デジモンと命を共有する転生者   作:銀の弓/星の弓

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結構難産でした。

転生者たちのサポートをする天使は天使と大天使という呼称が用いられていますが、しっかり違いがあります。

大天使【現在判明している大天使は樹=トレードのみ】はある種の抑止力でもあります。


追記

現在執筆中の【あっち】の方でネタを挟んだため、本文を微妙に修正しました。
本編に支障はありません。


第6話 オルクス大迷宮と地球への通信(その2)

進示視点

 

 

「そう言えば、杏子は迷宮に入る直前、何か言おうとしてたな」

『うん、前日の夜、香織がハジメの部屋に行ったときに、よくない視線を感じたの。ハジメに嫌悪の視線を向けていたのは檜山だけど…もう1つ視線があったの』

 

確かにそう言っていた。

 

「ああ、覚えているとも。…本来あり得ない視線…少なくとも人間のようで人間ではない」

 

「…なんだって?」

 

檜山は大体予想できる。

 

事あるごとにハジメに突っかかっていた。

 

『な、なんだって!?夜這いか!?』

『うおおお!?ハジメ!?やるじゃないか!?』

『お赤飯炊かなくちゃ!!』

『黙れゴミム…クソや…ゴホン、親としてもっと言うことがあるでしょう!?』

 

向こうでは阿鼻叫喚の地獄絵図だった。

特に白崎智一さん。

 

「カオリというのは聞いていたけど、ハジメの様子を見る限りナニもなかったと見える。ハジメの童貞は私が頂いた」

「ちょ!?ユエ!!?」

 

 

…うわー…このタイミングでソレ言っちゃう?…まあ、俺も…優花から迫られたとはいえ、本物の女子高生である優花を傷物にしてしまった。

しかも杏子との3Pで。

 

 

『『えええええええええっ!?!?』』

 

『き、貴様!?マイエンジェルというものがありながら!?』

「いや、白崎の方も俺の方をストーカー…されていて迷惑を」

『なんだと!?マイエンジェルがストーカ…する…わけ…』

 

やっぱり騒ぎになったか。

 

…ん?急におとなしくなったな、智一さん。

 

『お、思い出した…あれは学生時代…薫子と出会った時だ…』

『いやだもう…急に惚気ないでよ…、智一さんてモテるし、優しさと甘さの区別もつかないし智一さんに言い寄るゴキブ…女性をどうやって』

 

ゴキブ!?最後の一文字は飲みこんだけどもしかして台所に出没するアレ!?

女性をそれに例えたの!?

 

「そう言えば、召喚前日も白崎がハジメの家に夜から出待ちしてたんだ。八重樫に頼んで摘まみだしてもらったから、彼女が証人です」

 

『ま、マイエンジェル!?』

 

すると優花が

 

「南雲をフォローしておくと、ユエの方から南雲に迫ったみたいね。

まあ、左腕右目を失って、精神の正常を保つ方が難しいし、ユエの方も300年迷宮に拘束封印されてたみたいだから、慰め合ってれば抱き合うのは自然な流れね」

 

「ん、自然の摂理」

 

ユエが当たり前のように言う。

 

…と、俺も優花のご両親に言わなくてはいけないことがあるな。

すると、俺の意味ありげな態度に優花が俺の言おうとしている事を察したのか、

 

「ちょ!?進示…!?…わ、私の方から迫ったんだし…」

「いや、自分で言う」

 

優花のご両親も俺たちのやり取りから察したようだ。

 

「…正直に言います。私が関係を持ったのは優花で【3人目】です。いや、神と杏子の種族の数え方から言って…正しい単位か?ここにいる杏子とご息女はトータスに召喚されてから関係を持ちました…ですが」

 

『一人目…いえ、一柱目は私です』

 

モニターの向こうの樹が俺の言葉を引き継いだ…ん!?

 

「お前!?自分が大天使であることを!?」

『説明に手っ取り早かったので、明かしました…主であるあなたの許可を得ず、独断で明かしました…この咎は受けましょう』

「いや、お前がそう判断したのなら…ほぼ間違いないだろう…正直、お前の先読みは未来予知レベルで俺達でもお前の頭脳にはついていけない」

 

 

…ちなみに、今【一人】と【一柱】という言い方と、単位の話をしたのは…うん、トレードが最近分身能力を身に着けたからだ。

とはいえ、まだ、仕事を代行できるほど精度は高くないため、現在分身は出していない。

 

『いえ、少なくともあなたならば並みの英雄よりは頭が回るでしょう…流石に本職のスパイが務まるレベルではありませんが、貴方の方針を確認せずに明かしたのは確かです』

「樹に対する罰はいい。それより…」

 

俺は園部夫妻の言葉を待つ。

 

『まあ、若いわね~優花♪』

「ま、ママっ!?」

 

優花も俺もお母上の反応が予想外で驚いた。

杏子だけは面白そうに事の成り行きを見守っている。

 

『進示君と言ったね。…父親としては複雑ではあるんだけど…優花がそう決めたのなら見守るしかない…君に言うことは一つだけだ』

 

「…それは?」

 

俺は神妙に御父上の園部博之さんの言葉を待つ。

 

 

 

 

 

 

『優花を無事に連れて帰って…私たちに会わせて欲しい』 

 

 

正直モニター越しでなければ殴られる覚悟もしていた。

 

 

そんな俺に娘を連れて帰ってきて欲しいと頭を下げられたのだ。

 

…正直こんな…自分でも情けないと思える…独りで強くなれない俺に…。

 

「…必ず」

「おや、初めてじゃないか?100%の保証がないのに【必ず】なんて言うのは」

 

 

杏子からそう言われ自分でも驚く。

 

「そうだな…人生で初めてかもしれん。だが、こんな事情に巻き込まれ、愛し合った女の親御さんに頭下げられたんだ。なら、答えるのが筋だ。

それに…事情があって生物学上人間じゃなくなった優花だが、人間の女を抱いたのは優花が初めてだ。これまでの戦いは自分達で何とかしてきたけど、精神的には杏子と樹に依存していた…。これからは俺が…」

 

『ストップです。進示様。』

 

突然樹から待ったが入る。

 

『貴方様が何もかもを背負う必要はありません。その様子では、そちらの方々全員が戦う覚悟を決めたようですね。…気を張りすぎると潰れるのは分かっているはずです。導くことも必要ですが、気負い過ぎないでください…貴女の本質は八重樫雫さんと似たようなもの…本当は戦いたくないのに戦う道しか選ぶことを許されなかった進示様は英雄ではなく、【迷子】が進示様の本質です』

 

「…わかってる」

 

『…やはりそうだったか』

 

八重樫雫の祖父、鷲三さんが得心が言ったように呟いた。

 

…天之河の妹らしき子が意外そうに眼を見開いている。

 

『迷子って聞くけど、彼はそんなに子供なのかい?話を聞いて頼もしそうに感じたんだが』

 

白崎智一さんがそう聞いてくる。

 

『いえ、一般的なイメージでは智一さんの認識でしょう。ですが…』

 

 

「迷い苦しみ、道を敷いてあちこち生きながら(行きながら)様々な人の心に触れ【子】から【人】へと至るための人生の解析。様々な価値観を受け入れる心…【愛】を学び、時に相いれない相手との衝突という【争い】と【助け合い】を学ぶ矛盾…成長と衰退、清と濁、…時にギャグとシリアス。生きる上で常に相反し続けるヒトの心を学び続けるための巡礼……それが樹の言う俺の【迷子】の本質」

 

 

『…よくできました。以前の貴方であれば辿り着けなかったでしょう。…だからこそ、時に見返り無しでも助け、時に誰かに甘えることも忌避してはいけません。…ヒーローだから完璧であれなどとは幻想です。英雄も苦しみを持つのですから、時に過ちを犯します。そこから再起できるかが重要なのです』

 

 

俺の答えに裏の世界の住人を除く保護者の面々は半数くらい困惑し、残りの半数は理解の色を示す表情を見せた。

 

…この若造…いや、前世も含めて齢50を超えているからだが…若造に見える俺がそんな言葉を吐いているのだから無理もないか。

 

杏子は感心したように、優花とハジメとユエと俺の言葉に何か感じ入ったのか…無言だ。

 

「そうなると天之河が一番危ないわね。アイツ、自分の価値観以外見向きもしないんだから」

 

優花がそう言った。

 

いきなり自分の息子(兄)の名が出て驚く天之河一家

 

 

『そ、そう言えば真っ先に戦争参加を表明したのは光輝って話だったけど…、』

「話が大分脱線したし、戻しましょう…万が一を考えて俺の制服に小型カメラも仕掛けていた…その映像を」

 

 

俺はカメラのデータから当時の映像を映し出す。

 

≪うん、なら大丈夫。俺は戦う。人々を救い、皆が家に帰れるように。俺が世界も皆も救ってみせる!!≫

 

 

握りこぶしまで作ってそういう天之河。

全部映しても時間が足りないので、要点だけピックアップする。

 

さらに坂上が追従、八重樫が渋々ながら参加表明、白崎が八重樫に追従した。

他の殆どの生徒もさまざまな違いはあるが参加を表明。

 

俺やハジメは無言。

畑山先生が抗議したが、結局丸め込まれた。

 

『光輝…』

『ま、マイエンジェルが…』

 

「考えすらせず即決したのは問題ですが、神権政治であることを考えるとコレがベターでしょう。

参加を拒否すれば背信者として追放されればまだいい方、最悪魔女狩りみたいな公開処刑があった可能性はありますし、女性陣は…性的に尊厳を失っていたかもしれません。

ならば表面上は従いつつ、自活の手段…生活基盤が身につくまでは国の支援を受けた方がいい…そういう意味でベターですね。

…いずれにせよ、日本の価値観で言う最適解は存在しません…生きるためそのものにリスクを冒す必要がありましたし、…私もこの人数を守り養うのは極めて難しいし、過労死の危険もありました」

「ま、間違いねぇな」

 

俺の言葉にハジメが肯定する。

 

 

「そこからは訓練課程で檜山達のハジメへのリンチがありました。力を得たことで増長したのもあるでしょうが、理由はどうあれ、ハジメを【キモオタ】と見下してる彼らにとって、ハジメは絶好のサンドバックだったのでしょう。実際、カウンセリングをクラス全員に素養としましたが、檜山たちは『ああ!?舐めてんのか榊原!?』とか言って取り付く島もありませんでしたし」

 

ハジメをリンチしていた映像も途中からだが映った。

 

王女から借りた政治学書を読み、訓練の時間になって、訓練所に一定股が、ほぼ同時に駆け付けた八重樫、白崎、天之河などがリンチを止めたものの、

 

『…だが、南雲自身ももっと努力すべきだ。弱さを言い訳にしていては強くなれないだろう? 聞けば、訓練のないときは図書館で読書に耽っているそうじゃないか。俺なら少しでも強くなるために空いている時間も鍛錬にあてるよ。南雲も、もう少し真面目になった方がいい。檜山達も、南雲の不真面目さをどうにかしようとしたのかもしれないだろ?』

 

「…これはヒドイ」

 

ユエの口から呟かれた辛辣な天之河への評価。

 

すると杏子が

 

「人間とは千差万別…知識もまた力になる…。天之河光輝は学校の成績はいいのだから、それが分からないはずはないのだが…恐らく、本人も自覚していない嫉妬があるだろう。」

 

『と、いうと?』

 

天之河の父が…天之河聖治さんといったか。

彼が聞き返してくる。

 

それに杏子は返す。

 

「白崎香織や八重樫雫とは幼馴染の関係にあると聞きました。…恐らく彼女たちはずっと自分のそばにいると思っていたのでしょうが、白崎香織が南雲ハジメに理由は分かりませんが、好意を向けていたことに対する嫉妬と思われます。…だからこそ自覚のないまま南雲ハジメを冷遇したのではないのでしょうか」

 

杏子の言葉に優花が「ああ、あり得るわね」と呟いた。

 

モニターの向こうの人たちが微妙な表情をしているが、天之河の妹さんだけなんかソワソワしてるな。

 

するとハジメが気まずそうな顔で

 

「ああ、理由なら迷宮に入る前日の夜に聞いた。…なんでも、たまたま居合わせたカツアゲの現場で俺がおばあさんを助けるために土下座で丸め込めようとした現場を白崎に見られてたらしくてな…それが白崎に『ハジメ君は強い人だ』って思うようになったらしくて…中学の頃だったな」

 

『だからアンタあの時ボロボロだったのね』

 

南雲菫さんが納得したように言った。

 

白崎智一さんも意外そうな目でハジメを見る。

 

「この辺はもう特筆すべき話題はほぼないし、良くない視線で檜山がハジメを見ていたのはさっき杏子が言ってた…余談ですが、ランデル王子も白崎香織に気があるみたいです」

 

『まあ、香織、モテモテね!』

『ぐぬぬ…やはり害虫はどこにでも沸くのか…!』

 

「…まあ、ハジメと俺で造った刀の試作品を八重樫雫に渡したくらいですか」

 

「それでいよいよ迷宮に入ったんだよな」

 

いよいよ話題は確信に入る。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

樹視点。

 

 

 

『いよいよ迷宮に潜ったんだな』

 

『ああ、女性陣にル〇ンダイブのように飛び込んでいったモンスターに天之河がキレてオーバーキル攻撃した時もあったし、ハジメが錬成で上手くモンスターを倒したり、…俺は目立ち過ぎない程度に立ち回っていたが、もしかしたらメルド団長は俺や杏子の実力に気付いていたかもしれんな』

 

そう言う進示様。

 

「本気を出さない理由は…雫たちにもある程度自営出る経験を積ませるためかな?」

 

『はい、鷲三さん。本当に危なくなれば助けるつもりでいましたが、私も杏子も体は一つしかありません。様々な状況を想定すると、守りすぎるのも良くないと思いました』

 

それは当然だろう。

私も【妨害】によってトータスに行けない以上、進示様と杏子ちゃんだけでは限界がある。

 

…そういう意味とこれから先に訪れる未来も想定したうえで協力者の要請をしたんでしょうけど。

 

『そうしてグランツ鉱石という美しい鉱石…装飾品の原料としても価値の高い鉱石を安全確認も済んでいない段階で鉱石を採ろうとした檜山がトラップを発動させてしまいました。それで転移トラップが発動し、65階層…当時確認されていた最大の下層に飛ばされ、前方にベヒモス、後方にトラウムソルジャーの大群に挟み撃ちにあってしまう事になりました…』

 

そう、映像まで見せられて、檜山さんのご両親は他のご家族から厳しい目を向けられてしまう。

 

『その程度の過失自体は気にしてません。が、挟み撃ちに合った以上、退路の確保が先にもかかわらず、天之河がベヒモスを足止めしようとするメルド団長たちの指示を無視し、ベヒモスに立ち向かおうとしました。坂上は追従、八重樫が天之河のストッパーをしようとしましたが…聞く耳持たずです。

……世話になった恩人を見捨てたくないというのも分かるのですが…ね』

 

進示様が突然憂いを帯びた顔になる。

 

…ミリアさんの事だろう。ハイネッツにもお世話になった人がいると聞いていますし。

 

『私は杏子に逃げられるギリギリの位置で状況によってどちらにも入れる中間の位置にいてもらい、先にトラウムソルジャーを倒して退路の確保をしようとしました…戦場の経験がない人間がいきなりピンチになればパニくるのは当然だが』

 

『私は転倒して、トラウムソルジャーに殺されそうになったんだけど、ギリギリで進示が助けてくれたの』

 

優花さんが進示様を見つめてそういう。

 

…ああ、それは…十分切っ掛けになりますね。

 

≪無事か!?園部!≫

≪あ、うん…≫

≪…橋の崩落の危険がある以上、退避完了までベヒモスとやらを倒せる火力は出せない。お前たちは騎士団が援護するから、お前たちは前だけ見てろ≫

≪あ、あんた達は!?≫

≪あの前に出てる連中…ハジメ!?≫

 

すると、ベヒモスの側の天之河さんの説得をしているハジメさんが映った。

 

≪アレが見えないの!?ほぼみんなパニックになってる!?リーダーがいないからだ!前ばかりじゃなくて後ろも見て!≫

≪あ、ああ…わかった…メルドさん、スミマ≫

≪!!?≫

 

 

と、ベヒモスの口から何やら触手のようなものが伸びた。

 

…あの触手の形状は!?

 

 

≪メタルキャノン!!!≫

 

と、杏子ちゃんが手のひらから鉄球を射出し、触手を払いのけた。

 

その杏子ちゃん本人は頭痛を起こしているのか左手で頭を押さえている。

 

「きょ…杏子ちゃん…」

 

誰ともなくつぶやいた。

 

≪…止むを得ん!!おめーらは天之河を連れて下がれ!!説明の時間はないが【捕食】されたらアウトだ!!ハジメ!数秒でいい!!【錬成で】奴を足止めしてくれ!!≫

≪うん!わかったよ!!!≫

 

そう言ってハジメさんは橋を錬成してベヒモスを足止めする拘束具を作る

 

…橋を材料にする以上足場は脆くなるが、他に手はない。

 

上手くベヒモスを鎖のようなもので動きを封じたが、数秒で抜け出されるだろう。

 

さらに触手も出されないように口も拘束する。

 

すると進示様はブルーカードとDアークを取り出し、スラッシュする。

 

…触手の正体にはなんとなく察しはついた以上、人間の進示様が迂闊に近づくのはよくないと思ったのだろう。

 

 

≪――MATRIX EVOLUTION――≫

 

 

進示様のパートナー、杏子ちゃんには複数の進化ルートがあるが、今回はグレイドモンを選択したようだ。

 

二刀を持った竜人騎士、完全体のグレイドモンだ。

 

事情を知っている面々以外は、杏子ちゃんの進化した姿に開いた口が塞がらないようだ。

 

≪く、暮見さん…!?≫

 

 

もう頭痛は収まっているのか、杏子ちゃん…グレイドモンは二刀…双剣グレイダルファーをしっかり構え、

≪グレイドスラッシュ!≫

 

上段に構えた二刀を振り下ろし、ハジメさんが作り出した拘束具ごとベヒモスを両断した。

 

後から聞いた話では、ベヒモスを地面に埋めるようにしたかったらしいが、それだと口を塞げない可能性があるので、鎖にしたとのことだ。

 

と、両断したはずのベヒモスが再生した。

≪な!?≫

 

≪グレイドモン!!≫

 

進示様が杏子ちゃんを見る…が、杏子ちゃんは頭を抑え出し進化が解除されてしまった。

 

≪な…!?大丈夫か!!?≫

≪…わ、ぐ…記憶が…≫

 

蹲りながらそうつぶやく杏子ちゃん。

 

…まさか頭痛は記憶回復の前兆なの…?

 

でも、喋り方が大人っぽくなっただけで、記憶の大部分はまだ思い出せないみたいだけど。

 

 

≪ぐ、しょうがねぇ!≫

 

そういった進示様は右手で拳を握り

 

≪タイラントバスター!!!≫

 

振りぬいた拳の先から砲撃のような熱戦がベヒモスを包んだ

 

ベヒモスは黒焦げになり、動かなくなった。

 

…皆進示様の攻撃に唖然としているが、タイラントバスターを放ったのはいいことではない。

 

しかし、杏子ちゃんが蹲ってしまったことから、橋の崩落リスク覚悟で使ったのだろう。

 

 

 

 

≪杏子!!!≫

 

 

 

優花さんとどこからか飛んできた火球がと一緒に走ってきた。優花さんが杏子ちゃんと自分の位置を入れ替えるように杏子ちゃんを押しのけ、

 

火球は崩落しかかった端に直撃。

 

次から次へと変わる展開に反応が遅れた生徒たちを置いていきながら事態は進む…。

 

 

≪いやああああ!ハジメ君!ハジメ君!!!≫

≪優花!!!?≫

 

 

 

進示様、優花さん、ハジメさんが奈落の底に落下してしまった。

 

 

映像越しでこうやって生存報告がされている以上、結果は知っているとはいえ、

 

正直生きた心地がしなかったのはこれで何度目か。

 

 

 

 

 

 

 

≪…私はキミとともにいる…!!!例え命がつなっがっていなくても!!君の命運、最後まで共に在ろう!!!≫

 

 

 

 

そんな声が聞こえた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ほんの少し前

 

 

 

檜山大介は白崎香織に好意を寄せられる南雲ハジメが気に入らなかった。

 

だから【俺の】香織…どうやって気を引こうか、どうやって南雲を亡き者にしようか、そんな薄らぐらい事を考えていた。

 

…自分がトラップを発動させてからも俺は悪くないという考えが頭をめぐっていたが、次々に起こる予想外の展開にみんなの目が自分に向けられていないことを悟った。

 

 

 

さらに

 

 

 

 

『すこーしだけ後押しをしてあげましょう♥

…今なら、魔法を撃っても気づかれませんよぉ?』

 

 

 

そんな声が聞こえた。

 

 

その檜山のそぶりを見逃さなかった園部優花は、進示やハジメ、杏子の元へ全力で駆け出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

竜人族の里。

 

 

 

「また姿が変わったのお…。その姿にも名前はあるのか?」

「【進化】したのだ。今の私はリュウダモンという」

 

 

 

 

 

 




人物紹介6

ガラテア

ジールの世界のエルフ属で前回紹介したフェーの妹。

トータスに流れ着いてエルフであることを隠してメイドになり、進示を見たときから専属になって様子を見ようと画策もした。

ジール時代は接点がほぼなかったが、隠密スキルを利用し、彼らの戦いを見守り続けていた。




~追記~

ベヒモスの口から触手?

進示と樹たちは察しましたが、

この個体は【捕食】されました。

見た目はベヒモスですが、中身は既に別物です。

ミュウはどちらがパパ?

  • オリ主(榊原進示)
  • 南雲ハジメ
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