雷ガ咲く花園デ   作:夢現図書館

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絶望的な相手

 

 

『……そう言う性的なモノは子供の教育に良く無いと思うわよ? 特殊な思考に関しては文句は言わないけれど……公の場でするのは控えるべきよ』

 

「ご尤も、ご尤もだよ‼︎」

 

——誰だ、そんな悪魔陣営を陥れた戦犯は⁉︎ 自分の部屋でやれ、そう言う事は‼︎ 完全に悪魔陣営に対して致命傷の被害を齎しているぞ……‼︎

 

「って、ん?」

 

——そう言えば『リアス・グレモリーが騒動を引き起こした』と……その次に露出狂軍団……。

 

「あ、あの……ライザー様?」

 

 ライザーは頭を抱えた。その全裸徘徊をやらかして、日本神話側に要らぬ疑惑を植え付けた存在の正体を理解した。してしまった。

 

「まさかと言いたいが……その露出狂の変態の噂の出所ってのは、リアスか?」

 

『ええ、そうよ。正直言って風評被害甚だしいからとっととお持ち帰りしてくれないかしら? 婚約者なのでしょう? 早く連れて帰って頂戴』

 

 ソフィアはにべもなく言い切る。そして、とっとと持って帰れとも言われた。どうやらリアスが全裸で天下の往来を徘徊すると言う露出狂に目覚めてしまったらしい。

 

「生憎で申し訳ないが婚約破棄したよ。既に真っ赤な赤の他人だ」

 

——……よもや婚約破棄させる為にそんな真似をしていたのか?正気の沙汰では無いぞ……リアスよ、その行動は間違いなくグレモリー家の看板に泥を塗るぞ……‼︎

 

『あら、それは残念。そう遠くない未来には見るも無惨な惨殺死体となって居るでしょうね……その光景、実に興味深いわ』

 

 死体を見て興味深いとは何と言う言種か。悪魔らしいと言えば其れ迄か。

 

『さて、改めて釘を刺した事だからそろそろ通信を切らせて貰うわ。新しい薬の実験を行わないと行けない事だし』

 

「待て、聞きたい事が他にもある」

 

——此の儘返しては八方塞がりとなる。聞けるだけ聞き出してやる‼︎

 

『……答えられる内容ならば答えてあげる』

 

「そうか。なら単刀直入に聞こう。君達は現在の悪魔陣営の状況を理解していると言う前提に日本神話側との対談は実現可能か?」

 

 ライザーは本当に単刀直入に本題を提示した。下らない前置きは必要ない、寧ろ相手は此方の事情を把握しているだけ無駄な事だからだ。

 

『そうね。正攻法ならばほぼ不可能。と言うよりも不可能を前提とした状況ね。詰まる所、現時点で貴方達の外交担当が如何なる方法を模索しても成立以前にその状況に持ち込む事が出来ない』

 

 ソフィアは悪魔陣営が日本神話陣営との和平会談へ駒を進める事自体、不可能だと告げる。其処にリアスが引き起こした『露出狂問題』が付与され殊更、難しくなっている。

 

『そもそも日本神話も一枚岩じゃないわ。国津、天津と分かれている。其処に仏法勢も合わさって神仏習合の形になっているから複数の名前が混ざり合っている……。最終的な決定権を持つのは主宰神のみよ。即ち、天照大御神』

 

「だろうな」

 

——魔王様も最終的には日本神話の主神との会談を望みたいと考えている。そもそもトップ同士が話さないと意味が無いからな。

 

『でも、天照大御神自身は姿を消した。即ち決定権を持つ神が居ない。つまり、日本神話陣営のどの神に会談を求めても決定権が無い以上、成立出来ないし受け入れられない。そもそも日本神話の国津神を始めとした神々は既に御冠……会話にならないわよ?』

 

「ッ‼︎」

 

 相手が居ないと言う事は会談する事が出来ないと言う事。纏めるモノが居なければ好き勝手な独断行動をする者が現れる事となる。その例が天魔雄である。それに荒神化の影響もあり悪魔に対して良い印象を抱いていない神々も多いのも実情。

 

——つまり、サーゼクス様の依頼は何方も物理的に実現不可能って意味じゃないか‼︎ 離反した家系も把握している家系の他にも居る可能性はあるが……不透明。判明している者達は断られた。日本神話の方は会談する相手自体が姿が見えないし……その他の神々にも悪印象(リアスが発端か‼︎)……どうすれば良いんだ⁉︎

 

『……今迄、やって来た事のツケね。仮に日本神話陣営との折り合いが出来たとしても悪魔狩りや裏幕府、裏京都は別勢力。日本神話は止めはしないでしょうね』

 

 片方と決着が付いても他の勢力は違う行動を取るだろう。裏幕府との交渉はほぼ不可能レベル。そもそも会談をしようにも裏幕府が発行する『ビザ』が無ければ出来ないからだ。

 

「……どう足掻いても不可能、か」

 

——大公からの直々の依頼。その責任は重い……と言うか無理難題を吹っかける事自体、目的だったんじゃ……と思い掛けるよ。

 

『正攻法、ならね。博打好きなら、一個だけ……手はあるわよ?』

 

「何?」

 

 ソフィアは口を三日月に歪め、凍える様な笑みを浮かべている。それこそ、悪魔染みた笑みを。

 

『天照大御神は姿を消した。ええ、本人は姿を消したけれど……それは身体が消えたからそうよ。その精神はある人物に取り憑いている』

 

「……美南風、どう言う意味なんだ?」

 

「誰かの身体に入り込んでいる。簡単に言えば意思を持つ神器を持つ人間、と考えて下さい」

 

「成程、理解した」

 

 ライザーは美南風に聞き、納得する。誰かが天照大御神を宿している事。

 

「それは……誰なんだ?」

 

 逆を言えば直談判。直接会って交渉する、それしか方法は無い。

 

『クスクス、『祟り神』、皓咲 狐花よ。最低でも彼女を説得出来ない限り、天照大御神と相対する事すら出来ないと考えるべきね』

 

 それは限りなく最悪とも呼べる。人の話を聞かず周りも躊躇せずに暴れ狂う災厄。悪魔絶殺、会話も説得も不可能。燼滅のみが残される。

 

「マジか……‼︎」

 

『この事実を知ったのは最近よ。クスクス、災難ね? 最も会話を望む相手と最も会話が成り立たない相手が同居しているんですもの』

 

「他人事だな……」

 

『他人事よ。アレは歩く厄災……見つかり次第、鏖殺しに来る。何度もお目に掛かりたい相手じゃないわ』

 

——分家の奴からも聞いたが……何度でも殺しに来る程の執念。それにシトリーからも聞いたが問答無用……面倒過ぎるし誤って殺したら天照大御神自身、話を聞いてくれなくなるやも知れん。うん、本当に面倒な状態。

 

『では、今度こそ切るわ。そろそろ4Pが終わっている頃合でしょうから』

 

 そう告げた時、ホログラム体は消え失せた。後に残るはドッと疲れた様子のライザーとその様子を見守っていた眷属一同であった。

 

「はぁ……本当にどうしろって言うんだ。離反組も断られ、日本神話陣営も不可能に近い状態……オマケにリアスが悪魔陣営に要らぬ印象を植え付けた……はぁぁぁぁ……」

 

 立て続けに突き付けられる非情な状況にライザーは大きな溜息を吐いた。溜息は幸福が逃げると言うが、実際に逃げている様にも思えた。

 

「リアスの起こした問題。サーゼクス様に報告しても信じはしないだろうな」

 

——或いは揉み消そうとするだろうな。リアスの評判は下がった上に更に下がる真似をサーゼクス様直々に起こすとは思えない。かと言って印象は持たれた以上、『理由』探しに奔走……と言うか俺に吹っ掛けられそうな気がする。

 

「胃が、胃が痛くなって来た……。胃薬、胃薬は何処だ?」

 

「はい、ライザー様」

 

「ああ、済まない……」

 

 ライザーはユーベルーナから受け取った胃薬『ヘンゼル製薬:狂式胃痛薬(水無しタイプ)』を飲むのであった。

 

——……『祟り神』相手にフェニックス家であっても挑むのは無謀か? 分家の奴も死に掛けたみたいだから危険かも知れん。しかし、他に手は無いモノか。

 

「お前達、何でも良い。『交渉のやり方』に関連する役に立ちそうな情報を集めて来るんだ。ああ、セラフォルー様の所には絶対に行くな。あのお方のやり方では二の舞になるのは分かっているからな……‼︎」

 

「「「はい‼︎」」」

 

 一先ずライザーは『交渉』や状況の情報収集から始める事にしたのであった。現時点で交渉に臨めば自分は兎も角、眷属のほぼ全員が鏖殺されかねない……準備は入念にするのが至極当然だと言えるだろう。

 

 

 

 





 ラスボスジェノサイド系幼女……。
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