雷ガ咲く花園デ   作:夢現図書館

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壊れた方程式

 

 

 想定外の遭遇を経てレーキュは溶岩に沈み行く町のほぼ中央に位置する駒王学園へと到達した。

 

「……随分と、派手に、やった、な」

 

『おパァァァァァァァァァァァァァァい‼︎‼︎』

 

『フハハハハッッ‼︎‼︎ 不死身と言うか‼︎ 良いぞ、実に良いぞ‼︎ 赤龍帝よ‼︎ 心逝くまで戦い明かそうでは無いかッ‼︎』

 

 『おっぱいドラゴン』とコカビエルの咆哮が響き渡る。他の事など如何でも良い、と言う体で争っている。

 

——アレを、制御、しよう、など、考える、のは、愚の骨頂、よ。好きに、暴れ、させる、のが、最善、それが、理由。

 

 制御は出来ない。故に好きにさせる。統制を促す事は不可能。何故ならその様に出来ているのだから。データは採取出来た為に、後は放置しレーキュはリアス・グレモリーを捜索する。

 

「……死ん、だら、死んだ、で、死体を、無能に、ぶつけれ、ば良い。この程度、の、災禍、で、くたばる、様では、未来、は、無い」

 

 絶望を前にして、頽れる程度では生きる価値は無い。その理念が生まれている。それはレーキュの思考とは程遠い気がするがもう既に疑問を浮かばない程、進行(・・)していた。

 派手に破砕された学園の校舎。残骸しか残っていないその場所を歩いていると血の匂いが鼻腔を擽った。

 

「…………」

 

 瓦礫が積もる場所、その近くに灼けた血溜まりが広がって黒く乾燥している。その先にあったのは焦げた右脚、左脚、右腕、左腕がバラバラになって散乱している。

 胴体らしきモノは見つからない。そのすぐ近くは倒壊した瓦礫。現場状況から恐らく落下した瓦礫に押し潰されて四肢が四散したのだと思われる。

 

「……死んだ、か?」

 

——命は、安い。大博士、の、後を、追った、から、命、は、安かった。金、で、買える、程に、人間の、命、と言う、モノは、本当に、安い。50万円、出せば、買える。命の、価値を、考えれば、安い、値段、だ。

 

 しかし、腕の太さからリアス・グレモリーやその他のモノとは考え難い。それ以前に悪魔の耐久実験はまだして居ないので瓦礫に潰された所で生きている可能性も否定は出来ない。

 

「……さて、他は?」

 

 死体を他所に別の場所へと歩いて行く。やはり何処も瓦礫や灼けた跡が残されており、地獄さながらの光景が広がって居た。その矢先、見覚えのある赤い髪が見えた。

 

「部長‼︎ 無事だったんですね‼︎」

 

「イッセー‼︎ それに小猫も‼︎」

 

——ふぅん、運が良い。連中だ、こと。

 

 リアス・グレモリー達も逸れた為に合流した直後の様であった。その光景に他にも探す手間が省けたとも言える。

 

「朱乃は⁉︎ 朱乃は何処なの⁉︎ 一緒じゃないの⁉︎」

 

「……それが、朱乃先輩は、その行方が分かりません。逸れてしまったらしくて、連絡さえも……‼︎ タンクローリーの爆発で分断された後、襲撃を受けて……それから、あのドラゴンが現れて、更に逸れてしまって」

 

 小猫がリアスの問いにそう答えた。

 

「それよりも部長、状況は如何なっているんスか⁉︎ なんか、俺の顔みたいなドラゴンが暴れているんですけど⁉︎」

 

「イッセー先輩の胸に対する執着は見るに堪えません」

 

「ああ、良かった。イッセーが変貌してしまった姿かと、思ったわ……2人とも無事なのは良かったのだけど朱乃がまだ合流出来ていない。探さないと‼︎」

 

——時間、切れ、だよ。

 

「……時間、切れ、だよ。リアス、グレモリー、と、その一派」

 

「あ、貴方は⁉︎ 皓……じゃなかった、レーキュだったわね……容姿が本当にソックリだったから間違える所だったわ……」

 

 後方から突然、声を掛けられた為に動転したリアス。その様子から余程、『皓咲 狐花』と良く似ているらしい。双子であった事は無い、他人の空似と言うのはそれはそれで被害を被る要因にもなる。

 

「それよりも時間切れと言うのはどう言う意味ですか?」

 

「……この、空間は、隔絶、された、空間。元の、町から、複製、された、モノ。この、空間は、崩壊、まで、猶予は、無い。早々に、退避、しなければ、危険、だろう」

 

「何ですって⁉︎ この町が異空間に存在するですって⁉︎ そんな気配は全く感じられなかったし転移した記憶も無いわ‼︎」

 

「事実。この、様な、行為、には、少しばかり、縁、が、ある」

 

——形、は、違えど、神奈川、コロニー、で、少し、やった、し。

 

「崩壊するとどうなるんですか?」

 

「この類、の、場合、永久、に、次元の、狭間、に、放り、出される。元の、界に、戻れない、可能性が、濃厚、だ」

 

「で、でも、朱乃さんが⁉︎」

 

「諦めろ」

 

 イッセーの言葉に対してレーキュはキッパリと告げた。その志は立派で認めよう。しかし、順序と優先順位と言うモノがある。

 

「イッセーの言う通りよ‼︎ 朱乃は私の大切な『女王』よ‼︎ 他に代わりなんて居ないわ‼︎」

 

 レーキュの短い取捨選択の通告に対してリアスも反論する。

 

「犠牲は、付き物、だ。よもや、無犠牲、で、全て、治める、事が、出来る、と? 悪魔は、其処まで、万能、か?」

 

「だからと言って益々、放置するだ、」

 

 その時、激しい地震が発生する。溶岩に犇く駒王町全体が亀裂が入り、地盤が砕けてバラバラになって上空へ崩落して行くかの様な光景がリアス達の視界に映った。空も罅割れたて破片となって砕けた。その砕けた空があった場所には真っ白な空間が広がって見える。何も無い、真っ白な『無』が広がり底も天井も分からない。

 

「限界に、突入、した、らしい。凡ゆる、モノ、を、否定、する。全て、が、無意味、だ、ろう、ね。この状況、で、継続、行為、は、死を、意味、する」

 

「…………ッ‼︎」

 

 この状況で朱乃を探そうにもその前にこの空間が壊れる方が早い。そう思わせる程にバラバラになった町が上空へと崩落して行く。既に町の端は上空へと落ちて行き、溶岩も上空へと聳える様に落ちて行く。もはや一刻の猶予も無い事を見せ付けられた。

 

「…………分かった、わ。此処に居る皆を連れて、避難……するわ」

 

「「部長⁉︎」」

 

 リアスは拳を握り震えて居た。本人にとっても苦渋の決断だ。コカビエルを相手に手も足も出ず、悠斗は行方知れずのままで、朱乃を絶対死は免れない状況で見捨てる行為。正に屈辱と言って良く、何も得られず喪うだけに終わった。

 

「駒王町は無事、なのよね?」

 

「それは、知らない。其方の、件は、無関係、だから」

 

「そう……エクスカリバーから始まって、その結果がコレだなんて、笑うに笑えないわ……」

 

 リアス達は魔法陣を介して崩壊する『偽りの駒王町』を後にした。コカビエルと『おっぱいドラゴン』は崩壊する光景の中でも未だに戦闘を続けていた……。

 

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