雷ガ咲く花園デ   作:夢現図書館

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真面目な人程、苦労する

 

 

 

 アザゼルの襲撃(と言うか狐花が一方的に襲った)を退けた狐花と裏幕府の付喪神一同。その後、ベンニーアの目的を消化する為に『ビザ』関連の窓口に向かう事となった。なのだが……。

 

「(・w・)」チョコーン

 

「……何か小ちゃくなってないスか?」

 

『どうやら、先の核熱砲撃の反動の様です』

 

 狐花が縮んだ。冗談抜きで手乗りサイズにまで小さくなってしまった。身体は兎も角、身に纏っている巫女服や髪飾りである死人花や鈴迄も小さくなっていた事は解せないのだが……。   

 チビ化した原因は先程の核爆発クラスの大爆発を伴う劫焔を放ったから。と言うのが恐介の見解である。霊力を軒並み放出した所為では?と言う仮説を立てていた。

 その為か普段は恐介が狐花の頭の上に停まるのが定位置であったが、手のひらサイズにまで小さくなってしまった狐花を背中に乗せて飛ぶ形を取る事にした。

 

「んにー……」

 

「……どうやったら戻るんスか? と言うか狐花様って人間じゃ無かったんスか?」

 

『お嬢は自身が人間と名乗った覚えはありませんよ?』

 

「そ、そうっスね。幼女ってのもあったスけれど……」

 

 狐花は自分が『人間』だと名乗った事は一度たりとも無いのである。見た目こそは人間の幼女と大差ないのだが……。

 

「うにー、うっさい‼︎」

 

 ちび狐花が両手を上げて怒っているが、小さい為に愛らしさが残っている為に余り怖くない(普段も余り怖く無いが……)。

 

『取り敢えず考えても仕方ありません。その内、元に戻るでしょうから……ほら、本人も特に気にしていなさそうですし』

 

「でも、目が離せないんじゃ?」

 

『考えたら負けです』

 

 小さくなっても災害を引き起こす事に変わりは無い。規模は小さくなっていると思いたいので取り敢えずウニらせるかお菓子を与えておけば大人しくはなる、筈。

 狐花に関して笑撃的な事態になったが取り敢えず今、考えても仕方ないのでおいおい考える事となりビザの更新手続きの為の窓口へと向かう。

 

「すいません。ビザの更新に来ましたっス‼︎」

 

「んにー」

 

「はい、では現時点のビザとパスポートの提示をお願いします」

 

 受付には眼鏡を掛けたセーラー服の生真面目そうな少女の姿をした付喪神が窓越しに応対する。現在のビザとパスポートの提示を求められたのでベンニーアはその2つを受付の付喪神に渡し、彼女は確認を取る。

 

「はい、ベンニーア・オルクスさんで間違いは有りませんね?」

 

「はいっス」

 

「では、此方の用紙の項目を記入して下さい。彼方の共同台をご利用下さい」

 

 そう書類を受け取ったベンニーアは受付を離れて共同机の方に向かう。その時、恐介の背中に跨るちび狐花の姿が目に止まる。

 

「あ、あれ……? 狐花ちゃん……暫く見ない間に随分と小さくなって……」

 

「んにー、よどー」

 

「大淀です。小さくなった挙句、幼児退行していませんか?」

 

 両手を上げる狐花に対して真面目に返答を返す大淀。冷静なツッコミで返している。何と言うかボケやら大騒ぎする面々が集う裏幕府ではツッコミ続けたら保たないが故の鋼の精神である。

 

『えーと、それはカクカクシカジカ』

 

「力の使い過ぎで反動で縮んだ、と。狐花ちゃんの霊力は境遇が境遇故に私達とは比べるも無く間違いなく神クラスですよ? 冗談は烏頭だけにして下さい。何をどうしたら、其処まで枯渇する様な事態に陥るのですか?」

 

『何故、コレで伝わるのか知りたいです……』

 

「仕事ですから」

 

「んにー……」

 

 そう返され何も言えない恐介。受付の事務処理を担当しているが為か会話の通じない面々も相手せねばならないので身に付けた読心術なのだろう。

 

「……狐花ちゃん。少し待ってて頂戴。ロング・アイランドさん……って、どうして事務所でゲーム……何処からそんな大型TVを⁉︎」

 

「あ、い、今、良い所〜⁉︎ こ、コンパ系はコンテ出来ない〜〜‼︎ せ、セーブ……って、ナイトメア来たァァ⁉︎ 虐殺鬼ごっこ中はセーブ」

 

「暇でも仕事しろ」

 

 ドタンバタンと言う音が受付事務所奥から聞こえて来る。同時にロング・アイランドの悲鳴染みた声が響いた。最終手段と言わんばかりにTVのコンセントを引っこ抜かれた様だ。

 

「大変お見苦しい所をお見せしました」

 

『あ、いや、此方こそ何か居合わせて申し訳ありません……』

 

「んにー……」

 

 反射的に謝る恐介。ロング・アイランドは災難だったかも知れない。そして大淀は桜桃を乗せた小皿を狐花の前に置いた。ソレを見た狐花は恐介の背中から飛び降りて桜桃に近付いて齧り付いた。体躯が小さくなった為、今の狐花だと桜桃でも充分な大きさと言える。

 

「狐花ちゃんは満腹では無い時に、お菓子か果物を与えればその間は大人しくなりますからね」

 

 要するに餌付けである。精神年齢が低いので有効な点は変わらない(しかし悪魔絶滅マン)

 

『よ、良くご存じで……』

 

「ええ、ホトホト苦労しましたからね。昔の狐花ちゃんの見境無い暴れっぷりには……。島を沈めた時は卒倒しかけました……2度と見たくありませんね、あの光景は」

 

『……』

 

 桜桃を一心不乱に食べる狐花から眼を逸らして遠い眼をする大淀に対して恐介は何も言えなかった。そのタイミングでベンニーアが項目を書き終えて持って来る。

 

「あ、アレ……皆さん、どうしたんスか。何故か……随分と憂鬱染みているっスけれど?」

 

『「気にしないで下さい」』

 

 同時に同じ事を言う恐介と大淀。その言葉に気圧されたのかベンニーアは敢えて追求しなかった。したらしたで、エライ目に遭いそうな気がした。と言うか真面目な人で憂鬱になりそうな要因が直ぐ近くに居たと言う理由もある。

 

「では、内容を審査し通った場合には新規発行致します。暫くの間、お待ち下さい」

 

 何事も申請する書類等の用意には相応の時間が掛かる。ビザなんかは最もたる例だ。その為、待合室にて待たされる事となる。疑問点が生じた場合、本人に直接聞かなければならないので退室すると申請は棄却される。

 

「えーと、どの位になりそうっスか?」

 

「申請者の記入事項の内容によりますので、少なく見積もって30分は掛かります。因みに、来た所でほぼ海の藻屑にしてやりますが三大勢力ならば軽く5時間は掛けさせて頂きます。その間、砲雷撃戦や艦爆の弾雨の中を放り込みますね。本当に信用出来ないので」

 

 嫌われているなぁ、とベンニーアは口にせず心に留めた。5時間も四方八方から迫り来る弾幕の雨霰の中、生きて居られるのかと不安になる。そして、トドメに破壊光線を叩き込むと言うオチ。

 

『では、私達はお呼ばれですので此処で分かれましょう』

 

 狐花は桜桃をまだ齧っている。その桜桃の実を持って恐介の背中に跨る。

 

「あ、案内有難うっス。帰りは自力で帰るっスけど、良いっスか?」

 

「んに〜」

 

『はい。此方の帰りはまだ分かりそうに無いので』

 

 その事で恐介は狐花を背中に乗せて一先ず、裏幕府の将軍である長門の執務室へと目指して飛び立つのであった……。

 

 

 

 





 大淀 艦隊これくしょん

 ロング・アイランド アズールレーン




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