闇を駆けるヒーローアカデミア   作:シロロ少尉

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今回はお話をギュウギュウに詰めております、ので、話が結構ゴッチャになってます。あまり、ここどう言う事?みたいな感じじゃなくてお気楽に読んでみてください。


第十八話:決着

『だがまぁ…中には古龍とか言う化け物もいるがな』

 

 

「クソがァァァァァァ!!!」

 

 

爆豪はいきなり麗日の時の様に最大火力を連続で放つ。それは見事狩迅に直撃するが、

 

 

『痛ぇなぁ……あまりそう急かすな、この力には慣れてねぇんだ』

 

 

「ふざけ…やがってぇッ!!」

 

 

皮膚が少し焦げた程度のダメージで、なんら問題はない。

 

 

『次はこっちからか?ちゃんと防いだ方がいいぞ…』

 

 

爆豪はすぐに警戒態勢を取り、ニ歩、三歩と後退る。

 

 

『無駄だがな…』

 

 

刹那、狩迅の姿が見えなくなる。その巨体に見合わない途轍もないスピードで爆豪を蹴散らす…地面に這いつくばる爆豪を尻尾で叩きのめす。圧倒的有利…なのにも関わらず、全くと行っていい程容赦は無かった。狩迅は血反吐を吐く爆豪をただただ打ちのめして行く。

 

 

『伊達にドラゴンじゃねぇんだよ』

 

 

「うごぉあ!?」

 

 

(一切の躊躇無しか、クソがぁ……)

 

 

爆豪は半ば勝つのは無理なのでは、ここは諦めて降参した方が良いのでは…と言う言葉が脳裏を横切った。それを一番許せないのは爆豪自身、叩きのめされながらも少しずつ立ち上がる。

 

 

『まだ…立つか』

 

 

「どうしたよ…これ程度かぁ?大した事無さ過ぎてあくびが出るわァ……」

 

 

『その勝利に対する執念は認める…終わりだ。』

 

 

狩迅の攻撃が迫ってくる。あぁは言ったが実の所指一つ動かない、敗北…この二文字が目の前にハッキリと見えた。爆豪はゆっくりと両腕を前にし、最後の力を振り絞る。

 

 

『ッ!』

 

 

「俺は…オールマイトを超えるヒーローになる男だ……」

 

 

その刹那…爆豪の手からこれまでに見たことの無いような光が放たれる。その威力は最大火力の比ではなく、下手したら緑谷の100%並かもしれない。イタチの最後っ屁と言うやつだろうか…爆豪はそのまま倒れ気絶した。

 

 

『……………根性は、麗日並だな。』

 

 

『ミ…ミッドナイトォ』

 

 

珍しく力が無い声でプレゼントマイクがミッドナイトに勝敗の結果を審判させる。

 

 

「えぇ、爆豪君戦闘不能!狩迅君、決勝戦進出!」

 

 

狩迅は人間の姿になると、頭を抱え呟いた。

 

 

「本当に…痛ぇなぁ……」

 

 

ーーーー 観客席 ーーーー

 

 

「あの姿は…」

 

 

「飯田君知ってる?あの大っきい猫…」

 

 

「猫かどうかは知らないが…分からないな」

 

 

「じゃあこう言う時はヤオモモ!お願い!」

 

 

全員が八百万の方へ視線を向ける。狩迅のあの姿の正体について、詳しく知りたいのだろう。

 

 

「昔、書物で見たことがありますが、大昔に生きていた事以外よく分かりませんわ…お役に立てれず申し訳ありません。」

 

 

「別に良いって。でも、ホントに何なんだろ…」

 

 

「闇に走る赤い残光…って言ってたな……何か光と関係があるのか?」

 

ーーーー

 

狩迅と爆豪との試合が終わり、残るは決勝戦である緑谷と狩迅の試合だけ、会場の観客も待ちきれないといった様子だった。

 

 

『これまで数々のプロを驚かせ続けた二人の戦いが、今始まる!余計な言葉はいらねぇ…決勝戦、健闘を祈るぜぇ?最強の卵共!!』

 

 

緑谷と狩迅がステージに上がっていく。緑谷はあきらかに緊張している事が分かる。一方狩迅はと言うと、酷く冷静だった。まるでこう言う場面に慣れているかのように。

 

 

会場は決勝戦だが、恐ろしい程静かだった。

 

 

「二人共しっかりやりなさい!決勝戦、始め!」

 

 

試合が始まる、両者はまだ動かない。

 

 

(向き合っているだけで…体が震える…)

 

 

緑谷が警戒していると、狩迅が急に語りかけてきた。

 

 

「今日はいい天気だ…程よく雲がある」

 

 

上を向きながら、緑谷に話しかける。緑谷は狩迅の意図が分からずにいた。

 

 

「………………悪いな、聞き逃してもらって構わない。俺も緊張してるんだ。」

 

 

「傍から見たら、結構冷静に見えるよ…」

 

 

「そうか…」

 

 

『………………』

 

 

しばらくの沈黙が流れる。その時は酷く長い様に感じ、中には数時間待ったんじゃないかと錯覚する者もいた。

 

 

「始めるか、緑谷。」

 

 

狩迅はそう言うと軽く構えを取り、戦闘態勢になる。

 

 

(遂に始まる…僕なんかが、狩迅君に勝てるのか?八百万さんや常闇君を簡単に倒して、挙句の果てにはかっちゃんまで…でも、ここで引いちゃ駄目だ…ここで…引いちゃ…!)

 

 

緑谷は酷く焦っていた。これまでヒーローやクラスメイトの事を研究して来た彼でも、狩迅の個性を理解しきっていない。攻めるか、守るか…緑谷は迷っていた。戦いの中で起きる迷いは、足を引っ張る物でしかなく命取りでもある。

 

 

その瞬間、狩迅から恐ろしい程の殺気が放たれ、激しい風が起こる。

 

 

「迷いが生じているな…」

 

 

緑谷から冷や汗が止まることは無かった。そのプレッシャーに押し潰されそうになるのを必死で堪える。

 

 

ーーーー

 

 

観客席には、治療から戻った爆豪もいた。

 

 

「この殺気…」

 

 

「これがたった一人の人間が放つ殺気かよ…クソがッ…」

 

 

「緑谷君……」

 

 

飯田と麗日は緑谷の無事を祈り、手を握り締める。

 

ーーーー

 

「あの姿になると、しばらくの間好戦的になってしまうんだ。なんとか殺気を抑えたいんだが……そんな事はどうでもいいか………今度こそ始めるぞ」

 

 

「……行くよ。」

 

 

「あぁ、来い。月迅竜…」

 

 

先制攻撃は緑谷だった。最初はMAXの20%ではなく、5%からだった。狩迅に何度も殴りかかるがガードすらしないし痛そうな素振りを見せない。ならばと次は8%、これも少し体が動いただけで殆どダメージは通らない。12、13%と上げていき、15%でようやく腕を使わせた。だがたかが腕一本、これだけで全ての攻撃を受け止められた。

 

 

『緑谷の怒涛の連続攻撃!だが対して狩迅は涼しい顔して簡単に受け止めていやがる!地面が既にクレーターが空き、突風も吹いてるぞ!?やっべぇ!!』

 

 

「……………」

 

 

「やっぱこれ程度じゃ、本気を出してくれる訳が無いか…なら!」

 

 

緑谷は体中に力を行き渡らせ、そして解放する。今の自分の最大、MAXフルカウル20%を…周りには緑色の雷のような物が飛び交っており、これから大激突が起きるのは火を見るよりも明らかだった。そして向かい合う二人…

 

 

『………………』

 

 

これで何度目だろうか、またもや沈黙の時が流れる。刹那、緑谷が攻め始める。拳を前に出し、狩迅を場外に押し出そうとするが、狩迅は攻撃を受け流し超スピードの戦闘を展開する。

 

 

攻撃がぶつかり合う度、ステージ全体から爆発と雷が起こる。二人の速さは最早人間の目にとまるものでは無く、緑色の彗星と白色の閃光の様な物がぶつかり合っている様に見える。途中途中で少し見える時もあるが、すぐに消え別の場所に移動している。

 

 

(速いッ……追いつけない!それに狩迅はあれだけのスピードを出しているのにまだ平然としてる…全力を出し切っていないんだ…!)

 

 

速さに関してなら狩迅に分がある、最初は飯田並のスピードだと思っていたがそれを遥かに超越していた事に緑谷は驚愕する。

 

 

 

緑谷が何度も攻撃をしようとしても、狩迅はそれを簡単に受け流す。走る度に地面にひびが入る

 

 

(本当に底が知れない…)

 

 

二人はステージ中央に着陸し、足を一歩も動かさない純粋な真正面からの殴り合いを展開する。

 

 

「ぐっ……!!」

 

 

狩迅「……………」

 

 

ーーーー 観客席 ーーーー

 

 

「互角……なのか?」

 

 

「そうっぽいな」

 

 

二人以外にも、1Aの何人かは狩迅と緑谷がかなりの接戦をしていると思い込んでいる。

 

 

(あの野郎…どこか妙に様子がおかしい。)

 

 

ーーーー

 

「デトロイト、スマッシュ!」

 

 

「ッ…」

 

 

緑谷の一撃が狩迅に深く刺さる、流石にダメージはあるように見えるがそれでも顔一つ動かさない。緑谷にはそれが、とても人間とは思えなかった。まるでもう一つの人格があるかのように思えた。

 

 

(なんだ…この違和感は……何かが崩れているように感じる。狩迅君の何かが…)

 

 

戦っている緑谷にはその正体は分からずとも、何か大切な物だと言う事は理解していた。緑谷は一度距離を取り、今度はこっちから話しかける。

 

 

「迷っているのは…君なんじゃないの?」

 

 

「………何故そう思う」

 

 

「分からないよ…分からないけど、何故か感じるんだ。それに…今の君からは少しも殺気を感じないからね」

 

 

「………勝負に余計な私情は持ち込むな…」

 

 

狩迅はそれだけを言うと再び緑谷に襲いかかる。緑谷はすかさずガードをするが、その上からでも通ってくる程の威力…そのまま殴り飛ばされ、場外付近にまで後退してしまう。

 

 

「真空波!」

 

 

「スマッシュ!」

 

 

二人の衝撃波が互いを相殺し、爆発が巻き起こる。ステージは嵐が通っているかのように崩壊している。

 

 

「やっぱりだ…あの姿になってから、君はいつもの君じゃなくなってる、無口だし、どこか余裕が無さそうにも見える…一体何が君をそうさせてるの…?」

 

 

緑谷が狩迅に問いかける。一緒にいた時間はほんの数ヶ月、だが情に厚い緑谷には分かっていた。狩迅は観念したかのように言葉を吐き出す。

 

 

「轟や心操と一緒だ。俺も過去に因縁があるんだよ…俺はこの個性のせいで周りからいつも後ろ指を刺されて来た。唯一の俺の味方だった母がヴィランに殺されたとき、周りは殺したのは俺だと、ある事無い事言われて虫唾が走った。俺は思うんだ…本当に恐ろしいのはヴィランなんかじゃ無く、泥沼に落っこちた人間を寄ってたかって袋叩きにする善良な市民何じゃないかってな。」

 

 

「ッ………」

 

 

「友だと言ってくれた人間も、あの姿を見て俺を化け物だと言って袋叩きにして来やがる。俺は、嘘をつくことが出来ない人間だ。もう…失いたくなかったんだよ…だが時々、俺じゃない何かが…俺を支配しようとしているのを感じるんだ。爆豪との試合も、あまり覚えていない。」

 

 

拳を固め、どこか悲しげな表情になっている狩迅が緑谷の目に映った。

 

 

「今は、とある人に拾われてここまで来れた。だけどよ、俺は怖かったんだ…お前らが、どこか遠くに行ってしまわないか……」

 

 

「………………」

 

 

緑谷はどの言葉を選べば正解なのか、分からなかった。緑谷自身も自分が無個性だからと言われ、同級生から馬鹿にされてきた。それでもやってこれたのは親が自分を励ましてくれて、オールマイトが選んでくれたからと言っても過言じゃない。対して彼は、親代わりはいるが、本当の親はいない…味方がいなかった、世間が敵だった。

 

 

(僕は……)

 

 

弱々しい声で、狩迅が緑谷に語りかける。

 

 

「今度はこっちが質問させてくれ。お前は、あの姿を見ても尚……俺を友と呼んでくれるのか?」

 

 

緑谷が言う言葉はもう既に決まっていた。

 

 

「君がいったいどんな過去を過ごして来たのかは、僕には理解しきれないと思う。

だけどさ…それで君を見捨てる程、僕達弱く見えるかい?」

 

 

「君は君だ。醜くも無いし、僕は君の事を信じるよ。友達だから…」

 

 

狩迅はその言葉を聞いた瞬間、母の言葉を思い出す。頬を何かがつたったのを感じた。ずっと誰でもいいから自分に言ってほしかった。その言葉を何年も待っていた。そしてようやく会えた、母以外に自分を理解してくれる人に…

 

 

「轟といい爆豪といい、本当にお前は人の心に……」

 

 

狩迅から流れる白いオーラがだんだんと輝いていく。

 

 

「眩しいや……」

 

 

「戦いの最中のクセして…」

 

 

ーーーー

 

「あの姿は…!?」

 

 

「個性把握テストん時の……」

 

 

「眩し!?」

 

 

(デクなんざに使いやがって……クソが……)

 

 

ーーーー

 

 

狩迅が白い光に包まれていく、狩迅が立っていたところには光の柱がそびえ立っていた。

それを見ていた者は、神でも降臨したんじゃないかと錯覚してしまう。それ程の気迫があった。そして緑谷だけに聞こえるような小さい声で囁く。

 

 

「展開が早すぎんだよ……だがまぁ…ありがとよ…」

 

 

緑谷はワンフォーオールを100%まで引き出し、最後の一撃を放とうとする。狩迅も全身全霊の最大最高の一撃を緑谷に向ける。

 

 

『おい!やべぇってこれ!?止めたほうが良いんじゃねぇか!?』

 

 

『その方が合理的だろうが、俺はヒーローとして…何よりも教師としてこの戦いを見届けたい。セメントスもミッドナイトも止めることを忘れてるぞ。』

 

 

尋常ならざる被害が出る事は分かっていたが、誰もあの二人を止めようとは思わない。

この勝負の結末を知りたいのだ。

 

 

「僕の全てを持って…君を倒す!!」

 

 

「かかって来やがれッ…!」

 

 

緑谷が決死の覚悟で足を100%にして飛びかかる。狩迅も同様足を迅竜化させ、飛びかかる。お互いにこれが最後の一撃だろう。

 

 

「デトロイト……スマァァァァァッシュゥゥゥゥゥゥゥッッッ!!!!」

 

 

「スパイラル……」

 

 

狩迅の刃が白く光り、目が真紅に染まる。その刹那、轟音が響いた。通常の何倍も速く地を駆けて行く。

 

 

「ウオァァァァァァァァ!!!」

 

 

「エッジ……!」

 

 

二人がぶつかった瞬間、凄まじい衝撃波が起こり観客席にまで被害が出ていた。埃が舞い上がり両者を包み込む。

 

 

ーーーー

 

 

「脳無の時以上だ!?」

 

 

「風圧がこっちまで!!」

 

 

「髪の毛がー!すっごいぶわぶわに!?」

 

 

「葉隠ちゃん…見えないから安心してちょうだい。」

 

 

風圧は会場全体にひびを入れる程凄まじく、観客席にも被害が出ていた。特に峰田のような身長が小さい者は吹っ飛びかけている。

 

 

「け…結果は!?」

 

 

「緑谷君!狩迅君!」

 

 

ーーーー

 

 

 

 

『GAAAAAAAAAAAAAAAAAA!!!』

 

 

 

 

 

 

少しずつ、轟の時のように埃が晴れていく。そして見えた、白銀の竜の姿が…

それは勝利の雄叫びを高々とあげ、見るものを惹きつけた。

決着……見ていた者は…その壮絶な戦いに歓声と拍手を惜しみなく送った。




新技:スパイラルエッジ

ある一定の条件を満たした時に使える最終奥義。限界を超えた超スピードで相手を切り刻み、再起不能にさせる。


ストーリーズの技ですねー。本来なら何回も切り刻むんですが、今回では一撃必殺みたいな感じにしました。今後は本来の使い方をします。

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