とあるオタク女の受難(ゴブリンスレイヤー編)。 作:SUN'S
■月£日
彼に頼まれて作った魔力を帯びた短剣は、さも当然のようにゴブリンに投げられ、彼もそのまま短剣を放置して帰ってきたとのことだ。
あの短剣を作るために三日も徹夜したんだが、私の苦労はなんだったのだろうか。そう神官ちゃんに問い掛けると苦笑いを浮かべるだけで、何も答えてはくれなかった。
一応、あの短剣は構えるだけで炎熱を帯びる術式を刻みつけたのに、ちゃんと作った私が馬鹿みたいじゃない。
まあ、あわよくば邪神に捧げる魂だけを、こっちに引っ張り込めればとか考えてたけど。流石に頑張って作った魔法の短剣を、なんの躊躇もなく使い捨ての道具扱いされるとは思わなかった。
私は何をしてるんだ。
悲しい気持ちになりながら彼に頼まれた斬った分だけ切れ味を良くする魔法を短剣に付与し、彼の使う円盾に修復の魔法を付与する。
あまり深く考えるのは止そう。私は邪神へ捧げる魂を確保できれば十分だが、もっと欲を言えば魔物の肉体も邪神へ捧げたい。
■月ゐ日
いあ、いあ、むぐるうなふ
いきなり、錫杖で頭を叩かないでよ。
ほら、神官ちゃんだって地母神に祈りを捧げたりするでしょ?これは私の所属してる宗教の祝詞みたいなヤツだから叩かないでおくれよ。
ちょっと「地母神さまが止めなさい」って騒がしく訴えてるのは分かったから頭を叩かないで、このままだと馬鹿になっちゃう。
ほんの少しだけ邪神を呼び出して、悪魔だの魔神だのを食べて貰おうとしただけじゃないか。そう神官ちゃんに言おうかと思ったけど、また頭を叩かれそうだから黙っておくことにした。
それに私の讃え崇める邪神の凄さは語らずとも分かる時は来る。あと私は痛いのは嫌いだ。あの錫杖は思ったより痛かった。だから、余計なことを言って叩かれたくない。
私は被虐性癖ではない。
どちらかと言えば虐めるのが大好きだ。こんなこと神官ちゃんに言ったら引かれそうなので、絶対に言うつもりはないけど。
■月∈日
神官ちゃんに叩き起こされたかと思えば新しい奇跡を地母神から授かったそうだ。それは素晴らしいことだと思うのだが、せめて着替える時間を貰えないだろうか。
いや、地母神に認めてもらえて嬉しいという気持ちは分かっているつもりだ。私も宗教は違えど君と同じ神官だからね。
それにしても
ちょっと息抜きするために覚えた呪文でも使ってみようかな?等と考えながらゴルゴロスの肉体歪曲を使い、ほんの少し大人びた神官ちゃんへと肉体を作り替える。
ふむ、もっと胸は盛るべきだろうか?
そんなことを考えながら地母神の神殿を歩き回っていると何人かは神官ちゃんと勘違いしていたが、ほとんどの人はどす黒い気配を感じると言いながら錫杖でお腹や背中を突いてきた。
私ってどす黒い気配なのかと軽くショックを受けながらギルドに入ったら彼は首を傾げながら神官ちゃんと私を見比べている。
確かに初見だと見分けるのは無理だろうけど、流石に君は見分けるべきだろう?と言えば「そうか」と呟いたまま黙ってしまった。