第八話:ヴィラン襲撃!加速する悪意…
マスコミが起こした騒動から数日が経った。
今日の授業は特殊なヒーロー基礎学らしく、相澤から内容が話される。
「今日のヒーロー基礎学は俺ともう一人も含めての3人体制で教えることになった。
今回は色々と場所が制限されるだろう。故にコスチュームは各々の判断で着るか考えるように。」
「それと訓練場所はここから少しはなれている。だから移動はバスだ。準備は急ぐように…」
説明を終えた相澤は教室を出ていった。狩迅達は除籍の事などを考え、素早くコスチュームに着換え、校内バスへ向かった。
(忘れ物は………無いな、よし行くか)
「耳郎、忘れ物は無いな」
「あんたはウチの母親か…」
バスへ向かっている途中、確認した狩迅に耳郎がツッコむ。周りも見慣れた様子で見守っていた。
周りを見たら、全員コスチュームを着ており唯一着ていないのは修理が終わっていない緑谷だけだった。
「緑谷、怪我はもう大丈夫そうだな」
「狩迅君!うん、取り敢えずは動かせるよ。ギプスははめてるけどね。」
リカバリーガールに治してもらったそうだが、かなり怪我が深く体力の都合で完治とまではいかなかったそうだ。
「それよりも麗日さんから聞いたよ!かっちゃんと轟君を一人で倒したんだって?
すごいじゃないか!」
「私もすっごく驚いたよ〜!忍者みたいに二人を倒しちゃうんだもん!」
「ありがとう…だが単に相性が良かっただけだ。」
二人は自分に対して好印象を持ってくれているため少し嬉しくなった。
「それでも凄いよ!僕なんか、狩迅君に言われた事を実践してみてるんだけどなかなか上手く行かなくて…」
個性の話をする緑谷の表情はとても暗かった。
緑谷と同じように自分の個性に悩みを持っている狩迅は呟くように言った。
「俺も最初はお前のように力が暴走することが数え切れない程あった。
それに比べれば上出来さ。」
「狩迅君…うん、頑張ってみるよ」
「頑張ってデク君!応援しとるよ!!」
(妹と弟を持った気分だな…)
狩迅にはあの二人はどこか幼いところを感じ取っていた。
守りたい、そしてあの二人の成長を見届けたい。そう思っていた。
(他人を守る…か、俺があの時今ぐらいの強さがあれば…)
「おーい、何ボーってしてんの?」
そんな事を考えていると、耳郎が話しかけてきた。バスの出発まであと少し、急いで行こうとした瞬間、轟が話しかけてきた。
「狩迅、次は負けねぇ……」
「…………いつでも掛かってこい」
リベンジの宣言。轟には狩迅に対する闘争心が燃え盛っていた。
それ以外にももう一人………
(必ず、デク諸共叩き潰してやるッ!!)
爆豪もまた、狩迅に対して闘争心を燃やしていた。
「良し!みんな、きちんと出席番号順に並んでバスに乗り込むんだ!」
飯田は相変わらずだった。
「こういうタイプだったか……不覚!」
バスの作りに対して飯田は叫んでいた。てっきり左右に2席ずつが奥まであるタイプだと思っていたが、前部分は左右に座席があって向かい合うタイプだったのだ。
「意味ないね!」
「ぐおぉおあぁぉお!」
芦戸がトドメをさし、意気消沈の飯田。そんなのは関係なくみんなは会話を始めていく。
「私、思った事は口に出しちゃうの……緑谷ちゃん?」
「えっ!?…あ うん。蛙吹さん?」
蛙「梅雨ちゃんと呼んで?」
女子との会話が馴れていない緑谷は冷や汗を流しまくっていた。
「あなたの個性、オールマイトに似てるわね?」
蛙吹がそう言った瞬間、同時に緑谷が挙動不審になった。
「えっ!?そ、そうかな……何処にでもあるような個性な気も…」
「そうだぜ梅雨ちゃん。オールマイトは怪我なんかしねぇ。似て非なるものだぜ?」
切島の介入によって緑谷は冷静を取り戻したかのように動きが止まる。
そのまま切島が会話を続けていく。
「でも増強係の個性ってのは良いな。鍛えれば、やれる事が増えるだろ?俺の硬化は対人戦じゃ強いんだが、いかんせん地味なんだよなぁ」
「そ、そうかな?プロにも通用するかっこいい個性だと思うけど?」
そう言う緑谷に対して、切島は若干否定する。
「プロなぁ!けどよ、プロって人気商売みたいなとこあんだろ?そう思うと地味なのは致命傷なのかもな?」
「僕のネビルレーザーは威力も派手さもプロ並み☆」
「お腹壊すのは致命傷だけどね!」
飯田と共に青山も撃沈。
「派手さと強さってなんなら……やっぱ爆豪と轟と狩迅だよな!」
「けど、爆豪ちゃんはすぐキレるから人気はでなさそうね。」
「んだと!?出すわゴラァ!!こんな半分野郎と忍者野郎よりもメッチャ出すわぁッ!!!!」
「ほらキレる」
爆豪は二人に対して指を指しながら叫ぶが、蛙吹にまたも指摘されてしまう。
そんな中、葉隠が狩迅に話しかける。
「そう言えば聞くの忘れてたけど、狩迅君って体のどこかを動物みたいに出来るよね!尻尾も生えるし」
葉隠がふと気になっていたことを狩迅に質問する。
「俺の個性はとある伝説上の竜になれる個性なんだ。尻尾は針みたいなのが付いていてそれを飛ばして攻撃することができるし、変化させた部分は硬い皮膚に覆われている。
拳銃ぐらいじゃ痛みも感じない。刃も出せる」
「切島と尾白と飯田の上位互換じゃねぇか!?才能マンすげぇ…」
「ドラグーンヒーローのリューキュウみてぇだな…」
「ぐっ……」
それを聞いていた切島、尾白、飯田の三人は落ち込んでいるようだった。
「強すぎんだろ……」
「それで尚且斬撃飛ばせんだろ?最強じゃね?」
「驚きましたわ…」
「チッ……」
「………………」
全員がそれぞれの反応をしていおり、狩迅を見ていた。
「自信なくしちゃうな……」
「ジャンプ力も1700mぐらいだから、梅雨ちゃんよりも高いし、パワーも緑谷以上だよな多分…」
「流石だな、他を圧倒するその力…お前が全ての頂点に立つものなのか……」
個性が被っている組はまた落ち込んでいた。自分よりもできることが多く、尚且強力なのだから。そんな才能マンに息を呑む者が多数いた。
「でも、狩迅の全力ってどんくらいか見てみたくね?」
「確かに!どんくらいなんやろ…」
「街一つ破壊出来んじゃない?」
「いやマジであり得るぞ……」
上鳴に続き耳郎や切島、瀬呂などが狩迅の個性に話し合っていた。
「だがまぁ…強い個性でも、悩みの一つや二つはあるもんだ。今じゃそれなりに強いが、昔は暴走する事が多々あったし、この個性のせいで………」
「ッ……!」
その言葉に轟が反応した。彼もまた自分の個性に苛まれている一人なのである。
時は過ぎは、ようやく到着した。
『USJかよ!?』
巨大な遊園地の様な広いエリアが周りに広がっていた。
「いろんな災害の演習を可能にした僕が作ったこの場所…嘘の災害や事故ルーム、略してUSJ!」
『本当にUSJだった!?』
何人かその名前はまずいんじゃないかと思っていたが、あえて触れないでいた。
「スペースヒーローの13号だ!」
「私大好き!」
「分かったから静かにしろ。それより13号、オールマイトは?ここで落ち合う筈だろ。」
「それなんですが…」
二人がなにかヒソヒソ話を始める。その顔でなにかあったのか察した狩迅。
「もう良い、始めるぞ」
「分かりました。では始める前にお小言を一つ、二つ、三つ、四つ……」
『増えてる!?』
「皆さんご存知だと思いますが、僕の個性はブラックホールです。全てをチリにすることができ、災害現場ではそれで瓦礫などをチリにして人命救助を行っております。
ですが同時に」
ーー人を簡単に殺せる個性です。
『ッ!?』
全員がビクリと体を動かす。13号はそのまま続けていく。
「そして…この授業では各々の個性をどう人命救助に生かすのかを学んでいきましょう。君達の個性が他者を傷つけるだけの物ではない。その事を学んで帰っていってください。」
『はいっ!!』
13号の言葉に皆やる気を出しており、歓声をあげていた。
そんな中、突如として、それは起こった。
「ッ!?お前等!周りを警戒しろ!!」
反射的に狩迅は噴水の方向へ顔を向けていた。
「狩迅!?」
「オイオイ、どうした?」
突然の叫びに切島と瀬呂が反応した。突然噴水の近くに、謎の黒いモヤが現れ、そこから出てきたのは、"ヴィラン"だった。
「なんだあれ?もう始まってるパターン?」
「動くな!!あれは………ヴィランだ!!」
『え!?』
相澤がそう言うと全員が噴射の方へと目を向けた。
「なんでヒーローの学校にヴィランが来るんだよおぉぉぉおお!!??」
「どっちみち馬鹿だろ!?ここはヒーロー学校だぞ!」
「やはり、あのマスコミ共はあいつらの仕業か…」
そんな中、顔と全身に手を付けた異質な人物が周りを見渡したあと首を傾げた。
「おい…オールマイトがいないぞ。子供を殺せば来るのか?」
「13号!お前は生徒を避難させろ!上鳴は学校へ連絡を試みろ!」
戦闘態勢をとる相澤。今にもヴィランの方に飛び出そうとしていた事に気づいた緑谷が止めようとする。
「待ってください!イレイザーヘッドの本来の戦い方だと、あの人数は!」
「一芸だけではヒーローは務まらん!」
それと同時に相澤は飛び出し、ヴィランと交戦する。
それを黙ってみてるほど狩迅は大人しくはなかった。
「がぁぁぁぁあああああ!!!」
両腕、両足を迅竜化させ、尻尾も生やし戦闘態勢を取る。
(やる気だ、狩迅君!)
底が見えない狩迅が本気を出す。その意味が分かったクラスメイトは次々と行動を取る。
(あの時と同じ結末へは、辿り着けさせない!)
悪夢が始まる………………
今回はここまで!次回から脳無との戦闘だと思います。
いよいよ狩迅の全力が見れますでしょう。
それではバイナラー