『はじめまして……我々は敵連合と言います。そして単刀直入に言いますと、我々の目的はオールマイト……』
ーーー平和の象徴の殺害でございます。
『は?』
A組全員がその言葉を理解することができなかった。
平和の象徴は言わば、ヴィランに対しての抑止力でもある。そんなオールマイトを殺害するために学校に奇襲を仕掛ける。
そんな事を実行するのがいるなんて誰が想像できただろうか。
『しかし………肝心のオールマイトはいらっしゃらない様子。仕方ありません………
ならばまずは………』
黒霧の目線が13号に変わった。どうやら13号を狙い陣形を乱そうとしているらしい。
狩迅はそれをいち早くに察知し、先手を打った。
「敵を仕留めるとき、複数人の場合は目線を動かさないほうがいいぞ…」
十字鎌鼬を放ち、ヴィランに直撃したかのように見えた。だが実体が無いからかダメージを与えることには失敗した。そしてすかさず爆豪と切島が攻撃を仕掛けた。
「死ねぇえええええッ!!!」
「どりゃあぁあぁぁあ!!!」
だがその攻撃は空を切り、当たることはなかった。
『危ない危ない……流石は金の卵達。だが所詮は………卵』
ーー散らして、嬲り殺す。
そんな言葉とともに黒いモヤが狩迅達を包み込んだ。
(間に合わないか!)
「チィ!」
狩迅は近くにいた上鳴と八百万、そして耳郎を抱え、そのまま黒いモヤに包み込まれてしまった。
狩迅達が運ばれたところは山岳ゾーンと呼ばれる訓練場所だった。
「なに…どうなったの?」
「悪いがそれに答えてる暇は無さそうだ。」
周りには敵連合の一味と思える連中に囲まれていた。
「おっ?来た来た!」
「やっと出番だぜ!」
ヴィランに囲まれていることに恐怖した上鳴は思わず声を上げてしまった。
「えぇえ!?囲まれてんじゃねぇか!?」
「かなりまずい状況ですわね……」
「最初から分断が目的だったわけか!」
「平和の象徴の殺害とは…大きく出たな敵連合!」
「おい狩迅どうするよこれ…」
「囲まれていますわ!」
「個性も分からない…かなり不利だよ…」
「相澤先生みたいなのがいなければ問題無い。伏せていろ!」
狩迅は考えると、20人以上いたヴィランを一瞬で片付けた。
目にもとまらぬその速度、ついて行けるどころか目で追うことすら出来ないだろう。
『な!?』
その出来事に三人は驚愕していた。あれだけのヴィランが狩迅の手によって瞬きする間に倒されていたのだ。
「俺は一旦みんなの所に応援に行く。三人は待機していてくれ。」
「ウチらも行く!足手まといにはならない!」
「お前に任せっきりは後でみんなに馬鹿にされちまう!」
「その通りですわ、私達なら!」
狩迅のそばには月白色に輝いているオーラのようなものがついており、神々しい姿になっていた。
「俺に…任せて欲しい。」
三人は諦め、狩迅の言葉に静かに頷いた。それを見届け、すぐに行動に移った。
刹那…耳郎達の視界から彼が姿を消した。
周りからヴィラン達の悲鳴やうめき声が聞こえてきた。恐らく原因は狩迅で間違いないであろう。
この一瞬で全てのフロアに行き、全てのヴィランを討伐していたのだ。
「なんだ!?いきなり倒れてッ!?」
「おいっ!どうなってる!?」
ヴィラン達の親玉であろう二人も困惑を隠せないようだった。
『雄英を襲うと言うことは、覚悟は良いんだな!』
「ッ!?」
「敵連合!!」
「てめぇッ!!」
「ここで捕らえる!」
「チッ!やれ脳無!!あのガキを殺せ!」
二人の間には、脳がむき出しになっている黒い巨体の男がたたずんでいた。
その脳無と言う男は死柄木の言う言葉聞き、狩迅に突進していった。
「あいつだけ異様に様子がおかしい、やるだけやるか…」
狩迅は脳無を最大限警戒し、月迅竜の状態で腕を迅竜化させ全力で殴った。
「………………」
「ッ!?急所を外したとはいえ…まさか!?」
「当たり前だ…脳無にはショック吸収がある。やるだけ無駄なんだよ!」
「これまた厄介な奴めッ!」
狩迅が死柄木に目を移したその刹那だった。戦いの最中によそ見をしてしまうという、
油断をしてしまった。脳無は目にも留まらぬ速度で狩迅を殴り、壁に衝突させた。
「うごぁっ!?」
「狩迅君!?」
「あの馬鹿、突っ込んでいきやがって!」
(何が…起こった。あの敵に、殴られた?だとしたら、たった一発で…まずい意識が…)
脳無の猛攻は止まらない、周囲から爆豪や轟、切島に相澤がやってきて攻撃をするがまるで効いてない。
「そうだ…ムカついたから他の連中を殺して、絶望させてから嬲り殺しにしてやろう!オールマイトも含めてなぁ!まずは………あの緑色のガキをやれ!首を吹きとばせ!」
死柄木は大笑いしながら緑谷を指差した。
「まさか…逃げろ緑谷!」
「緑谷ぁぁぁぁぁ!!」
切島と峰田が緑谷に逃げるように叫ぶが、それも意味を成さない。その黒い悪魔は刻一刻と迫ってくる。
(緑谷…………詰めが甘いのは俺か…体が動かねぇ…動けよ、何一発だけで死にかけになってんだ…もうさせないんだろ…誰も…)
脳無が緑谷に近づき、首を吹き飛ばそうとする。誰もが緑谷の死を確信した。だが、瀕死だったはずの男はそうはさせなかった。
「させねぇよ…俺はあの時に誓ったんだ…もう誰も、俺の視界から消えさせねぇってよ」
緑谷に脳無の攻撃が当たる寸前、狩迅が前に出て攻撃を両腕で止めていた。
「狩迅…君…」
狩迅には体中に白い紋章が出てきており、色々な情報に緑谷は頭がついていかなかった。
「まだ動けんのかよ…このチート野郎!もういい殺れ、脳無!」
「俺は、誓ったァッ!」
「来てみろ…ヴィラン、俺は決して跪きはしせんぞッ!」
その瞬間、狩迅と脳無の真正面の攻防戦が開始される。
「エィアアアアアアア!!!!」
「風圧が、こっちまで!」
「すっげぇ!?」
(あの傷で、更にリミッターを…あの個性把握テストの時の白い姿にならないのは、きっと…体力が持たないからッ。いつ気絶してもおかしくない。それなのに…)
「僕達を、命掛けで守るために!」
「オールマイトから習った、ヒーローはいつだってピンチを乗り越えていくってな!」
狩迅は脳無を膝蹴りで真上に飛ばし、更に追い打ちで一気に地面に叩きつける。
『ッ!?』
「ヒーローに変わって言わせて貰おう!」
「Pulse Ultraを!」
『死柄木弔!これでは……』
「なんでだ…なんで脳無にそこまで食い下がれんだ!」
「これで、終わらせる!」
渾身の一撃、それは脳無のみぞおちに深く入り死柄木のそばまで吹き飛ばした。
「脳無!このクソチート野郎が!」
「ですが、あの学生は瀕死のはず…今のうちにトドメを!」
「いつまでも忍者野郎によそ見すんなぁ!」
爆豪がすぐさま飛びかかり、黒霧を捕らえる。
「黒霧!クソッて…なんだよこれ!」
『させねぇよ』
爆豪と同じく、轟と相澤が個性を使用し、死柄木を止める。一見これで勝ったかのように見え、みんなが安心していると、死柄木の後ろから狩迅が倒したはずの脳無がゆっくりと立ち上がってきた。
「いい忘れてたけどよ、脳無には超回復もついてんだ。残念だったなぁ」
再び絶望に叩き落される。もう希望は無い…全員が、そう思っていた。
「脳無…あのガキを殺せ!」
脳無が再び狩迅に襲いかかる。そこに一人の少年が立ち上がる。
「彼に………触るな!」
緑谷は脳無に攻撃を仕掛ける。フルカウル、限界を超えた20%…脳無に効かないことぐらい分かっている。けれど、緑谷は行動せずにはいられなかった。
「ありがとよ…緑谷。だがその心配は大丈夫だ。」
「やってください…オールマイト…!」
刹那轟音と共に脳無がまたも吹き飛ばされた。
「みんな、おそくなってすまなかった。もう大丈夫…」
誰もが聞いたことのある平和の象徴の決め台詞、ハッとその声を辿る。
「私が、来た!」
いつもの笑顔では無い、怒りが溢れているオールマイトの姿がそこにはあった。
「遅いですよ。あとは…頼みました。オールマイト…」
「勿論だ…緑谷少年も爆豪少年も轟少年も、全員よくやってくれた。」
「さぁ、始めようか……」
そこからは脳無とオールマイトの激しい攻防戦が狩迅に続き、行われた。
両者互角、だが脳無には戦闘力はあっても戦略性は無い。徐々にオールマイトに押されていき、最終的にはPulse Ultraの声とともに脳無は吹き飛んでいった。
「全盛期だったら4発で終わっていたものが、300発以上も打ってしまった。」
死柄木と黒霧は爆豪と轟の包囲を解き、オールマイトに迫っていった。脳無との戦闘で
限界を迎えていたが、飯田が呼びに行った雄英の教師達によって反撃が開始される。
「1年A組学級委員長、飯田天哉…ただいま戻りました!」
死柄木と黒影を除く敵連合は壊滅させられていった。
「オールマイト…次はあのガキと一緒に必ず殺してやる」
死柄木はそんな事を吐き捨てて、黒霧の個性によって去っていった。こうしてUSJ事件は幕を降ろすこととなる。悪意を残したまま……
大きく話を改変させてもらいました。以前の方が良いという方は申し訳ありません。