一誠は紫先生に捕まり、其の儘進路指導室へと連行された。因みに松田と元浜は隠れて登校した教室に行こうとしたが、そんな小細工は紫先生には効果は無く、2人仲良く捕縛されて進路指導室へと連行された。そして、始まるのは月曜日初めの小テスト。その結果は散々たるモノであった。そして、小テストが終われば課題と称して問題集を只管、解かせる。それもこの進路指導室から一切、出られないまま午後9時までである。オカルト研究部に所属している一誠は部活があると言って逃亡を企てるも、紫先生は——。
『オカルト研究部?顧問教師も創部届も無いから同好会と言う分類になっているぞ。故に、そんな理由では認可出来んな。と言うか担任教師や学年主任からは『何とかしてくれ』と言われた以上、俺の裁量となる。まぁ、諦めろ』
その言葉により逃亡は阻止された。進路指導室には備え付けのトイレもある為に、その気になれば引き篭もって勉強する事が出来る。一誠達からすれば、見事な軟禁施設にしか見えないが。
「ぐぎぎぎ、華の高校生活がこんな狭い部屋で過ごす羽目になるなんて……しかも毎日だと⁉︎」
「おのれ……教師の風上にもおけねぇ奴だ……‼︎ おっぱいを拝めないなんて、何て時間の無駄なんだ……‼︎」
「俺達には男の美学を追求すると言う使命があると言うのに……‼︎」
進路指導室の硬い床に正座させられた一誠達は低めの机の上に置かれた問題集を解いていた。普通ならば何時もの如く覗きやら猥談に勤しんでいるのだが、それももう出来ない事であった。
「無駄口を叩ける元気があるお前達にプレゼントタイムだ。遠慮なく受け取るが良い」
「「「げげッ⁉︎」」」
そう告げた紫先生は一誠達の前に辞書並みの分厚い問題集を1冊追加する。既に各人、問題集が3冊残っており、其処に追加されている為に物理的に今日中に終わる量では無くなっていた。
「酷ぇ⁉︎ こ、この悪魔‼︎ 外道‼︎ 人間なんかじゃねぇ‼︎」
「そうだそうだ‼︎ この悪魔め‼︎ 俺達を家に帰らせない気だな⁉︎」
「鬼、悪魔‼︎ 外道‼︎ 第六天魔王‼︎ 俺達を衰弱死させる気か⁉︎」
課題を追加されて、一誠達は反抗して文句を垂れ捲る。その反論に紫先生は当然の如く——。
「そう言えば、お前ら。1週間前の課題。担当教師から見せて貰ったが、アレはなんだ? 何、物理の課題で脂肪の塊の概念の御高説を垂れてんだ? 担当教師も頭を抱えていたぞ。その課題は無効となり無提出となる訳だから、代わりにコイツをくれてやる」
ドスン‼︎ と今度は2冊一気に追加された。合計、6冊分の辞書並みの分厚さの問題集が積まれている。
「な、お、おっぱいに関しての論文を提出しただけのに⁉︎」
「おのれ、おっぱいや覗きの良さが分からない奴め‼︎ 貴様、それでも男か⁉︎」
「おっぱいの良さが分からないなんて、人生損しているぞ‼︎ だから、この問題集を下げろ‼︎」
何言ってるのか分からないと言う体で紫先生は後頭部を掻きながら呆れる。このエロガキ共はと……。
「そう言うのは結婚してから宣え。最も、性犯罪者予備軍のお前らが結婚出来るかと言われたら無理だと言わざるを得んな。それ以前の問題として、だ」
ドン‼︎ と、今度は3冊一気に追加。9冊と言う問題集は最早、塔と呼ぶべき状態と化していた。徹夜でやっても終わらない可能性の方が圧倒的に高い。
「お、おのれ……‼︎ 俺達を衰弱させて殺す気だな⁉︎ この鬼教師は⁉︎」
「俺達のエロハーレムの道を阻む大魔神め……‼︎ いつか絶対に復讐してやる……‼︎」
「部長にも会えず、大きいおっぱいや柔らかいおっぱい、小さなおっぱい……この世に存在するおっぱいも拝めない……‼︎ この監禁学校生活があるだけで、俺のハーレムが遠のく……‼︎」
「更に追加だ。1日遅れるごとに延滞として1冊、利子をくれてやる」
「「「うぎぃぃぃぃ‼︎⁉︎」」」
遂に10冊と言う大台に突入した。もはや、絶望的な量となっており終わる気配が見られない。
「こ、この悪魔め‼︎ 俺達を殺す気か⁉︎」
「あー、そう言えば兵藤には先に言ったが来週には1週間程、住み込みの特別合宿の予定を組んである。安心しろ、公休扱いだからちゃんと出席数には加算されるし、交通費とか宿泊費諸々は俺の方から出してやるから其処の点は気にしなくて良いぞ」
「が、合宿⁉︎ き、聞いていないぞ⁉︎」
「教師の分際でそんな横暴が許される訳が無い‼︎」
「そうだそうだ‼︎ 俺たちに彩りを‼︎ 俺達にはおっぱいを拝む権利と揉む権利がある‼︎ そしてチラリズムは至高なり‼︎」
「ああ、親御さんには既に了承を得ている。どうやら、お手上げらしいな?概要絡みの連絡プリントは用意してあるから舐める様に目を通しておけ」
三馬鹿の抗議を無視して紫先生は普通に進めて合宿内容を説明する用紙を3人の前に置いた。その内容は3人にとっては過酷なモノとなる。
「て、寺だと⁉︎ 覗き以前に女の影すら無いじゃないか⁉︎」
「こ、こんな辺鄙な所じゃあ、俺たち枯れちまうぞ⁉︎」
「行きたくない、行きたくないでござる‼︎ 俺達にはこんな灰色の空間は似合わない‼︎ 故にこんな所よりももっと有限な場所が……‼︎」
何処かの山奥に位置する仏閣。当然、女性の影も形も無い修行僧の巣窟。女子達から切り離されて隔離された挙句、野郎しかいない場所で軟禁されて勉強させられるのは苦痛でしか無い。
「普通ならば退学・逮捕からの裁判沙汰になるが、此処の理事長が仕事しねぇから……その手が無い。ので、できる範囲でお前らの矯正をせねばならん。まず手始めにお前達の煩悩を粉砕する事から始める事にした」
「お、俺達から煩悩を取り除いたら何が残るって言うんだ⁉︎」
「むしろ、お前らには煩悩しか無いのか。エロガキ共……」
「嫌だ‼︎ 絶対に行きたくない‼︎ ただでさえ、覗きも部長からも引き離されていると言うのに、これ以上、おっぱいから引き離されたらどうにかなってしまうぞ‼︎」
「知るか、そんな事。身から出た錆だろうが……誰かが是正せねば、助長した挙句に被害が拡大するだろうが。全く……急遽別の予定が組まれていると言うのに、此の儘だとお前らは連れて行く事が出来ないぞ?」
「な、何があるんだよ……?」
「あー、5月か6月かは決まっては無いが、東京辺りに修学旅行か何か組もうって話が上がってんだよ。金があるとやる事違うね……でだ、お前らの場合、最悪……参加出来ずに進路指導室でずっと補習やるか、参加出来たとしても隔離して勉強するかの2択になる」
「「「はァァァァァァァァァァァ‼︎⁉︎」」」
無情な言葉に一誠達は声を張り上げる。何たる横暴だと。
「泊まり掛けになるからな。その場合……お前ら、覗きをやるだろ。具体的には風呂場の覗き」
「「「……ッ‼︎」」」
泊まり掛けとなれば、風呂の時間がある。その時には何時もの着替えの覗きではなく、更なる桃源郷を求めて風呂場の覗きを敢行するだろうと紫先生は睨んだ。そう問われて一誠達は思わず目を逸らした。
「……一般客の目もあるからな。お前らの行動が、多方に多大なご迷惑を掛ける事になる。ならば、臭いモノには蓋をする。と言う応急処置が必要になんだよ」
「お、俺達が臭いモノだって⁉︎」
「男の美学を理解出来ないなんて‼︎ テメェはそれでも男かよ⁉︎」
「……お前らの評判は酷ぇぞ。それに、汚物として見られている事に気付いたらどうだ。まぁ、そんな訳で特別合宿の詳細は其処に書いてあるから、確認はしておけ。と、反省の余地は無さそうだから、更に追加だ。遠慮なく受け取れ」
ドン‼︎ と、更なる問題集が追加され一誠達の絶叫の悲鳴が校舎内に響き渡った。