デジモンと命を共有する転生者   作:銀の弓/星の弓

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オリジナル世界、ジール編。
本編第23話まで既読推奨。
といっても、タイムリープ後ですが、異世界編の始まりです。

中編くらいの長さにするつもりですが5話以内で終わるかなぁ。

この時系列は杏子【アルファモン】が記憶喪失なので、幼く書くようにはしていますが。

本編第23話まで多々あった伏線の回収回でもあります。




過去:ジール編
ジール編第1話 離別・召喚


ゼロ視点

 

 

ここはジールという世界のホープ王国だ。

 

ここへはある目的でやってきたが…フン、何が【希望】だ。

ここにいる人間はゴミの集まりではないか。

 

…いや、そもそもこの世界がゴミ捨て場だったな。

 

 

「ここにいたか。ガラテア」

「!?」

 

私は諜報活動しているエルフの王女、フェーの妹、ガラテアに声をかける。

 

ガラテアは消息を絶っているはずの私に声をかけられるとは思っていなかったのか、酷く驚いている。

 

「い、生きていたのですか?ゼロ」

「あまりゆっくり話せる時間はない。お前の脳に情報を送る」

 

そう言って、困惑する彼女を無視して、私はガラテアの頭に手をかざし、必要な情報を送る。

 

こんな真似をすればほとんどの生命体は情報量の多さで発狂する。脳が破損する恐れもある。

 

が、ガラテアの特殊な脳。忘却できない体質と、莫大な情報量を処理する破格の処理能力があれば可能だ。

 

「…!!これは…!!」

「消滅している【樹】の世界を修復するためのデータと前回の歴史で何があったかを示すものだ」

「…こ、これは!!この世界が消滅する!?」

「それだけではない。今日召喚される2人の片割れ、暮海杏子の元居た世界を含むあらゆる世界の消滅だ。このまま放置すればな。それを防ぐために必要なピースが今お前の脳に刻んだ観測情報だ。虚数空間に打ち捨てられたところを私が拾ったのだ」

「虚数空間って…!生身で入ったんですか!?」

「私は【ゼロ】だぞ?それくらいできるとも。…もっとも、現在我がパートナーであるこのデジモンの協力がなければ成立しなかったことだが」

 

そう言って、私はデジヴァイスを取り出し、ガンクゥモンを出現させる。

 

「我はガンクゥモンという。…正直我もゼロを通じて未来の天使から間接的に情報を受け取った際は耳を疑ったがな」

 

最も、榊原進示達がトータスから地球へ帰還した後の情報は与えていない。

私が取捨選択を行ったからだ。

 

地球帰還後の対応を考えるのはあくまで連中の仕事。

 

「…それがデジモンですか?人間の男性に近いフォルムですね」

「形状は様々だ。それに有機生命体のような生殖機能もない」

「…どうして、オリジナルの世界が消滅すれば派生世界だって全て消えるのに」

 

ガラテアの疑問は最もだ。

どのような創作世界であれ、オリジナルが存在しなければそもそも2次創作も成り立たない。

樹が存在しなければ枝葉も成り立たない。

 

 

「オリジナル世界の消滅自体は本来計画になかったことだろう。…少なくとも神王にとってはな」

「…それは」

「情報にある通り、神王は誰も死なない、誰もが幸せになれる理想郷を目指した。その過程で目を付けたのが電脳世界だろう。デジタルワールドも電脳世界と細部は異なれど、基本同じ原理で構成されている。電脳世界ならば物質界よりも生命情報の設計、書き換えはやりやすいからな。だが、それでも電脳世界を維持するには物質界にサーバーを置く必要がある」

「…この世界で生まれた人間にデジタル理論の構造などわかるはずもないですが、貴女から情報を受け取った今なら理解できます。ですが、その理論だと物質界に人間の肉体がなければ、電脳空間でも存在を維持できないのでは?」

 

その疑問に目をつけるとはさすがに優秀だな。

 

「暮海杏子が元居た世界にジョロウグモという会社が提供しているサービスに、【パーフェクトガールプロジェクト】なるものがある。超スーパーリアルドールを利用したもの。美女、美少女の精巧な複製人形を利用し、利用者の男性に夢のような時間を過ごさせるサービスだ。利用規約の最大重要項目は、利用中は美少女が派遣された部屋から一生部屋から出ないこと。

 

…しかし、健康な人間を電脳世界に拉致するというのが実態だ。拉致された人間の肉体は臓器売買のためにバラバラに解体される」

「!…あ、該当知識がありました。インフェルモンというデジモンを利用したもののようですね。しかし、解体されて死んでしまった人間の男性は電脳空間でも存在を維持できないのでは?」

 

普通ならそう考えるだろう。

 

「被害者の男が電脳空間で相羽タクミに諭され、電脳空間からのログアウトを試みたが、既に体が解体されていたために【ログアウト先がありません】という表示がなされた。…にも拘らず、電脳空間が限定であるが自我意識をはっきり保っていた。物質界に戻れずとも、電脳空間が消えない限り存在そのものは消えないということだ。…それをヒントにしてしまったのだろうな」

「…まさか、ありえない…!」

 

 

そう、肉体は失っても電脳空間では意識を保てる。

これは電脳空間でも【魂】が存在することになる。

人格を形成し、維持するのは魂ということ。

この世界でも実例はあるが、心と体が入れ替わるような現象は、即ち魂の交換である。

サブカルチャーでもこのネタはよくあるだろう。

人格の主導権はあくまで体ではなく、【魂】が握っているからだ。

 

「魂…」

「もう一つ。本来デジモンが存在しないこの世界において、デジモンの存在が現れたのは、暮海杏子がこちらの世界に流れ着いたからだ。彼女を呼び水に、世界に微弱ながらデジタルシフトが起こるようになってしまった。前回の歴史では、転生者以外にデジモンテイマーがおらず、神王の計画を止めるために打って出たものの、返り討ちにあってしまった。電脳空間に誘い込まれ、魔法が使えない状況に陥って、トータスで偽神、エヒトを倒し、魔王呼ばわりされた南雲ハジメたちも無力化したしな」

 

いくら強くなってもその能力を無力化してしまえばいいということだ。

6体の究極体デジモンと、6柱の天使だけでは、神王の暴走を止めるにはには至らなかった。

 

「まあ、そもそも前回の歴史ではお前もミリアも死亡したために、今渡した情報を持ち帰ることも出来ずに、消えた世界の修復も出来なかった。サルベージに必要な13騎のロイヤルナイツも暮海杏子だけ。御神楽ミレイとの交信も出来ない状況では初めから【詰み】だったわけだ。仮に神王の暴走を止めても、結局生き延びる道はなかった」

「では、何故大天使様はその情報を過去に送ったのでしょうか?」

 

まあ、そのあたりも世界の仕組みを知らなければ理解できない事か。

 

「枝葉の世界どれか一つでも樹の世界の情報を修復できれば、世界の連鎖崩壊は防がれる。樹の世界が消えているにもかかわらず、この枝葉の世界を維持できているのは、地球の北欧神話の主神、オーディンの分霊が世界を維持しているからだ。機能停止したこの世界のイグドラシルの役割を代行しているのだ」

「それは…!そういうことですか。元々イグドラシルの源流は北欧神話のユグドラシル。オーディンはユグドラシルで首を吊った逸話もあり、グングニルで自らをユグドラシルに突き刺した逸話もある」

「そうだ。故にユグドラシルの派生物であるイグドラシルのシステムを掌握するなど容易いことなのだ。しかし、分け御霊しかないオーディンではイグドラシルの維持だけで精いっぱい。その場から動くことはできない。だからこそ、私が色々と【仕込み】に動く羽目になった」

「仕込み…?」

 

フン、私も世界を渡るすべを持っていると知ってるならすぐに思い至ってもいいだろうに。まだ若いな。

 

「私も未来の天使から情報受け取った年である数百年前から活動していた。ミリア同様な。そしてデジタルワールドのみならず、アースガルズ、オリュンポス、日本、ブリテン島などといった、デジモンの元ネタとなった神々の力を借りるためにな。デジモンならば本物の神の力を借りるよりは、遥かに短い時間で扱いやすくなり、電脳世界でも戦えるからな。まあ、電脳世界でも魔法使えるようになる研究はミリアが完成させるしかないだろうが。

 

 

そして、次元空間に消えたアルフォースブイドラモンをトータスに誘導し、世界消滅の際に虚数に消えた残るロイヤルナイツをサルベージした。最も、人間をサルベージすることはできなかったので、こちらでピックアップしたデジモンを、いずれ来るであろうトータスに召喚される人間とトータスの住人と出会うように仕向けるための仕込みだ。

 

…いや、サルベージせずに紛れ込んでしまった人間が何人かいたか…?

 

とにかく、エグザモンは見つからなかったが、これは思わぬ幸運により、捜索不要となった。ロードナイトモンはある人間とデジシンクロを起こし、岸部リエとしてとある人間と生活している。これに関しては自力で誰がテイマーか探すといい。ガンクゥモンは私がデジタマから育てた」

「…ゼロ。貴女、人間嫌いではありませんでした?」

 

ガラテアは人間に迫害され、人間を嫌っているはずの私が人間のために動く理由を聞きたいのだろう。

 

「勘違いはするな。あくまでミリアのためだ。…それに、榊原進示の人生には少しだけ同情する。私も弱者でありながら突然責任を負わされ、迫害されるになったのだから。最も、この世界の榊原進示はまだ【これから】だろうがな」

「…」

「前回の歴史の私は【思い出していないから】ただ憎しみだけで榊原進示に虐待まがいの修行をしていたがな。ミリアが自分の身体をデジモンに組み替えるために必要なピースはドルゴラモンだ。それだけの容量がいる。この世界の榊原進示はまだなれない」

「…暗黒進化…!?まさか、自分を悪者にするつもりですか!?」

 

ガラテアは与えられた知識から私が何をしようとしたか察したようだ。

 

 

ただ、自分を犠牲にするやり方に驚いて、何を思い出していないかを聞くことを失念してしまったようだな、ガラテア。

今の私にとっては都合がいいが。

 

 

 

私はすでに自分の責務を果たした。生き延びることにも興味はない。ただ一点を除いて。…ダメだ、情を思い出すな…!

 

私は表面上は取り繕うが…感づかれはしないだろうか。

 

「ミリアは星に根付いた特別な龍族だ。ジールが消滅すれば彼女も消えるしかない。だが、自分の身体をデジモンにして星に根付いた龍族という枷を払う。そうすればジールが消えても彼女は生き延びるだろう。…榊原進示と魂をつなげる必要はあるがな?どのみち、お前との会話はこれで最期だ。私は榊原進示に殺される。それが最適解だ」

「…あなたは!あなたはっ…!!」

 

ガラテアが我慢できなくなったのか、泣き出してしまった。

 

…彼女もなんだかんだで私を気にかけていたからな。

 

「どうして自分をないがしろにするんですか…!!」

「単純に人類の行く末に興味はない。わが弟子のためだ」

「ミリアも悲しみます…!」

「だろうな。だが、彼女も私が死ぬことは承知のはずだ。直接話してはいないが、これ以上情を持ちたくはない」

「…!!」

 

「それに忘れたか?私はこの星の住人ではない。ハイネッツで誕生した半デジタル生命体だ。この星のために戦う気はない。それに、英雄への報酬支払いを7世紀も踏み倒している世界だ。1~2世紀程度であれば借金を返すのも難しくはないがな」

「デジタル…。昔言われた時は疑問でしたが、今言われてなんとなくわかりました。貴女は高次の生命でありながら現実の生命なのですね」

 

人間からデジモンになった例は何件かあるが、私はその境界線が曖昧な生命だ。

 

理論上は生きていても問題はないが、珍しいものに食いついてしまうのは人間の性。

 

私の身体の秘密を探ろうとした欲望ある人間は枚挙に暇がない。

 

 

「ガラテア。一連の黒幕は【勧善懲悪】、平たく言えば、子供向けヒーロー物語のような展開を嫌うものだ。大切なものと死に別れてこそ人間の価値が出ると考えるタイプの者だ。実に神側の傲慢な考えだが、同時に摂理でもある。だからこそ、どのような手を使っても生き延び、この情報と、世界サルベージのためのピースを持ち帰れ。異世界にわたるアイテムはフェーが持っている。私はまだやることがあるし、お前も榊原進示と暮海杏子を観察し続けろ」

「…」

 

ガラテアはもう私の意志を変えられないと悟ったのか、涙を流したまま頷いた。

 

「もう一つ…本当に生き延びる気はないのですか?」

「くどい」

「フェー姉様は自身の身体を作り替えるほどの技能を持ちません。星に根差したエルフ故にこの世界が消えれば消滅する」

「お前と違ってフェーは生き延びられない。星に根差した存在は生まれた時から超常の力を持つ。ミリアは【死者蘇生】、フェーは異世界、異次元まで見通せる【千里眼】。超常能力を代償に星と運命を共にしなければならない」

「ええ。貴女は違うでしょう?」

 

確かに私はこの世界の人間ではないからな。…まあ、縁はあるが。

 

「貴女はミリアの研究ノートを盗み見ていたのでしょう?ならば…」

 

そう言ってガラテアは私に耳打ちをする。

 

「…確かにその方法ならばミリアと違い、生身で蘇生することは可能だろう。私が半デジタル生命だからできる裏技だ。少なくとも人間にはできまい」

「ええ。だから…」

「くどい」

「…」

 

ガラテアはなおも私に生き延びろと訴えているが…、やめろ…そんな顔をするな…!

 

もう話すことはないと言わんばかりに私はガラテアを突き放す。

 

 

「…達者でな、ガラテア」

 

その言葉を受けたガラテアは…私を信じるように背を向けた。

 

ガラテアは勇者召喚の情報を得るために城に向かった。彼女の隠密スキルなら隠れて行動は容易だろう。

 

 

「…ふぅ」

「大丈夫か?あの娘には気づかれなかったか?」

「記憶と知識と処理能力は優れていても、推理力は少々足りないか。まだ青いな」

 

とはいえ、今回に限ってはプラスに働いた。

 

いや、ガラテアは口にはしなかったが…もしかして気づかれたか?

 

 

因みにガンクゥモンは私の秘密を知っている。

 

デジモンとパートナーは互いに隠し事があっては、真の力を発揮できないからだ。

 

 

 

 

「…ガンクゥモン、現時刻を持って私とのパートナー関係を切る。…世話になったな」

「…何度も話はしていたが、その時が来ると込み上げてくるものがあるな」

「…そうだな。今から私の力でお前を電脳空間に送る。…わが弟子と………いや、進示と杏子を…ミリアを頼む。どう動くかはお前の裁量に任せる。…進示の高校のクラスメイトをどうするかもな」

「…委細承知…というか、清水幸利に何か仕込んだのゼロだよね?」

「当時は赤ん坊だから覚えていまい。それに、アレは清水幸利の才能が高かったため出来た無茶だ。【前回】と違って今回はお前がいたからどうにかなった」

 

 

「そうか。我はまたゼロのパートナーになれる日を待っているぞ」

「…!お前は…!」

「…フッ」

 

そう言ってガンクゥモンは不敵に笑った。

 

 

それに我慢できなくなった私はガンクゥモンを電脳世界に送ると、デジヴァイスを握り潰した。

 

これ以上情を持ちたくはなかった。

 

「…この失う感覚…慣れたくはないものだ」

 

しかし、この感覚こそが私がガンクゥモンといた時間が楽しかったという証だ。

 

そして、両刃の斧のような剣を取り出す。

 

「友愛神殺剣。前回の歴史では持ちえなかった神殺しの剣。これを暮海杏子の魂に仕込むこと。後は、友愛、家族愛、どのような絆であれ信頼関係と暮海杏子の記憶をトリガーに取り出せるようにしておこう。あまり早期から使えるようになってもためにならないしな。デジシンクロはトータスの魂魄魔法、昇華魔法を用いても剝がすことは出来ぬ。…はぁ、私が世界のために動いているようで癪だな…」

 

しかし、彼等をを生かすために他の手段はない。

 

 

突如、巨大な魔力反応を検知して振り向くと、城から召喚術式を感知した。

 

それを見て疑似千里眼で幼い少女に見えるデジモンを引き連れている榊原進示を視て…。

 

「…」

 

 

ガラテアの前では決して流せなかった涙を流した。

 

抜け落ちた髪の色素。白くなった髪。

 

灰色になった瞳。

 

彼らは私が何者かはまだわからないし、知る必要もない。

 

「全く…なぜこのような知識を私に与えたのだ、大天使トレード。…いや、彼女は片っ端から送信しただけで、受信者を特定していなかったのだな。切羽詰まったのはわかるが、…知らなければよかった、こんな知識。歴史を変えるべきか守るべきか…迷うじゃないか…」

 

 

彼女の静かな慟哭は誰にも聞かれなかった。

 

「さて、ここで進示に非情さとトラウマを植え付けなければ詰んでしまう。これはもう博打だな。可能性はものすごく低いが……もう、ここまで来てまだ迷うのか私は…!!」

 

 

『私…生きてていいの?』

『いいんだよ。お前がどういう人生歩むのかわかんないけど、生きてちゃいけないなんてことはない。お前はまだ生まれたばかりだろ』

 

何故…今になってこの言葉を思い出す…。

 

「生きてて…いいのか?生きてて…いいの?■■■■」

 

 

 

 

 

 

進示視点

 

現在俺達はジールという世界のホープ王国の城の客室にいる。

 

 

異世界召喚を食らったのは何とも言えない奇妙な感覚だ。

 

この感覚は転生以来か。

 

国王らしき髭のおっさんの話では、過去にも勇者召喚を試みたらしいが、そのどれもが失敗に終わっている中、ここ数百年は召喚で現れた勇者はいなかったらしい。

 

つまり俺達は数百年ぶりに召喚に応じたものになる。

 

応じたんじゃなくて拉致されたが正解だが。

 

そうして、数百年討伐されていない邪神を討伐してくれと言われているわけだが。

 

っていうか俺達中身はともかく見た目子供なんだから(11歳程度)、俺らに頼むんじゃねぇ!

 

「はあ~、気が重いなぁ」

「どうするの?やっぱり戦うの?」

 

杏子が俺の目を見ながら聞いてくる。

 

その純粋無垢な目は反則だ。可愛すぎる。

 

この可愛さだけ見たら元のアルファモンを知っている身としては記憶喪失のままでいいかとすら思えてしまう。

 

「まだこの世界の情報が足りなすぎる。戦うにしても逃げるにしても、情報収集はしなくちゃいけないが…、もうすぐに戦いに駆り出されそうだ。それに見た感じ国民もピリピリしている感じがする」

「うん、みんな元気ないね」

 

数百年も邪神が討伐されていないとなると、人類側の疲弊は酷いはずだ。

 

「ゲホッゲホッ!」

「進示!?大丈夫?」

 

咳き込む俺に杏子が慌てて俺の背中をさする。

 

「すまん」

「無理しないで…」

「くそ…、体力ねぇなぁ俺。この虚弱な体質だけは治してくれなかったものかねぇ」

「大丈夫だよ。私、何があっても進示の傍にいるからね」

「…」

 

本来はありがとうと言いたいが、本来の暮海杏子の中身を知っているため、その言葉が杏子自身の呪いになってしまう気がして、素直に言えなかった。

 

最も、謎の魂が繋がった現象によってもうお互いから逃げられないのだが。

 

「今の咳き込み、外に聞かれてないといいがな」

「んー。聞き耳立ててみたけど、誰も怪しんでないよ」

「ならいいが」

 

いずれにせよ、戦いに駆り出されるまで猶予はなさそうだ。

それに、人間の疲弊から大した装備もない。

話を聞く限り、異世界召喚に頼りすぎじゃないか?この世界。

 

「ごめんな杏子。戦いのときはお前に甘えきりになる。俺も護身術くらいは身に着けているが、援軍がない以上、戦う逃げるの判断を間違えてはいけない。勿論、本当に必要な時は戦うけど、生存優先だ。

…知らない環境にいるならなおさらな」

「うん!いのちだいじにだね!」

 

杏子も俺の方針に異論は挟まない。

 

しかし、可愛い顔をしながら、何があっても俺を守るという意志の強い瞳をしている。

 

…何故、チキンの俺にアルファモン(彼女)がパートナーになったのか。

 

その答えが出るのはまだ少し先の話。

 

 

 

 

 




ガンクゥモンが榊原進示の性格
『ロイヤルナイツ…幻にして空白の席に立つ騎士のテイマーは少々人が良すぎて貴様の指導には向かん…、いや、時間さえかければ貴様の心も溶かすだろうが今回は時間がない』※本編第4話参照
何故知ってたかというと、未来の樹から知識を受け取ったゼロから情報を不完全とはいえ共有したため。

本編第21話でガンクゥモンのセリフ。

『転生者というよりはタイムリープに近い状態の者がいるのだが、それも転生者という扱いになっているらしい。その者の名は、清水幸利』

これの答えは本文にヒントが。いや、ほぼ答えだが。


師匠ことゼロの正体の核心を早く書きたい。

ヒントはあるので気づく人は気づいてしまうかもしれませんが。

こっから下はさらにヒント。

さらにヒントが欲しい人は下にスクロール。

ヒントがいらない人はここで読了してください。



























































第23話時点でのゼロの正体

杏子。
ミリアからもたらされた情報元に推理し、ゼロの正体に辿り着いてしまった。
ミリアとは直接魂を繋いではいないが、杏子とミリアがそれぞれ進示と魂が繋がっているので、進示を中継器にして情報を引き出した。
結果、頭を抱えた。
進示に言うべきか一瞬迷ったが、もともとデジシンクロ状態かつ魂の繋がりが強くなってしまったために自分の考えを隠すのは無理なので、進示にも知られてしまった。しかし、進示は目の前のウルの対応で精いっぱいなのか、SAN値チェック失敗しながらも正常に活動しているので様子を見ることに。
進示の知る限り、記憶が戻った自分のことを推理が外したことがないという信頼が裏目に出てしまった。



進示
上記の杏子を通じて知ってしまい、SAN値チェック失敗。後悔しまくり。しかし、ゼロの考えもわかるため、自分が泣くわけにはいかないと思い、内心泣きながらも現在目の前の問題に対応中。後でミリアから話を聞く予定。



ミリア

ゼロの正体に辿り着き、実はウルに着いたときに人知れず吐いた。

ガンクゥモンのテイマーが誰かは知らない。

ゼロが夏でも左腕だけ長袖なのを不自然に思い、ゼロの腕について質問をしたことがある。
ゼロは正史では左腕を見せなかったが、タイムリープ後は見せている。


ゼロの延命法。
本文の通り、ゼロは半デジタル生命体。
人間であり、デジモンでもある。

ヒント:デジモンが死ぬとどうなる?





おまけ

第23話、仮眠でお休みのあいさつをする時



※加筆。

…。

『そう言えばお前…ミリア。お前吐いてたろ?』
『な、何のことですか!?』

動揺が激しいなコイツ。

『杏子の推理は当たってたわけだ』
『…!!ううっ!!』

そうだよな。知らず知らずのうちに本来の形ではないとはいえ、自分の夢を果たしてたもんな。

『…今はウルの問題に集中しよう。話し合いと慰め合いはそれからだ』
『…そうですね。すみません』
『謝る必要はない。私もデジモンである以上絶対に叶わないと思ってたからな』


ゼロの3体目のパートナーデジモンを知りたい?

  • 知りたい
  • シナリオに合わせた正体開示でいい
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