適当な題名ですが一応一万文字ぐらいあるんで……ユルシテクダサァイ
あ、あとZガンダム見てました。
第三十七話:愛・悪・熱
「オールマイト」
「爆豪少年……」
救急隊に運ばれていた今にも意識を失いそうな爆豪がオールマイトの服を掴み、掠れた声で問いかける。
「すまねぇ……俺が……俺がアンタを終わらせちまったッ!俺がもっと強けりゃ、アンタがこんな姿を晒す事になんてならなかった!!」
「ッ!」
「君が、自尊心の高い君が謝るなんて………余程悔しかったんだろう。私がもっとしっかりしていればッ!私が悪いんだッ……何もしてあげられなかった私がッ!!」
「君は、もう十分戦ってくれた。もう休んでいなさい」
爆豪は拳を握りしめ、悔しそうにするオールマイトを最後に意識を手放した。
爆豪達を駆けつけて来た救急隊に任せ、オールマイトは緑谷を抱き抱えながら立ち尽くしていた。
(大馬鹿者だよ、君は。いつもいつも自分の事なんて後回しにして、他人を助けようとする。本当に馬鹿だよ…………だが、だからこそ私は君を選んだんだろう。)
窪んだ瞳で緑谷を見つめる。近くには現場を撮影していた者がオールマイトに取材しようと近付いて来ていた。
「オールマイトさん、そちらの少年も」
「あぁ、すまない。頼んだよ」
救急隊の隊員に負傷した緑谷を預けると、オールマイトはどこか遠くを見て、そして一言だけ、誰かに向けて発信する。その一言はこれからの運命を大きく変えるかもしれない。オールマイトは平和の象徴の役目を終え、そしてその意志を託す。
「次は……君だ」
ーーーー 病院 ーーーー
「アンガ?」
目を覚ますと、そこにあったのは白い天井だった。恐らく牙剥との激戦でボロボロになった体が耐えきれず気を失ったのだろう。
「花………誰が置いたんだろ……」
ベッドの横にある小さなテーブルには花の入った花瓶が置かれていた。白に近い紫色、アサガオに似ているがこれは多分初夏から春に旬になる"ペチュニア"と言う花だろう。父親である根津が花にも詳しい為、いつの間にか花についての知識が身に付いていたようだ。
「……なんか、すげぇ長い夢見てた気がする…………そういや緑谷達は……」
緑谷達の安否に心配と不安を抱いていると、部屋の扉が開き白い衣服を纏ったこの病院のスタッフらしき男性が入ってきた。
「おっ!目を覚ましてる!」
「?」
「やぁ!ここは横浜市立大学附属市民総合医療センター、まぁ総合病院だよ。君があの爆豪勝己君と何か話をしたあと、バッタリと倒れていたそうだよ。覚えていないかい?」
確かに言われてみれば爆豪と会話したあとの記憶がない。と言う事は誰かがここまで運んで来てくれたのだろうか。
「分からない、何も覚えていない…」
「んーまぁしょうがないか!あんな戦いやった後じゃあね、じゃああのあとの事なんだけど………」
取り敢えず、スタッフの人からその後の事を聞いた。オールフォーワン、並びに牙剥での戦闘で雪凪を含めた雄英生徒はかなりの深手を負っており、最寄りのこの病院へと運ばれた。爆豪達は一昨日退院し、緑谷は昨日無事に退院したらしい。
つまり三日間以上は寝ていたという事だ。その後もオールマイトが事実上の引退と言う事で世間が慌ただしかったそうな。しかし、それとは別に世間が注目していた事がある。
どうやらあの戦いで牙剥に立ち向かった7人は、未来の英雄と讃えられ、そして雪凪に至っては敵連合ナンバー2である牙剥を倒した事でとんでもない程のファンが出来ていた。
その為、本来裁判が起こるはずの出来事が数万人にも昇る人々の署名活動や猛反発で知らない所で無罪放免になったらしい。なんという好都合………その間、雪凪についてのニュースなどが頻繁に放送されていた。芸能人やニュースキャスターが自分をベタ褒めしており、なんだかむず痒くてしょうがない。
「まぁすごいよ?君についた異名……赤き残光だの覇竜だの……」
(白疾風……俺の二つ名…………)
「特に呼ばれている異名が"不滅の極致"らしいけどね。みんなそう言ってる」
なんだその原点にして頂点のパクリみたいな名称は………考えたの誰だ!子供が好きそうな言葉を繋いだだけじゃないか!!
「嘘の災害や事故ルーム、強化合宿でのヴィラン強襲……そして神野区での事件……君は3回も死にかけた。そしてその度立ち上がり、結末を変えた。それが不滅の部分の由来。極致はそのままの意味だね、純粋な戦闘力……その年齢での強さの限界、だから極致……らしいね。」
「あぁ…そうですか……まぁ大体のことは理解しました。それで俺は何時になったら退院に?」
「大体2日ぐらいかな、本来なら一週間はいなきゃ駄目なんだけど君の再生力すごくてね。まぁ手術も初日で終わらせたし、リカバリーガールの手も借りたから問題無いよ」
ニコニコしながら話すスタッフの人だったが、次の瞬間少し落ち着いたように息を吐き、そして笑顔は崩さず、それでいて真剣な顔で雪凪に話しかけた。
「あそこには、神野区の近くには僕の妻と産まれたばかりの子供がいたんだ。」
「………」
「君がいなかったらみんな死んでたかもしれない。それは僕以外にも山程いると思う。君が運ばれてきた時は、何が何でも助けないとって思ったよ。だから2つだけ言わせてほしい。」
「まずはごめん、死力を尽くしたけど、君の事を治しきる事が出来なかった。左腕、右足に痺れの後遺症、左目の失明、鼓膜は機能の低下、時々頭痛も起きると思う。本当に、申し訳なかった。未来ある少年を、僕は助けられなかった。」
「そしてありがとう、君のお陰で僕の家族は………とっても元気だよ!」
悲しげな表情からニカっとした顔になった。雪凪はその言動にどこか温かみを感じていた、何故だろう。でも嫌な気分ではない、とても……清々しい。心に空いた穴に、何かがスッポリとハマったような……
「………そうですか、なら良かった」
男性は笑いながら泣いていた。俺はこの人の家族や友達じゃない、でも会えて堪らなく嬉しかった。これはヒーローとヴィランによる戦い、犠牲なんて山程払わなければならない。この怪我は仕方の無いもの、そう考えるしかない。
ーーーー そして二日後 ーーーー
あれから二日が経過し、退院日となった。少々、いや結構不自由な体だけど命があるだけ良かった。あの人には感謝しないと。あと因みになんだが、どうやらあの一件以来雄英は生徒の安全を考慮し、全寮制を取り入れたらしい。
「じゃあ、達者でね。無茶しちゃいけないよ」
「はい、ありがとうございます」
「うん!あとそういえばなんだけど……」
男性は徐ろにポケットから小さい折られた紙を取り出し、雪凪に渡した。
「実はちょくちょく君の事を見に来ていた人がいてね。名前は分からなかったけど、青いロングヘアですっごく可愛らしい子だったんだけど…」
(波動先輩か………俺が寝ている間に花を置いていったのはあの人か。食事時にでも礼を……)
「もしかして恋人かい!?」
思いっきり目を見開いた。当然驚いた、心臓に悪い。だが雪凪と言えど男、彼女に気が無い訳ではないが……
「い…いえ、その人とはそう言った関係じゃ……」
(あれ、もしかして今僕……世界一強い高校生を圧倒してる?)
「俺は…………一途なんです」
「………兎に角、お世話になりました。それでは」
「お達者で〜〜〜」
スタッフの人に軽く頭を下げ、そして病院を去った。松葉杖、意外とやりにくい…。取り敢えず、近くにいたタクシーで駅まで連れてってもらおうとしたが……随分と周りがザワザワとしてこっちを見ている。まぁ大体予想は出来ているが。それにしても視線が痛い。彼奴等もこんな思いだったのだろうか?
タクシーの運転手にもすごい色々と話しかけられた。めっちゃ褒められた。駅までの道のりが凄く長く感じる。胃が痛い。
「………」
ーアノヒトッテ ヒソヒソ
ーユウエイノヒトダヨネ
ースゲー!サインモラオウカナ
結局電車の中でもヒソヒソされて、それが2時間続くとなると中々にヤバい。精神がメリケンサックでボッコボコに殴られたような恥ずかしさを乗り越え、なんとか目的地へ辿り着いた。
(離れてたのはたかだか数日のはずだが、随分と久し振りな気がする。)
「今の俺の姿を見てなんて言うか………」←全身ミイラ状態
校門を抜け、校舎の中に入って行く。今は午前12時程、他の生徒は授業中だろうか、所々からチョークを黒板に書き込む音が響き渡っている。外ではヒーロー科のみんなが特訓しているようだ。他の生徒の邪魔にならぬよう、気配を消して誰もいない道を通る。
「ここか」
目的地である校長室にようやく辿り着いた。そもそもとしてあまりここら辺には通らないので、少し迷子になりかけたのは秘密にしておこう。
ーーーコンコン ハイリタマエ
ドアを軽くノックすると向こう側から声がした。雪凪はゆっくりとドアを開ける、そしてその奥には優しい笑みを浮かべながらこっちを見つめていた根津がいた。
「ただいま、今帰ったよ」
「あぁ、ご苦労さま…よく頑張ったね。」
その瞳には僅かに涙が溜まっていた。詰まる話も山程ある、二人はゆっくりとこれまでの事とこれからの事を話し合った。
「相澤君には君の事を伝えておいたよ。」
「そしたら、なんと?」
「本来なら除籍処分だったけど、そんな事をしたら世間からなんて言われるか分からない。ってさ。相澤君はメディアや世間の目が大の苦手だからね。」
「………ホント、どこまで不器用なんですか……」
「彼なりの最大限の優しさなのさ、しっかりお礼を言っておくんだよ。」
「えぇ、勿論。」
本当に不器用な人である。でもだからこそあの人はかっこいいんだと思う。ヒーローとしての責任も持っている、生徒である俺達を信頼しているし、信頼されている。
俺は多分、あの人を色んな意味で超えることは出来ないかも知れない。
(勝てる気がしねぇな、色んな意味で……)
ーーーー 牙剥Side ーーーー
「牙剥の輸送が完了しました。」
「分かったわ。あなた達は下がって」
ここは日本にある凶悪なヴィラン達を収容する系列第二位の監獄ペルセポネー、本来なら脱獄不可能と呼ばれている"タルタロス"へと収容するのだが、そこにはオールフォーワンが収容される事になる。二人の個性は未知数、故に同じ空間に居合わせるのは危険という判断、小学生でも分かるだろう。
もしテレパシーで会話できたら?それで脱獄の作戦でも立てられたら?そんな考えが人々の頭によぎった。その結果、政府で別々で隔離しようという判断が下された。そして現在、牙剥に対する尋問が行われている。
女性は目の前にいる強大な悪魔に対して、次々と質問を投げかける。
「貴方は何者?」
「さぁな」
「個性はどこから入手したの?その個数は?」
「数えるのも面倒だ、勝手に想像しろ」
「何が目的だったの?」
「旅行」
「ふざけないでッ!!真面目に答えなさい!!」
椅子から立ち上がり、机に手を叩きつける。それでも牙剥の表情は動かない。まるで全てを見透かしているようだ、その光景に女性は少なからず恐怖を抱いていた。
「私は大いに真剣だが?」
「どこか真剣だって言うのよ!私の質問にちゃんと答えなさい!」
「断る、何故私が君のような者に口を割らなければならない?」
「チッ、答えなさい、じゃないと痛い目にあうわよ?」
「と、いうと?」
「私の個性は"真実語り"。私の前で嘘言や黙秘をすると体中に雷が落ちたかの様な激痛が走る。この力でこれまでの犯罪者をブイブイ言わせてきたんだから。」
「最近の警官はロマンチストだな。真実語り、成程……素晴らしい個性だな。裁判官要らずじゃないか」
相変わらず不気味な冷たい笑みを消さず、茶化すように言う。
「だが時にして、真実は虚実よりも奇なる事もある。以前相まみえたエンデヴァーとやらにも言ったが、無知とはこの世で最も恐ろしい代物。」
「君達は私について何も知らない。」
拘束具がギチギチと音を鳴らす。
「ッ!?」
「だが、私は君達をよく知っている。もうこの時点で決定しているんだ」
ギチギチと音を鳴らしていた拘束具は遂にはち切れ、四方八方にその残骸が飛び散る。
女性は腰につけていたピストルを抜き出し発泡しようとするが、あと一歩遅かった。
「全ての個性は一つの柱に繋がっている。おかえり、有効活用させてもらおう。」
「だがそれにしても……耳障りだな、このサイレン。この縛鎖を解いたからか?まぁいい、大本を潰せば………死柄木らと合流する前に資材も調達しておこう。ここは中々に物資が揃っている、少し回ってみるとしよう。少々申し訳無いが、鏖殺させてもらおう。」
収容所内を散歩でもするかのように歩きながら、あちこちへと回ってみる。途中ピストルや個性を使用してきた者達もいたが勿論鏖殺。
「なんだ?隊列なんぞ作りおって」
「動くなッ!それ以上こっちに近づいたら発砲する!!」
ドアの前で銃を構えた男が20人程束になってこちらを警戒する。これまで出てきたのは必ず2人から3人だった、だがあそこのドアの前でここまでの人数……
「そこの奥になにかあるな、女でもいるのか?」
牙剥は警官の言うことを無視し、壁に手を当てる。
「おいッ!!?」
「やはりな、約15名……全員女か。いや違うな、微弱だが感じるぞ………子供か?」
その瞬間、警官達は発砲を開始していた。これほどまでの恐怖を感じたことは無い、そのような言葉が頭の中に一気に流れてきていた。
「言ったろう、鏖殺だと。一匹たりとも生かしはしない……」
「衝撃反転」
ーーーー 外 ーーーー
爆発しながら崩れていく収容所。物資も調達できた牙剥は死柄木達の元へ戻ろうとするが、そこへ遅れてやって来たヒーロー達が立ちはだかる。
「御機嫌よう、一足遅かったようで?」
二十人以上の名だたるヒーロー達が牙剥の周りを囲むようにして包囲する。
「あの少年達が命を賭して戦ったんだ、俺達の後ろへは決して通さん!!」
「子供に任せっきりじゃ、大人としてもヒーローとしても恥ずかしいからね」
「あぁそうかい」
(数にして27、朝の体操代わりにはなるか。まぁ唯一警戒するべき人物は………奴だな)
顎に手を置きながら視線をとある女性に移す。
「久しぶりに骨のありそうな奴だな!蹴っ飛ばす!!テメェら手ぇ出すなよ!」
指をポキポキと鳴らしながら牙剥を凝視するのは、現在ヒーロービルボードチャートで上位に食い込む程の実力者、勝ち気なラビットで知られているミルコであった。個性は異形型の兎…
(兎のクセしてライオンより強い、癪に障る。)
「オラァ!!」
「フンッ!」
二人のくりだした上段蹴りがクロスし、火花を散らせる。その衝撃で二人の間には小さめのクレーターができ、周りにあった物や他のヒーロー達は吹っ飛んで行ってしまう。
「やるじゃねぇか、こりゃ久々に全力出せるなァァ!!」
(こいつは、少しまずいかもしれんな………)
ーーーー 雄英Side ーーーー
戻ってきたか、それじゃあこれまでの経緯を話そう。現在俺は体育館γへ来ている、なにやらもうすぐ仮免取得の試験があるそうだ。今回の授業では一人最低でも二つは必殺技を作れ……と言う事らしい。体は不自由だが勿論それには俺も参加する事にした。俺だって仮免は欲しい。
復帰したという事もあってみんなが俺の所へ集まってきた。大した怪我ではない……と言えば嘘にはなるが、それより常闇が俺の目に巻いてある包帯を凄くキラキラした目で見てくる。俗に言う"ちゅうにびょう"?と言うやつか……
まぁ相澤先生の呼びかけもあって再び特訓に戻り、俺も必殺技作りに参加した。←今ここ
「ト言ッテモ、オ前ニハ既ニイクツカノ必殺技ガアッタナ。」
現在俺は分身体のエクトプラズム先生に必殺技作りを手伝ってもらっている。だが俺は既に必殺技を持っているため、どうするか迷っている。
「改良をするにしても今の体じゃあ出来ないな。」
「「ウ〜ム」」
「ナラ趣向ヲ変エルトシヨウ。狩迅、オ前ノ技ハ殺傷能力ガ高過ギル。ソレデウッカリ相手ヲ殺シテシマウと言ウ事モ考エラレル。」
「なるほど、つまり斬撃ではなく打撃による無力化か……」
「ソウ言ウ事ダ」
確かに思い返してみれば、俺の技の殆どは斬撃系だ。もし仮に実力が拮抗している者と当たってしまったら、手加減出来ずに相手に致命傷を与えてしまう。
(近距離は肉弾戦で十分………となると遠距離から致命傷を与えない程度の、且つ効率的な打撃方法………)
ふと、俺は無意識に緑谷の姿を見ていた。彼やオールマイトの"スマッシュ"、これが鍵になるかも知れない。
少し参考にしてみよう。
「何カ思イツイタヨウダナ」
「えぇ、少しだけ。地味かも知れませんが、より効果的に、より速く、より不可視に……」
こうして、仮免取得に向けて着々と準備を進めていく雪凪達。訓練の日々を超え、そして試験当日となる。因みに余談ではあるが、これの後相澤先生にしこたま怒鳴られたぞ!あと入れ寮での雪凪の部屋は5階、砂糖、轟、瀬呂、八百万、蛙吹と同じ階層である。
ーーーー 仮免許取得試験会場 国立多古場競技場 ーーーー
「なんか、他校の人達みんなこっち見てない?」
「あぁ、特にこの7人に…」
「おい狩迅〜、ちょっとあそこの女子に手ぇ振ってみ?」
何故か瀬呂が訳のわからないことを言ってきた。どうしてか聞いてみても「いいからいいから!」で通してくる。まぁ簡単な頼み事だからやってはみるが…。
「……」ヒョイ
キャァァァァァア!!
軽く手を上げてみただけなのにみんな逃げていった。あと何故だろう、峰田と上鳴、あと耳郎と八百万が睨んできた。
「お前すげぇモテてんな!?」
「好かれているのか、俺が?」
「まさかお前、轟と同じで自覚ない系か!?」
「感覚が分からんが何故か恥ずかしい。女性経験無し、文句あるか!」
そう言うと瀬呂が大笑いし、吹きながら転がりまわった。何故だろう、無性に腹が立つ。一発殴っていいだろうか?
「ふぅ…緊張してきたぁ……」
「試験て何やるんだ?はぁ〜、仮免取れっかなぁ〜」
「峰田、取れるかじゃない。取ってこい」
「お…おお!モ○チンだぜ!!」
いつにも増して緊張感が漂っているA組全員、なにやら今年の雄英の仮免取得方法は特殊で、最近での雄英高校はヴィランの襲撃が激化している為、早めに即戦力として戦えるよう、本来2年でやる事を一年生の時点でやっている。
一年で仮免を取得する高校は少数派。つまり、今回の仮免の相手は自分達よりもヒーローについて学んできた年上達がほとんどだと言う。
唯でさえ倍率が低い、その上この状況とまで来ると本当に絶望的である。
「この試験に合格し、仮免許を取得できればお前ら卵は晴れてひよっ子……セミプロへと孵化出来る。頑張って来い!」
「シャア!なってやろうぜひよっ子によ!」
「いつもの一発決めていこうぜ!!せーの!」
「Pulse…」
「ULTRAAAAAAAAAAAAAAAAAAA!!」←誰だこいつ!?
切島がいつものように喝を入れようとPulseUltraの掛け声と同時になんともまぁ、後ろから常に全力で生きていそうなガタイの良い坊主頭が出てきた。
「なんだこのハゲ、どっから出てきた!?」
「勝手に他所様の円陣に入るのは良くないよイナサ…」
「は!?しまったぁ!!どうも、大変失礼致しましたァァァァァァァ!!」アタマゴン!
土下座に匹敵する程のどストレートなお辞儀で地面に頭を叩きつける謎の男。どう見たってただの変態でしかない。変態だな、うん変態だ。
「あの制服、見覚えがあるぞ。士傑だ……」
「東の雄英、西の士傑…」
士傑高校、数ある名門校の中でも唯一雄英に匹敵すると言われている難関校、勿論その戦闘力も折り紙付き、雄英と同じく化け物だらけである。
「自分、一度言ってみたかったんす!PulseUltra!!自分、雄英高校大好きっす!!
雄英高校の皆さんと競えるなんて光栄の極みっす!!よろしくお願いしまァァァァす!!」
「あ、血」
「行くぞ」
その後も色々な過程があったが、あの夜嵐イナサと言う男……相澤先生がマークしておく様に言う程の実力者、極力戦闘は回避したほうがいいだろう。あとなんか相澤先生に求婚してくる人がいた。傑物学園の人達らしい。すごく握手を求められた、特に神野区で戦った7人に……
ーーー パチンッ!
「ッ!」
傑物の爽やか風のイケメンがみんなに握手を求めており、そして耳郎に触れようとした瞬間、何故か雪凪はその手を弾いていた。
「狩迅…?」
「…………」
「あ…あぁ、すまない。反射的に動いてしまったんだ、怪我は無いか?」
(あれって…)←蛙吹
(まさか………!)←上鳴
(狩迅が!?)←峰田
(耳郎ちゃんに!!)←葉隠
(本能的に恋してる!!)←芦戸
獣は本能で動くことが殆ど、それがまさかこんなところで発動してしまう。あと芦戸はピョンピョンと跳ねており、寮に帰ったら絶対に問い詰めると決心した。
ーーーー 会場内 ーーーー
ガヤガヤ
ザワザワ
「え~、では仮免のやつやりまーす。あぁ…僕ヒーロー公安委員会の米良です。好きな睡眠はノンレムスイ……よろしくぅ…」
やはり予想通り、会場は決して狭くはない、のはずなのにも関わらずぎゅうぎゅう詰めになる程の数、これは確かに倍率が高いわけだ。司会の人には敢えてツッコミはしないでおこう。
「仮免のやつの内容ですが、ずばりこの場にいる受験者数1540人、一斉に勝ち抜けの演習を行ってもらいます。現代はヒーロー保護社会と言われ、ステイン逮捕以降ヒーローの動きに疑問を呈する者も少なくありません。」
「まぁ一個人としては、動機がどうであれ命懸けで人助けしている人間に"なにも求めるな"は、現代社会に置いて無慈悲な話だと思うわけですが……まぁ単価にしろ理由にしろ、多くのヒーローが救助、ヴィラン退治に切磋琢磨してきた結果、事件発生から解決までの時間は今、引くくらい迅速になっています。」
「君たちは仮免許を取得し、いよいよその激流の中に身を投じる。そのスピードについていけない者、ハッキリ言って厳しい。よって試されるはスピード………」
「条件達成者数100名を通過としまーす。」
後ろのモニターにデカデカと一次試験通過者100名と写し出され、周りはザワザワと焦り出す。
「受験者数は合計1540人、合格者は5割だと聞いていましたのに……」
「つまり、合格者は1割を切ると言うわけね……」
「まぁしかし、社会で色々あったんで?運があれだと思って、あれしてくださーい。で、その条件と言うのがこれ、受験者はこのターゲットを自分の体の好きな箇所に、ただし常に晒されている場所に取り付けてください。」
「そしてこのボールを6つ携帯しまーす。まぁ簡単に言えば、ボールが当たったら発光するんで、3つ全部光ったら失格です。最後のターゲットにボールを当てたものを討伐者とし、二人倒した者を選抜していきます。」
「チームになってのバトルロワイヤルみたいな感じか?にしても入試よりも苛烈だな。」
「恐悦至極、それでこそ戦いがいがある。」
「雑魚共が、全員まとめてぶっ殺してやらぁ……」
「えーじゃあ、展開後、ボールとターゲット配るんで全員に行き渡って一分後にスタートします。」
『展開?』
疑問に思うのも束の間、その瞬間天井が大きく開きだし太陽の光が差し込む。そして雪凪達のいた会場が箱のように展開し、試験会場のど真ん中に居たことを理解させられる。
「各々苦手な地形、好きな地形だと思います。自分の個性を生かして頑張ってください。」
「な…なんじゃこりぁ!?」
「馬鹿広ぇ!?」
「え!何々!?どうすんの!?」
「みんな!あまり離れず塊で動こう!」
緑谷の案にほとんどの者が賛成するが、そのなかでも二人異を唱える者達がいた。爆豪と轟である。二人の性格と個性上、あまり塊にはなれない。さっさと何処かへ行ってしまう。
「あいつら、分かってねぇのか…俺達は既に体育祭で手の内を明かしてる。それがどれだけのハンデか…」
「そうか!確かにそう考えると、僕達はもう既に……」
「それだけじゃない、風の噂で聞いたことがある。毎年行われるこの試験では、恒例行事がある。」
「それって……」
「もしかして……」
サイレンの音と共に試験開始の合図が出される。次の瞬間、他校の生徒らが一斉にこっちへ向かってきた。
「テレビで見たよ、自分を破壊してしまうほどの攻撃力……そして」
「君の竜の力!!」
四方八方から数十にも昇る程の数のボールを投げつけられる。確かに他校からすれば雄英は最も危険で最も潰しやすい。合理的な判断だ、だがしかし……
(ワンフォーオール フルカウル…)
「シュートスタイル!!」
「黒影!!」
「えぇい!!」
「ヨッシャァァァ!!」
それでもこちら側はそのハンデがあったとしても、負ける理由にはならない。
(数だけで俺達を倒せると思ってやがる。舐められたもんだ)
「もう引く事は出来ねぇぞ、傑物!士傑諸共全員脱落だァァァ!!」
亜種羅を発動させ、ボールを持ち敵陣へと突っ込んでいく雪凪。
「みんな!先生が言っていたようにあの男には特に注意しろ!負傷し体育祭の時の様に動けないとは言え、その戦闘力は依然として脅威、最低でも10人で相手しろ!!」
雪凪はそれを無駄な行為だと言うように、進む速度を更に速める。そして……
無理矢理だね、うん無理矢理。牙剥の脱獄も無理矢理、雪凪の恋も無理矢理、頭が痛くなってきた……ちくしょうめぇ……
変な所あったら教えて下さい。月曜日、頑張ルィマシォオウォ……唯一の楽しみが月曜から夜ふかしと進撃の巨人しかねぇ……
次回 雪凪(狩迅)VS傑物&士傑 圧倒的数の暴力!!