闇を駆けるヒーローアカデミア   作:シロロ少尉

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しばらくぶりでした、今回から戦闘に入ります。ツカレタ


第三十ニ話:狼煙

ーーーー 時は遡り… ーーーー

 

 

爆豪が敵連合に連れ去られてから丸一日が経過した。その間、オールマイトを中心とするヒーロー部隊が結成されていた。中にはエンデヴァーやエッジショット、ギャングオルカやベストジーニストなどの名だたるヒーロー達が集っている。

 

 

警察も県単位で動き始め、本格的に作戦が開始されようとしていた頃、緑谷、轟、飯田、八百万、切島、そして狩迅の6人も爆豪救出の為、現在新幹線に乗って神奈川県 横浜市の神野区に向かっていた。

 

 

どうやら八百万は敵連合と交戦中、配下の脳無に襲われていたらしいが、しばらくしたら時間切れのように歩いて去っていったらしく、八百万はここぞとばかりにGPSを脳無の背中につけ、現在地が分かるようにしていたらしい。

 

 

 

 

 

ーーーー 神野区 ーーーー

 

 

敵連合がいると思わしき神野に2時間程かけようやく到着した。神奈川県は東京の隣にあるからか、大きな建造物がいくつもそびえ立っており、人口も多い。早速行動に移した緑谷達だが………

 

 

ーーー 現在 ーーー

 

 

「オラァァ!?コラァァ!?」

 

 

カーテンのような物をどかして真っ先に見えたのは、ヤクザ者の格好をした緑谷だった。

八百万の提案により、敵連合には素顔がバレているため変装する必要があるとの事、その為ドン・○ホーテではなく……激安の王道!鈍器_大手!!に訪れていた。だが実際のところ何か妙に入りたそうにウズウズしており、彼女の事を理解していた轟と狩迅は少し不安になりつつも渋々と入っていった。

 

 

「なるほど、変装か」

 

 

轟は特徴的な髪色を隠すため、カツラを被っている。服装は……なんというか、育ちのいい不完全ジェントルマンみたいな………?

 

 

「そういう事ですわ!」

 

 

八百万はどっかの上級キャバ嬢みたいなピンクのドレスのような格好をしていた。それはそれで色々とアウトではある。あとなんか髪をセットする為のスプレーみたいなのも買っていた。

 

 

「この格好は何だ?」

 

 

首元にリボンをつけ、髪型はツーブロック、まるでどこかの執事のような服装をしていた。

違和感抜群である。

 

 

「あとで教えっから!」

 

 

頭に変なのがついてる。

 

 

と、このように順調に(?)変装が進んで行くがここで一つ問題が発生した。狩迅は服装などにはそこまで興味が無い為、八百万と切島に選んでもらっていたのだが……

 

 

「なんで俺だけこれなんだ」←狩迅と思わしき人

 

 

狩迅の変装はロングスカート(中にはちゃんとジーンズ)にハイヒール、縦セーターそしてロングヘアーのカツラをつけていた。つまりは女装である。切島によると、五人の男の中で一人だけしか女性がいないと逆に民間人から怪しまれる可能性があるとの事。そして狩迅はこれでも轟に負けず劣らずの美形でもあるため、奇跡的にかなりの美女が完成していた。

 

 

「いや…まさかとは思ったが、結構イケたな」

 

 

「よくお似合いですわ!」

 

 

「いや嬉しくはねぇよ?」

 

 

(切島君、絶対それアウトだよぉ!?)

 

 

緑谷の心の悲痛の叫びも空しく散っていき、狩迅はそのまま移動することになった。

後に轟が創造で作ればよかったのではとツッコミが入るが、八百万の日本国民として経済を回さなければならないという見え見えの嘘をつく。結局入りたかっただけらしい。

 

 

(鈍器入りたかったんだな、このピュアセレブ)

 

 

「みなさん、目的地はこちらの方角で…」

 

 

変装も完了し、早速爆豪の元へ向かおうとした瞬間、背後から雄英の名前を言う青年の声が聞こえた。まさかこんなにも慎重に(?)選んだ変装がすぐにバレたのか、そう焦りながらも振り向くと…

 

 

そこには雄英高校の謝罪会見が巨大スクリーンによって放送されていた。画面には相澤、ブラド、根津の三人が並んでおり、深々と頭を下げていた。

 

 

『この度、我々の不備からヒーロー科一年生28名に被害が及んでしまった事、ヒーロー育成場でありながら敵意への防御を怠り、社会に不安を与えた事、謹んでお詫び申し上げます。誠に申し訳ありませんでした。』

 

 

三人は深々と頭を下げ、その後も会見を進めていった。メディア嫌いである相澤がテレビに直接出ていた事に驚いていた6人も、その会見に注目していた。そこで読売テレビの記者が、相澤に質問を投げかける。

 

 

『雄英高校は今年に入って4回、生徒がヴィランと接触していますが今回生徒に被害が出るまで、各ご家庭にどのような説明をされていたのか、また具体的にどのような対策をしてきたのかお聞かせください。』

 

 

(体育祭開催の件から、雄英の基本姿勢は把握しているはずなのに…言わせるのか!?)

 

 

「悪者扱い……かよ」

 

 

悔しそうに拳を固めながら、緑谷はそうつぶやく。そして記者の質問には根津が答えた。

様々な防犯システムを作動させ、強い姿勢で生徒の安全を保証すると答えた。

周りからの反応は批判ばかり、鼻で笑い飛ばす者もいれば、呆れていた者もいた。

結果が全て、緑谷達はこの現実を深く叩き込まれていた。空気がよどみ、悪い方向へと走り出していく。

 

 

 

 

 

 

ーーーー そして現在 敵連合 ーーーー

 

 

別の記者から質問攻めにされた相澤だが、感情を押し殺し爆豪の事について話した。体育祭での一連の行動は理想の強さを追い求めるが故の行動であり、誰よりも強くなりたいと願い、トップヒーローを目指している。そんな彼を隙と捉えた敵連合は浅はかだと言い切る。

 

 

「はっ!言ってくれるじゃねぇか、雄英も先生もッ!!そう言うこった、クソカス連合!」

 

 

(あんだけ大掛かりな襲撃かち込んで、成果は俺一人…現地も取れてる!こいつらにとって俺ァ、利用価値のある重要人物…俺の心に取り入ろうとする以上、本気で殺しに来るこたぁねぇ。こいつらの方針が変わんねぇウチに、2〜3人ぶっ殺して脱出したる!!)

 

 

「言っとくが俺ァまだ、戦闘許可取れてねぇぞ!!」

 

 

持ち前の頭脳をフル回転させ、不利だった状況を有利に進めていく爆豪。自分の立場を利用し、今にも戦闘を始めようとしていた。

 

 

「自分の立場をよく分かってるわね…小賢しい子ッ!」

 

 

「いや、馬鹿だろ」

 

 

「刺しましょう〜!」

 

 

「その気がねぇなら、懐柔されたフリでもしときゃいいものを…やっちまったな?」

 

 

次々と前に出る敵連合のメンバー、数に勝るものはないと言うが、爆豪はそれ以上に死柄木の隣にいた謎の男を特に警戒していた。

 

 

「少々管理が甘かったんじゃないか?」

 

 

眉間にシワを寄せ、爆豪に向けて手をかざす。

 

 

(そして一番警戒すべきヤツはこいつだ。他の奴とは何かが違ぇ…この異様なプレッシャーと圧迫感、思い出したくはねぇが体育祭での忍者野郎にそっくりだ…)

 

 

「したくねぇもんは嘘でもしねぇんだ俺ァ、こんな辛気臭ぇ所、長居する気もねぇ!」

 

 

「………死柄木、手が落ちてるぞ。」

 

 

「あぁ…」

 

 

死柄木がゆっくりと落ちた顔についていた手を拾い上げ、もう一度顔につけ直した。

 

 

「少しは聞く耳を持っていると思っていたんだが、残念だ。非常に残念だ。もう一度、拘束するとしようか。筋力増強×8」

 

 

その瞬間、牙剥の右腕が僅かに巨大化し、握り拳を作った。

 

 

「てめぇ複数個性持ちだろ?たった一つの個性で俺とやり合う気かァ?随分と舐められたもんだなァ!!」

 

 

「生憎と、私は何も考えずただ闇雲に突撃するような獣ではないのでね。」

 

 

「牙剥、殺すなよ。丁重に扱え、対等に話さなきゃならないからな。」

 

 

「分かっているさ」

 

 

牙剥が爆豪の元へじわじわと歩いて接近する。隙だらけな格好、だが爆豪は中々手出しができずにいた。隙がありそうに見えて、全くと言っていいほど無かった。流石の爆豪でも冷や汗はかかずにいられなかった。

 

 

ーーー ピンポ~ン

 

 

すると突然、後ろのドアからインターホンが鳴り響いた。

 

 

「あ?」

 

 

「どうも〜ピザーラ神野店です〜」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーー 数分前 ーーーー

 

 

記者会見での後味の悪さを残して、緑谷達は更に進んでいき、ついに目的地の建物まで到達していた。人通りが多い為、目立つ動きができない。緑谷の案で裏から回ることに、細い建物と建物の間をくぐり抜けていく。そして…

 

 

「あの高さなら、中の様子を見れそうだよ!」

 

 

「この暗さで見られるか?」

 

 

辺りはすっかりと暗くなっており、あまり視界が良くない。八百万が暗視機を創造しようとするが、事前に切島が買っていた為、それを使用することになる。まずは切島と緑谷が中の様子を見ることになった。飯田と轟が二人の足場になって、切島が暗視機を使い中を見る。

すると切島の様子がおかしくなり始めた。挙動不審になり、顔が真っ青になっている。

続いて緑谷が中を見るとそこには……

 

 

「嘘……あれ全部……………脳無ッ!?」

 

 

ーーーー 敵連合 ーーーー

 

 

「あ?」

 

 

「どうも〜ピザーラ神野店です〜」

 

 

突然の事に、その場にいた全員の脳が一瞬フリーズした。牙剥は声がしたドアにそっと手を当て、何かをつぶやく。

 

 

「気配把握、26…69…107…163…あーこりゃ軽く500はいるな」

 

 

『え?』

 

 

牙剥の言葉にキョトンとする連合の諸君、その意味はすぐに分かるものとなった。次の瞬間、スピナーがもたれかかっていた壁からいきなりオールマイトが飛び出してきたのだ!

 

 

「スマァァァァッシュ!!」

 

 

「なんだ!?」

 

 

「黒霧!!」

 

 

黒霧の個性で脱出を図ろうとするも、若手実力派であるシンリンカムイの束縛術によって簡単に捕えられてしまった。

 

 

「チッ」

 

 

荼毘が炎で燃やそうとするも、グラントリノの高速足蹴りで気絶させられてしまう。

 

 

「もう逃げられんぞ、敵連合!!なぜって?我々が来たァァッ!!!」

 

 

時間にしてほんの10秒程度、流石プロヒーローといったところだろう。この短時間で全員戦闘不能にさせられてしまった。外にはエンデヴァーが待ち構えており、完全に包囲されていた。

 

 

「せっかく色々こねくり回したのに…何そっちから来てくれてんだよ、ラスボス!」

 

 

(全員抑えられていて、簡単には逃げられない。チッ)

 

 

「仕方が無い。黒霧!持ってこれるだけ持ってこい!!!」

 

 

「脳無だな!」

 

 

 

 

 

ーーーー

 

 

「お…おい!?」

 

 

切島が叫ぶとその方向には、トラックを持ち上げている巨大な足があった。そして、それを振り下げることにより、二人が見ていた脳無の生産場が粉々に破壊される。

 

 

「あの馬鹿デカい足は、Mt.レディか…」

 

 

ーーーー

 

 

「ッ!?おい黒霧!!」

 

 

「すみません、死柄木弔……所定の位置にいるはずの脳無が、無い!?」

 

 

「は!?」

 

 

脳無はMt.レディ、ベストジーニスト、ギャングオルカと警察達によって完全に無力化されていた。彼らは侮っていたのだ。ヒーロー達と警察達の努力と怒りを…

 

 

「お痛が過ぎたな、ここで終わりだ。死柄木弔!!」

 

 

「油断し過ぎたね。どうするんだい?死柄木弔、諦めるかい?」

 

 

「冗談は休み休み言えよ牙剥、諦める?終わり?ふざけるな……始まったばかりだ。正義だの悪だの、あやふやなモンで蓋されたこの掃き溜めをぶっ壊す…その為にオールマイトを取り除く、仲間も集まり始めた。ここからなんだよ…黒霧!!」

 

 

死柄木がそう呼ぶと同時にエッジショットによって強制的に眠らされてしまう。ヒーロー達は、ヴィランには何もさせないつもりだろう。徹底的に叩きのめしている。警察官の手によってヴィラン達の本名までバレてしまった。もはやどこにも逃げ場が無い、万事休すの状況になっている。

 

 

「分かるかね?もう逃げ場はねぇってことよ!なぁ死柄木、聞きてぇんだが、お前さんのボスはどこにいる?」

 

 

(こんな……こんなところでッ!呆気なく…ふざけるな……ッ!!)

 

 

「ふざけるな……ふざけるなッ!!失せろ…消えろッ…」

 

 

「死柄木!!」

 

 

「お前がッ………キライダァァァァァァァァァァァ!!!!!」

 

 

死柄木の最後の雄叫び、悪足掻きと言うのだろうか、それが奇跡を起こしたのか否か、突然後ろから謎の黒い液体から脳無が湧き出てきた。爆豪もその黒い液体によってどこかへワープさせられてしまう。外ではすでにエンデヴァー達が交戦しており、一気に状況が覆り始めた。

 

 

その後も牙剥以外の者達もその黒い液体によってどこかへワープさせられてしまう。その場に残っていたのは、シンリンカムイに捕らえられている牙剥ただ一人だった。

 

 

「オールマイト!!牙剥以外全員逃げられてッ!!」

 

 

「君はそのままそいつを拘束していてくれ!!エンデヴァー!私は持ち場を離れる!ここは任せたぞ!!」

 

 

「行くならとっとと行くがいい!!」

 

 

オールマイトはすぐさま飛んでいき、爆豪と敵連合の元へ急ぐ。

 

 

「…………」

 

 

(何だ?この男…妙に違和感が…)

 

 

シンリンカムイが不審に思った瞬間、拘束していたはずの腕が何故か元に戻り、個性が発動できなくなってしまう。

 

 

「なに!?」

 

 

「個性強制解除、君の個性は好きじゃない。眠っていなさい、シンリンカムイ」

 

 

牙剥は一瞬にしてシンリンカムイとの距離をゼロにし、頭を鷲掴みにし、一度地面に叩きつけてエッジショットの元へ投げ飛ばす。

 

 

「ガウハァッ!!?」

 

 

「エッジショット!シンリンカムイ!貴様、そういえば詳細が不明だったな。本名、指紋、血液型、個性、何もかもが分からずじまい。貴様、一体何者だ!!」

 

 

エンデヴァーが手をかざしながら、空中に浮いている牙剥に質問を投げかける。

 

 

「無知というのはこの世で最も恐ろしいものだよ、だから私は私を晒さない。それよりもだ、エンデヴァー。君達は本当に詰めが甘い、もう少し精鋭を足すべきだったな。既に警察官の何人かが脳無によって無駄死にしているぞ?」

 

 

「黙れ!!ここで終わりにしてやる!赫灼熱拳!!」

 

 

炎を纏った拳で牙剥に殴りかかる。しかし牙剥は避ける動作もせず、真正面から受け止めようとしていた。

 

 

「衝撃吸収+放出、威力×3」

 

 

エンデヴァーの拳は確かに牙剥の胸に直撃したが、何もなかったかのように佇んでいた。そして次の瞬間、エンデヴァーの炎がかなりの大きさになって返ってきた。

 

 

「馬鹿な!?」

 

 

「この組み合わせは楽しいなぁ、愉快だ、実に愉快だ。そう思わないかい?エンデヴァー」

 

 

「チッ!プロミネンス……」

 

 

迫ってくる炎を掻き消そうとするエンデヴァー、だがその手段は悪手である。

 

 

「ベクトル反転」

 

 

牙剥がそう唱えた瞬間、エンデヴァーの意思とは関係無くその攻撃は放出した瞬間自分に向けられてしまった。更にそこへ追い打ちで、先程の赫灼熱拳の分も直撃し、一気に押され始める。後ろから、倒れていたシンリンカムイとエッジショットも不意打ちを仕掛けてくるが、牙剥の重力操作により、無理矢理地面に叩き落される。

 

 

「残念だったな、あともう少し、あとここにトップヒーローであるベストジーニストやミルコ、ホークスやリューキュウなどがいれば話が変わっていたのかも知れなかったのになぁ?」

 

 

首の骨をポキポキと鳴らしながら、不敵な笑みでエンデヴァー達を見つめる。

 

 

「エンデヴァー!このままでは…」

 

 

「分かっている、そんな事…!だが……体が…!?」

 

 

「限界の様だな。蜘蛛の束縛」

 

 

牙剥の五指から糸のようなものが飛び出し、そのままエンデヴァー達を巻きつけるかのようにして拘束した。その場にいた警察は、牙剥によって殆どが無残にも殺されていた。そこら辺には既に死体の山が転がっており、体が真っ二つになっている者や原型を留めていない者、その死因は様々だった。

 

 

「貴様ァ!!」

 

 

「少しここで大人しくして貰おうか、ナンバー2。そこの戦力外と一緒にな。」

 

 

牙剥はそれだけを言うと、すぐさま"彼"の元へ向かっていった。

 

 

「脳無も巻き添えで死なせてしまったか。まぁいい、所詮は成熟していない下級ばかり、俺だけで十分だ。」

 

 

ポケットからタバコの箱を取り出し、個性を使いタバコに火をつける。その時、牙剥は例えようもないような、狂気に満ちた笑顔をしていた。

 

 

 

 

 

 




牙剥強くしすぎたかも


あと少し余談なんですが、牙剥君の個性の一つである轟竜はお気に入りなので、相手が強くないと使いたくないんです
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