雷ガ咲く花園デ   作:夢現図書館

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混沌の夜明け

 

 

 

「……んにー」

 

 謁見の間。その部屋の襖を五七が開いてチビ狐花が入った。その先の光景では長門と天照大御神様が対談を行なっている光景が広がっていた。

 

「あ、三っちゃんだー‼︎ と言うか物凄く小ちゃくなってるー‼︎」

 

「む。狐花殿……又もや、その姿でお会いしたな。して、僭越ながらお邪魔させて頂いている」

 

 チビ狐花が入って来て相変わらずの猫可愛がりが発生した天照大御神様と淡々とした真面目な仏頂面を崩さない長門。その反応を見て五七は主に天照大御神様の方を見て溜息を吐いた。

 その後、天照大御神様は自身の膝の上にチビ狐花を乗せて改めて対談の場を設ける形となった。

 

「んにー?」

 

「んー、何処まで話したかな? 先ずは三っちゃんに其処から話さないとね〜」

 

 後から来た狐花に長門が訪問してその理由を説明した。長門は幼い付喪神達の保護、そして悪魔燼滅の為に陣借りを申し出た事まで話が進んでいるとの説明をした。一先ず、先に詰めたい話はと言うと。

 

「……以上。狐花殿の陣列に陣借りを申し入れる」

 

——……裏幕府が悪魔の手勢により壊滅した。その報復を画策している。かと言って自分達では本拠、冥界に攻め込む手段が無い。

 

 長門は狐花に取り入る事で本懐を遂げたいと考えている。要点を整理すれば双方に利害が一致するであろう。この件に関しては天照大御神様は口を挟まない。長門に取って交渉相手は狐花であるからだ。天照大御神様は狐花の摂政では無いのだ。

 

「すきにしたらいいよ。へやなんてありあまっているからてきとうにつかえばよいよ。よしみというつもりもないし、すきにすればよい」

 

 狐花も以前は裏幕府の世話になっていた。だがそれが理由で認めたと言う訳では無いとも告げた。

 

「……つまり? 余の申し出を受けてくれると言うのか?」

 

「ん。へやなんてあまってるししろふたつもあってもつかうときがない。だからかまわない。それで……あまてらすおおみかみさまー。そのけんのじょうけんってなにー?」

 

 其処でチビ狐花は天照大御神様に長門に提示した条件の件を尋ねた。

 

「んー。この駒王町の事だよ〜。具体的に言えば『駒王学園』だよ」

 

「「?」」

 

 天照大御神様の言葉に対して長門は耳の形をした髪がピクリと動きチビ狐花は疑問符が浮かんだ。

 

「具体的に言うとね〜。駒王学園を買収(・・)しようと思うのよ〜」

 

 駒王学園は三大勢力の悪魔の影響力が一際強い施設(私立校である為に当然とも言える)。その為、駒王町は悪魔『グレモリー』が領土を主張したがるのである。学園は私立校故に設立者が自分のモノだと名乗るのは至極道理なので不問であったが、町を領土と名乗るのは御門違いと言うモノであった。

 天魔雄様が一悶着を起こして悪魔は駒王町を手放したが虎視眈々と奪取を目論んでいる事は把握済みであった。

 

「……買収、とな?」

 

「うん〜。何でも彼処の理事長は全く仕事しないって良く言われているのよ〜。それに不信任決議まで叩き付けられてても尚、辞めないってね〜。なら、一層の事……私が買い取って〜、根本的から影響力を削ぎ落としちゃおうってね」

 

 駒王学園の理事長は仕事が出来ない。と言う話は学校関係者外でも知られている事実との事。何処ぞの教員が苛立っている光景は近所からでも有名らしい上に例の変態3人組による被害報告は枚挙に暇が無いのも有名であった(本人は知らないのだが)。

 まぁ、他にも理由があるのだろうが……と言うか天照大御神様が買い取ると言う事は理事長は天照大御神様、と言う事にも繋がる。果たして此方も此方でちゃんと務まるのかその辺も甚だ不安に思えるのは不思議に思えない。

 

「……それとコレに何の因果があると言うのだ?」

 

「それをするにしても人手が足りないから手伝える子は手伝って欲しいの。買収と言っても在校生達の説明とか対応とか、他にも色々必要な事も沢山出て来ると思うの〜」

 

『いや、天照大御神様が理事長務まるとは思われへんのやけど』

 

 同席している五七が呆れ顔でそう苦言を呈した。色々とダメダメな天照大御神様が理事長が務まるのか疑問にしか思えないのだろう。さもありなん。

 

「やると言ったらやるのー‼︎‼︎」

 

「んにー。こうなったらてこでもうごかないよー」

 

「そ、そうか。が、余らからすれば頼みに来た側だ。協力するのも吝かでは無い。事務作業に関しては得意な者を当たってみよう」

 

 天照大御神様による駒王学園買収計画が発動した。こう言う類は言い出したら止まらないので周りが折れるしか無い。長門は自分達は助けを求めて来た側にして此方の頼みを聞く条件がそれならば受けるのが当然だと判断したのだ。

 

『あーもう、如何なっても知らんで? 大体、陸な事にならんからなぁ……』

 

「人の世と言うモノは奇々怪界で跋扈しているモノだ。一端を担うとて不思議ではあるまいよ」

 

 五七の呆れた顔に対しても長門は真面目に返した。この世と言うモノは奇妙なモノであり何が起こっても不思議と理解せしめられるモノだと言うのだ。

 

「ふふーん。お互い満足の行く結果になったね〜。三っちゃーん」

 

「んに〜……」ムニー

 

 天照大御神様は膝に座らせているチビ狐花の頬を摘みながら笑っている。完全に遊ばれている様にしか見えない。

 

『そも、買収て何から始めて如何するんや? 最終的に』

 

「ふふーん。それは見てのお楽しみと言う事だよ〜。丁度良いタイミングで東京での全校校外合宿があるから前倒しに行なっている間に色々と事を済ませちゃおう」

 

 配布プリントには来月の頭辺りに『全校校外合宿』と名目された合宿が予定されていた(一部の教師は『アホなのか⁉︎』と言う反応をしていた)。天照大御神様は買収と同時にその行事を前倒しに行い必要な事を纏めて片付けようと画策したのだ。

 

『……つまり速攻で理事長の権限を掌握して生徒が居ない内に片っ端から改造する気やな?』

 

 如何やら天照大御神様の手腕により駒王学園は大改造が施される運命にある様であった。そして、皓咲屋敷に元裏幕府の面々が加入する事が現時刻を以って決定したのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『システムオンライン』

 

『予備電源、起動。***の記憶及びパーソナルデータを復旧します。稼働率100%』

 

『プロジェクト***の凍結プログラムを解除。覚醒まで残り予想時間は24時間』

 

『予備機にデータをインストールを申請。成功。戦闘データを抽出、インストールを開始します』

 

『プログラム実行……残り予想時間……』

 

 

 

 

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