「
その言葉の直後、狐花はお菓子の入っていた箱を握る手を揺する。箱は自然発火し燃えて焦げた滓と成り果てて風に靡かれて霧散する。そして眼下の先には、夜中に映える紅の長髪の女性悪魔の姿と、その眷属たる者達(3匹程、くたばり損ない)が狐花の視界に入った。
「部長……彼処に……‼︎」
「巫女服と……さっきの烏⁉︎ それにアレは冥界の死神⁉︎ どう言う組み合わせなのよ……‼︎」
「胸は小さいけれど美少女が⁉︎ 一瞬で疲労が吹き飛ぶ‼︎ あ、クソ‼︎ 見上げれるってのに下着が見えねぇ‼︎ こ、コレが鉄壁のスカートって奴か⁉︎」
路上にて見上げる紅髪の悪魔とその下僕悪魔。その内、くたばり掛けの悪魔が下品な顔つきで見て来る。
『おい、ヤキトリ。社会の塵を道案内してどないすんねん。狐花にとっちゃおネムの時間ちゅうのに……』
『…………』
恐介の失態に五七は煽る様に言葉を告げる。その事に対して狐花は特に何も咎めない。何れは接触する事になるのは明白であった事だからである。
「構わない。どの道、来たる事。それが今になっただけ。恐介、何処までやったの?」
『は。パスポート、就労ビザ無しによる不法滞在及び不法営業。並びに不法留学の嫌疑を掛けております。領土の概念を語るに、許可証等の証明資料が不十分であるが故に退去を要請。しかしながら、当方は退く気は無い意志を示した故に駒王町を絶やす裁決を要請しようかと存じております』
『おい、ヤキトリ。何、知らん間にそんな真似やっとんねん。まぁ、狐花も知らぬ間にやってそうやけどな……』
悪魔『グレモリー』のリアス・グレモリーが駒王町を『領土』と見做し領主を名乗る以上、ソレを正式に完全証明する正式書類等の用意が出来ない以上、退去を通告した。が、退く気が見られないので領土共々絶やす方針を進めようとしている。
「そう……なら、やってしまおう。顕界に……神秘の類は必要無い。町諸共、滅びると良い……。ありもしない祈りに任せ、溷濁した怨嗟を身を以って識れ……‼︎」
狐花は恐介の行動を咎めない。恐介がやらなければ自分がやっていた、それを証明していた。元より駒王町諸共、悪魔を燼滅させるのが最も手っ取り早い。扶桑の国では自然災害が矢鱈と多い……地震、台風、雷、火災。生きたければ既にそうする人間が生き残る。如何なる災禍を齎しても生き残る人間は生き残る、それだけであった。
『おい、狐花⁉︎ 流石に止めい⁉︎ 無茶苦茶過ぎんやろ⁉︎』
「な、流される所だったスけど、此処で町の住民共々皆殺しってのはやり過ぎっス⁉︎ クレイジー過ぎるスよ⁉︎」
又しても暴走しかねない狐花に五七は止めようと躍起になる。ベンニーアは五七の言っていた事が即座に起こりそうな事と自分が居ながら、大量殺戮を目の当たりにして何もしなかった事に関して怒られる可能性を考慮して自身も止めに掛かる。
『……退く気は無いのだな。翅蟲諸君』
「此処は私の領土である事に変わりは無いわ‼︎」
『虚勢を張るのは若さの特権だ。しかし、相手が悪かったな……お嬢様。如何なさる?』
恐介は内外では口調がガラリと変わる。呼び方も様々であった。五七が狐花の暴走を止めた後、狐花は電柱の上から飛び降りて地上に降り立つ。ベンニーアも並ぶ形で降りて来るが鎌の上から降りなかった。
「貴方ね⁉︎ 私の領土に余計な気をばら撒いたのは‼︎ 今すぐに止めなさい‼︎」
「領土?」
「しらばくれるんじゃないわよ‼︎ 貴方、数日前に転入してきたわね⁉︎ 此処は悪魔の領土で、私の領地‼︎ その身形から日本神話の勢力でしょうけど、私の領土でそんな勝手な真似、許されざる蛮行よ‼︎」
リアス・グレモリーはそう主張する。此処は五七も恐介も口を挟まない。何故なら発言権を有するのは狐花だ。自分達が口を挟むのは宜しく無い。それは客分であるベンニーアも口を割り込む事はしない。この時点で既に悪魔と日本神話の外交問題になっている。
「……悪魔の領土? 誰が認めた?誰が許可した?」
「魔王様から直々によ‼︎」
『何故でしょうか。鼬ごっこな気がしてきました』
『ええやろ、好きなだけ言わせてやれや。その間に民家に被害が及ばない様に結界張んで……狐花の暴走は止めても溜め込むだけや。適度に発散させんと、爆発すんで』
『あ、ベンニーアさんも手伝うス』
『すまへんな』
『いえ、狐花様が同僚になった時の取扱を心得ておかないと、ただでさえ辛気臭い冥界が、開放感全開の焼け野原になるっスから』
恐介はリアス達の根城で通告した内容と同じ展開になると呆れる。五七はその間に道路の脇の民家の境界線に『壁』の結界を張る事にした。どうせ、交渉は成立しないのだから狐花が痺れを切らして灰燼に帰すのが目に見えている。ならば、被害を道路が融解させる程度に抑える方がまだ建設的だ。
「なら、証明する証拠品となる見せて。『駒王町を悪魔領』であると主張するのならば……
日本政府発行の
『境界確定協議書』
『土地登記簿謄本』
『全部事項証明書』
『現在事項証明書』
『所有者証明書』
『何区何番事項証明書』
『一棟建物全部事項証明書』
『一棟建物現在事項証明書』
『閉鎖事項証明書』
『登記事項要約書』
『現在事項証明書』
『地図証明書』
『地積測量図』
……駒王町が自身の領土と宣うのならば、駒王町に存在する土地物件の
恐介よりも更に踏み込んだ要求の羅列。リアスは愚か元日本人である赤蛇の一誠でさえも聞いた事が無い単語の連続に唖然となる。『自身の領土だと言うのならば、コレらの証明書を見せろ』と。然もリアスは『駒王町』が自身の領土だと言った、つまり自分の土地だと言った。即ち駒王町に建てられている建物全てが自分のモノだと言ってしまっている様なモノ。
「な、なんスか。あの言葉の羅列……ベンニーアさん、ちんぷんかんぷんス……」
『……もうちょい一般常識の方に勉学を向けて欲しいわな……』
要約すれば狐花は『駒王町』に存在する全ての建造物の証明書を全て提示しろと言ったのである。無論、公共の建築物や線路の類も駒王町に設立されている為にソレラも含めて、である。
「な、何よ、それ……⁉︎」
「貴族悪魔だ、なんだの知らない。今の扶桑の国では明確な公式書類が必要。悪魔だからと言って無視するな。この扶桑の国の地に足を付けているのならば相応のルールに従え」
リアスはその様な書類を作成した記憶は全くない。
「それから、日本神話は他陣営の扶桑の国の入国に関して
「あ、悪魔の方々。勘違いして貰いたくないスけど……自分は正式にビザとパスポートを取得して来ているっスよ」
其処でベンニーアがギリシャ神話の死神であるが故に部外者として証明書を所持している事を公言した。
「よって、悪魔であり領主と名乗る貴方達、悪魔、及び転生悪魔全員に『就労ビザ』と『パスポート』の提示を求める。
特に日本人であろう姫島 朱乃と兵藤 一誠は人間ではない為に日本人ではない。永住者の権利の証明も同時に求める。何れかの1つでも提示出来なければ不法滞在者と見做す」
「は、はぁ⁉︎ 巫山戯るな⁉︎ 俺は日本人の両親の日本人だ‼︎」
日本人でありながら日本人と見ておらず、尚且つ侮蔑を込めた視線も向けられた一誠は声を荒げた。
「転生悪魔は人間では無い以上、貴方はもう日本人とは認められない。それに既に貴方は閻魔王様の『鬼籍』に登録されている。国籍も戸籍も空白……あったとして行政機関に対して欺瞞出来たとしても閻魔の庁では通じない」
狐花に弁論は通じなかった。転生悪魔となった赤蛇の一誠は人間では無い(と言うか自然人では無い)以上、日本神話から見て不法滞在者扱いとなる。故にパスポートと就労ビザを提示出来なければ日本神話のお膝元である日本から強制帰国される可能性に晒される(この場合は冥界の悪魔領)。
「……それらを提示出来たのならば、私はこの地から退く。さぁ、提示を求めたモノを全て見せて貰う……出来なければ、この『駒王町』共々消えて貰う。或いは今すぐに『駒王町』から国外退去するのであれば、この町の悪魔関連の施設を破壊するだけに留め、この件では貴方達に危害は加えない」
狐花は無表情に無情にリアス達に請求する。日本国憲法で定められた法律と日本神話が管理の為に定めた法。その何方に於いてもリアス達は何一つ持ち合わせていない。そも『駒王町』を自身の領土と言うが、悪魔陣営が勝手に名乗って管理しているだのは、単純に不法占拠しているだけ。『魔王様が認めた』と言っても通じはしない。口約束の内容など拘束力が無い。
『頭、混乱するやろ?簡単に纏めたらぁ。
1、請求された証明証拠をこの場で全て提示する。
2、『駒王町』共々、全員仲良く野垂れ死にする。
3、尻尾巻いて『駒王町』を放棄して冥界に帰る。
さぁ、領主サマや。どうすんや?逃げるか?それとも、焦土を枕に野垂れ死ぬか?』
五七は分かりやすくリアスに選択肢を突き付けたのであった。
クロスオーバーのキャラの説明は?
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(・ω・)欲しいうにー
-
(ーwー)要らないんにー……