とあるオタク女の受難(ゴブリンスレイヤー編)。   作:SUN'S

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第10話

∀月%日

 

いやはや、地元を出てから数ヵ月だっていうのに尋問を受けることになるとは予想外だよ。おどけても受付嬢さんを含めたギルド関係者は笑みすら浮かべてくれず、淡々とした口調で話し掛けてくる。

 

もっとも私の正体なんぞ知ったところで君たちに、どうこうする術も無いに等しいじゃないかと言葉を強めて言えば「その時は冒険者総出で取り押さえます」と言われた。

 

ふむ、そう言ってしまえば抵抗しないと思っているのだろうけれど。私は四方の外枠にいる存在だ。どれだけ追い掛けてこようと捕まえる事は出来ない。なぜなら私は本物の不死者であり、善悪なんて関係無い邪神の娘だからだ。

 

私は君たちの行く末を見ているだけ、黄衣の王のように生きている人間を無差別に取り込んだりなんてしない。むしろ、私たちクルウルウの末裔は黄衣の王より慈悲深いものだよ。

 

あと私は紅茶より珈琲が好きだね。

 

もっと欲を言えばお酒を飲ませてもらえれば大抵の事は酔っ払って喋っちゃったことにも出来るけど、人間の代表として好きに決めていいよ。

 

∀月⇔日

 

やっぱり、お酒って偉大だわ。

 

私ってば色んな事を教えちゃった。まあ、ほとんどが地元の話だから、こっちとは無関係だったりするけど。それは酒樽をたった五つまでしか開けてくれなかったギルドの所為なんだけどね。

 

あと、もう少しだけ奮発してくれれば黄衣の王の名前とか私のせいで四方世界に興味持っちゃった邪神の特徴とか教えてあげても良かったんだけど、それは流石に身バレしそうだから止めた。

 

しかし、どうにもギルド内部から懐かしい磯の香りを嗅いだような気がするんだが、いつもと変わらないようにも感じるけど。そこかしこに邪神を招き入れるために必要な陣を描いた形跡がある。

 

こういう陣は地下や天井裏とか限り無く人の出入りの少ないところを選ぶのがセオリーだっていうのに、私みたいなのがいるって分かってから焦ってるのかな?と考えながら陣の一部を傷付ける。

 

生憎と崇拝対象にされるのは御免だ。

 

それに崇拝する邪神は四大元素の「火」だ。私の親は四大元素の「水」だから対極の存在だよ。まだまだ、他にも苦言を申し入れたいけれど、彼らの崇拝する邪神は今二度と出会いたくないタイプだ。

 

そういう訳なので、彼らの事は無視する。

 

∀月ヰ日

 

今日はわりと平和だ。森人弓手さんの願った報酬、それは彼が「本当の」冒険を体験する事だ。神官ちゃんは青年剣士たちとも冒険してるから経験してるけど、私と彼はゴブリン退治だけだ。

 

まあ、私はティンダロスの猟犬に噛まれたりしながら蜥蜴僧侶さんにアプローチしてだけで満足しているんだけど、それも森人弓手さんからすれば人生の九割は損しているとのことだ。

 

べつに私は誰かに恋して子供を産めれば冒険なんて関わらなくても問題ないのだが、この世界は通貨の消費が異様に早いせいで冒険者を辞めるのも難しいけれど、もしもの時は錬金術なんかを使って金貨を複製してしまえば良いだけの事だ。

 

そう彼らに言ったら「その時は問答無用で憲兵に突き出す」という心暖まる言葉を貰った。

 

もっとも私の作った金貨を見分ける方法なんて最初から存在しない。ただ、その時が来ないことを貴方達は願えば良いんじゃないかしら?

 

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