雷ガ咲く花園デ   作:夢現図書館

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 本来なら、しない予定だったけど……狐花や紫先生の時点で崩壊しているし……。


九天を巡る者

 

 

 

 買い物を済ませた狐花はその足で駒王学園に蜻蛉返りする。恐介からの報告によれば悪魔『グレモリー』は駒王学園の旧校舎を根城にしている様である。

 

『狐花、作戦はどないすんや? 夜摩天様が来とるから鏖殺作戦は控えた方がええで?』

 

 本来ならば駒王町諸共、屠ってやる(町の人間が悪魔『グレモリー』の民兵の可能性があった為)つもりであったが夜摩天様が顕現為されている為にその策は使えない。

 

「C4を旧校舎の周りに予め仕掛けておく。校舎内は罠がある事を考慮して、外部四方に仕掛けて内側に倒れる様にしておく」

 

『ふむ。それだけじゃ無理やろ?』

 

「其方は予備。拠点は窓際の大部屋、窓を背後に悪魔『グレモリー』は座っているとの事……狙撃で脳髄を破壊する」

 

 如何に悪魔と雖も脳髄を破壊されれば即死は免れない。不死性を持つ者ならば話は変わるが悪魔『グレモリー』には有効だろう。

 

『成程な……でも、位置的に難く無いんか?』

 

 旧校舎の部屋、周辺の樹々の遮蔽物の位置と構造上、狙撃するには狙いが難しい。

 

「……跳弾を利用して狙撃する」

 

『無茶な案を出しよるな。具体的にはどうすんや?』

 

「木々を利用するのは不確定要素が多い故に、悪魔『グレモリー』を狙える位置に予め弾丸を固定させて設置する。その弾丸の雷管、アンピルを直接狙い、炸裂……その衝撃で二次射させて悪魔『グレモリー』の頭を吹き飛ばす」

 

 それはミリ単位の弾を狙うと言う、凄腕技術が要求される狙撃であった。本体では無く、その本体を狙う弾丸の底の部位を狙う……旧校舎の周囲には樹木が多数生えており視界は大変悪い。その中で狙うと言う無茶苦茶さ。目隠しして狙撃を成功させろと言っている様なモノである。

 

『何つーか……』

 

 

 

 

 

 

 

「無謀極まりない、そう言いたいのだろう?管狐」

 

 

 

 

 

 

 

 その時、第三者の声が聞こえて来た。夜中の最中、人ならざる者共が謳う時間。駒王学園の閉じられた校門の柱の上に1人の男が片手に一升瓶を持って腰掛けて狐花を睥睨していた。黒い髪をしており、18〜20くらいの年代であろう。

 だが普通の人間では無い、普通の人間は管狐である五七の姿を視認は出来ないからだ。

 

「……よっと。聞いたぜ、随分と派手にやっているそうじゃねぇか」

 

 その男は腰掛けていた柱から飛び降りて狐花の前に降り立つ。ただ、それだけの動作だと言うのに並の者では直視は出来ない、そんな『圧』が発せられている。狐花は無表情のまま、相手を見据える。

 

「余計な御世話」

 

「その通りだ。お前さんが何処で何を成そうと勝手な事だ。ついでに言うなら今やろう(・・・・)としている事もお前さんの勝手だ。邪魔しねぇよ」

 

「うっさい。とっとと帰れ」

 

「手厳しいこった。今の言葉は姿見じゃねぇ、コレはホント。直ぐに帰るさ、爺ィが五月蝿いしな」

 

「そんな筈が無い。いい加減なあの方が気にする筈が無い」

 

「そうか?爺ィは随分と笑っていたぞ。睥睨する京が繁盛しててよ。あのバカでかいホテルが理由でよ」

 

「間違いなく塵芥になってるよね、それは」

 

『あのー、天魔様。意味を逆にして話すの止めてくれやせんかね? 頭がイカれちまいそうっスわ』

 

「おっと悪ぃ悪ぃ。何時もの癖でな。一旦止めておくわ……何時も、意味が伝わらずに揉めんだわ。違和感無く通じんのは、お前さんだけだよ。三鈴」

 

「……何の用?天魔雄様」

 

 狐花は目を細めて目の前に立っている男性、日本神話に属する神が一柱。天魔雄様に『消えろオーラ』を隠さずに告げる。

 

「いや、特に用件は無いけど。偶々、視界に入っただけさ。じゃあムリくりに用件を作ろうか?」

 

要らん、消えろ、帰じ、失せろ、退れ、馬鹿、頽れろ、潰えろ、居ね、爆ぜろ、くたばれ、滅べ……‼︎

 

 知人を見かけたので声を掛けただけと言う理由に対して狐花は罵倒の羅列で応酬した。ある意味、これは酷い。

 

『天魔様……アンタ、何をしたんスか?』

 

「いや、心当たりは全く無いんだけど……」

 

 狐花の罵倒の群に対して天魔雄様は心当たりは全く無いと言う。恐らく狐花だけ根に持っている事があるのだろう。本人は悪気は無いのだが、狐花からは恨まれている様だ。

 

「此の儘、此処に居ったら目の前の祟り神(・・・)に祟られるな」

 

『天魔様が祟りを恐れるモンなんスか?』

 

「爺ィ、祟り神だし……」

 

『あー……』

 

 天魔雄様のその言葉に五七は思わず遠い目をした。間近にヤバい方が居るのであれば、そりゃ嫌になる。

 

「あー、それから……三鈴」

 

「何?」

 

 

 

 

 

お前達の(・・・・)黎明(・・)はまだ(・・・)来ないのか?(・・・・・・)

 

 

 

 

 

 

「……」

 

『……天魔様、まさか⁉︎ 知ってんのか⁉︎』

 

 その言葉に反応したの五七であった。その意味深な言葉の真意を五七は察したのである。

 

その時(・・・)選べ(・・)自分の価値を(・・・・・・)、な」

 

 天魔雄様は一升瓶(ラベルには『天狗舞』と言う品種を示す文字が墨字で書かれていた)を煽り飲み後方に飛び退く。

 

「そろそろ邪魔になりそうだからお暇すんわ。それから、顕界に居るときゃ俺は『ステラ』と名乗っとっから、顕界の時にゃそれで頼むわ。流石に天魔だなんて顕界で名乗ったらアホだからな」

 

 天魔雄様はそう言い残して今度こそ、狐花の眼前から消え去った。

 

『何つーか……自由に生きてんなぁ、あの神サン』

 

「今度、鯖を叩きつけてやる……‼︎」

 

 あらぬ所で邪魔が入ったが、狐花は駒王学園に忍び込む。時刻は既に夜0時を過ぎてしまっている。悪魔『グレモリー』の行動時間は昼間しか情報が無い。夜間はどうしているか分からないが活動時間の可能性も捨て切れない。此処は慎重に行動するのが良いだろう。

 

「……気配がある。複数人、その中で1匹強い反応がある」

 

 此処は想定内。悪魔は辛気臭い所を好み、光を避けて闇の中に巣食うモノ。

 

『その様やな……深追いすんのは野暮やで。纏めて相手すんのは避けるべきやな』

 

 自爆特攻は……無駄死に終わりそうなので五七からすれば却下である。

 

「ブレ幅が大きい……興奮状態だと思われる。理由は知らない、発情期?」

 

『狐花〜。狐花が知るのはまだ早いと思うで、その言葉は』

 

 疑念を頭の片隅に追いやり旧校舎付近に接近。部屋の一角に照明が点灯しているのが見える。周辺の木々に塞がれて民家には光が見えない様だ。

 

『何か話してんな……どうする?』

 

「情報は必要な事。一旦、様子を見る」

 

 悪魔のミサか会合かは分からない。隙を狙うにも情報と言うモノは必要不可欠、今は情報を探る事を優先するのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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