雷ガ咲く花園デ   作:夢現図書館

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駒王学園改装計画

 

 

 

 冥界にあるレーキュの研究所でソーナ達が生死の境を彷徨う状況に直面しているその頃、駒王町では——。

 

 

 

 重機類の音が響き渡る。駒王学園の敷地内を仕切る様に高いブルーシートで覆われた壁。その中では全焼した駒王学園の校舎の再建が行われていた。

 駒王学園の新理事長となった天照大御神様の指示で表向きは『大企業の建築会社による再建工事』と言う体裁で進める為に数日間のスケジュール設定で施工される運びとなっている。最も、日本神話に加えて再編成された裏幕府の面々が絡んでいる為、伊弉諾尊様がその気になれば即日に建築が完了しかねないがそれでは外聞的に都合が悪い為に少し時間を掛けたやり方をする事となったのだ。

 

 

「んにー(ーwー)」

 

『宛ら戦場やなぁ。費用とかどんだけ掛かるんやろか? 想像したないなぁ』

 

 午前中に行われた校外学習の説明会を終えた狐花はその足で再建途中の駒王学園に来ていた。駒王学園は敷地としては広い部類に入る為に彼方此方で建築資材やら建築作業用の組み立て前の建築足場のパーツが積まれている。

 

『( *`ω´)サンメ』『( *`ω´)サンマ』『( *`ω´)サンメ』『( *`ω´)サンマ』『( *`ω´)サンメ』『( *`ω´)サンマ』

 

「それ、コッチに持って来てー」

 

「こんなの無茶苦茶にゃ。と言うか発想自体、イカれているにゃぁぁ‼︎」

 

 そして忙しなく付喪神やら小さい鮫が彼方此方を行き交って作業を進めていた。

 

『何つーか、結構な祭り騒ぎみたいなモンやな』

 

「…………」

 

 その様子に五七は呆れた声を上げる中、狐花は周囲を見渡して何かを探している。

 

『狐花?どないしたん?』

 

可笑しい(・・・・)……。駒王学園のコレまでの反応、そして駒王町が悪魔の領域と化していた……そして、天照大御神様が駒王学園を買収した。なのに、何の反応(・・)が見られない事に違和感を感じる」

 

 狐花は駒王学園自体が悪魔の影響が強い事に気付いていた。生徒会自体も悪魔に占有されている事から殊更、怪しめと言っている様なものだった。

 

『いや、狐花。お前はんの行動を省みぃや……』

 

 冥界を壊滅的状況に追い込み、旧校舎を爆破。生徒会の面々を全滅に追い込んだ上に本校舎其の物を燼滅させた。悪魔陣営から『祟り神』と謳われる……憎悪の化身。

 

「……臆したか? いいや、あり得ない。再編成の為に様子見をしているのかも知れない。やはり、あの時、悪魔『グレモリー』を根絶させれなかったのは痛手……」

 

 『偽りの駒王町』で悪魔『グレモリー』を完全に仕留めきれなかった事が失敗だった。後で聞いた話だと、悪魔『グレモリー』は転移魔法陣で逃亡に成功したとの事。実際に今回の説明会で姿形が確認出来た。だが、2匹は仕留めれた様なのは不幸中の幸いだった。

 

『……』

 

「討ち漏らし、中途半端な対応は、禍根を残して後々、面倒な事になる。敵を攻撃するならば、殲滅は必然の事。系譜を、血筋を根絶やしにしなければ連綿と連なる事になる。完遂してこそ、意味がある」

 

『お前はん。絶対、平和の類の概念嫌いやろ』

 

 平和しか知らない者に、戦乱しか知らない者の理念は理解出来ない。価値観の隔たりが強くて、分かり合えないのだ。

 

「滅ぶか生きるか、生きた先に滅ぶなら是非も無し。畢竟、是の如く。道半ばに尽きるなら其も一興」

 

 幼女の姿で言い切れる内容の言葉では無い。その生き方は度々、心配される観念である。だが、止まれないブレーキがぶっ壊れた暴走機関車の様なモノ。何かに当たっても止まれない、本体がぶっ壊れなければ止まらない。

 悪魔を滅ぼす、人間も屠る。狐花はその想いを受けて産まれた。初めからブレーキなんてモノは無かった。もう、彼女の隣にはアイラやアーシア、静香と言った行動を止める者も諌める者はもう居ない。呆気なく死亡したから。狐花は隣人や親しい者が死んでも感傷に浸る事は無い。もう、何回も見たから。

 

「……踏まえ、悪魔に行動が見えないのが不可解。討ち漏らしたならば、何かしらの兆候は見せる筈だ……」

 

——悪魔『グレモリー』や悪魔『シトリー』を敢えて泳がしている。少なくとも数名、葬った以上……悪魔共に情報は伝わっている筈。なのに、未だに仕掛けて来ない。向こうから来てくれた方が探す手間が省けると言うのに……。

 

 そんな物騒な思考を脳内に張り巡らせながら歩いて行くと前方の方にテントが見えて来た。其処では机が置かれて天照大御神様を始めとした知っている面々があーだこーだと言い合っているのが見えた。大方、建築方針で揉めているのだろうか?

 

「だーかーらー、此処は城塞みたいなノリが良いと思うんだよ〜」

 

「……伊弉諾殿ならばやりかねない、が。学舎としては些か不釣り合いでは無かろうか? 過剰な装飾は今後の動向具合から修繕に費用が嵩むだろうと思うのだが……」

 

「あの神楽鈴が居る以上、3日に1回は何処か吹っ飛ばすぞ?」

 

『うわぁ、スゲー面子の組み合わせやな……』

 

 新理事長である天照大御神様、皓咲城を新居に再編成され始動した裏幕府の将軍の長門。そのVIPに加えてもう1人、其処には意外過ぎる者が同席していた。黒髪の高校生程の体躯の少年であった。

 

「んにー?」

 

「あー、三っちゃんだー」

 

「む。狐花殿か。再建作業は滞りなく……いや、滞る要因が隣に居てな……」

 

 天照大御神様と長門が近付いて来た狐花の姿を認めて其方に視線を向ける。

 

「……この事態に陥った元凶が来たか。相変わらず派手に暴れている様だな。日照りの神楽鈴よ」

 

「んに?(?・w・c)」

 

『お前はん、誰や?』

 

 そして、最後に口を開いたのは黒髪の少年であった。狐花は面識が無いのか、頭に疑問符を浮かべて首を傾げた。

 

「……何だ、忘れたか? 遥々、地獄にまでやって来て真正面から喧嘩を売ってきた癖によ。さもありなん、あの時は神煉具(軻遇突智)を展開していたからな……分からぬのも無理は無い、か」

 

『は?』

 

「あ……」

 

 頬杖を突きながら黒髪の少年は呆れた声を掛ける。その言葉に狐花は思い出した。地獄で狐花は『神煉具』である『火産霊』と誓約した者に真正面から喧嘩を売り、一方的に押されて敗走した……その相手であった和奏その人が目の前に居た。

 

「……何で居るの?」

 

「地獄での不貞寝に飽きたから顕界に居を移した。質問に答えると表向きは俺の所の会社が建築を行なっている形にしたいんだとよ。日本神話で企業を作ってたのは俺だけだから白羽が立った。……ウチは音楽事務所なんだけど、如何してこうなった」

 

 地獄で見た劫焰を纏っていた姿と違い何処にでも居そうな少年が其処に居た。最もぶっきらぼうな口調は変わらない様である。

 

「ひーくんはね。集まっちゃった子達が色々と表沙汰にできない子達ばかりで、学校関連に問題があるから合法的に如何にかする見返りに名前を借りたんだー」

 

「うっせぇ、駄女神‼︎ バラす事ぁ、無ぇだろ⁉︎」

 

 天照大御神様のカミングアウトに和奏はキレ気味のツッコミを入れた。

 

「やれやれ、揉めるのは他所でしないか。まぁ、要約すればな。和奏殿の所に抱えている者達は殆ど狐花殿と同じような境遇と見て良い。悪魔関連で散々な事になって恨んでいたりと敵意を持っていると言う事だ。流石に民間の建築会社の名前を使うのも後で人間達の規律である行政上の問題が発生するからな、荒事は避けたい矢先に和奏殿が会社を設立していたのを知ったので速やかに締結したと言う訳だ。まぁ、半ばゴリ押しやグレーゾーンスレスレに近い形だが」

 

 和奏が設立した事務所は表向きは音楽事務所(女子ばかり集まってしまった為)で本来は紆余曲折あり集まってしまった悪魔狩りの者達を有する裏の世界の民間軍事企業。

 その為、建築業界に乗り出したと言う触書きを用意する羽目になった。

 

「成程、理解した」

 

『理解早ッ⁉︎』

 

 だが、その特殊性が強過ぎるが故に別の問題もあった。その解決の為にも和奏は利害の一致として今回の件に合意し関与する事に決めたのだろう。

 

 

 

 





 ??学院「3日に1回は何処か破壊します」

 駒王町「もうダメだぁ、お終いだぁ……‼︎」
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