対策せねば真面に立ち入る事出来ない環境。この様な界、炎に関係する存在ならば気に入るやも知れない。フェニックスやらスルトと言った存在ならば平然として居られるだろう。しかしながら、それ以外の者達は正に地獄の様相となる。
「……あ、暑い。暑過ぎるわ……地獄ってどうしてこんなに暑いのよで…‼︎」
「汗だくです……」
そして、此処に地獄へとやって来たは良いが、地獄の様相に完全に参っている招かれざる客達が居た。リアス達であった。
リアスの下僕である一誠が日本の地獄へと連れ去られた矢先にソーナから『ビザ』を受け取り、その勢いのまま日本の地獄へと侵入を果たした。目的はリアスの下僕である一誠の奪還。侵入を果たしたは良いが地獄の環境は悪魔と雖も過酷かつ苛烈に尽きた。
冥界は季節の概念が無いが薄暗く冷涼な環境であり真逆とも呼べる地獄の環境は正に地獄と呼べたのだ。融解寸前の白骨が積もる大地に、火の粉が舞い、熱風が常に吹き荒れる。そして、地獄の中では転移魔法が機能しないと言う事実に愕然。かく言う上空は熱風の嵐とも呼べる程に非常に強い乱気流が吹き荒れており真面に飛行が出来ない。故に歩いて進むしか道は無い。その事実に気付いて数日。リアス達は灼けた大地を歩きこの地獄を行く。
「地獄は八大地獄とも呼ばれる大きな地獄があります。何処も炎熱が犇いていますので……異常とも呼べる暑さ、ですわ」
全身から汗が吹き出し灼けた地面に落ちればすぐさま蒸発して消え去る。高熱や熱風が著しく体力を奪い続ける。そして各地に獄卒や亡者達が犇いている……此処まで来てしまえば朱乃も止められない。かと言ってこんな状態で戦闘は避けたい。獄卒も日本神話の面々では上位に君臨する存在、真面にぶつかれば叩き潰されて終わり……故に人目が少ない場所を選び進んで行く。
「……見るからに広そうなのに飛行も転移魔法も使えない環境だなんて……本当、不便……」
この地獄の何処かに一誠が居る。こんな環境の中、闇雲に探すのは気が遠くなる上に身体が保たない。されど歩けど歩けど灼ける岩肌や血の池、業火に犇く大地ばかり……熱気に晒され続ける最中、体力は消耗する一方であった。
「ぶ、部長……‼︎」
「どうしたの、小ね……⁉︎」
「ふ、服に火が……‼︎」
「「⁉︎」」
余りの暑さと熱さに気が付かなかった。悪魔や転生悪魔は思いの外、頑丈だ。故に多少なりとも痛覚に鈍くなりがち。流石に物理的な衝撃は伝わるが環境による損耗の場合はその通りでは無い。故に……熱量による自然発火の存在に気が付かなかったのだ。見やれば自身が纏っている駒王学園の制服の裾から火が着いて燃え始めているのが見てたのだ。
「火が着いて⁉︎ 直ぐに消しなさい‼︎」
「地獄には冷やす水はありませんわよ、リアス‼︎」
リアス達に水を操る魔法を持つ者は居ない。仮にあったとしてもこの環境では直ちに蒸発してしまうだろう。『滅びの魔力』で消し飛ばそうとしてもリアスの技量でピンポイントで消し飛ばすのは難しい。その周りのモノまで消し飛ばしかねない。
「……脱ぐ、しかありませんわ……‼︎」
「こ、こんな所で裸になれって……⁉︎ あ、靴も燃え始めて……ええい、し、仕方ないわ……‼︎」
「……変態不審者みたいです……」
最早、恥も外聞も無い。
「こ、こんな事が悪魔社会に伝われば……恥になるわ……本当に醜聞ね……‼︎」
「ますます、この状態で戦闘に突入したくはありませんわね……」
「……直に足が当たる為に、焦げそうです」
一誠ならばだらしない顔をして獣の様な表情を浮かべる事だろう。早い所、一誠を見つけてさっさとこの地獄から脱出したい。それがリアス達の心境であった。
「あ、何か居るっスよ?」
『変態や、モノホンの変態が居る⁉︎ 悪魔は能無しな上に変態やと⁉︎ 最悪やで、ホンマに⁉︎』
「」
その時、上空から声が聞こえた。見やれば其処にはあの時と同じ組み合わせの狐花とベンニーアの2人が居た。
目的地である地獄の庁に赴く道中。地獄の真上を通れば余計な諍いを起こしかねない為に人目の少ない場所を選んで飛んでいた。そんな時、眼下に何処かで見た様なモノが見えた。
「あ、何か居るっスよ?」
『変態や、モノホンの変態が居る⁉︎ 悪魔は能無しな上に変態やと⁉︎ 最悪やで、ホンマに⁉︎』
「」
それは、駒王学園に巣食っている悪魔『グレモリー』達であった。姿が見えなくなっていたと思えばこんな所に観光に来ていたらしい……と言うか、あり得ない状態での遭遇と言える。何故なら、全裸。その一言に尽きるからだ。
「な⁉︎ 貴方は、日本神話の……⁉︎ それに、オリュンポスの死神まで⁉︎」
「最悪ですわね……地獄で死んだらどうなるのでしょうか……?」
リアス達からすればこの地獄の環境に参っている矢先に鏖殺の存在である狐花との予期せぬ遭遇。此方のコンディションは悪い状況の為に衝突は危険だと言わざるを得ないのだろう。
『……傲岸不遜な上に露出狂の変態やったとは⁉︎ 狐花の目に毒やで‼︎ ホンマ、信じられへんわ‼︎ あんな性犯罪者を眷属にするんやと言う事は主人も変態って事かいな‼︎ うわ、マジで関わりたくねぇー‼︎ 変態露出狂って最悪やないかー‼︎ 悪魔は性癖悪いとは良く聞くんやけど、此処まで行くと救いよう無いな⁉︎』
「待ちなさい‼︎ 私達は変態じゃないわ‼︎ 今すぐに訂正しなさい‼︎」
「リアス……今の私達は何処からどう見ても、否定出来る要素がありませんわ……」
「まさか悪魔は変態だなんて……‼︎ うん、見なかった事にしよう……こんな塵共に……」
狐花は悪魔が否定しようが無い程の変質者である事実に愕然としていた。鏖殺する対象ではあるのだが……相手が変態露出狂だと……それはそれで屈辱な気がしてならない。
「……あー、うん。何か狐花様が想像以上のショックを受けているみたいっスね……現実逃避してるっス……ちょっと、此処で暴れられたらウチ、マジで別の意味で冥府に行っちゃいそうなので、緊急退避っス‼︎ あと、このネタ……ハデス様が知ったらネチネチ言いそうっスね〜」
「ちょ⁉︎ 違う‼︎ 違うんだから‼︎ 誤解しないで⁉︎」
「流石に悪魔の行動はそりゃあ、否定しようも無い程に酷い有様なのは周知っスけどね。まぁ、個人の趣味嗜好にまではウチは文句は言わないっスよ〜。まさか、悪魔全体が露出狂マニアなんて事は……無いと思いたい……思いたいんスけど」
「そんな筈は無いわよ⁉︎」
「……悪魔と言う種族が露出狂が趣味だったなんて……こんな連中に好き放題やられてたなんて……変態が移りたくないし、即刻に顕界から浄化しないと行けない、でも、変態なんて見たくないし‼︎」
『……流石に狐花もこの事実には現実逃避したくなるか……ツー事は転生悪魔も変態化して行く呪いでもあんのか⁉︎』
狐花、完全に誤解している。しかも最早、当たり前のように悪魔社会が露出狂マニアの変態の巣窟……そう言う意味でも関わりたく無い。それに、転生悪魔も同様に同化して行くと言うのはそれはそれで恐怖モノであった。
「流石にウチも変態には関わりたく無いっスね。幸い此処は地獄っスから……此の儘くたばってれた方が世の中の為っスね……さっさと行っちまいましょうか」
『狐花の教育に悪過ぎるわ、アレ……‼︎』
ベンニーアは眼下に見える変態達を放置して飛行して飛び去る。下の方ではリアスが叫んでいるが無視する。流石にアレは幼女には見せられない光景とも言えた……。
「……此処が地獄じゃ無かったら熔殺してた」
「そうなんスか?」
「地獄なら放って置いても勝手にくたばる確率高いから……勝手に滅びるならその方が楽だし」
『やな。懇切丁寧に相手してやる義理も無ぇしな。此の儘、真っ直ぐ飛べば庁に着くで。その付近は燃えておらんから、温度は低くなるから安心しぃ』
「逆に其処も灼熱だったら、2度と来たく無いっスよ……」