雷ガ咲く花園デ   作:夢現図書館

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男獄寺へヨウコソ

 

 

 走り始めてから数時間。高速道路から降りて山岳部へと突入する。舗装されて居ない土砂の道を走って行く。

 

「……随分と荒れた道ですね」

 

「まぁ修験者からしたら大したモノでは無いんでしょうね。しっかし、何も無ぇな」

 

 車体自体も激しく揺れる。その度に一誠はシートベルトをして居ないので頭が車体の天井にぶつかる事を繰り返している。そして道自体も蛇行していたり昇り降りも多く平坦とは程遠い道のりである。その癖、山岳部のど真ん中故に街灯なぞ照明の類は皆無である。真夜中では確実に遭難しそうな程のど田舎と言える。

 

「……天狗が出そうですね」

 

「何故、其処で俺を見るんですか?」

 

「いえ、天狗と言えば紫先生かと」

 

「どんな因果関係があると言うんですかい……」

 

——目の前でイチャコラすんじゃねェェェ‼︎ 俺達はおっぱいやおっぱい、おっぱいに飢えて居ると言うのにその地獄に突き落として居る鬼教師が眼前でラブコメしてんじゃねぇェェェェ‼︎‼︎

 

 紫先生と明日風先生の何気ない会話を見て一誠達は血の涙を流さん勢いで見ている。女子から隔離された上に問題集地獄に陥って居る為に女子との会話でさえ、羨ましいと思える事態になっているのだ。その様子はバックミラーで見えて居た。

 

「……さてと、もうそろそろ着くぞ。1週間後には迎えに来てやるから、心を入れ替えて真面目にやるこった。脱走とか考えた暁には……この世で最も楽しい地獄へと招待してやる(腕の悪い医者によるロボトミー手術)」

 

 バックミラー越しで放たれる殺気に三馬鹿は竦み上がる。補習地獄に叩き込みこそすれ基本的に殺気は向けられる事は無かったが、今回は特別にぶつけられた。

 

 

 

 そして山岳部の中腹に寺院が建っているのが見えた。アレこそが目的地である男獄寺と呼ばれる寺であり、その前に一時停車して紫先生は一誠達を降ろす。寺の前には1人の僧侶が待っていた。

 

「遅れながらも本日はお忙しい中、期間を設けて頂き感謝致します」

 

「いえ、此方こそ当院をご利用頂き感謝の至。して、かの者達ですかな?」

 

 そう言い3人を見やる住職の僧侶は余りにも筋骨隆々、袈裟もはち切れんばかりであり胸板も鋼鉄級。身長は2mは越えており巨体と言って良く、髭も凄まじく長い。その圧倒的な存在感に3人は小刻みに震えている。

 

「ええ、まぁ。度し難いレベルの変態ではありますが、暫しの間。宜しくお願いします」

 

「ふむ……見る限り大変な煩悩を抱えて居る様ですな……御安心を。趣味は勉強、特技は勤勉。尊敬する偉人は二宮金次郎と言う見目麗しい理想的な青少年に仕上げてご覧にいれましょう」

 

——もう、それは洗脳だ‼︎

 

 数珠を手に持った住職はそんな恐ろしい事を告げる。一誠達からすればそんな自分、想像したくは無い。と言うか矯正より洗脳に近い行為である。

 

 その後、紫先生と明日風先生は車に乗って走り去り一誠達はその場に残され預けられる事となった。『では、院内に案内しましょう』との事で住職は先に境内への入って行く。

 

「て、寺に預けられるなんて……昔の小僧かよ……‼︎」

 

「ま、丸刈りにされんのかな……だとしたら、もっとモテなくなるぞ……‼︎」

 

「テメェ、俺の事を言ってんのか⁉︎」

 

 愚痴愚痴と文句を垂れながらも渋々、後を着いて行く。本寺院自体は立派なモノであり高校附属の寺だけあって敷地自体も広そうに思える。

 

——部長から『悪魔は日本の神社や寺とかは入るべきでは無いわ……魔除けのパワーが強いから。それに連なる凡ゆる行動も危険よ』と言われた。と言うか現時点で、身体が痛くなって来た。俺、生きて帰れるかな……?

 

「……あ、あのー……共学と聞いているんですが……?」

 

 その時、松田がそんな腑抜けた事を告げる。やはり共学と聞けば女の事を考えてしまう煩悩がありありと出ていた。

 

「ええ、寺内では部活動として敷地を一部割譲しています」

 

 寺とは言え男獄高校の附属の寺。故に在校生の部活動の活動場所としても機能しているとの事。お経部とか写経部、滝行部とかなのだろうか?

 

「出来たら一緒に修行させて下さい‼︎」

 

「松田⁉︎ テメェ、抜け駆けする気か⁉︎」

 

「バーカ‼︎ どうせ修行するなら楽しくやりテェに決まってんだろ⁉︎」

 

 松田はせめての抵抗を見せた。此処まで連れて来られて1週間は地獄を見るのは分かっている。ならば、尼さんと一緒に修行(あわよくば生着替えを覗きたい)するのが吉と考えたのだろう。ついでに言うならば坊主頭である。

 

「ふむ、良いでしょう。1週間、君達にはかの者達と共に修行をして頂きましょう。快く受け入れてくれる事でしょう。しかしながらその部活に体験入部と言う形になりますが宜しいですね?」

 

「「「やった‼︎」」」

 

 その言葉に一誠達は喜んだ。修行と言えど女子が居るのならば修行内容は緩和はされている筈。逆に野郎共ばかりならば荒行となるのは目に見えて分かる。

 

——女子と一緒ならば……ぐふふ、生着替えを覗くチャンスが巡って来た‼︎ 待っていろ、久し振りの部長以外の生おっぱい‼︎ 直ぐに拝んでやるから待っていろよ‼︎

 

「では、此方へ。部活動としては規模が大きく少し広めの堂を使用して貰っています。時期的にも長期修行として泊まり込みの強化合宿をして居ますから時期的にも重なり運が良いと言えるでしょう」

 

「「「おおー……」」」

 

——泊・ま・り・込・み‼︎ つまり、布団を並べて寝ると言う光景‼︎ 運が良ければ添い寝もして貰えるかも知れねぇ‼︎ いやいや、寝る時は裸派とか、居るかも知れない‼︎ うぉぉぉぉ‼︎‼︎ 部長、朱乃さん‼︎ 小猫ちゃん、後、木場‼︎ 俺はこの地獄を切り抜けます‼︎ 上級悪魔になって俺専用のハーレムを作り上げるってのはかくも厳しい‼︎

 

「修行に託けて、メアド交換……‼︎ 行ける、行けるぞ……‼︎」

 

「フフフ、この俺のスカウターの真価を発揮する時が……遂に……‼︎ 尼さんと言う新規開拓……天は、俺達に味方している……‼︎」

 

 煩悩塗れの三馬鹿は自分達がお世話になる部活。その者達が修行している場所へと案内された……。

 

 

 

 




 麻婆豆腐の用意は宜しいでしょうか?
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