雷ガ咲く花園デ   作:夢現図書館

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炎紅の宣誓

 

『なーんか、上手く行けばあのライザーっちゅうニィちゃんが、あの赤蝮を引き摺ってでも帰してくれるやも知れんで?』

 

 婚約者が殺される前に連れ戻す。ライザーはそう言って居る事を五七は理解した。そうなれば、この地から悪魔『グレモリー』は消え去る事になる。寧ろ、現地人からすれば歓迎して然るべきだろう。

 

「まだ分からない。悪魔『グレモリー』の性格上、と言うか反応から事は上手く運ばないと思う」

 

『やろな……どうなるんや?』

 

 

 

「私もグレモリー家を潰すのは本意では無いわ。婿養子も迎え入れるつもり、でもそれは貴方じゃない。私が認めた者と結婚する。古い家柄であろうとも、その位の権利は存在して然るべきだわ」

 

「……はは、頑なだな。が、そう言う事は予想はしていたが、当たって欲しくは無かったな。俺もフェニックス家の看板を背負った純血の悪魔だ。泥を塗る訳にも行かない……仕方がない、君の下僕達を焼き尽くして炭に帰してでも冥界に連れて帰るぞ、リアス‼︎(リアスにはビザが無い筈。だから、抹殺されそうになっている。此処は無理矢理にでも連れ帰らないとマズい……と言うかグレイフィア様、ビザの件を知らないのか? だとするとセラフォルー様……いや、サーゼクス様。何してんですか)」

 

 その時、ライザーから敵意と殺意が混ざった形で部屋内に広がる。見物して居る狐花からすれば其の儘、リアスを炭火焼にしてくれると有難い話でもあった。対するリアスも臨戦するつもりの様だ。と言うか御家騒動は家でやれと言いたい気分でもあった。

 

「お嬢様、ライザー様。其処までです。これ以上、やるのであればサーゼクス様の名誉の為にも見過ごす訳には参りません」

 

 その時、ハウスキーパーの銀髪女性が両者に割って入り物理衝突を抑制し静止させた。どうやら両者共にその言葉により争いを止めた。

 

「この様な事態、サーゼクス様も旦那様もフェニックス家の皆々様も重々承知でした。言わば、今回が最後の話し合いの場。この場合で、折り合いが付かない事を予見して最終手段を設ける事にしておりました」

 

 ハウスキーパーはそう告げる。その言葉にリアスは訝しめな視線を向ける。

 

「お嬢様、此処は1つ。『レーティングゲーム』でライザー様と決着を付けるのが宜しいかと」

 

「レーティングゲーム……ッ‼︎」

 

 

 

『レーティングゲームぅ? またケッタイなモンを持ち出して来よったな。悪魔同士の戦争ごっこって奴やな』

 

「奴隷同士を戦わせるお遊び……くだらない」

 

 爵位持ちの悪魔が行う戦争擬き、擬きとは言え実践形式でもあり、戦闘能力が高い程有利なのには変わりは無い。しかし、ゲームである以上、変則的なルールが追加される事もありその場合では戦い方が変わる。このゲームでの強さにより上下関係に影響を強く及ぼす程に重視されている。

 

 

 

「良いわ……受けて立つわよ、ライザー‼︎ 貴方を消し飛ばして婚約を破談させてやるわ‼︎」

 

「あらら、受けちゃうのかリアス。俺は構わないが……次期当主たる者、戦力差の把握は必須事項だぜ?」

 

 ライザーはパチンと指を鳴らすと、床に魔法陣が輝き出して次々と人影が現れる。全員が女であり尚且つ服装も様々で一目で見れば、コスプレ集団に見えなくも無い。

 

「と、まぁ……俺の可愛い眷属達だ。ん?おーい、リアス……君の下僕君が、大号泣しているんだが?」

 

 そして赤蛇の一誠が、その光景を見て大号泣しながら頽れて握り拳で床を叩いていた。何がしたいのか、この赤蛇は。

 

「……その子の夢がハーレムを築く事なのよ、きっとライザーの下僕達を見て悔し涙を流しているのよ」

 

 

 

『あの変態がハーレムなぞ築いたら世も末やな』

 

「その前に屠るだけ。世の為にも……赤蛇は消去した方が良い……」

 

 

 

 そうこうして居る間にも話は進む。赤蛇の一誠が突っ掛かりライザーが柳の如く受け流すのを繰り返している。

 

「お前なんかと部長は不釣り合いだ‼︎ この焼き鳥野郎‼︎」

 

 赤蛇の一誠は自らの神器を顕現させる。真紅の色合いをした籠手の姿であった。

 

「言うじゃねぇか、クソガキ君。随分と偉くなったつもりだな?」

 

 寛大だとは言うが繰り返されれば煩わしくもなる。ライザーの語句も徐々に強くなって来ていた。

 

「う、五月蝿ぇ‼︎ お前なんか種まき野郎なぞに部長はやれねぇよ‼︎ テメェなんか、俺のブーステッド・ギアで全員纏めてぶっ飛ばしてやるッ‼︎」

 

「……リアス。流石にこの下僕悪魔の態度は目に余るぞ?リアスの眷属になった事で自身が偉くなったつもりか? 俺と対等になったつもりか? それとも驕れる程の存在か?お前は」

 

 その直後、赤蛇の一誠の足元から業火の柱が迸り一瞬にして包み込んだ。

 

「ぐわぁぁぁぁぁァァァァ‼︎⁉︎」

 

 その光景に主であるリアスを始めとした他の眷属悪魔達が安否を心配し名を呼んで叫んだ。時間にして数秒、炎が燃えた後に霧散する形で消え去り残ったのは焼け焦げた赤蛇の一誠の姿だった。

 

「あが、がが……ッ‼︎」

 

 手加減されたのか転生悪魔故の耐久力の賜物か、未だに意識が残って悶絶する程度の元気はあった。見物して居る狐花からしたら、其の儘、こんがり肉にして貰った方が都合が良かったのだが……。

 

「驕れる者久しからず。コレも美南風から教えて貰ったんだが、この言葉、お前に相応しいな。お前みたいな驕った奴はこう言う形の末路を迎えるって事をな」

 

 倒れた赤蛇の一誠に近付いてライザーは赤い籠手を小突きながらそう告げる。

 

「ブーステッド・ギア? 成程、驕る理由はソレか……確かに神や魔王さえも打ち倒せる神器だが……使い手がお前では十全に力を引き出せんだろう。それに、お前、言ったな?俺をブッ飛ばすだって? 手加減してやって、呻く事しか出来ていないお前じゃ俺には勝てんよ。

 この調子だと、俺の可愛い眷属達にも手も足も出まい……。リアス、一応言っておくが俺は何回かレーティングゲームに参加したが今の所は全勝だ……この意味、分かってくれるな?」

 

「…………」

 

 勝ち目が無いぞ? と暗にライザーは告げて居る。レーティングゲームはゲームとは言え、本当の戦闘を前提としたゲーム。対人戦と集団戦が折り重なるゲーム。ルール上でもライザーの方が経験が上、対するリアスは未だに参加した事が無く、尚且つはぐれ悪魔しか実戦経験が無い(狐花の場合は、アレは論外級で比べる訳には行かない)。

 

「正直言って……今すぐにゲームを始めても良いが非公式とは言え……婿入りするグレモリー家の方々に申し訳が立たない。リアス、10日間、君に時間を設けよう。その期間があれば君は下僕達をどうにか出来るだろう?」

 

「ハンデ……のつもり?」

 

「感情論で勝てる程、甘いモノじゃないのさ。お遊びだとしても、レーティングゲームはそう言うモノなんだよ。強くても、才能が有っても……初めてやるモノは不慣れなモノだからな」

 

 ライザーはそう告げて魔法陣を再び展開させる。もう帰る様だ。

 

「これ以上。留まると、ビザの有効時間が切れちまうからな……リアス。次はゲーム会場で待っているぞ……‼︎」

 

 魔法陣が光りライザーは眷属悪魔を連れて光の中に消えて、この地から去って行った……その時には既に狐花も偵察を終えて去っていた。

 

 

 

 

 

 

『……随分と面白そうな話になって来たな?』

 

「御家騒動による殺し合い。昔では良くある事……今回は婚姻絡み、か。家でやれ……まぁ、日本でやらないだけマシ」

 

 コレが日本神話の領域内ならば漏れ無く、双方纏めて抹殺出来たのだが……。

 

『……狐花。なんか知らんが……悪巧みしとんな?』

 

「ん、面白い事を思い付いた……明日の内に動く……」

 

『あー、言っておくけどな。余り人的被害が出るような真似はすんや無いで……? 1人2人やったら見逃すけどな……』

 

「今回は、なるべくそうならない様にする」

 

『……ほんまかいな……不安しかねー』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「It requires more courage to suffer than to die.……ふふっ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 因みに夜中に帰って来た事で暫く屋敷に滞在する事になった夜摩天様からお説教を喰らう羽目になったのはまた別の話。

 

 

 

 

 

 

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