この話でとある人物が生存確定です。
扱いをどうしようか迷っていましたが、神代魔法の知識ならこの人がいないとね!
デジモンにも神話などで元ネタがあるデジモンもいますがこの作品全体でそれにメスを入れます。
神霊とかの単語を使いますが、ファンタジー系の作品では比較的よく使われます。
そして1発退場してしまったエヒトですが、本当に運が悪かったんです。
ですが、原作以上の大激戦になるので、地球を戦場にしないという意味では、最大のファインプレーをかましたのです。
トータス人にとっては迷惑だけどね!!!
杏子視点
そう、彼らが大迷宮に落下した時点で私は一部とはいえ、記憶を取り戻した。
…同時に、何年も前に自らをデジタマまで退化させたのは我ながら英断だった。
もしあのまま無理矢理デジモンの姿を取っていたら…私のいた世界ごと消滅していただろう。
…まだ思い出せない私のいた世界の修復も行わないと、こちらの地球も連鎖崩壊してしまうな。
こちらは【枝葉】の世界に過ぎないのだから。
それは進示も樹も、進示の悪友たちも分かっている。
ともかく、メルド団長や他のみんなの一瞬のスキをついて私は自ら奈落に飛び込んだ。
「ただ、優花は進示が咄嗟に抱えたからいいものの、より下の高度で落下中のハジメ君は掴み損ねてしまった。…飛び込んだ私も進示の救助が優先だったからな」
『進示様と杏子ちゃんは托生の身、片方が死ねばもう片方が死ぬ関係である以上、離れて行動するのもよくありませんからね』
「加えて、私は魔力がないうえに、進示がいなければ成長期程度の力しか出せない。…デジタルワールドやネットワークで出来た電脳世界ならまだしも、現実世界では満足に力を振るえない」
『やっぱり、杏子ちゃん…デジモンだったのね』
南雲菫がそう言う。
先ほど見せた映像も加味すればその結論には簡単に至れるか。
「元々はアルファモンという聖騎士デジモンでした。ある事件を経て、私は自らの消滅を避けるために、記憶喪失覚悟で自らをデジモンのタマゴ…デジタマに退化させたようです。記憶がまだ曖昧ですが、…そこから先はタマゴの私を進示が拾ったのです」
『そして、人間とデジモンが心と体を一つにした融合進化をしたとき、他の5人は大丈夫でしたが、進示様だけはある理由で、魂が繋がってしまい、アルファモンも別の世界で人間に憑依していた履歴から、デジモンであるにも関わらず、人間の姿で実体化した。…命の共有が起きたこの現象を我々は【デジシンクロ】と呼称しています』
その話にモニターの向こう側がざわつく。
「念のため言っておきますが、この現象が起きたのは、私が長い間進示とは違う人間に憑依していたからであって、他のデジモンは命を繋ぐ現象など起きません。…ですが、確認されている限りでは私以外にあと1体だけ、長年人間に憑依したデジモンがいます」
「ロードナイトモン…憑依していた人間は岸部リエ」
私の説明にそう付け足す進示。
すると八重樫鷲三さんが
『岸部…どこかで…』
と、考えるそぶりを見せていた。
「ご存じですか!?」
進示は驚きで食いついた。
…私も妙に気になる。記憶があいまいだからか…ロイヤルナイツの名を聞いてもいまいち実感がわかない。
しかし、放置も出来ない。
『…努めている場所までは分からぬし、そもそも多少世間話をした程度。私もそこまで踏み込む必要はないと思った…が、ただ、ある時を境に事件に巻き込まれた中村恵理という少女の身元引受人となった女がいた…。私はたまたま居合わせたが、それが岸部リエという名前だったはず』
『「!?!?」』
…進示とモニターの向こうの樹が驚いている。
と、大和田君が口を開いた。
『あ、それって俺が扱った事件だから、榊原はいなかったはず』
「大和田!?ホントか!?」
『間違いないよ。ほら、資料を送信したから後で見といて』
「…わかった…っていうか仕事はえーな…プライベートじゃもたつく方なのに。…いや、だからかな?」
大和田君の性質に関しては、恐らくオンオフの差が激しいという事だろう。
「で、落下してからなんだけど、南雲だけ離れた場所に着水したみたいで、私は進示と杏子に助けてもらって、」
≪無事か?二人とも≫
落下した時の映像を見せながら優花が語る。
「ホント、杏子はいきなりしゃべり方が変わっちゃうし、驚いたわ」
「…まあ、戦闘シーンは語るのは長すぎるから、要点だけピックアップしよう」
「私も、デジモンでもないのに空間跳躍しながら回し蹴りをしてくる兎とかいたのは驚いたな。
あれ、拳銃の発砲に反応できる動体視力と反射神経がないと、生き残れないんじゃないか?」
私の語った感想と蹴り兎の映像に一般人の方たちが『で、でたらめ過ぎる!』と騒いでいた。
「…ホント、進示がいなかったら私、死んでたわね。この後分かるけど、魔物の肉を食べるまで、進示と杏子に頼るしかなかったもの」
『優花…』
「だが、魔物に襲われているギルモンを助けたのは、間違いなくお前の意思だ」
「そうだよ、僕を殺そうとした魔物を倒したのは二人だけど、真っ先に駆け出したのは優花じゃないか」
「私も魔物が助けを求めるはずがない…魔物はそもそも喋れないからな。
だが、声が聞こえた」
見たのは魔物の群れに囲まれ、今にも追い詰められているギルモンだった。
何故デジモンが?と考える前に優花が飛び出してしまったのだ。
≪助けないと!!≫
≪…あ!?しょうがないなぁ!!≫
進示が構えた龍の杖で、ジールで身に着けた魔法で半数の魔物を切り刻み、もう半数をラプタードラモン(私)が凄まじい瞬発力で魔物に接近。突進と必殺技【アンブッシュクランチ】で嚙み千切った。
「でも実際に『助けて』って聞こえた…助けなきやいけない…そう思った。何故そんな気持ちになったのか分からない」
疑問に浸る優花に私は憶測を話す。
「恐らくだが、デジモンはパートナーと運命的に、時に奇跡と言える出会いを果たす。
陳腐な言葉ではあるが、出会う前から『絆』のようなものが出来ることもあるという。
あるいは前世か何かで縁でもあったのかな?」
私も進示と出会ったのは奇跡のような偶然だと思っているが…もしかしたらまだ思い出せない【助手】との出会いも運命だったのかな?なんとなくそう思える。
「…暫く迷宮をさまよっていたが、魔物自体は成熟期でも十分だし、ラプタードラモンで十分だった。
…ドルガモンは体の大きさ的に問題がある…いや、サイズ変更はできるが、非常食にも限りがあったし、体力の消耗は抑えたかった。…食料も現地調達は望めないし、…だが」
「進示が、南雲ハジメの魂を補足した」
私がそう言うと、モニターの向こうの南雲夫妻が騒ぎ出す。
「しかも、血痕があった。まだ比較的新しい…な」
その言葉に南雲夫妻の顔が青くなる。
「どうやら錬成能力を利用して穴を掘って逃げていたらしいが、偶然出会ったガジモンにけん制で助けられつつも…左腕を食いちぎられていたらしい。そして」
「…いや、アレは見せたくない!!」
ハジメ君が突然抗議をしだした。
「南雲…のたうち回るアンタの姿を見せたくない気持ちは分かるけど…見せるべきよ」
「いや…」
躊躇するハジメ君だったが
『ハジメ』
南雲愁さんは、その時していた顔は【親の顔】だっただろう。
『俺はお前がどんな経験をしても受け入れる。だって俺たちはお前が無事でいてくれるのがこんなにも嬉しいなんて…モニター越しとは言え、お前の姿をもう一度見れた時どんなに安心したか』
『…進示君、見せていただける?』
ハジメ君は何も言わなくなってしまったな。
それを了承と受け取ったのか、進示が映像を流す。
駆けつける直前に錬成師としての技能を生かし、魔物を仕留めていたらしいが、地下水から発見された、どんなケガも直す【神水】と、魔物肉を同時に食べてしまったせいで、全身から血を吹き出しながら体を再構成させているハジメ君の姿が映った。
それを見て泣いてしまっている菫さんが見える。
そしてそれを見つめるガジモンの姿が。
「ハジメ…覚悟決めたお前を止めなかった俺もだが、お前も相当だな」
「後から気づいた」
≪ハジメ!!気をしっかり持て!!!≫
ハジメ君から吹き出す血が自分にかかるのにも構わず後ろからハジメ君を抱きしめる進示だった。
神域には二人の男女の姿がある。
女性の方は羽が4枚ある天使だ。
「…なるほど、エヒトごときではこの神性情報に耐えられなかったと見える。奴は神の力の一端は使えど、人間の域は出ない。本物の神であり、本物の魔王であるあの神霊には食い潰されるが道理か」
「当然だな。だが、トータスの開拓者には善良な人間もいたようだ。奴らが善性、エヒトが悪性か」
「…問題は何故そのような神性が出てくるかだが、様々な創作において、英雄や神の名は使われる。…その方が分かりやすいからな」
「人間の創作活動の副作用というわけか」
「…地球に残されている転生者にベルゼブモンのテイマーがいたな」
「ああ、この世界の性質とベルゼブモンに引っ張られて顕現しかかっているのか。
…エヒトを消すのがもう少し遅ければファングとの相乗効果も相まって、詰んでいたな?
…なるほど、破壊神大天使たる私が派遣されるわけだ」
天使は納得がいったように笑う。
「イーターが進化して【ファング】が出現してしまったのも、ただの副産物とはな…あの世界で倒したイーターがこちらに流れてきたのかと思ったが、」
「それもあるだろうが、ここで倒してもまたどこかの世界へ流れるだろう。行先で変化して巡り巡ってまた戻る…」
「…まるで食物連鎖…いや、循環…輪廻?…とにかく、ロクでもないな」
男はため息をつく。
「デジモンにも神話をモチーフにしたものが数多く存在する。
デジモンという媒体を使うはいいが、こんな形で裏目に出たか。
…海人属の幼子にもある程度期待するしかあるまい。
…幼子を戦わせるのは気が進まないが。
…日本からは武御雷、オリュンポスからはアポロンとアルテミスが自身の情報をデジモンという形にしてトータスに派遣したか。
…アースガルズからは…これは驚いた。自ら首を吊ったユグドラシルの派生物であるイグドラシルを自らが守るなどと皮肉が効きすぎている…まあ、分霊であって消えても本体には支障が出る痛みにはならないか」
「…だからイグドラシルが消えてもロイヤルナイツやデジタルワールドがまだかろうじて形を保っているわけか」
「この世界も【創作】である以上、本体の助力は期待できまい…。デジモン究極体が数多く戦うだけで、トータスの命運も終わる…が、地球が戦場にならないところを見れば、エヒトはある意味ファインプレーをしただろう。…シュクリス、破壊神大天使ならば…」
「無理だ。この世界の危険度はまだ70%も行っていない」
「…そうか。引き続き監視をしろ。ノイントにも【指示なしで動くな】と伝える。幸い神話の勉強はそこまで必要ないし、踏み込む必要もない。それほど大ごとであれば、この世界はとうの昔に終わっている」
「…了解した。必要なのは【空想の具現化】のみである。名状しがたき領域にまでは首を突っ込む必要はなさそうだ」
そう言って天使は飛び立とうとしたが、唐突に待ったが入った。
「なんだ?」
金髪の大天使…シュクリスは怪訝な顔をして、契約主を見る。
「…解放者の最後の生き残り、ミレディ・ライセンを受肉させろ。…私のもう一人の大天使も動かして構わん。榊原進示に【魂】の力を学ばせる。ジールで学んだ魂の力とハイネッツとデジモンで得たネットワークの力だけでは不足だ。適任はミレディ・ライセンしかいない。…あの二人ならば必ず【概念魔法】 を生み出す」
男の言葉にシュクリスは疑問を挟む。
「南雲ハジメはまだしも、榊原進示に【極限の意思】があるとは思えない。奴は迷いながら成長する人間性だ」
「不要だ。【極限の意思】はこの世界で解明されていない物理学の曖昧さを補強するための単一性精神エネルギーだ。逆説的に言えば、物理学、高次元空間論理などを理解できていれば不要の長物だ」
するとシュクリスは目を見開いた。
「…ああ、だからあの探偵騎士か。高度なデジタル論理を持つパートナーがいれば…そして、ミレディ・ライセンの肉体の復元の理由も察した…そして、七つの神代魔法の力で【空想の具現化】のパーツになるな。
他の解放者は肉体を復元できるほどの魂が残っていない。
吸血姫の叔父も同様だろう」
シュクリスはクツクツと笑い、
「…了解だ。奴らの地球帰還後の事を考えれば、ミレディ・ライセンは必要だな」
「それと、維持神代天使どもの肉体をこちらに来れないように引き続きファイヤーウォールを張り続けろ。…通信させるのは構わん。現在もオスカー・オルクスの隠れ家で通信中のようだが。
ベルゼブモンのテイマーだけはここに来れるようにしろ。その他の調整は任せる」
シュクリスは頷くと今度こそ神域から飛び去った。
「さて、【空想の具現化】だけでは足りない。精神の補強にはヒトの関係を結ぶ【絆】がいる。
孤高では奴に太刀打ちできない…だからか。世界が俺ではなく、榊原進示を選んだのは。
奴ならば、心許した女…に限らないが、南雲ハジメ同様、情をかわした人間とともにいる方が強くなれる。…切り捨てた俺と違って」
そして、主の銘を受けたシュクリスは空を飛ぶ。
しかし、その顔色は真っ青だ。
「あーあ…あのだいてんしにかりをつくりたくないなー。こんどはどんなダークマターりょうりをたべさせられるかわかんないもんなー。くれみきょうこのなぞのあんこくぶっしつこーひーのほうがましかなー。ひどいかなー。あばばばばばばばば」
普段のクールビューティーな威厳はどこへやら。
「…すまん、俺も【また】死にたくなはい」
【まだ】ではなく、【また】と言っていることから、彼も被害者なのだろう。
人物紹介
シュクリス。
7人目の転生者に仕える破壊神大天使。
大天使は翼が4枚ある。
金髪赤目の切れ目のクールビューティー。
破壊神大天使であっても、転生者を支えるために様々な技能を習得。
勿論情事の方も。
その世界の危険度が99.5%を超えると、世界を破壊する権能の行使が許される。
が、世界の崩壊を他の世界に伝播させないための処置でしかない。
現在は力を制限しながら活動しているが、それでも究極体デジモン4体分以上の戦闘能力を持つ。
また、同僚の天使に苦手意識を持っているが、その理由は劇物料理の試食に付き合わされるからである。
ミュウはどちらがパパ?
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オリ主(榊原進示)
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南雲ハジメ