雷ガ咲く花園デ   作:夢現図書館

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城は……

 

 

 

 以下略城の中央の聳える城塞の櫓の最上階。以下略城から見たら中央階になるか、その階に裏幕府の将軍である長門の執務室がある。

 

「恐介殿か。天照大御神の遣い、ご足労痛み入る」

 

 その執務室にてそう言葉を述べるは将軍、長門。褐色肌の長身の褪せた銀髪の長髪を靡かせた威風堂々とした付喪神。無論、誇り高きビッグSEVENの一隻と謳われた戦艦『長門』の付喪神であった。

 

「して、狐花殿は何処に?」

 

『えーと、それは……此処です』

 

 恐介は首を動かし背中に視線を寄せる。丁度、桜桃を齧り終わった狐花が残り破片を頬で頬張っている頃合であった。

 

「んにっ」

 

「」

 

 執務室の机に降り立った狐花。その姿は手のひらサイズと言って良い程に縮んでしまっている。ちっちゃい、本当に小さく小人と言って差し支え無かろう。

 

「……恐介殿。コレは如何なる妖術か?」

 

「むにー……(・w<)」

 

 流石に面食らったのか長門は指でちび狐花の頬を軽く突きながらそう尋ねる。餅の様に柔らかさがクセになりそうだ。

 

『いやー、そのですね? 力の使い過ぎと言いましょうか……霊力全部スッカンカランになる程の砲撃の反動、ですね』

 

「成程。身体が萎む程の霊力を放出したか……」

 

『何、しれっと餌付けしているんですか?』

 

 長門はそう考察しながら、ちび狐花に酒のつまみであろう柿の種を一粒ずつ与えていた。肝心のちび狐花はハムスターの如くポリポリと食べている。

 

「いや、すまん。こうも小さいとな……いや、昔はこうは小さくは無かったが……」

 

「(ーwー)」ポリポリ

 

「……霊力を激しく損耗したのならば快方すれば自ずと戻ろう。狐花殿は何かと小食だ……栄養失調の気も有ろう」

 

 そう考察した長門は取り敢えず残す事前提で柿の種の袋を開けて横倒しに置く。その読みに対して恐介は納得は出来た。昔から狐花は昆虫食が目立っていた、その癖に小食。付喪神と雖も無食とは行かないのが実情。人の形を得た弊害とも言えるがそれもまた良しと見做していた。

 その為、食事なり摂らせて腹八分程度になれば元に戻ると見ていた。

 

『……して、宴会とは聞いては居ましたが』

 

「ああ、そうだ。特に記念日でも何でも無いが……単純に酒を飲みたいと言う理由がある」

 

 特に理由は無く、単純に皆と酒を酌み交わしたい。そんな素朴な理由らしい。

 

『……こんな時期に何かあったかと思いましたよ』

 

「……フッ、そう思われても致し方無し。しかし余としては、余……いや、皆もか……戦いの日々は終わったのだ。こうして付喪神としての身体を得たと雖も……国の威信を懸けて戦った日々はかけがえの無い事実だ。非理法権天……その結果で今の日の本は続いている。今更、米帝や英国と争う理由は有ろうか? 無論、人間達も思う所は有ろう……仮初とも言うが条約を結び今に至っている。余らがその約定を壊す理由が無い。あったとしても……その結果、また人間達同士の戦争を引き起こす要因になるのは、な。そもそも付喪神は人間社会に物理的に根付いているモノでは無い……御伽噺の住人。伝聞で伝わるのは当然だが、交流するべきでは無いだろう」

 

 人間達がその未来を選んだ。その未来を否定する気は無い。裏幕府にはかつて第二次世界大戦、太平洋戦争で沈め合ったアメリカ海軍の軍艦の付喪神も存在している。当初はまた争うのかと危惧はされた。

 

『人間達は戦った。でも、終わった事を蒸し返す理由が無い』

 

 敵対する理由が無い。他の国の軍艦の付喪神も現れたが概ね同じ理由だった。最もイギリスとドイツの軍艦同士は低レベルの喧嘩は多いのだが……。長門はその者達は客将とした。『好きなだけ滞在すれば良い。嫌気がさしたら、出て行っても構わない』。そんな対応をする事にしたのだ。

 『祖国を守る』。軍艦の搭乗員は皆、そんな想いを以て散った。別の国を守る義理は無し。理由はそれだけで充分だ。

 

「……だが、三大勢力とやら納得する訳にはいかん。余としても全力で叩き潰すべきだな」

 

『……やはり、長門様もそのお考えで?』

 

「理由は既に知っておろう? 皆まで話す理由は無い。その点、狐花殿には感謝している」

 

「んに?」

 

「狐花殿が発端やも知れぬが、日本神話が動いた結果……大いなる牽制を敷く事が出来た。事務処理で忙殺されていたがそれらも片付ける事が出来る余裕も生まれた。何分、余らは軍艦……陸では大した戦力にならぬ。海上から来る敵は浮世絵にしてやれるが……瞬間移動で地上に来る輩には……何も出来ぬ歯痒い限り。コレで護国を名乗るなど恥辱の至り。この宴は礼みたいなモノだ。どうか受け取って欲しい」

 

『ちゃんと理由があるじゃ無いですか。まぁ、こじ付け感が否めない気もしますがね』

 

 どうやら狐花がリアスやソーナ相手に暴れた結果、日本神話が動き(天魔雄様の独断)……日本に巣食う悪魔が宣う領土を奪還するに至った。恐らくその事に関して言っているのだろう。宴は礼みたいなモノ……まぁ、仕事終わりに酒を飲みたいと言う理由も多分に含まれていようが。

 

「……それに本音を言えば奴等の本拠地を直接叩く事が出来れば1番良いのだがな。現時点ではその手段が無い故に夢の話ではある」

 

『申し訳ありませんが、我々にもその手段がありません』

 

 最も迷惑な悪魔達の本拠地である『冥界』。其処を直接叩く為の航路も手段も無いのが実情であった。

 

「む、軍議はこの程度にしておこう。深みに至る」

 

『そうですね。我々は単純に『宴をするから呼ばれた』。それで良いでしょう。あれこれ貸し借りなどお嬢に言うべきじゃあありません』

 

 あれこれ理由を作る必要は無い。宴は単純に楽しむ、それで良い。そんな『理由』よりも、狐花には別の意味で参加させた方が良い。

 

「……フッ、そうだな。そう言う事にして置こう。さて、宴まで時間がある。以前よりこの城も色々と変わっていよう。折角の機会だ、見て廻るのが良かろう」

 

『まぁ、その途中で元に戻りそうっスね』

 

 

 




 長門 ブラックサージナイト

 残り、2。
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