雷ガ咲く花園デ   作:夢現図書館

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揺らぐ意思

 

 

 

 リアス一行と分かれたソーナ一行はその足でフェニックス領、ライザーの住まう城へと訪れた。アポ無し訪問故に、失礼に当たるのだが、背に腹はかえられない。

 

「此処がライザー様の城、ですか……」

 

「はい。フェニックスなので、至る所に炎の鳥のモニュメントがありますしレリーフもあります」

 

 そのライザー城の城門の前にソーナ達は居た。リアス程に親交がある訳では無い相手ではある。そして無類の女好きとしても有名ではあった。その城門の奥の架け橋は上げられていた。

 

「……おや、ライザー様に何か御用ですか? ソーナ様」

 

「貴方はライザーの……」

 

「はい。『女王』のユーベルーナです。して、ライザー様に何か御用が?」

 

 留守かと思った矢先にライザー眷属の『女王』が手荷物を持って城門前に現れた。

 

「ええ。実は」

 

 ソーナはライザーに『日本神話のビザ取得の件』で話が聞きたい。との事を彼女に話した。ライザーが日本に亡命した分家のツテで日本神話ビザを取得に成功したと聞いたが故にその話を聞きたいと話した。

 

「成程、ソーナ様は確か人間界。駒王町に今はいらっしゃいましたね」

 

「はい。私の目的の為にも……必要な事ですから……」

 

「ライザー様はその件に関しては『向こうも勘弁してくれ』とも釘を刺されているそうです。ライザー様も無理を言った体なので何度も連絡を取るのはどうかとも考えて居られです」

 

 どうやら『裏切者』の分家は冥界の現悪魔社会とは余り交流したくは無いらしい。協力するのはこれっきりだとも言われたとそうだ。

 

『ユーベルーナ?どうした?』

 

 その時、ユーベルーナの耳元付近に通話用の魔法陣が現れた。ライザー本人の声が伝わってくる。どうやら城内の窓から様子が見えたらしい。

 

「ライザー様。現在、ソーナ様がお見えになっています。何でも日本神話のビザについてお話を伺いたいそうです」

 

『……ビザ、か。それにシトリーか。ふむ……交換条件がある。それを飲んでくれるなら、話しても良い』

 

「……交換条件とは?」

 

『君は、駒王町。つまりリアスと同じ町に留学している形だろう? 其処でリアスの領地経営の成果について教えて欲しい。やはり見聞きしている者の情報が1番、確実だろうからな」

 

 ライザーがリアスの駒王町での『領主』云々について勘付いた様だ。現在進行形で面倒な事になっている事を。

 

「……分かりました。知っている限りの事をお話ししましょう」

 

『助かる。リアスが日本神話と揉めたと言う話は聞いていたが……上面の小競り合いでは無さそうだからな。無論、約束は守る……が、期待出来る様な話だと断言は出来んぞ』

 

 寧ろ戦争一歩手前です。とはソーナも言い出し辛い。何せ、殺戮上等な皓咲 狐花や日本神話の神がソーナの眷属悪魔を抹殺しに掛かっているのだから……下手な真似をすれば戦争に陥りかねない。それぐらい危険な状態になっている。

 かく言うライザーも『ビザ』の件はソーナが納得出来るか自信が無いらしい。それでもソーナは一縷の希望を持ちたかった。

 

「構いません。今は少しでも情報が欲しいんです」

 

『ユーベルーナ。すまないが城内の案内をしてやってくれ』

 

「分かりました、ライザー様。では、ソーナ様方、此方へ」

 

 その様なやり取りの後、跳ね橋が降ろされてソーナはライザー城へと案内された。

 

 

 

 

 

 

「……以上が私の知る限りのリアスの駒王町領土での成果です」

 

「……そうか」

 

 ソーナが知る限りの『駒王町』でのリアスの成果を目の前に相対するライザーに話した。彼は短くそう呟き腰をソファに沈めて額を片手で抑えた。

 

「……リアスが駒王町の領主となって2年。その間に侵入したはぐれ悪魔は100を超えて居る上に多数を素通りさせて取り逃す。この1週間で50も超過した挙句に日本神話陣営に片付けられた……対処も後手後手な上に堕天使にまで侵入されている最中で悠々と過ごしていた、か」

 

「……そうなりますね」

 

 ソーナは短くそう答えるしか無かった。

 

「他にも『ビザ』の件は置いておくとして……『領主』を宣うにしても先方に一言なり何なり話を付けておくのが筋だと思うのだがな。結果、『祟り神』を招く羽目になったのか……」

 

「『祟り神』、ですか?」

 

「ああ……悪魔嫌いで見境なく周りを巻き込んで葬りに掛かる日本神話所属の奴が居るらしい」

 

 その言葉にソーナは心当たりがあり過ぎた。と言うか既に襲われて1人、美味しく頂かれた。

 

「……ええ、居ますね。話は通じず、問答無用で殺しに掛かってくる方が。問答無用でして……仲介者無しでは殺し合いに発展します」

 

「やはりそうか……。しかし、リアスめ。自分の領地に悠々と侵入者を跋扈されて平然と良くして居られる。しかも、日本神話に尻拭いされては無能と言わざるを得ん。婚約絡みではフェニックス家に泥を塗りかねん。かと言って今更、組まれたゲームを中止するのもな……サーゼクス様もお越しになられる……」

 

 ライザーはリアスの無能振りに頭を抱える。貴族悪魔として面子は大切なモノだ。そんな無能者と婚約しては『フェニックス家は見る目が無い』と末代まで恥となる。かと言って今更、婚約破棄を叩き付けるのもまた双方にダメージを与える事になる。悩ましい限りである。

 

「ああ、すまない。君の要件は『ビザ』の件だったな……コレは俺から話すよりも彼女から聞いた方が早いだろう。美南風、説明頼んだ」

 

 ライザーは眷属の1人であり、日本神話陣営や『ビザ』の件を説明してくれた僧侶を呼んだのであった。

 

 

 

 

 

 

 

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