雷ガ咲く花園デ   作:夢現図書館

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アイラ・ニューエイジャー

 

 

 狐花の活躍(?)により、変態3人組の内、1人を粛清する事が出来た。どの様な形で粛清したかは本人のみぞ知る事であり、粛清された本人は何故か早々に早退したと言う……。

 そして時刻はお昼休み頃——。

 

『全くヒヤヒヤさせんなや……真昼間で惨殺死体を作る所やったやろ、おまはん』

 

「……?」

 

『あー、ええわ。どうせ、そう言う意味での善悪の区別は付いてねぇだろうしな』

 

「えーと、両足を斧で切断してから、血反吐吐かせて……その次に両腕を鋸で抉り切る。最後にメガネを破壊する……」

 

『……』

 

 余りにも容赦無さすぎる暴行。と言うか達磨にする気全開であった。と言うよりも割と洒落にならない暴行の数々である。

 

『あのさ、何故、最後に眼鏡なん?』

 

「眼鏡が本体だから……」

 

『本当に何処で、そんな知識を得たんや、おまはん……』

 

「……此処、何処?」

 

『迷子かいな。ほんま、呆れんで……』

 

 お昼休みの頃。元浜を粛清(下半身丸裸にして放置)した後、狐花は部活動棟を彷徨っていた。初登校初日であった為に構造自体、全く分かっていない為に訳も分からずに迷い込んでしまったのである。

 

「うー……? こっち?」

 

 ほぼ山勘の状態で狐花は奥へ奥へと進んで行く。その突き当たりの部屋、その窓からあるモノが視界に入る。

 

——何だろう……?

 

『おい、狐花。勝手に入って大丈夫かいな……』

 

 興味を持った狐花は突き当たりの部屋の扉を開けて中に入る。その部室部屋は大きい間取りであり、幾つもの絵画が置かれていた。

 

「ほえ〜……」

 

 

 黒いセーラー服に赤いネクタイをした少女達が赤と黒の配色の大剣や大鎌、大鋏などを持っている姿が描かれた集合絵。

 

 巨大な白い巨人のような姿、腕の平や胴体には歯が生え揃う巨大な口が描かれた絵。

 

 巨大な溝の底から地上、その先にある月を目指して伸びる捻れた塔が描かれた風景画。

 

 赤黒い血管の様な翼を背中から生やした赤パーカーの少女が描かれた絵。

 

 国会議事堂の屋根の上から黒い議事堂と同じデザインで形成された塔が暗雲立ち込める大空に向けて伸びる風景が描かれた風景画。

 

 

『画伯って奴やろーなぁ。俺様、芸術ってのはよー分からんがなー……狐花? どしたん?』

 

「…………」

 

 五七は溜息混じりにそうぼやく。絵画の良さなど、本人の感性に左右される為に分からない者は本当に分からないと言える。そんな折に狐花はある絵画を見ていた。

 

『何見とんや〜?あんまり、ジロジロと見んのは……あん?』

 

 狐花が見ている絵画。それは巫女が七五三鈴を持って舞っている様子が描かれた絵であった。背景には青空が広がっている光景が描かれている。

 

「その絵が気になる?」

 

 その時、後方から声が掛けられた。気付けば後方にベレー帽を被り小さなペンキバケツが連なっているモノをレッグホルスターに付けた女子生徒が立っていた。顔や腕に絵の具が色々付いている為に、彼女がこの部室部屋の主人の様である。

 

『ッ‼︎ 俺様が気付かんかったやと⁉︎』

 

 五七は驚く。気配探知を完全に擦り抜けて狐花の背後に現れた。その時点で脅威に値すると見做した故に警戒心を抱いた。

 その女子生徒は身長が高く、低身長小柄な狐花とは大きな身長差があった。後、胸がデカい。

 

「貴方、かなり小さいわね。可愛いわね」

 

 その女子生徒は狐花の腋の下に手を添えて持ち上げて顔近くの目線にまで持ち上げる。桃色髪と同じく発酵する桃色の瞳が狐花を興味深けに見ている。

 

「あ、先ずは初めましてかしらね?私はアイラ。アイラ・ニューエイジャー。2年生よ。貴方の名前は?」

 

「狐花。皓咲 狐花……1年」

 

「そう!狐花ちゃんね‼︎ うーん、創作意欲が湧いて来たわッ‼︎ ちょっと、コッチに来て‼︎ 大丈夫大丈夫‼︎」

 

 アイラは目を輝かせながら狐花を持ち上げたまま、部屋の窓際のカーテンで仕切られた場所に連れて行く。其処にはパレットが多数、置かれておりペンキバケツも多数、置かれている。そして、真っ白で何も描かれていない額縁が置かれている。

 

「うーん。制服姿も良いのだけど……やはりインパクトに欠けるわね……。かと言って演劇部から借りようにもこの子のサイズだと大き過ぎるし……まぁ、良いわ。取り敢えず最初は制服姿にしましょうか‼︎」

 

『何や分からんけど、盛りあがっとんなー……この姉ちゃん……』

 

 アイラは狐花を丸椅子に座らせた後、思案顔になる。単純に描くだけでは意味が無い。

 

「あ、そうだわ‼︎ 狐花ちゃん、これ持って」

 

「?」

 

『うわぁ……何処で用意したんや、そないなモン』

 

 アイラが取り出したのは機械式の大鎌であった。しかも刃は潰されていないガチの刃物の大鎌。リアリティを突き詰めるにしても無理があるだろう。

 

「うーん、持ち手に寄りかかる感じで‼︎ うん、そうそう、そんな状態でジッとしてて‼︎ 本当は衣装を整えた方が良いけど、其処は私の想像力で補うわッ‼︎」

 

「……」

 

 ぽけ〜とした表情で狐花は持たされた大鎌に寄りかかって座り続ける。そして無言のまま、筆を走らせるアイラ……。

 

『何やろな〜……この感じ、変な感じやなぁ』

 

 待つ事、10分程。筆を置いたアイラは額を袖で拭うと同時に独り頷く。どうやら、完成に至ったのかも知れない。

 

「風景はまだだけど、貴方だけ先に書いたわ。どうかしら?」

 

 そう言いアイラは書いたキャンバスを狐花に見せる。其処に描かれていたのは大鎌を持って三重岩に腰掛ける狐花の姿。服装は制服姿では無く完全想像ではある白を基調として青い裾がある服装をしている。その周囲には霊魂らしきモノが描かれていた。

 

『随分とスピリチュアルな絵を描くモンやなぁ〜……って俺様は霊魂かいなッ‼︎ もうちょいイケメンに描けや‼︎』

 

「タイトルはそうね……『物憂な死神少女』って感じかしらね?」

 

 その時、昼休みの終了を告げるチャイムが鳴り響いた。

 

「おっと、いけないわね。協力ありがとう。言い気分転換になったわ。早く行かないと遅れちゃうわよ」

 

 チャイムが鳴れば急がなくては遅刻する。と言うか遅刻確定な気がしなくも無いが、学園生活と言う建前上、必要な事である。お礼に飴玉を貰った狐花は部室部屋から出る。

 

「あ、そうそう其方の狐の霊(・・・)にも宜しくね。狐の霊よりも霊魂の方が絵の雰囲気に合うからごめんね、ってね?」

 

『な⁉︎』

 

 アイラはそう言い、片付けの為に部室の扉を閉めた。

 

 

 

 

 

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