『まず、今のお嬢はどの様な状態と言えますか?』
恐介は現時点での狐花の状態に関してアイラに問いを投げ掛ける。
「そうね。見た感じ形振り構わない状態かしら?」
『そう、少なくとも猪突猛進の状態。即ち現在逃げ回っているであろう悪魔を追撃している状態です。その状態で無理やり止めても数秒が限度。接近する事自体、ままなりません。其処で暴走を浄化する丸薬を弾丸として放ち撃ち込むのです。して、此方から撃つ為に追うのではなく先回りして待ち伏せて狙い撃つのが1番、動きを読み易く狙い易いのです。真正面から来てくれるのが1番、当て易いでしょう』
「成程。誘導して当て易い位置に誘い出せば良いって事ね。叫び声からして悪魔も未だに健在で逃げ回っているから……」
「退路を塞いで、方向を変える。そうしたら狐花ちゃんもその後を追い掛ける。と言う事ですね」
『作用。最もその悪魔が此方の狙い通りの方角に逃げてくれるかは分かりませんね』
『ほな、さっさとやろか。せやないと狐花の奴、業を煮やすやろうし』
『放っておけと言ったのは何処の駄犬ですか?』
『五っ月蝿ぇわ。狐花の扱いは想像以上に面倒な塩梅なんや‼︎』
五七の言葉にアイラ達は頷く。ただでさえ高火力広範囲の能力を持つ上に見境ない。その癖に荒魂全開……これ以上、放置は出来ない。故に速やかに行動に移す事となった。
「……此方、アイラ。指定位置に着いたわ。其方はどう?」
駒王学園のグラウンドの端に位置する場所。周囲はグラウンドの為に開けている。その位置で大鎌の刃を突き立て柄込み部位を向ける形にしている。アイラ達は分かれて誘導地点に到着して狐花から逃亡する悪魔の進路方向を変えて誘導し狐花が誘い出された所をアイラが浄化弾を撃ち込む作戦を立てた。既に本校舎は大部分が倒壊しており、全壊すれば進路方向が読めなくなる。
『此方、Aポイント。もう直ぐ来ますわ』
「……タイミング合わせて壁を破壊して進路を変えて。今の狐花ちゃんの近くは危険だから破壊したら速やかに離れて」
静香とアーシアは携帯の類を持っていなかった(ついでに狐花も無縁)。その為、アイラはもしもの事を考えて通販で購入し用意した無線機を持たせて遠距離通話をする運びとなった。
『倒壊する音が聞こえました。現在、悪魔2匹が予定通りの方向へ逃亡。お嬢もその後を追って進路を変えました』
「次はアーシアちゃん。弾丸が当たらない形での威嚇射撃で誘導して‼︎」
『分かりました‼︎』
続いてアーシアが展開したマシンガンで悪魔を直接狙わずに足元に撃ちグラウンド方面に誘導する。
『弾幕に煽られて其方行ったで‼︎ アイラ、頼んだで‼︎』
アイラの視界にグラウンドへ誘い出された悪魔2匹を追い掛けて、激昂した狐花が飛び出した。此処まで来れば後は狙い撃つのみ。
「お、お姉ちゃん⁉︎ ね、狙われてる⁉︎」
「う、嘘⁉︎ 前後から挟み討ち⁉︎ さ、左右に逃げよう⁉︎」
アイラの存在に気付いた2匹の悪魔がお互い左右に逃げた。その後に見えたのは駒王学園の制服のケープやスカートの裾が劫炎を纏っている状態の狐花。遮蔽物も無い、迎え撃つ好機は今しか無い。
「お痛が過ぎるわよ、狐花ちゃん‼︎」
撃鉄が唸る音が響き銃口から1発の弾丸が放たれ真っ直ぐ、そして正確に狐花の口内に直撃した。その時の衝撃で狐花自身が吹き飛んで受身も取らずにゴロゴロとグラウンドを転がって行った。
「アーシア、静香‼︎ 後始末よ‼︎」
『はい‼︎』
『了解ですわ‼︎』
コレで終わらない。何故なら誘導させた悪魔2匹が現場に残っている。行動不能になっている狐花を悪魔が見逃すとは思えない。故に誘導させた悪魔を仕留めて完了となる。
その通信の直後に豪雷の音、爆撃の音が同時にグラウンドに響き全身に電撃が纏い戦鎚を構えた静香と大型スラスターを備えた機械鎧を纏い自身の身長の2倍は有ろう西洋機構槍を構えたアーシアが現場に到着した。
「来るの速ッ⁉︎」
突き刺した刃を抜き構え直したアイラは若干呆れる。移動速度なら狐花達の中で2人が群を抜いた為に、2人とも人間離れし始めているなー、と言う心境は生まれたがその事はさて置き悪魔2匹へ意識を向ける。2匹共に容姿が良く似ている事から一卵性の双子と思われる。最も容姿と年齢は一致しているとは限らない上に見た目で判断は出来ない(狐花と言うあり得ない位、乖離する存在が身近にいる為)。
「ま、また増えたぁ⁉︎」
「に、2体3……然も、ヤバそうな……⁉︎」
静香とアーシアに加えてアイラ。その双子の悪魔は見た瞬間に『ヤバい』と認識した。確かにアーシアと静香は狐花と意気投合しちゃってバーサクシスターと化している。悪魔とシスターは相容れない存在。その枠組みにアイラが含まれているのは如何なモノか。
「見た所、無手よね……魔法で戦うタイプとか?」
「狐花ちゃんが怖くて逃げ回っていましたが、何をして来るか分かりませんわ。充分、気を付けて下さい」
静香達と合流したアイラ。倒れた狐花を守る形でその周囲を陣取る形を成して前後に位置取る悪魔、2匹を迎え撃つ態勢を整える。
「様子が変ですよ? 逃げに徹しています……‼︎」
「いや、見逃して良い気がする。目的は分からないけど、敵意が見えないわ」
暫く睨み合いが続いた後、悪魔2匹が逃げ出した。最後まで戦おうとせず逃げに徹しアイラ達の視界から姿を消した。
「……逃げた、か。本当に目的が分からないわね。興味本位で近付いた、と言うには命を賭けすぎね」
それでも狐花相手に無傷で逃げ果せた点は侮れない。ソーナ達でさえ、手酷くやられた。リアス達も初邂逅の時に加古の介入が無くば駒王町諸共、灰燼を褥として永眠する所であった。
『上手く行きましたね。御三方』
『此処まで単純に上手く行くと拍子抜けやな。こう言うのは想定通りに事は運ばんと言うのは常設展開やしな』
恐介と五七がアイラ達の前に戻ってくる。
「あの狐花さん。起きませんね……」
『ああ、あの浄化丸薬には睡眠作用も含まれています。ついでに苦いモノが嫌いなお嬢に合わせて甘味を多量に含んでいますので飲み易い様になっています。やはり疲れた時には寝るのが1番です。暴走した時、肉体を異常に酷使します。筋肉繊維もズタズタ、骨も軋ませる……倒れて当然ですから浄化含めて眠らせるのが定石でしょう』
『ま、起きる頃には何時ものんにんに言うとるんに娘に戻っとるやろ。で、ヤキトリ』
『何ですか?大して役に立った事が無いイヌッコロ』
『何やと⁉︎ 俺様は説明役として充分役に立っとるやないかッ‼︎』
「貴方達って逐一、喧嘩しないと気が済まない病気になっているの?」
又しても狐花の頭の上で揉める五七と恐介を見てアイラは呆れる。
「あの〜……確か副作用とかはどうなっているのでしょうか?」
其処で静香が助け舟を出した。以前、風邪を疑われて処方された風邪薬には周辺の悪魔の上半身が消し飛ぶと言う珍妙な副作用があった。今回もまた呆れる様な副作用があると思われる。
『……えーと、確か……あー、申し訳ありません、ちょっと忘れました。まぁ、人間には影響を及ばさない副作用なのは確かですよ』
『寧ろ間接的に影響を及ぼす副作用自体、異常な事やと思うやんけどな……‼︎ せやけど、どうすんや? 認識阻害の結界張ったとは言え……こりゃまた随分と派手にぶっ壊したしなぁ』
五七の言葉と共に変わり果てた駒王学園を見やる一同。部活棟は比較的マシではあるが本校舎は一階部分以外は綺麗に融解しており、無残な姿を晒している。
『……お嬢が旧校舎を派手に爆破したと聞き及んで居ます。彼方は既に消防や警察の方々が来ていますのでどうしようもありませんね。本校舎に関しては建て逃げ常習犯の伊弉諾尊様に頼んで直して頂きましょうか』
『せやな。あのお方なら2、3時間で直しよるわ』
駒王学園の校舎は伊弉諾尊様に頼んで今日中に修復して貰う事にする為、認識阻害を維持したまま恐介は高天ヶ原に蜻蛉返りで向かい、熟睡状態の狐花を連れたアイラ達は皓咲屋敷へと帰る事にした。既に最終下校時刻は過ぎている、これ以上学園内に留まる理由は無かった。
「…………………」
「…………………」
一連の様子を遠くから観察する影があった。黄昏時は既に過ぎて夜の時間帯。とある建物の屋上、其処から駒王学園の様子を伺う影。最初は旧校舎とその周辺の林地帯が炎上、その次に駒王学園の本校舎が激しく炎上し破壊された。
「はい〜。どうやらリアス・グレモリーは難を逃れた見たいですね〜。はぁ、其の儘……くたばってくれれば怠い事が省けたと言うのに残念です〜」
「…………」
影は2人。片方は黒い着物の様な衣を纏い気怠けな雰囲気である少女は携帯通信機で通話して現場の様子を報告している。もう片方は長身であり常に眠たげな表情を浮かべた巨乳の少女は舟を漕ぎながら駒王学園の様子を見ていた。
「……ん、フェニックスの……子達、逃げ切れたみたい」
「『祟り神』の仲間の方達が『祟り神』の暴走よ阻止を優先して見逃したみたいですね〜。
ええ、知っていますよ〜? そもそもソレを教えたのはソフィアさんじゃ無いですか〜。別に教える義理は無かったんじゃ無いですか〜?」
2人はフェニックス家のライザーとその眷属の存在を知っていた。そして態々教える理由があったのかと疑問を呈する。
「或いは〜、『祟り神』に意識を誘導してあわよくば抹殺を目論んだ……とも受け取れますよ〜? リィティアさん」
「ん、ん……‼︎」
少女は通話相手であるリィティアがライザーを狐花に相対せざるを得ない状態に持ち込み間接的に抹殺(狐花は悪魔を鏖殺する行動を取る)しようとしたのでは無いかと考えた……。しかし彼女は口元も目も笑っており、批難と言うより楽しんでいる様にも思える。
ライザーを始めとした悪魔陣営は自分達を放置しないであろうし何かしらのアプローチを仕掛けてくるのは目に見えていた。故に明確で確実に理解出来る『警告』を提示する。と推理した。
「……ふふ、まぁ良いでしょう。早々、思い通りに事は運ばせません。そうでしょう〜? それに……シルヴィアさんと、アカリアさん達も丁度終わった頃では?」
「……ん、帰る。要件、終わり」
「ではでは、私達も帰還しますね〜。間違っても『祟り神』になんて遭遇したら逃げの一手ですからね〜。あんなバケモノ、相手したくありませんし〜」
薬の副作用は?
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駒王町の悪魔、全員貧乳化
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(・w・)がチビ狐花状態
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アザゼル総督の頭が禿げる