*これは数ある論の中で作者が考察する論の1つであり、一般論とは言えません。その事を御了承下さいます様お願い致します。
「お前らの主張は分かった。何の為に学校に来ているんだと言いたいが……まぁ、この際は目を瞑ってやる。で……お前ら、その前に1つ聞かねばならん事を聞いておこうか」
「な、何だよ……⁉︎」
「お前ら……ハーレムって言葉の意味、本当に理解出来ているのか?」
紫先生は至極真面目に『ハーレム』の概念を兵藤、松田、元浜に問い掛けた。本人達が宣う『ハーレム』の概念、それをどう捉えているかを確認する為だ。
「おうよ‼︎ 分かって居なかったらハーレムなんて言葉、使わねえよ先生‼︎ ハーレムって言うのはな、多数の美女美少女達に囲まれてチョメチョメやあんな事やこんな事、複数プレイとか桃色生活を満喫するイチャコラの毎日を送る事だ‼︎」
「「うんうん‼︎」」
一誠が堂々と宣言し松田と元浜が同意する様に頷く。その言葉を紫先生は腕を組みながら聞いていた。
「成程。要は満たされない毎日に不満がある、と言う事だな。ハーレム……いや、本来はハレムが訛った言い方となる原来の意味は女性の居室。それはさて置きハーレムなぞ日本じゃその光景は早々見ない事から『非現実的光景』。早い話が幻想を抱いていると言う事か」
「幻想なんかじゃねぇ‼︎ 俺達は本気でハーレムを作る‼︎」
「そうだ‼︎ さっきも言ったが駒王学園には美女美少女が多いんだ‼︎ 中学生時代と違って俺達にもチャンスはある‼︎ そしてハーレムを築けると信じているんだ‼︎」
松田と元浜も追随する形で主張する。紫先生に幻想と断じられても退がりはしない。寺での地獄修行により性欲が増したのだろう。今迄よひも威勢が良い。
「いや、無理だとは言わない。早々無いとも言ったが全く無い訳では無いが珍しい事には変わりは無い……が、不可能とは言わんよ」
「え? そ、そうなのか?」
絶対無理だと言われると思っていた一誠は紫先生のその発言に素っ頓狂な顔をした。松田も元浜も『アレ?』見たいな顔をしている。
「おい、お前ら……教師が何でもかんでも否定文で話す生命体だと思っていたのか?」
「いや、だってねぇ……?」
「補習室に監禁して拷問したり、寺で地獄を見せたり……夢も希望も打ち砕く大魔王かと……」
「兵藤、松田。歯を食い縛れッェ‼︎」
その時、2人の脳天に強烈な鉄拳が振り下ろされ轟音が鳴った。
「「〜〜ッ‼︎‼︎」」
「……お、鬼……‼︎」
「馬鹿を言うな。明日風先生ならば、骨折させるぞ。それに比べたらマシだと思え」
普通に体罰である……。
「そ、それで先生。不可能、では無いと言うのは……?」
「世界史や日本史を見ても1人の権力を有する男性が複数人の女性の上に君臨すると言う形は形は違えど存在していた。最もたる例はやはりイスラム社会だろうな。生物学でも一頭の雄が複数の雌を独占する生態系を持つ種が存在するからな。で、兵藤。お前が言った事はその光景が様々な形で捻じ曲がって伝わった結果、そう言うイメージが付いちまった情報だ」
日本で言えば正室の他に側室を置く、江戸時代ならば有名な例として『大奥』だろう。
「いや、歴史の授業じゃなくて俺達はハーレムを作りたいんだ‼︎ だけど、駒王学園に入学して一年。全く女の気配が無い‼︎ 先生、不可能では無いと言う事はやり方が間違っているのか⁉︎ 教えてくれ‼︎」
松田は紫先生に教えを請いた。坊主頭のスポーツマン風だが実体はただの変態。
「……ふむ、まぁ知りたいと言うのならば話しても構わん。取り敢えず此処は邪魔になる。適当な空き教室で教授してやる」
「「「はい‼︎」」」
なんで、こう言う時は元気になるんだ。と言いたげな紫先生に連れられて変態3人組は後を着いて行くのであった。
「って、何で此処なんだよ⁉︎」
着いた先は紫先生の根城である進路指導室であった。一誠達からすればトラウマ環境と言える。
「他にアテが無いからだ。安心しろ、今回は余程の事が無ければ問題集は叩き付けん。で、朝礼までだからな。早速、講義を始めてやろう」
朝のホームルームまでの時間はある。その間だけの特別講義。内容は褒められたモノでは無いが、コレで少しは変態行為が減少するのならば儲け物である。
「……まぁ、まず……女性からモテない限り話にならん」
「「「ぐはッ」」」
「で、お前らは日頃何をしている?教室で年齢制限モノの本やらDVDとかを散乱させているそうだな? そんな野郎を好き好む年頃の少女は早々居らん」
「「「ガハッ……‼︎」」」
「……後、正直な話。真逆の行動しかしておらんな。どう見ても……◯姦紛いの真似の一歩手前の性犯罪者だな。覗き行為をしている時点でアウトだ。
どう考えているかは知らんが、雑なプロファイリングをさせて貰うとお前らは女性を女性と思っていない。精々、玩具か蒐集物と言った自身を着飾りたい装飾品。或いは欲望の捌け口。
兵藤、お前の発言は本心だろう?その口調からはコレクション目的も兼ねる。行く行くは目当ての女性を見つけては誘拐、監禁と言った行為にエスカレートするだろう……」
「「「……」」」
そして、トドメを刺された。ハーレム、ハーレムと叫んでいるがその実は、自身の欲望……しか考えていない。相手の事を考慮していない。
「そ、そんなクソ野郎みたいな真似、する方が可笑しいっスよ⁉︎ せ、先生は俺達をそんな風に見ているのか⁉︎」
「将来的にはその可能性が出て来るかも知れないって言う確実性の無い憶測だ。今はまだ覗き行為で済んでは居るが、いや良くは無いが……ハーレムを作るって事はそんな荒真似の可能性は否定したくとも出来ねぇんだよ、馬鹿共」
「じゃ、じゃあどうすれば⁉︎」
「先程の犯罪性の話は頭の隅に置いておけ。ハーレムなんて危う過ぎる関係、余程の事が無くば簡単に壊れる。して、次だ。お前達が正道な精神で作ると言うには複数の問題が出て来る。分かるか?」
「えーと、お金?」
「正解だ。一夫一妻でも多大な資本が必要となる。それが一夫多妻ともなれば、それこそ有数の資産家レベルの資本が必要だ。そうだな……ザックリ言って月収が最低でも2000万円は欲しい所だな」
「「「に、2000万……」」」
起業し大企業に成長させる会社を経営しないと届かないだろう。起業できる程の才能を三馬鹿は持っているか?
「他にも日本でやろうと思えば法律が邪魔になるから憲法改正させないとその時点で違法になって裁判沙汰だ。現代日本は一夫一妻だからな……愛人なんて関係だと三面記事に乗るわ、ワイドショーの笑い種になるわで、世間体で生活出来んだろうよ。失態者を粉砕するのが日本人の嗜みみたいな風潮があるからな。
で、そんな憲法改正しようとする政治家はまず居ない。不謹慎だし、間違いなく四方八方から袋叩きで辞任に追い込まれる。なら、お前らの誰かが内閣にまで上り詰めて変えちまうしかない。が、政治家ともなれば不謹慎ネタを求めたマスコミのガサ入れは激しくなるし、内閣総理大臣の選挙に立候補しようとしたら政治家や議員の推薦人は20人は必要だし、そんな改正の演説をしてその主張に付いてくる人間は居るのかとか、色々な問題も出て来た挙句にその頃には40代後半のおっさんレベルの年代だろう。
まぁ、その前に根掘り葉掘り荒らされて高校時代の様子とかをバラされて覗き行為発覚した事実を以って炎上するのが容易に想像出来るな……」
「「「……」」」
猛烈な勢いで現状を語る紫先生。この時点で諦めた方が早いと言える程の過酷さ。
「イスラム圏に移住しても、お前らの言うハーレムとは程遠い、と言うか衰退の一途を辿っている。女性の社会進出が進んでイスラム世界の後進性の実例として批判があったからな。
まあ、現代だと王族と言った資産家位だ。そもそもイスラム圏は女性の権利は厳しいからな……」
「そ、そんなの不可能レベルじゃないか⁉︎ そんな現実知りたくなかった‼︎」
「……あ、アニメだと」
「だから非現実的光景の幻想だと言ったんだ。妄想するのは勝手だが、実現するとなると……数多くの障害が立ちはだかるんだよ」
「「「…………」」」
「……だ、だけど実際にハーレムを作った奴は居るんだろ⁉︎」
「まぁ、0では無い。また先程の現実的な話を度外視した場合……。軽いニュアンスで表現した場合」
「まず其方を説明しろよ‼︎ 政治とかイスラムとか訳分からないんだよ‼︎」
「そうか。まぁ、そうなるとミュージシャンとか俳優とかのイケメンの様にモテて、歓声が湧くような奴か……まぁ、アレをハーレムと言えるかは判断に苦しむが、或いは」
イケメン以外の条件。それは変態3人組にとっては非常に重要な事だった。実際に3人は女子生徒達に囲まれている事が多い木場 祐斗の姿を何度も目撃して『イケメンめ‼︎』と言う嫉妬の目線を送っている。自分達もあんな風に持て囃されたいのである。
「弩の越えた……自己犠牲の精神の塊の……それこそ、自分自身の全てを捧げれる様な奴じゃないと無理だな」