雷ガ咲く花園デ   作:夢現図書館

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 こんな無理矢理な展開にしないとお互い平行線の展開が後、2、30話続きそうなので。


接触

 

 

 

 時刻は午後9時頃、この時に漸く一誠は地獄の補習授業から解放された。最も、女の欠片も無い生徒指導室で毎日、この地獄が続くとなると億劫になるであろう。

 

「大公からはぐれ悪魔の討伐の依頼が来たのは良いけれど……下僕達の体調が宜しく無いわね」

 

 部室では未だにグロッキー状態の下僕達の様子を見てリアスは苦虫を噛み潰した表情を浮かべている。街全体を覆う悪魔を蝕む破邪の気は夜になっても抑まる気配は無い。その為、祐斗、小猫、一誠は体調を崩している状態であった。

 

「……これ以上、その気が強くなると支障が出て来るわね。こうなったら、多少の強攻策を取らないと行けないわね」

 

 下僕悪魔の体調が良くない。この状況は決して褒められたモノでは無く、悪魔家業にも支障が出て来る。領主として放置出来るような状態では無い。

 

「朱乃、止めないでよ。流石に此処までやられて黙って居られないわ……‼︎ 何としてでも、見つけ出して問い正して、そのついでに滅してやるわ‼︎」

 

 側にいた朱乃にそう宣言する。自分の領土で起きているこの状況は即刻どうにかせねばならない。この学園には悪魔『グレモリー』以外にも悪魔は存在している。生徒会を牛耳る悪魔『シトリー』が存在していた。自分達も億劫になる程の状態、向こう側も下僕悪魔の消耗は激しくなっている可能性が高い。

 猛るリアスを見て朱乃は抑えるのが限界かと、観念染みた顔になる。

 

「……部長。その行動は悪手ですわ‼︎」

 

「止めないでと言った筈よ‼︎ こんな状況、営業妨害も良い所よ‼︎ 何としてでも、止めさせないと行けないわよ‼︎」

 

「ですから、喧嘩を売りに行く様な真似をしてはなりませんわッ‼︎」

 

 朱乃は今朝頃に『日本神話は荒れると手に負えない存在(マイナー認識なので理解されていない)』と言う事をリアスに伝えていた。そも、日本神話と言った神々の機嫌を損ねれば、洒落にならない大災害を引き起こすのは基本的な展開である。親しみを持ち易いか、性質が悪いか、人によって判断が異なる……。

 そして、他の勢力に喧嘩を売る行為が自分達が発端となればどうなるか、考えたくも無い。誰が敵に味方に回るか分からないからだ。悪魔陣営と言う組織の都合上、どうしても生まれる存在が『敵対心』である。悪魔の現時点までの行為が、敵意を生んでいる可能性は否定出来ないからである。

 

 

 

 

 

『ほう、翅蟲の分際で我らに矛を向ける、か。臍で湯を沸かすつもりか?』

 

 

 

 

「「⁉︎」」

 

 その時、リアスと朱乃は厳かな声が聞こえる方向に視線を向ける。ソファや、壁に凭れて座り込む下僕悪魔達も視線だけでも其方に向ける。窓硝子の縁に1羽の烏が鋭い眼光をリアス達に向けていた。

 

「何?この烏……⁉︎ いいえ、足が3本⁉︎」

 

「3足の烏。まさか、八咫烏⁉︎」

 

『如何にも、吾は神代より日本神話が遣い。八咫烏である』

 

 リアス達に現れた烏。それは日本神話に伝わる伝説上の存在である八咫烏であった。

 

「日本神話……‼︎ ちょっと⁉︎ 私の領土で悪魔に害のある魔除けの結界を張ったのはやはり貴方達なのね⁉︎ 営業妨害も甚だしいわよ‼︎」

 

「はて?何の事かな?」

 

 日本神話の使者だと知ったリアスは怒髪の勢いで声を荒げる。だが、八咫烏はすっとぼけた様な態度で小首を傾げる。白を切るつもりの様である。

 

「巫山戯るんじゃないわよ⁉︎ 見なさい‼︎ 私の可愛い下僕達が無惨な状態よ⁉︎」

 

「……ッ。弱い者から死ぬ。それは如何なる世界で共通する真理であろう。それとも奴隷の紹介が趣味かな?私には解せぬ事だ……‼︎」

 

「なっ⁉︎」

 

 リアスの言葉に八咫烏は失笑を堪え切れずに嗤う。そして、リアスには興味が無くなったと言わんばかりに視線を朱乃へと向ける。

 

『姫島の娘か。今日まで良くも生きて居たモノよ……‼︎』

 

「やはり、知って居たのね……‼︎」

 

『汝の母が如何なる種族の、誰と交ったとしても構いはせぬ。が、汝の一族はそうは捉えぬであろうな。堕天使と交わった穢れた娘、と』

 

「ッ‼︎ あの人の事は言わないでッ‼︎」

 

 今度は朱乃が吼える。だが、八咫烏はもう興味を喪ったのか次に視界を向けた先は、破邪の気に当てられて衰弱している一誠であった。

 

『今代の赤蛇は汝か。転生悪魔になるとは、不憫なモノよ……だが、過ぎた事だ』

 

 八咫烏は『赤龍帝』の事を赤蛇と呼んだ。別に嫌っている訳では無いが自然とこの様な呼び名となったのであった。

 

「何だ、よ。烏に好かれる覚えは無ぇぞ⁉︎」

 

『……他の者は、木場 祐斗、猫魈、か。雑兵も良い所ではあるな……。ふむ、赤蛇は今日より五十七日の法廷に参れ』

 

「は、はぁ⁉︎ テメェ、何を言ってんだよ⁉︎」

 

 赤蛇の一誠は八咫烏の言っている事が理解出来ずにそう吼える。法廷?五十七日?そんな言葉は一誠は知らぬ概念であった。そもそも、烏に言われる理由が無い。

 

『来る気が無いのならばそれで良い。だが、後悔はせぬ事だ』

 

 八咫烏はそう言い残して再び窓際へと戻る。単純にグロッキー状態の一誠達を視認しただけの様である。

 

「この、人の部室を好き勝手に歩き回るんじゃ無いわよ‼︎ それに、私の可愛い下僕達にちょっかいかけるんじゃ無いわよ‼︎」

 

「烏を見ると、あの人を思い出す……‼︎」

 

 苛立っている時に加えて八咫烏の行いが気に食わなくなって来たのかリアスと朱乃は片手に魔力を収束させる。

 

『止めておけ。汝らの力では私を滅ぼす事は叶わぬ』

 

「その言葉、後悔しながら消し飛ばされなさい‼︎」

 

 リアス・グレモリーには『滅びの魔力』、朱乃には『雷の魔力』。その魔力の塊が同時に八咫烏へと放たれる。直撃すれば文字通り消し飛ばされる事だろう。

 

四海万国を照らす尊き光よ!我が主の御霊代に集い、穢れを祓う光を放ち、孤高を憂う後背に集え!

 

 その言霊の詠唱の直後に八咫烏は魔力の衝突による爆煙に包まれた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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