デジモンと命を共有する転生者   作:銀の弓/星の弓

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今回は特別編です。が、本編に絡む要素も…

それと、本編を少し前倒しする情報があります。




年の瀬特別編…でもあり本編でもある。年越しは想い出に

進示視点。(肉体年齢11歳時)

 

 

 

「おせち料理ですか?」

「ああ、お正月はそう言った料理やお雑煮を食べたりするのさ。地球とジールの時間が同じ流れなら、もう今年はこっちで年を越すことになる」

「うん!おせち料理もお雑煮も美味しいよ!」

 

杏子顔面の笑みで言う。

 

ミリアは少し思案顔になり

 

「こっちではおせちもお雑煮も【本来は】ない文化ですから、こっちの習慣のお料理でよければ出しましょう。ですが進示の前世は北海道で過ごしたんですよね?ですよね?北海道ではおせちは12月31日に食べるんじゃないですか?」

「…毎度疑問なんだがお前、地球には行ったことないはずだよな?あと、何故2回【ですよね】言った?」

「…いい機会ですから教えておきましょう。まずはこれを見てください」

 

そう言ってミリアは亜空間倉庫から4つの携帯端末を取り出す。

 

…おい!これはまさか!!!

 

 

「…初代から4代目のポケベルサイズのデジモン!?ボタン電池で動く!?」

「これ、対戦型たまごっちって言われてたあの?」

「そうですよ。それにはボタン電池は入っていませんが、新品がいくつかありますから、出しますね」

 

そう言ってミリアはボタン電池も出す。

 

俺は興奮してミリアからゲームを取り上げ、起動させる。

 

杏子も興奮した様子で、端末をいじっている。

 

「…!!」

「進示達が過ごした時代のゲームに比べればレトロですが、息抜きも必要でしょう。

…厳しい授業をしているのは申し訳なく思っていますが、今後を考えれば必要ですから」

「…つっても今日も野営だよな。ん?【本来は】おせちはない?」

「…耳ざといですねぇ。…よし!少し回り道になりますが、西の都市に行きましょうか。

異世界から流れてきた異文化大都市があるんですよ」

「異文化大都市ってのは仕入れた知識たが…異世界だと?」

「はい、異世界から召喚されたり、進示みたいな転生者が築いた文化の街です!」

「は!?」

「え!?」

 

 

ミリアの言葉に驚く俺達。転生者が何人もいるのか!?

 

「と言っても、現役世代的な転生者はもういません。

…以前も言いましたが、ここは異邦人や転生者に頼り過ぎた世界。

報酬を払っていればまだマシでしたが…いや、最初の300年はお金だったりハーレムだったり、のんびりする時間だったり、様々ですが、活躍した人が納得する報酬が払われていたんです。

…ですが、お師匠さまも含めて活躍した人を迫害したり、功労者なのに罪を被せたりした状態がもう7世紀も続いているんです」

「7世紀!?…いや、待て!その言い方だと師匠もジールの住人じゃない!?」

「…そうなんです。力で捻じ伏せるは極端ですが、この世界はもう英雄への感謝を忘れて久しいのです。だからお師匠様の言葉も一側面では正しいのです…転生者がいなくなったり召喚されなくなったのは星からの警告かもしれないですね」

 

星からの警告…。

 

「どんな世界にも拘らず星は自分たちで頑張る人間に絶対ではないですが、支援する傾向があるんです。勿論、異世界人に頼るのは時として必要だったり、何もできない人がいたりするだけで目くじらは立てません。物理法則が存在する時点で誰もが幸せになれる世界等ありませんし、宇宙も神様も多様性を認めている以上、才能あふれる人と何もできない人が出てくるのはある意味しょうがない。何もできない人、悪人にも支援したりするのは、成長のために必要な起爆剤なのです」

「成長…」

 

俺としては迷惑極まりない仕組みだが、世界のバランス上仕方ないことなのだろう。人間が定めた法ではなく、物理法則的な意味で。

 

「ハーレムは?地球じゃ風営法とかこっちより結構厳しいぞ?」

「ヒトの定めた法律と星が裁定する基準は違います。同じ括りで量ってはいけません。

ヒトが定めた法が素晴らしくても、星にとって害悪であればその世界は処断されます」

 

うあぁ…これ、殆どの人間が信じたくないことだぞ…。

 

「誰かがいじめられる。誰かが犯される。誰かが殺される。誰かに責任を被せたがる。サルがヒトに進化したのは知恵を持ち、道具を使い、文明を築き、外的、災害に対抗出来るうようにするため。しかし、知恵持つものほど如何に巧妙に搔い潜り、欲求を満たすかを考えるようになる」

 

「…」

 

「記憶が戻ってない杏子にはまだ呑み込めませんね」

「…俺達がデジモンを使うことは悪か?」

「私見ではありますが悪でしょう」

 

…もし俺がマジの11歳だったらもう少し優しい言葉をかけたかもしれないが、ミリアははっきり言い切った。

 

「人間はデジモンより弱いです。力もそうですが知恵もです。学習速度も人間の方が遅すぎますし、自分たちより強力な兵器を使って我が物顔で自分の力としてますから」

 

グサグサ刺さる痛い言葉。

 

「…そうか。もう少し利用される側の事を考えるべきか」

「…進示。ですが、杏子もあなたお友達のデジモンも、貴方達と一緒にいることを不幸だと思っていますか?」

「ううん。思ってないよ!」

 

杏子がきっぱりと言い切った。…ありがとう。

 

「世の中はロジックで片付けられないことがたくさん溢れています。正義感も正しいことも行き過ぎると毒です。【薬も過ぎれば毒になる】でしょう?法もガッチガチに固めちゃうとヒトは反発します」

「…」

「進示。あなたは【迷子】なんですから、必ず正解にたどり着かなきゃ…最適解を選び続けなきゃいけない事なんてないんです。そんなこと神様だって出来ません。天使様だって多分あなたの事を模範的人間でいろなんて思ってないはずですよ」

「…」

 

まあ、俺は私生活の様子はお世辞にもよくないが、殆ど怒られたことはない。

 

ジール召喚前は樹の教えでパソコンを自作できるようになった。

 

 

前世の俺はこんなに物覚え良くないんだが。

 

 

「まあ、この後天使様はあなたが地球に帰った後に進示の戸籍上の年齢上児童猥褻と分かっていながら【ピーッ】して【ピーッ】して泣きじゃくる進示を赤ちゃんみたいにあやして…」

 

「何の話だゴラアアアァァァァァァァァッ!!???!?」

 

何だこの未来が分かってるような物言いは!?

ていうか俺泣きじゃくりながら食われる!?

 

「大丈夫ですよ!女子高生にも慰められますが、その人もちゃんと進示を受け入れてくれますよ!3Pで!大丈夫、私は不順異性交遊何て言いませんし、ロリコンになっても軽蔑しませんよ!」

 

3P!?3Pって言ったかコイツ!?ってか女子高生!?

ロリコンってなんだ!?俺はお姉さんがいいんじゃあ!!

 

あ、因みにミリアは172のGカップだ(目測)。

 

…まあ、人間性を好きになったら体型何てどうでもよくなるかもだが。

 

今は杏子を護らなくてはならないが、戦闘だと杏子に甘えてる部分も大きいし、記憶戻ったら頭上がらなくなるかも…なんか手に職つけるかなぁ…。

 

「よし!こうなったら今この場で3Pしましょう!私も赤ちゃん産めないまま死にたくないですし!!」

「おい!生まれ直して2年経ってない杏子をまきこむな!」

「大丈夫大丈夫!中身の年齢は3人ともセーフでしょ!私も杏子も数世紀は生きてるんですし、おばあty「メタルキャノン」うげっ!?」

 

調子に乗った発言をしたミリアが杏子の鉄球に吹っ飛ばされた。

 

 

 

 

『赤ちゃん産めないまま死にたくないですし!!』…か。

 

すまないな…。俺の不甲斐なさに付き合わせて。

 

 

 

翌日の夜。

 

「はい!年越しそばです!」

「あんの!?」

「美味しー!!《ズルズル》」

 

杏子がもう蕎麦をすすってる!?

 

因みにミリアは赤い髪の上に冗談のようなデカイたんこぶの上に冗談のような絆創膏を張ってる。

 

昨日のメタルキャノンのか。

 

ミリアも蕎麦をすすりながら答える。

 

「これも昔転生者が持ち込んだ文化です。おせち料理は残念ながらありませんでしたが、馬肉鍋を食べましょうか!精力付きますよ。特にさn「もういいから。後ここは飲食店」…さいですか」

 

コイツ師匠がいなくなってからエロネタが増えたな?

 

「日本では日没が1日の始まりと唱える説があるのさ。【年取り善】だったかな?旧暦ではまさにそれさ。北海道ではこの風習が残ったから、大晦日におせちを食うのさ。…杏子の記憶がありゃ、さぞ、雑学知識披露してくれただろうが」

「聞きたかったですね、インテリ杏子」

「えっへん!」

 

今は記憶もなく精神年齢も肉体年齢も低いので、何をやっても可愛く見える。

……………ロリコン説否定しづらくなった。

 

「この馬肉鍋は味噌ベースのスープか?結構美味いな」

「そう言っていただけて良かったです!ホントは料理したかったのですが、家庭では手に入りづらい食材もあったので…」

「気にすんな。それくらいでピーチク言わねぇよ。杏子のかつての助手なら食レポやっただろうが」

「へえ、どんなレポートでしょうか」

「…まあ、色々マニアックなレポートだ」

「それもゲームの知識ですか?」

「…お前、本当にどこまで知ってる?」

 

それを問うが、これを知ってるのは本当に限られた人間だけだ。

 

杏子にも説明はしてあるが、否定はしていない。

 

自分を拒絶もしていない。

 

そして未来視持ちのフェーと交流が深いというが、それだけでは説明がつかない知識量だ。

 

「…1つは【魂の共感】。今進示が私から習ってる術ですね。ヒトの性質のみならず、星の記録すら読み取れるもの。まあ、使いこなせればですが」

 

星の記録だと!?まるで観測者のような能力じゃないか!

 

「まあ、科学的な立証とヒトの心がどれだけ真実を直視できるかという問題がありますが、捏造なしの記録すら閲覧可能になるものです。…もう一つは…」

 

もう一つは?

 

 

 

 

 

 

「私はどうあってもこの世界で命を落とす。

…ですから、どうやって生き延びようか、その反則的な方法を模索しています。進示【様】」

 

 

 

 

 

 

その顔が…俺の知る女性と被って見えた。

 

 

「おっと、私、何か言いましたか?」

「…お前…」

「ではもう一つヒントを。とある偉大なお方の【知識】何ですよ。…進示も良く知ってる」

 

「…偉大なお方?」

 

 

進示は考える

 

(まあ、少なくともアレではあるまい。俺が知ってるなら他のメンバーの世界の者じゃないな)

 

 

 

 

 

ジールに進示がいた頃、平行世界の地球より。

 

「関原、これいつまでかかるの?オイラ流石に飽きてきた」

「小山田。宇宙人が戦艦で地球を責めてくる光景はどっかのゲームであった気がするけど、全滅させるまで元の世界に帰れない?」

 

ムゲンドラモンになってる小山田とブルムロードモンになっている関原。

 

《撤退は許可できない!戦闘を継続せよ!》

 

宇宙戦艦を撃ち落としながら無線を傍受する二人。

 

軍に入ってるわけじゃないので、盗聴した。

 

デジモンと同化している今そんな芸当は簡単だ。

 

「またGか!?」

「せめて戦艦は回収したいな。一機でいいから」

「一発でジャンボジェット機粉砕できるようなスナイパーも欲しいな」

 

「今年はこっちで年越しかぁ」

 

 

 

 

 

シュクリス視点。(時系列は秘密だ)

 

 

今、エヒトルジュエが消えた神域においてシュールな光景が映っている。

 

私が作った年越しそばをすすっている、竜兵とドラコモン、そしてスレイプモンとマグナモン、ドゥフトモン、クレニアムモン、デュナスモンだ。

 

…年越し蕎麦とは言ったが、地球の元旦はまだ先だ。

 

…にも拘らず妄年末料理を食べている。

 

 

 

蕎麦?勿論10割だ。しっかり麵は繋がっている。

 

「暖かい蕎麦だというのにしっかり繋がっている」

「何故我々が人間の食事に付き合わんといかんのだ」

 

そう言って文句を垂れるドゥフトモン。こいつは人間破滅派だったな。

 

「フム。2:8蕎麦も捨てがたいが、やはり蕎麦は10割が至高(嗜好)

 

そう言ってかなり真剣な感想を返すのはスレイプモン。

 

前の世界ですっかり人間の食文化に目覚めたか。

 

「そうは言ってもロイヤルナイツ5人がかりでこの女一人にやられたではないか」

「貴様らが10体以上であれば流石に危なかったが、今使える力なら5体は余裕だ」

「ロイヤルナイツも半数以上行方不明ですからね」

 

そう言って落ち着いて蕎麦をすするのはマグナモン。

コイツは相羽タクミと白峰ノキアの活躍で人間の側についていたはずだが…争いばかりのこの世界で再び迷いが生じたか。

 

「貴様らが【ファング】と名付けたイーター…。イーターは精神データのみを喰らう存在だったが、ヒトの肉も食うようになって名称を変えたそうだな」

「まあ、区別のためにな。誰も争わない、誰も犠牲にならない世界は物質界のどこにも存在しない。

余計な被害を他の世界に伝播させず、世界を丸ごと破壊させないための破壊神だ」

 

 

まあ、私の息子は一般人として生きるために私と縁を切ったが、ある所業に手を出してしまい、デジタルハザードを発生させ、ファングの進化をさらに加速させてしまった。

 

…故に、これは私が払うツケである。

 

榊原進示と、強引に口づけを交わした私は榊原進示と仮契約の状態にある。

 

…本契約は性交渉の必要はないが、儀式は裸で行う必要がある。

 

私たちの羽のように生体組織上のもの以外はアクセサリーも外す必要がある。

 

仮契約だけなら口づけでも可能だ。

 

転生者が複数の天使と契約を交わすことは禁じられていないが、天使が複数の転生者と契約を交わすこともまた禁じられていない。

 

後者は滅多にないケースだが。

 

「…お前の指示で榊原進示と仮契約を行ったが、これでよかったのか?」

「ああ。これが最期の年越し蕎麦になるかもしれないな…」

 

…【最後】ではなく【最期】と来たか。

 

もう竜兵は生き延びるつもりはないのだろう。

 

「お前の息子が榊原進示と暮海杏子の生体データを盗み出したツケもあるだろう。ゴホッ!」

 

竜兵が喀血する。

 

その様子にデジモン達もさすがに困惑する。

 

「無理をするな…」

 

 

 

私は応急処置をしながら言う。

これは病であると同時に寿命が近いこともある。

 

ただの人間の体で無理をし過ぎだ。

 

…本当の元旦を迎えるころにはもう食事もままならないかもしれないからだ。

 

 

「…俺に最期まで…病になってもついてきた女はお前だけだな」

「…」

 

竜兵もいわゆるハーレム主と言ってもいい経歴はあるが今はもう私以外は誰もいない。

 

…私のさらに前の契約者であり、私に種を植えた男もいない。

 

私の息子もハイネッツとともに消えた。

 

「…まて、創造神の方の大天使がいるだろう」

「…アレは信用するな」

 

初めてこいつのもう一人の契約している大天使を【信用するな】と言った。…何故だ?

 

「…病で弱気になって口を滑らせた」

「…話すつもりはないと?」

 

 

口を閉ざしてしまう竜兵。

 

…ダメだ。読心も出来ない。

 

私は今までも、これからもどれだけの男を見送るのだろうか。

 

人類誕生前からいる私だが、この離別は何度経験しても、考えさせられる。

 

天使である以上は契約者の選択を尊重しなければならない。

 

それがルールだ。

 

転生してさらに私を連れまわすか、私との契約を切るか。

 

竜兵は後者を選択した。

 

 

…榊原進示は?

 

私を連れまわすだろうか。それともさらに次の契約者に私を委ねるだろうか。

 

 

 

「今一度問う。神童竜兵。お前は次の世界へも私を連れまわす権利がある。

 

私を戦力として使うも、誰かの世話係として使うも、私を愛でるのもお前の自由だ。

それを放棄すると?」

「何度も言わせるな。…もう決めたことだし…もう転生は疲れた」

「500年余りの人生に幕を閉じるか。そうか…。私とお前の契約は30年に満たなかったな。ドラコモンはどうする?」

「好きにしろ。出会いがあれば別れも必定」

「竜兵」

 

喀血した時に駆け寄った時に年越しそばをこぼしたのだろう。

 

食器も割れている。

 

「岸部リエとの契約も守る…ロードナイトモンとの契約を。【イグドラシル】の復活…。まあ、そこから先は白紙だが」

 

ロードナイトモンと聞いてロイヤルナイツたちがピクリと反応する。

 

「一応書面にもしたが、イグドラシルの復活までだ。そこから先は知らん。貴様らがイグドラシルとのつながりを求めるか、人間をパートナーに選ぶかは好きにしろ。貴様らは私情も多いが自分自身で考えることは大切だ」

 

「馬鹿な…イグドラシルこそ絶対。崇高なるイグドラシルこそ唯一無二…」

 

ドゥフトモンが言う。

 

「…その割には機能不全に陥ったり、極端な判断をしたりと、まともな働きをした例の方が少ないな」

「…貴様!」

 

私は竜兵を守るように立ちはだかる。

 

ドゥフトモンは私に完膚なきまでにやられているからか、おとなしく引いた。

 

「あまり挑発するな」

「…」

 

私が注意すると黙る竜兵。

 

「おい」

 

そうすると私に声をかけてきたのはスレイプモンだ。

 

「そばのお代わり。それと、お雑煮なるものを寄越せ」

「地球の元旦はまだ数時間先だがよかろう、作ってやれ」

 

契約者の指示なので、作りに行かなくてはならないか。

 

「それにしても、イギリスに行ってきて何を持ってきた?」

「なに、それなりに神様に対抗できるものだ…」

 

そう言って、竜兵はドラコモンを見る。

 

 

()()()()()()()だ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

時系列はまだナイショ

 

 

現在尋問をさせられている進示。

 

言うまでもなく、シュクリスに口づけされた件だ。

 

「本当に心当たりはない。推理は可能だが」

「推理?」

 

うら若き乙女としてのモヤモヤ感はあるが、進示の決めたことなら受け入れると言った。

しかし、それはそれとして話だけでも聞きたい。

 

「…アイツの契約者は死ぬつもりかもしれない」

「…なんですって?」

 

それは流石に穏やかじゃない話題なので、全員に緊張が走る。

 

「なるほど…死んでも魂が成仏するまでこの世にはとどまれるとは言え、天使は契約者が死ねば人間界にはいられなくなる」

「その保険として仮契約…筋は通るわね」

 

杏子が進示の推理を肯定した。

優花も天使のシステムは聞いているので、一応納得した。

 

『私の息子がハイネッツで非礼を働いた。その贖罪はいずれしに来る。本契約はその時に。しかし、今は神童竜兵の守護天使。本契約中の神童竜兵を優先するが、奴の意思とと心を損なわない範囲で手助けをしよう』

 

「非礼と贖罪…ね。俺やミレディに協力的だったのはこれが理由か?」

 

ハイネッツという単語が出た以上、心当たりは一つしかないと思った進示。

 

これも説明するとなると骨が折れる。

 

 

 

 

 

 

 

「皆さん、お蕎麦と馬肉鍋ができましたよ~、私の故郷は今日が年越しです!地球の元旦はまだ先ですけど!

進示の尋問はそれくらいにしましょう!どうせみんなやっちy「黙れ!」はぐっ!?」

 

進示がヤクザキックをかまして蹴られた女性は転がっていったが、懐かしいやり取りが返ってきたと思う杏子だった。

 

新しい顔と懐かしい顔に迎えられ、杏子は微笑んだ。

 

「ミリア先生!?」

「くはぁ~!杏子のメタルキャノンに負けてませんね!地球ではこんな暴力制裁出来ませんからね!今のうちにストレス発散しないと!良し!ティオ!せっかくなので私と一緒にお尻の穴に杭を打たれなさい!」

「まだその下ネタ癖治ってないんですか!?…気のせいじゃろうか…お尻の穴に杭…うっ!頭が…!!?一歩間違えば妾が…!!」

「…なんか気のせいだろうか?鬼畜野郎の称号を回避したような…」

「ハジメ、大丈夫?」

 

思わぬところで不名誉な称号を回避した南雲ハジメだった。

 

 

 

 

 

「…進示の記憶は見ましたが、…八重樫雫さんでしたっけ?なんか不穏ですね…。

彼女が敵に回るとかじゃなくて…死相が見えますね…デジモンになって魔法が使えなくなっても分かってしまうほどの強い死相が…。やっぱアレ、進示に完成してもらうしかないですね。彼女は誰の恋人になろうが死ぬべき存在じゃないので…それと、檜山って人の裏にいるのって誰でしょう?私でも見通せない人物ですね…わかりません」

 

 

 

 

 

 

くしゅん!

「雫、風邪かい?」

「雫ちゃん、大丈夫?」

「大丈夫よ、光輝、香織」

 

八重樫雫は「大丈夫」と口にする。

 

「そう言えばおじいちゃんが榊原君から馬肉鍋をもらったことがあるって言ってたわ。

私が風邪を引いたタイミングで」

 

雫はそう口にする。

 

「そういや俺も自分でも気づかない疲れに榊原が気づいてくれたな。『永山、お前このままだとオーバートレーニング症候群になるぞ』って」

 

永山がそう口にする。

 

「そう言えば影が薄いオレに気付いてくれるもんなぁ、気づいてくれるのは暮海もだけど」

 

浩介も口にする。

 

「…俺はあいつに首根っこ掴まれたぞ」

「光輝、あの時はアンタが大した証拠もないのにあの先輩に殴り掛かったからでしょ。

榊原君が撮った映像で証拠になったけど」

 

それぞれが進示の事を思い出す。

 

「私の時はハジメ君のハンカチを拾ったときに首根っこ掴まれ…」

「あの時の香織は一歩間違えば変態よ。…彼も彼で『せめて人目がないところでやれ』って言ってた当たり全否定はしなかったけど」

「え?普通じゃない?」

「……そう言えばクリスマスパーティーのプレゼントは割と適当だったわよね?」

 

もう手遅れと悟った雫は強引に話題転換をする。

 

「ハジメ君が言ってたけど、榊原君ってやる気があるときとない時の差があるんだって」

「へぇ」

 

実を言うと光輝や香織たちを交えたクリスマスパーティーの時は公安から依頼された仕事で選ぶ時間がなかっただけである。

光輝や雫たちと交流を始めたのは高校からだが、パーティーの誘いも突然だったので、尚更。

 

「プレゼント貰った時のキョウキョウの反応が可愛かったなぁ」

 

そう言う鈴だが、現在杏子は記憶が戻っているため、もう可愛らしい反応は見られないかもしれない。

 

…この杏子の豹変(?)で天之河光輝とこの後若干の悶着が待ち構えている。

 

しかし、クラスの女子からは「クールビューティー…ハードボイルドな杏子もイイ…!」と言われ、雫ほどではないが【ある集団】が出来てしまう。

 

「お正月の話を聞いたら、『以前は大晦日におせち食ってたけど、今は大晦日に馬肉鍋食って正月におせち食ってる』って言ってたわね」

「確か、大晦日におせちって北海道の習慣だよな?」

「それが何である年を境に馬肉鍋?」

「まあ、食事の好みは人それぞれね」

 

談笑で盛り上がる。

 

鈴はクリスマスパーティーの時の疑問を投げる。

 

「そう言えばエリリン。あの時榊原君とキョウキョウを睨んでたのは何で?」

「気のせいじゃない?」

 

 

 

 

 

 

 

 

「香織は何で南雲何かに…香織は俺のものだ」

「おうおう、愛しい愛しい香織ちゃんを自分のものにしたいかぁ~?

そうだよなぁ…あんなオタクに学園の女神が靡くのはおかしいもんなぁ?…死んだはずなのにまぁだ引きずってるもんなぁ?」

「!?」

 

檜山大介が見たものは…

吸血鬼のような…舞踏衣装を着用したヒトに似てヒトではない何かがいた。

 

「な、なんだお前は…!!」

「警戒するなって~。お前さんのパートナーになりに来たデジモンさぁ」

 

 

 

 

 

 

 

 

「もぐもぐ…うん、この煮物も出汁の香りが効いている…根昆布出汁か!

…うん!この黒豆も甘さが控えめ…もぐもぐ」

 

「スレイプモン、楽しんでいますね」

「ふん!人間の文化など低俗よ!」

「等と言いながら既に蕎麦も3杯目ではないか!」

 

デュナスモンに突っ込まれる。

 

「ふん、あの人間とブイブイと言われてたアルフォースブイドラモンに毒されたな…私も」

「ほう、別の世界のアルフォースブイドラモンには人間のパートナーがいるのですか…ん?平行世界が複雑に絡んでややこしいですが、あのアルフォースブイドラモンがブイブイでしたか!?…では我々と同じ次元のアルフォースブイドラモンはどこに…」

「オメガモンもガンクゥモンもジエスモンも我々の知る個体ではないな…」

「あの人間がバルバモンを笑顔で蹴っ飛ばしたと小耳にはさんだぞ…」

「…何者ですか?その人間」

 




デジモンになった龍の女性。
進示達が地球帰還後に大晦日に馬肉鍋を食べてると知り、大歓喜。
自分との思い出を大事にしてくれて嬉しかった。
そういうとこだぞ!進示君!



変態化回避の竜人族。

…素質はもとからあった模様。一歩間違えば危険。この世界では龍の女性のせい。

愛ちゃん護衛隊含む他にも何人か原作で心が折れてドロップアウトしたクラスメイトをデジモンテイマーに特化した戦士にする?

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