雷ガ咲く花園デ   作:夢現図書館

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それ行け魔僧少女部‼︎

 

 

 

「一応、前以て確認をして来ますので少し待っていてください」

 

 一誠達が合宿の期間中、共に過ごす相手の部活動の者達との合意確認の為に住職は一足先にその者達が修行していると言う部屋に入って行った。

 

「地獄に仏とは正にこの事だな‼︎ なぁ、どんな尼さんだと思う? やっぱり美人のお姉様だろうなぁ……出家前の初々しいって手合い‼︎」

 

「バカ言うな、此処は同年代の御転婆って線もあるだろうが‼︎」

 

「……いやいや、普通にお色気OKな子に決まってんだろ‼︎」

 

 この3人と来たら……完全に女の事しか考えて居なかった。そんなやり取りの最中、住職が部屋から出て来た。

 

「お待たせしました。確認を取った所、快諾して頂きました。この1週間、かの者達と共にその類稀なる煩悩を取り除く事を努めなさい」

 

 如何やら住職から見ても一誠達の煩悩は類稀なレベルの酷さらしい……それはそれで酷い言種とも言える。

 

——ぐふふ……どんな美少女が待っているか楽しみだ。そしてあわよくばその美乳を揉みたい‼︎ いや、揉ませて下さい‼︎ 此処最近、おっぱいを拝む事が少な過ぎるんです‼︎ 地獄に堕とされて野郎と鬼の胸板しか見ていないんだ‼︎ 今回と言う今回は生おっぱいを拝ませて貰うぞ‼︎

 

 意気揚々とその部屋へと入る一誠達。だが、住職はある事を言っていない。そう、共学だとは言った……しかしながら彼女達とは一言も言っては居ないのだ。

 

「「「ッ⁉︎」」」

 

 一誠達が部屋に入った直後、襖が閉められた。その先に広がっていた光景……それは。

 

 我が儘な大胸筋、自己主張の激しい腹筋群、岩盤の如き上腕二頭筋……世紀末覇者もかくやと言わんばかり筋骨隆々な大男が無双の如く立っていた。然も見渡す限り30人は居る。然も明らかにサイズが似合っているとは思えない魔法少女を彷彿させるゴスロリ衣装は張り裂けん状態であり、僧侶の様に髪の毛を剃り上げられた頭にはネコミミやリボンやヘッドドレスを身に付けている……。そう、彼らは魔法少女の格好をした漢達であった。然も全員、髭が逞しい上にどう考えても高校生とは思えない面々ばかり揃っていた。

 

——な、な、こ、コレは……‼︎

 

 驚愕する一誠達。その最中、中央に仁王立ちする漢が口を開く。口の周りの髭が凄すぎて開いているか分からないが……。

 

「ようこそ、魔僧少女部へ‼︎ 2年生の部長、クミたんうにー‼︎」

 

——そ、そんな野太い声でそんな台詞を吐くんじゃねぇェェェ‼︎⁉︎

 

 世紀末覇者の如き漢。ピンク色と白の中学生が纏うべき衣装を見に纏い、頭にピンク色のリボンをあしらい『クミたん』と名乗る漢はそう名乗った。筋骨隆々で格闘家の如く凄まじい髭の量でとても高校2年生とは思えない。いや、思いたくない。寧ろ、格闘漫画に出て来そうな武人にしか見えない。

 

「住職先生から話は聞いたうにー‼︎ 私達と共に魔僧少女になりたいと言うなら、もう同士うにー‼︎ 一緒に一人前の魔僧少女になる為の修行を積むにー‼︎」

 

「「「いやいやいやいやいや‼︎⁉︎」」」

 

——あの禿、どんな説明しやがったんだ⁉︎ 共学と言った癖に何なんだ世紀末覇者の軍団は⁉︎ く、来るな⁉︎ 俺達は美少女達と仲良くなって、ハーレムを作る為に生まれて来たんだ‼︎ こんなむさ苦しい連中の仲間になる為じゃねぇぇ‼︎‼︎

 

「クミたん、クミたん。煩悩が凄まじいと言っていたうにー‼︎」

 

「魔僧少女は清らかな心を持つ者しか成れないうにー‼︎」

 

「煩悩と言った穢れは魔僧少女にとって天敵……先ずはその穢れを取り除かないと一歩も進めないうにー‼︎」

 

 奥から1人、また1人と現れるゴスロリ漢の軍団。全員、筋骨隆々で逞しく尚且つ髭面、丸坊主と言う威圧感全開と言う惨状極まりない光景。此処は地獄であった。

 

「な、何を言ってんだ⁉︎ きょ、共学って言っていたのに女子の影すらない‼︎ 此処には世紀末世界の強敵しか居ないのか⁉︎」

 

 本人達は魔僧少女(魔法少女)になるべく修行中……どうやら学校や寺は『女性』と定義しているらしい。ならば共学となるのだろう……。

 

「に、逃げるぞ、イッセー!元浜ァ‼︎」

 

「って、アレ?う、動かないぞ⁉︎」

 

 背後にある襖に手を掛けて逃げ出そうとするも襖は重厚感のある金庫扉の様にビクともしなかった。

 

「うに?魔僧少女部の襖は300kgあるうにー‼︎」

 

「「「金庫かよ⁉︎」」」

 

 努力の方向性を遥かに間違えている気がする。技術を。

 

「住職からも煩悩を取る事を言われたうにー」

 

「魔僧少女になるには煩悩を取る必要があるうにー‼︎」

 

「其処で完成したばかりの新必殺技を披露するうにー‼︎」

 

「「「うにー‼︎‼︎」」」

 

——し、新必殺技って何⁉︎ つか魔法少女か何だか知らないけど、確実に物理攻撃が最凶じゃねぇのか⁉︎

 

 小刻みに震える三馬鹿。転生悪魔である一誠は地獄の獄卒よりも恐ろしい存在が目の前にいる。寧ろ其方の方がマシに思えて来た。それ程までの威圧感を感じれる。

 

 徐に伸ばされた筋肉柱の腕は松田の頭部(掴みやすそう)を鷲掴みにしてクミたん本人の顔面の目線の高さと同じくらいに持ち上げれる。見上げるだけでも恐ろしいのに間近で目が合うと最早、恐怖しか浮かばない。松田は逃げたくても恐怖で身体が竦み上がり小刻みに震える事しか出来ない。

 

「クミたん……」

 

 

魔慈禍留(マジカル)穢無磁威怒黎印(えなじーどれいん)‼︎‼︎」

 

「ギィヤァァァァァァァァァァァァァァァ‼︎⁉︎」

 

 

 

 目を見開いたクミたんはそう技名を叫ぶと同時に松田の悲鳴が響き渡る。そしてその身体が上下左右激しく暴れ揺れる。その動きに合わせて叫び声も激しくなる。

 

「「ま、松田ァァァァァァァァァァァァ‼︎⁉︎」」

 

 時間にして数十秒。唐突に松田の動きが止まった。それを見計らったクミたんは静かに松田を降ろす。その松田を掴んでいた手を握り潰すと同時に松田本人は仰向けに倒れた。

 

「ま、松田⁉︎ 大丈夫か⁉︎ って、白目をむいているぞ⁉︎」

 

「し、しっかりしろ⁉︎ ハーレムを築くって夢はどうしたって言うんだ⁉︎」

 

——と言うかさっき、霊魂が見えた気が⁉︎ 頭を掴んで霊魂を抜き取ったって言うのか⁉︎ もう魔法とか関係無い‼︎ 完全な物理攻撃ィィィィ‼︎⁉︎

 

「大変うにー‼︎ 効果が強過ぎて斃れてしまったうにー‼︎」

 

「同士を喪うのは我らが魔僧少女の名折れうにー‼︎」

 

「此処は一つ、男獄高校魔僧少女部に代々伝わりし究極の魔法を披露するうにー‼︎」

 

——もう、アンタらは黙っててくれ‼︎ 連続で筋骨隆々の野太いボイスで語るんじゃねぇ‼︎ 松田、しっかりしろ‼︎ 傷は浅いぞォォォ‼︎‼︎

 

 漢達はそう告げた時、『リオたん』と名乗る漢(ネコミミと美髭公の如き長さの髭がチャームポイント)が倒れて気絶している松田の上に仁王立つ。そしてしゃがみ込み……。

 

 

「リオたん」

 

魔慈禍留(マジカル)閻慈ェ榴減粉(えんじぇるへぶん)‼︎‼︎」

 

 

 

 

 

 一言で言えばゴツ過ぎる漢による口移し式の人工呼吸であった。

 

「む⁉︎ うぎやぁぁぁぁ‼︎⁉︎」

 

 その効果はあるようで松田は飛び起きた。そして何故、自分が倒れていたのか分からなかった。

 

「あ、アレ?確か俺……何か凄い悪夢を見ていたような……」

 

「松田、アレは夢だ。思い出してはならない夢なんだ……」

 

「正に地獄と言って良い……夢で良かった筈なんだ……‼︎」

 

 一誠と元浜は松田の肩に手を乗せてそう優しく語り掛けた。つい今し方見た悪夢の光景は正しく夢であってくれた方が良い。そう思わずには居られない……知らない事の方が幸せな事だってあるのだ。

 

「では、次は其方の2人うにー‼︎ 恐らく一回だけじゃダメだろうから1日3セット3回ずつ行う方が確実に効果が出るうにー‼︎」

 

「「「え゛⁉︎」」」

 

——ま、まさか、松田が食らったアレを俺達にも⁉︎ や、止めろ、止めろ止めろ止めろあァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ‼︎‼︎⁉︎

 

 

 

 寺内に3人の少年による甲高い悲鳴が響き渡った……その悲鳴は山彦となって周辺に届いたのはまた別の話であった。

 

「3人の正装の魔僧少女の制服を用意するうにー‼︎」

 

「サイズに合わせて新調するうにー」

 

「煩悩と羞恥を捨てた時、魔僧少女の一歩を踏み出せるうにー‼︎」

 

——や、止めろ……‼︎ お、俺達はそんなモノになる為に……や、止めろ⁉︎ 俺の服に手を掛け、ギャァァァァ⁉︎ ぬ、脱がすな⁉︎ ひ、ヒラヒラして……スカート短ッ⁉︎

 

 新必殺技と究極魔法を繰り返された一誠達。立ち上がる体力は無くされるがままに、魔僧少女部の制服だと言う魔法少女の様な明るいゴスロリ衣装に着せ替えられた。もう見るからに女装した変態三馬鹿と言う有様。

 

「こ、こんなの……間違ってる……‼︎」

 

「お、俺なんか頭にリボンを付けられた……‼︎」

 

——ご、ゴスロリ衣装は女の子に着せるのであって野郎に着せる為じゃ……‼︎

 

「皆、良く似合ってるうにー‼︎ それじゃあ、一人前の魔僧少女になる為の修行を始めるうにー‼︎」

 

——この状態で⁉︎ 少しは休ませてくれ⁉︎

 

「先ずは瞑想うにー‼︎ 静かな心が煩悩を消して心穏やかにするうにー」

 

 しかしながらこの瞑想が1番の休憩になる事を一誠達(魔法少女衣装)はまだ知らなかった……。

 

 

 

 

 

 

 

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