長門と遭遇。其の儘、招き入れて面会する事となり今に至っている。
「聞けば〜裏幕府、壊滅したって聞いたけど、大丈夫〜?」
長門が将軍を務めていた『裏幕府』は悪魔による予想だに出来なかった襲撃方法により壊滅と言う憂き目に遭った。属して居た大半の付喪神は散り散りとなって行方不明となってしまった。
「やはり存じて居られたか……。大丈夫、とは言い切れぬのが実情だ……明石、ヴェスタルを始めとした面々が自沈したと言う報も寄せられた」
壊滅した時、大破した状態で離脱を余儀なくされた付喪神も多く、その道中にて自沈した者達も居ると言う報せを長門は何件も聞いた。そして辿り着いた先で、沈没したとも聞いた。艦船の付喪神。故に原来、艦船であるが為に沈めば死ぬ。沈没と言うのは艦船にとっては死を意味する。
「……そうなんだ。でも艦船の付喪神の子達は『強い想い』だからまた産まれるかな?」
「其処は時の流れに任せよう。また、会う日までの暫しの別れ。しかし、その時は既に別の者となって居よう……」
知名度のある有名なモノの付喪神は複数回存在している。例えば名剣、宝剣と言ったモノや軍艦と言ったモノ。仮に消滅してもまた新たに誕生する事もある。しかし、元になるモノは1つのみ。対する付喪神も一柱のみであった。つまる所、同じ者は2人、存在しないと言う事になる。無論、記憶は引き継がれる事は無い。
例えば今の長門が死しても時が流れれば次代の長門が現れるやも知れないと言う事である。対して狐花の場合は『無銘の神楽鈴』であり知名度は皆無、次代の『狐花』が現れる可能性は絶望的に低い……否、現れる事は無いであろう。
「して、此度参ったのは……」
「幼い付喪神達を預けたい、違う?」
長門の言葉を遮り天照大御神様は来訪理由を言い当てた。
「……存じて居られたか、隠し立てする理由は無し。その通りだ。四散した者達が再び集ったは良いが、以前よりは少ないのが実情。その過程にて産まれた者達が居る」
長門は瞑目して答える。産まれたての付喪神。或いは次代の者達も居るであろうが『現実』の経験は皆無と言える。その様な者達を戦場に赴かせる程、不粋ではありたくなかった。
「……此度の件。寡兵なれど黙っては居れぬ。同意する者を連れ、余は悪魔共に遅咲きの逆撃に転ずる腹積りである。されど、稚児を戦場に出す様な真似はしたくは無い。故に天照殿、彼女らを迎えて下さらぬだろうか?」
それにコレは扶桑が船籍の問題。他国の艦艇の付喪神も巻き込む訳には行かぬ。その者達は『静観も自由』として無理強いはしなかった。
「……長っちゃん。死ぬ気なの?」
「最前線にて沈るならば本望。出ずる息の入るを待つべからず。後世の事は次代の長門や他の者達に託す。死した
長門は戦の果てに死ぬつもりなのだろう。かの件にて仲間を失ったのは他ならぬ己の不手際によるモノ。然れば落とし前を付けねばならぬは将軍である己である。
「狐花殿は悪魔共を屠る道を選んで居られる。是が非でも余らに陣借りを申し上げる」
狐花は凶悪なレベルでの悪魔嫌いと言う事は長門も重々承知していた。故に自分達が悪魔共の本拠に攻め入る術を見つけられなかったとしても狐花と共にあれば何れはその首に必ずや届く。狐花が如何答えるかは分からないが、戦力の押し売りならば可能だろう。
「……はぁ、如何して皆してそんなに死に急ごうとするのかな……」
目の前の長門は戦場にて死する覚悟で望んで来ている。狐花も悪魔を根絶やしにした末には死亡する未来が確約されている。そうでなくても死にたがる人間は星の数程、見て来た。今迄もコレからも数え切れない『死』を見て来た。
最近になって死に急ぐ者達が増えている様にも思える。他に要らない、目的さえ果たせれば命など惜しくないと言う悲しい生き方をしている者達が。
「……仮に余の行動が復讐だと存ざれるのならば復讐と言う感情は第三者にはくだらなく見えよう。弱いだの、愚かだの……何とでも言われよう。ああ、余は天照殿達からみる様に然程、強くは無い。たった一隻の付喪神に過ぎぬ。言うなれば敗戦国の船に過ぎぬ。弱者ならば弱者なりの戦い方があろう。劇的な勝利も敗死も要らぬ。ただ、果たすのみ」
狐花も復讐の為に生きている様なモノ。天照大御神様はそれを止めたいと思っているが、上手くは行っていない。
「はぁ、本当に人の子達の作ったモノも……手が掛かる子達ばかりね……」
「……構わぬ。して、先の件は如何程であろうか?」
「その子達に関しても条件があるわ。呑んでくれるのならば、その件は受けても良いわ」
「………して、その内容は如何に?」
そろそろ気になる? レーキュがこの世界に来る直前に居た世界
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(/・w・)/
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(ーωー)