「………………」
試合が開始されるが両者、微動だにしない。互いに様子を伺っている。それが十秒程経った頃、爆豪が先手を打った。
「今度こそ、潰す!」
爆豪は狩迅に突進していく。まずは右の大振りだと思っていた狩迅はすぐにガードの態勢に移り、警戒する。
「ッ!」
予想は外れた。そのまま攻撃するかの様に思えたそれは、戦闘訓練の緑谷戦の時の様にフェイントを仕掛け、瞬時に後ろに回り込みながら攻撃する。
「死ねぇぇぇぇぇ!!!」
「チッ…亜種羅!」
狩迅は直ぐ様亜種羅に形態変化し、ダメージを軽減させる。そして爆豪はふと、とある事に気がつく。狩迅の背中が自分の爆破で傷を負っていた。
「てめぇ…あの鳥野郎と同じで暗い所で力が増すタイプか。だからあの時脳無に一発で殺されかけた訳か。」
「御名答、俺の個性は夜行性なんでな。」
「それともう一つだ。てめぇはデクと同じで狭い場所や立体的な空間の方が専門だろ」
「どこまで読み取ってやがんだ…」
「単純だ。てめぇは戦闘訓練以外の時じゃあ動きが大雑把だったからな。」
狩迅は暗く、そして狭い空間などによって最大のパフォーマンスを披露できる。だがそれを逆に言ってしまえば、それが一つも当てはまらなければ圧倒的に不利だと言うこと。
そして相手は戦闘に関してはセンスの塊である爆豪。狩迅は開始数秒にして窮地に立たされていた。
(迂闊には攻撃できんな…だがやるしかない。)
「鎌鼬!」
「オラァ!!!」
狩迅は一旦距離を取り、遠距離から攻撃を仕掛ける。爆豪は素早く反応し、相殺する。
「甘い!」
爆豪の放った爆破の影響でできた煙幕を利用し死角から横薙ぎの手刀をくり出す。爆豪は持ち前の反射神経でバックステップで躱す。
「クソがッ!!」
「この程度じゃ当たらねぇか…」
「あん時みてぇな失敗はしねぇって言っただろうがッ!」
爆豪は左手を開き、その中心に丸を作った右手を乗せると言う不可解なポーズを取った。
「徹甲弾!!」
「新技ってやつか。」
狩迅は両腕を迅竜化させ、攻撃を防ごうとするが…
「がッ!?」
予想以上に威力が高かった。幸い怪我は無いが相当なダメージである。
(おいおい、冗談だろ?腕が痺れてやがる………!?)
「ちったァ効いたみてぇだなぁ?」
「威力を丸めた手で一点に集中させ、貫通力に優れさせたような物か。」
「デクだけじゃねぇよ。強くなってんのはよォ!つってもデクは俺の足元にも及ばねぇがなぁ!!」
「徹甲弾……厄介な」
「まだだ!!徹甲弾 機関銃!!」
先程の徹甲弾のような物が無数に飛んでくる。威力はあれ程では無いが、それでも充分殺傷能力はあった。狩迅の体には少しづつ切り傷ができ、押され始める。
「さっさと使えよ…あの白いのをッッ!!」
(緑谷や他の奴らもだが、急成長が過ぎるっ!?オマケに爆豪は気付いてねぇかも知れないが、俺は雷や爆発とかの光系の個性には弱いんだよ………!)
狩迅の個性である迅竜は一見無敵の力の様に思えるが、実際ちゃんと弱点は存在する。
麻痺や毒、ミッドナイトの眠気を誘う個性とも相性が悪い。特に爆破と雷系は最悪である。
何故そんな物が苦手なのかと言うと、モンハンの公式サイトを見よう。そんなこんなで意外と弱点は多い。何が言いたいかというと、狩迅は爆豪との相性は最悪であるという事。
「チィッ!!」
飛んでくる爆豪の放つ徹甲弾 機関銃を腕で薙ぎ払い、反撃しようとするが、そこに爆豪の姿は無かった。
「ッ!?嚇眼!」
狩迅は嚇眼を使い、爆豪の居場所を特定しようとする。
「後ろか!」
勢い良く後ろに振り返るが、爆豪は既に攻撃の態勢で直ぐ側までやって来ていた。
「気付くのが遅せぇよ…」
「しまっ………」
「閃光弾ッ!!」
爆豪が声を上げると凄まじい光が辺りを照らした。観客席にいた緑谷達でさえ目を瞑る程。
近くにいた狩迅は当然目を開ける事は愚か、平衡感覚も失っていた。
「いくらてめぇでも、目が見えなきゃただのモブと同じだ!!」
「それに多分だが、嚇眼は目を酷使するから当分は使えねぇ!俺の場所を特定する事もできねぇだろ。」
「考えたな…畜生!」
「これで終いだ!!」
爆豪は個性を応用し、空高く飛び上がる。一方狩迅は場外ギリギリだった。
ーーーー 観客席 ーーーー
「かっちゃんが……狩迅君を、本当に!!?」
緑谷だけでは無い。A組全員が爆豪の勝利が間近に迫っていた事を予感していた。
治療が終わっていた八百万と轟と常闇も居合わせていた。
(まさか…狩迅さんが……)
(…………)
「何故、白銀の姿にならない…狩迅!」
(…………)
轟と耳郎は黙って狩迅を見ていた。圧倒的不利、状況も覆るはずも無い…だが何故か心の中に、心配の二文字は無かった。
ーーーー
「俺の……勝ちだァァァァ!!!!」
爆豪が爆破で回転しながら突進してくる。狩迅は少しだけ目が見えて来た。だが未だに平衡感覚が戻らない。
「榴弾砲着弾ォォォォォ!!!」
(場外は……もうすぐ後ろ、万事休すってやつか。)
あと数秒で負ける。そんな事は分かっていた。だが狩迅の心は恐ろしく穏やかだった。
(まったく……調子に乗りやがって…自分が一番強いと思って疑わない。)
ようやく平衡感覚が戻ってきた。まだ若干頭は痛むが問題はない。
(いつも、誰もが自分より下だと思って仕方がない。そんな奴は何時まで経っても成長出来ないって昔本で読んだな。)
爆豪はいつも世界中の人が、自分には及ばないと考えていた。
(そんな奴の治療法を昔習った。単純明快……)
爆豪は緑谷、そして狩迅に一度敗れている。それを挽回するために爆豪は戦っている、
もう一度二人を自分より下にする為に。
(一回…その自尊心をボロボロにしてしまえば良い。)
だがしかし、その自尊心をもう一度破壊されたらどうなるだろうか。答えは簡単。
(数日は凹むだろうな…)
「くたばれェェェェェェェッッ!!!!」
爆豪の攻撃が見事ヒットする。煙と埃が舞い上がり、狩迅の姿は見えない。
「やったか………チッ…納得いかねぇ。」
戦いの結果に満足しない爆豪、煙が晴れ姿を現す。
『迅竜……かつて人類が今の様な大きな文明を持っていなかった時代…』
「ッ!?」
『人類の天敵がその一つ。雷狼竜ジンオウガ、火竜リオレウス、角竜ディアボロス、泡狐竜タマミツネ、全てを合わせ百以上にもなるその巨竜達。名だたる狩人が束になっても…ただただ屍を増やすだけだった。そして最も恐れられた竜の一つ、それは闇に潜み…紅き眼光で、正確にそして確実に人の首と胴を泣き別れにさせた。』
『人々はそれを恐れ、こう名付けた…』
『闇に走る赤い残光…迅竜ナルガクルガ……ってな…』
「聞いてねぇぞ………おい……」
姿を現したのは、狩迅では無く…かつて人々を恐怖のどん底に叩き落した一匹の竜だった。
ーーーー 観客席 ーーーー
「なんだあれ!?」
「竜!?」
「ドラグーンヒーローのリューキュウと同じタイプか!!?」
「あれが…狩迅君の全て………」
「でっかい………」
「嘘だろ…!?」
「それがお前の内に潜む、黒き獣神か……」
全員が狩迅のその異質な存在感に目を奪われた。そして飯田が妙な事を言い出す。
「なぁ…みんな、何故か分からないが…体が震えるんだ……気温は普通のはずだろ?……」
「偶然ですわね…私もです……」
「わ…私も……」
人間には、太古から人間が植え付けた"本能"と言う物がある。母親が自分の子供を愛くるしいと思う、これは母性本能…男は死の寸前、種を残そうとし体中が興奮状態となる、これも本能。今彼らが感じ取っているのは、大昔から人を貪ってきた竜に対する逃走本能である。
ーーーー
『大抵の奴はこれを見て逃げ出すんだが、流石と言わざるを得んな。俺の本当の姿はこっちだ…爆豪。』
「な…めんな……」
そうは言うが、内心爆豪も恐怖で震え上がっていた。目の前にいるのは人間ではない。
人類の天敵の、竜である。人一人が相手して良いレベルでは無い事は爆豪自身、よく分かっていた。
(ここで引いたら…今までのもん全部否定する事になる。んなこと…)
「許せるかァァァァァァァァァ!!!」
爆豪は恐怖を抑え込み、狩迅に攻撃を仕掛ける。
『第2ラウンドだ……』
その目は酷く冷徹に、獲物をとらえていた
因みにナルガの戦闘力的には 嚇眼→亜種羅→嚇眼&亜種羅→月迅竜→ナルガクルガ→白疾風→極み駆ける ですかねー
オールマイトの7割ぐらい。ただメリットデメリットを上げるとするなら
メリット:月迅竜、白疾風、極み駆けるを上乗せできる。体力消耗が少ない。
デメリット:手加減が下手。狭い場所じゃ戦えない。軽い暴走状態になる。