デジモンと命を共有する転生者   作:銀の弓/星の弓

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アンケートを設置する前からテイマー化が決まっていたキャラに関してはそのままテイマー化するつもりです。現在迷宮に潜ってるクラスメイトに一人…


第23話 考察、竜人

樹視点

 

私は関原さんたち、そして、召喚された生徒のご家族に指示を出しながら、問題が一気に増えたことに対して頭を悩ませる。

 

一旦帰らせて、また24時間後に来ていただくためだ。

 

因みに現在は南雲さんの会社の会議室にいる。

 

会議室に結解をを張ってるので、関係者以外には侵入できない。

 

そもそも神様転生システムというのはただ娯楽のためだけのものではない。

あらゆる世界、様々な人間の考え方、【発想】を記録するために生み出した情報記録のためのシステムだ。

 

そのため、前世がどれほど立派な人間でも、醜悪な極悪人にも転生の機会を与えることはある。

 

しかし、それはあくまで【オリジナル】ありきの話だ。

 

ガンクゥモンからもたらされた情報では、失敗した未来では、他のデジモンの世界が消去された情報を知らなかったため何の対応も出来ず、【枝葉の世界】であるこの世界も消滅してしまったのだろう。

 

そうなると、杏子ちゃんの元居た世界も消滅しているということである。

 

…ん?そうなるとどうして消えた世界を完璧ではないとはいえ認識できるのかしら?

 

杏子ちゃんの記録データを見ると、世界消滅直前に、デジタマサイズの容量なら通れる隙間が偶然開いた。

 

そのことに気づいた彼女は記憶喪失覚悟で、自分をデジタマにし、次元の隙間を通り抜けることで消滅を免れたのだ。

 

…まさに杏子ちゃん(アルファモン)この判断は英断だった。

 

そうしてくれなければまさにこちらは何もできずに…それこそこちらの世界のイーター出現時や、ジールの時点で進示様が死んでいた可能性は高く(実際死んだが)、トータス召喚にも何一つ対応できなかったかもしれない。

 

そして進示様に拾われた。

 

 

進示様は転生した時点では、前世と同じ虚弱体質で、私やあの女神さまは、進示様に転生得点と呼ばれるものは私との契約以外は何一つ与えていない。

 

守護天使をつけることは少し前から考案されていたことだから不自然には思われない。

しかし、普通の天使ではなく、大天使の私が進示様につくことは少々不安だった。

 

位の高い天使が動けば何かあると勘繰られることもある。

 

加えて、転生得点を与えなかったのは警戒させないためでもある。

 

…転生得点を与えなかったのは本当に申し訳なかったのだが。

 

力については、得るとしても全て現地調達でなくてはならなかった。

 

 

 

進示様の推測通り、サルベージには13騎分のロイヤルナイツ、そして理由は定かではないが、サルベージすべきデジモン世界の情報を持っているガラテアさんが必要となる。

 

…それから、進示様はまだ思い至ってないようだが、この世界か…あるいはトータスの住人…出来れば高次元の情報帯が見える巫女体質の人間が必要になる。

 

 

 

進示様や杏子ちゃんは知らない情報だが、この世界の地球もトータスも実はとある世界では創作物として記録されたものだ。

 

話を聞く限り、ミリアさんが知っているのは【私たちがいる世界】のみだ。

 

 

一先ずまだ調査は必要だが、進示様と杏子ちゃんが至ってない情報をレポートに纏めて送信する必要がある。

 

「しかし、とんでもないことになってしまったなぁ」

「そうですね。未来の私がもたらした情報もそうですが、様々な状況で少しでも歯車が狂えばどこで詰んでしまうかわかりません」

 

南雲愁さんの言葉に応える。

 

状況は割と綱渡りだ。もしかしたら、暴走したミリアインストールも使いこなさないといけないかもしれない。

 

「なあ、トレードさんよ。榊原達をこの世界に戻すことはできないんだよね?」

「そうですね。次元空間を渡るのも簡単ではありません」

「デジモンの究極体と融合して次元の海を通る方法は?コネクトジャンプの応用で」

「天使も次元空間を通れるよな、生身で」

「可能だとしても他の生徒さんが置き去りですね」

「だよなぁ」

 

ああでもないこうでもないと言いながら対策を練る。

 

「…最悪こちらから増援を送ることになるでしょうが、地球の守備も疎かにできません。

…なので準備ができ次第、一組を送ることになりますがよろしいですか…?」

 

「まあ、それしかないかな」

 

現在増援で送る可能性があるのは、ベルゼブモンのテイマーである大和田さんか。

 

他の転生者の皆さんは地球の守備、金城明音さんはまだ発展途上。今回の件の増援としては力不足。

 

で、あればベルゼブモンの元ネタであり、ベルゼブブの痕跡を辿りやすい彼らが一番だろう。

 

究極体と融合進化すれば、次元空間を通れるはずだ。

 

「神話って様々なカルチャーに使われるけど、もしかしてこの【元の】世界にも独自のベルゼブブが顕現していたりする…わね」

 

 

 

進示視点

 

 

ミレディの治療をしていたが、これ以上休み無しでは明日に響くとのことで一旦切り上げる。

 

彼女にはまだ安静にしてもらわねばならない。

 

「頭の痛い情報が多いなぁ」

 

これからしなければならないこと、地球に帰ったらしなければいけないこと、変わった歴史の検証と、次々に問題が沸いてくる。

 

デジシンクロを利用してミリアの記憶、情報を覗き見たが、一連の事件の黒幕は転生者を管理する神、神王でほぼ間違いなさそうだが、どこか腑に落ちない点もある。

【誰も傷つかず、誰も死なない世界を目指す】

という、物質界では実現不可能なことをしようとしている。

いや、仮に可能だったとしても、それは【運営】がいなければ成り立たない不完全な理想郷にしかならない。

 

「…運営側がいなくなれば、世界を維持できない。世界だって動かすのにはエネルギーがいるし、星を維持するとなればそのエネルギー量は莫大だ。で、あればシュクリスとその契約者が犯人の線はかなり低くなった。ジールをサンプルとして回収するのではなく、破壊を選んだのは…いや、断定は早計か?」

 

神様転生システムのことは樹から聞いている。その情報と、様々なカルチャー知識、物理学の知識、魔法の知識を総合し、考察する。

 

 

「神の世界も一枚岩じゃないのは当たり前だが…、現在の神王は神と人間のハーフ…それも、俺を転生させた女神の息子…となれば経験は浅い…誰かが裏で糸を引いている?」

 

そもそも多数の世界をバランスよく管理するのは並大抵の経験や力でできることではない。

 

人間の世界の政治だって、ホンの僅かなバランスの崩壊で国ごと崩壊する。

 

「くっそ!なんでこんな難しいこと考えなきやいけないんだ…なんでそんな大役が俺に回ってくるんだ…だが、生身の肉体を維持は困難…どうやって世界を維持…」

 

その時、不意に俺の脳内のある知識が呼び起こされた。

 

 

 

 

 

 

『ログアウト先がありません』

 

 

 

 

 

「!?」

 

これは確か、サイバースルゥースの…

 

 

『随分動揺しているな、進示』

『杏子…!?』

 

あ、俺の考えが駄々洩れだった。まあ、漏らさないようにする手段もないのだが。

魔力がなくてもデジシンクロ状態同士のものなら思念通話の真似事も可能だ。

 

現在杏子は報告書を書いているはずだが、

 

『今の知識はパーフェクトガールプロジェクト事件のものだな』

『ああ、何で今こんな知識が』

『…!!』

 

杏子が息を飲む音が聞こえる。

 

『まさか…物質界から電脳世界への進出…!?』

 

杏子が元居た世界では電脳世界へのダイブは常識だったし、現に杏子の理解者でもある御神楽ミレイも電脳世界にいる。デジラボとか。

 

『確かに、電脳世界は物質界よりはずっと【クリーン】な世界だ。神王の考えが実現すれば少なくとも食糧問題はもう考慮する必要がなくなる。それによる戦争も起きないだろう。…だが』

『また新しい問題が起こる』

『加えて、物質界は絶対的な支配者がいなくても案外何とかなる世界だが、電脳空間ともなればそれを維持、管理する存在がいなくては成り立たない。…私も本来はイグドラシルの支配下にあったデジモンにすぎない』

 

今は、進示のデジモンだがな。と、付け加える杏子。

 

ロイヤルナイツであり、デジタルワールドのホストコンピューターの手駒でしかなかったアルファモンだが、人間界で活動するようになってからは、徐々に人間の心に触れ、不確実な不確かさを信じるようになったとはいえ、相羽タクミとは正規の人間とデジモンのパートナーではなかった。

 

あくまで人間社会的な雇用関係だ。私情はそれなりに育み、アルファモン自ら【トモダチ】と言った彼。

 

だが、偶然か必然か、俺たちの関係はそんな彼と杏子の関係を通り越して運命共同体となってしまい、さらに杏子も一度は記憶を失い、魂がつながった影響か、イグドラシルとの繋がりは完全に切れてしまった。

 

『そこだ。私はデジモンでありながら【魂】という21グラムの不確かなモノを持った。人間界で暮海杏子として活動した影響か、それとも別の要因か。おそらく両方だと思うが、今はイグドラシルのデジモンではなく、君の騎士だとはっきり言えるよ。…人間の心を持った影響かな?』

『魂…トータスにも魂に関係する神代魔法があったよな?』

『ジールも主に魂に重きを置く世界であったな…。ロジックと非ロジックの融合…電脳世界における魂の具現化…』

『杏子?』

 

突然黙った杏子に俺が訪ねる…まさか!

 

『今君が考えた通り、私はダシにされた可能性があるな。電脳世界の生物にオカルト的で曖昧な概念である魂を持たせ、人間と魂をつなげる…イーターと化した転生者は人間と電脳世界、あるいは高次の次元の生命体と融合し、電脳界や神の世界に3次元の生物が進出するための実験、その【失敗作】だろう。まあ、技術革新しようとする熱意は買うが、このようなやり方は褒められないがね』

『暮海杏子の身体を躊躇なく使っていたお前がそれを言うとはね』

『当時の私はまだイグドラシルのデジモンだからね。だが、暮海杏子の精神性と私の精神性、細部は異なれど使命感にそう大きな違いはなかったから、大きな人格の変化はなかったし、デジタルワールドも人間界も最悪の事態は避けられた』

『…リエちゃん☆モエモエみたいな変化があったデジモンもいたな』

『ハハハ、デジモンは人間の精神に影響されやすいからな』

 

杏子は思念通話なのに一旦オホン、と咳払いをする。

 

『だが、現在の私は君と魂がつながっているし、趣味嗜好も大分キミに寄ってきている。中野にいた頃には見向きもしなかったサブカルチャーにも手を出し始めたしな、私は』

『…それは謝ったほうがいいのか?』

『そんな必要はないさ。役に立つ知識も多いし面白い。それに、本来の暮海杏子も私直伝のコーヒーを助手から学んで趣味を変えたろう?』

『その辺は明確な描写はなかったけど、コーヒーにマヨネーズ入れてた描写から言って…ありえそうだ』

 

 

俺は味覚の問題に頭を抱えた。

コーヒーに劇物入れるのは完全にアルファモンの趣味だからな。

 

『又吉刑事がいつ、杏ちゃんのコーヒーを鑑識に回すか気が気でないみたいなこと言ってたような…』

『…序盤のシーンだな?少し心外だぞ、おじさん。また会うことがあればあのコーヒーの魅力を今一度教えないとな!』

『変なとこに力入れるな』

 

コーヒーの話題は地雷になるので、強引に話を変えようか。

 

『杏子は…恨んでないか?あっちの人間関係だって一度はリセットされたようなもんだろ』

『…そうだな…。むしろその質問はこちらがすることだ』

 

…杏子。気を使っているわけじゃないようだな。

 

『君をこちら側の都合に付き合わせ、あまつさえいいように利用する形になってしまうだろう。むろん記憶をなくしてた頃はそのようなことを微塵も思ってなかったが…私は絶対に恨みはしないよ。それに、そういう気づかいは騎士である私がすることだ、マイロード?』

 

騎士(ナイト)だから俺のことを君主(ロード)と呼ぶのか…。

 

『それに、君の助力がなければ私の世界も消滅確定だ。それどころか生きることすら危うかった。だから、私は君への協力は惜しまない。それに、もう7年も一緒にいるだろう?家族じゃないか』

『…ありがとう』

『…さて、これ以上の長話は体に障る…と、言いたいが、ティオ・クラルスが進示と話をしたいそうだ。私は一先ず失礼する』

『ん?』

 

そこには、先ほど体のケアをした竜人族の女性、ティオがいた。

リュウダモンも足元にいる。

 

「話があるのじゃが…よいかのう?」

「…」

 

俺はその辺にあった椅子を取り出し、「座んな」と指示する。

 

「この椅子、座り心地はそこそこいい。まあ、リーズナブルな値段ではあるが」

「これが普通なのか?この世界じゃ値が張るだろうに」

 

そういって、木製の椅子に座る。

クッションは敷いているのでお尻も痛くならない。

 

「で、話は?」

「実はのう…お主等、この戦いが終わればウィル坊を送り届けてまた旅を続けるのじゃろう?」

「そうだな」

「妾も連れて行ってほしいのじゃが…」

 

フム…。

 

「もともと何か任務があるんじゃなかったか?」

「それはお主等について言ったほうが効率が良いのじゃ。それに、ミリア先生にも会えたし、先生と交流があるお主等にも興味がある。…妾を打倒したその腕っぷしも」

「…それは、復讐のためか?」

「!?」

 

俺の質問にティオは動揺する。

 

「な、何故…」

「ミリアが見聞きしたことは大体把握している。幼年期のお前の顔も、お前の両親の顔も知っている。…俺と杏子とミリアはとある事情で魂が繋がっている。そのため、お互いプライバシーがないレベルでお互いのことを把握している」

 

そう、ミリアの記憶から、ティオの幼少の姿を見たのだ(というか、ミリアのほうから情報を送信してきた)。

 

「リュウダモンがいなければ、復讐を悪いとは言わなかった。この世界の人間たちの事情に必要以上に介入したくはなかったのでな。まあ、俺にも私情がないとは言わないし、気に入った人間なら肩入れしたくもなる。だが、お前がリュウダモンを大切に思うのなら、復讐を肯定するわけにはいかない」

「…」

 

そう、デジモンは人間の精神に大きく左右されるのだ。

 

もし、ティオが復讐心に囚われれば暗黒進化をし、手が付けられなくなる可能性もあるからだ。

 

だが…。

 

「ハジメ殿は?彼は生きるために他者に容赦はしない。復讐心があるわけではなさそうじゃが…キレた刃物のようじゃ」

「…彼は本来平和に暮らすはずだった。それが突然こんな世界に呼ばれて、戦わざるを得なくなった。それに、強制はしてないが、こちら側の仕事に勧誘している。返事はまだもらってないが、その途中にとある事件が起きて過酷なサバイバル生活だ。俺は本来面倒ごとは嫌いだが…勧誘した以上、心身の成長を見守る責務がある。まあ、先の事件は逆に世話になっちまった。俺もまだ未熟だ」

「そうか…」

 

ティオは何かを考えこんでいる。

 

「リュウダモン。お主、妾についてはどう思っている?」

「私が生まれた時から一緒にいたティオは家族同然だ。短い時間であっても。

それに、ほかの竜人族が私を疑いの目で見たり【弱そうなくせに】と罵声を浴びせてくるものもいた。私はこの世界の生物ではないから当然だが」

 

そう、リュウダモンの言う通り、この世界に本来デジモンはいない。

 

「だが、ティオは私に向き合ってくれた。私を知ろうとしてくれた。私を理解しようとしてくれた。私がティオと共にある理由など、それで十分だ」

「…お主」

「デジモンは言葉以上に、ヒトの精神に影響されやすい。絆を深めたデジモンは一種の共鳴じみた現象を度々起こす」

 

俺はティオにデジモンの精神について補足を入れる。

 

「…我ら竜人族は、いかなる時も理性で心の獣性を抑える誇り高き強者にして知性種族。理性の件をふるう限り我らは竜人である」

「…」

 

ティオは過去を思い返しているのか、自身の誇りを確かめているのか…多分両方だろう。

 

「お主、改めて名を聞かせてもらえぬか?」

「榊原進示。進示が名前だ」

「…そうか。ではご主人様と」

「…は?」

 

そうして、ティオは椅子から降りて片膝をつくように跪いた。

 

「貴方様からは我々竜人族の常識にはない強大な【龍】の力を感じます」

「…それはミリアの龍の因子だ。それに使いこなせず暴走したぞ?」

「手に入れた経緯も妾にとっては些事です。暴走もいずれ克服するでしょう。あの時貴方様は確かに理性が残っていた…それに、里には妾より強い男がいなかったのです。妾は自分を打倒した者に嫁ぐと決めておりましたので」

「…」

 

そんなポリシーあったのか。

 

「お恥ずかしながら、貴方様を【使える】と思っていた妾がいます。…貴方様が言う【復讐】のために…」

「…思っていたということは今は違うと?」

「神は悪辣だと思っていましたが、貴方様の世界には人を害する神もいれば人を守護する神もいるということ、聞きました…そのことを聞き、今一度妾の感情が正しいか見極めたいのです」

「樹とは助け合う関係だ。…そうありたいと思っている。俺の力不足でまだ助けられることのほうが多いが…それにしても、見極めるか…」

 

俺自身の信条としては迷い悩みながら進むことを良しとしている。

 

悩まないということは裏を返せば思考停止だ。

 

それを踏まえると、彼女はきちんと考えて答えを出そうとしている。

 

悩みすぎるのもマイナスだが、考えることは大事だ。

 

俺はニュートラルの状態のデジヴァイスをティオに渡す。

 

「ティオ、デジヴァイスを渡す。これでお前とリュウダモンは正式なパートナー関係だ」

「…!!」

 

ティオはデジヴァイスを受け取りながら顔を上げる。

 

「ご主人様と敬語はよせ。特に拘りがないのなら、対等な関係が望ましい」

「…わかったのじゃ」

『別世界のティオはハジメ君に危ない意味で【ご主人様】と呼んでいました!あ、もちろん教育に悪い意味で!』

「うるせぇミリア!しょーもない話題で突然会話に割り込むな!!」

「なんじゃ!?」

 

どうやらティオは突然の俺の反応の意味が分からなかったようなので、デジシンクロによる状態と疑似思念通話を説明する。

 

「はあ、まだ治っていなかったのじゃな…、そのネタに走る癖は」

「…変な意味でお互い苦労しそうだな」

「でも、退屈はしないと思うぞ?」

「…そうだな」

 

実のところ、一番精神的に俺を守ってくれているのはミリアだ。

 

前世の俺の趣味嗜好やその他諸々を把握したうえで、俺にガス抜きをさせている。

 

デジシンクロで繋がっている今ならわかる。

 

「…ところで、本当に俺に嫁ごうとしてるのか?」

「…実をいうとこの年まで妾の打倒する男が現れなかったので、…若干…婚期がじゃな…」

「…見ての通り俺はハーレム野郎だぞ?」

「特に気にすることもないのじゃ。お主の世界では一夫多妻はダメらしいが、抜け穴はいくらでもあると聞いたし、優れた男に女が集まるのは世の摂理じゃ」

「…はあ、俺が優れた男ねぇ…お前の勘違いを正しておくが、俺の本質は赤子と変わらない。一人では戦えない、俺を包んでくれる温もりがなければ、この大役だってとっくに投げ出しているチキン野郎だ」

 

そう、俺はティオが期待するような男じゃない。

 

腕っぷしでは上回ったが、それも…いや、ティオがあんな変則融合状態ではない、通常の状態でもミリアインストール無しでも勝てそうではあるが…いずれにしろ腕っぷしだけだ。

 

「それの何が問題かの?」

「何?」

「先生から聞いたが、お主は確かに人間族の基準では前世の年齢も含めて壮年と言える年齢だが…それでも妾の10分の1も生きていない若輩と言ってよい存在。それに生き物である以上精神が弱る事態はいくらでもあろう。妾の暴走を止め、前に進むきっかけを与えてくれたお主の力になりたいと思うのは…いけないことか?」

 

…そう言われてしまっては反論できないではないか。

 

「…はあ、嫁ぐに関しては今すぐ答えはだせねぇ。まだ出会ったばっかりだし、ミリアの記憶を見たとはいってもそれは幼年期のお前だ。ほかのみんなとも相談する案件だ。

だが、ついてくると願った以上一先ず戦力として期待する」

 

「フフフ…今はそれでよい」

「俺がお前を好きになるかどうかは、これからのお前の人間性を見せてもらう。…俺はもともとハーレムを作るつもりはなかった。縋れる相手を欲したのは樹だけだ…他の皆はもう成り行きに近いし、ミレディも戦力として引き抜いたつもりが結局あまりの過酷な経歴に結局感情移入しちまった。そんな優柔不断な男でもか?」

「では、妾にも付け入るスキはありそうじゃの?」

「…」

 

俺は頭を抱えた。

 

だが、

 

ミリアが疑似思念通話で話しかけてきた。

 

『進示、少しくらい我が儘になってもいいですよ?私ももう進示から逃げられないんですし、逃げるつもりもありません。進示がティオを欲するなら止めません。というか、私はティオがいたほうが嬉しいです。優花さんには複雑でしょうが、貴方の決断なら止めないでしょう。世界崩壊を防ぐ大任を負うなら、っていうか、進示が放棄したらもう全部おしまいなのですが。なら、進示を支える人は多いほうがいいです。あ、進示がウホッ♂な趣味があって、ホ〇枠が必要ならそれでも受け入れ…』

「ミリアお前、後で便所に来い。便器に頭突っ込んでやる」

『やらないか!あ、青いツナギ着てベンチで待ち構えていた方がいいですか?』

「…」

『まあ、冗談はさておき、清水君を殺さずに済む可能性がガンクゥモンのおかげでできましたし、もしかしたら、清水君がジエスモンのテイマーになれるかもしれません!セイバーハックモンまでは問題なくなれますから!』

「そうか…」

『それと、ユエさんにも後でアドバイスしてくださいね?ハジメ君と同じタイミングで究極体になれなかったの気にしてますので』

「…そうなのか?それはハジメがやるべきじゃないのか?」

 

ユエの恋人はハジメだが。

 

『ハジメ君はユエさんを全肯定しますから、多分きっかけを与えるのは難しいかと』

 

…なるほどな。

 

『では進示は仮眠をとってください。後の処理はこっちでやりますから、治療にメンテに忙しかったでしょ?敵襲があったら起こしますから』

「…そうだな、少し寝るか」

 

「寝るのか?妾も一緒に」

「今日はっていうかまだ答えだしてねぇし」

「それもそうじゃな」

 

はあ、一先ず3時間寝るか…。ミレディの魂の治療は思った以上に魔力も食うし、まだ俺の龍の因子は魔力の自己生産ができない。

 

食事と睡眠で回復するしかない。

 

 

…万を超える魔物とはいえ、俺達やデジモンの力なら問題なく撃破できる。

 

ライセン大迷宮で結局使わなかったガトリングガンも使おうか。

 

ハジメのメツェライと合わせればターミ〇ーター二人分だ。

 

『戦争でも始める気か!』

 

…もう何も言うまい。ミリアよ。

 

『あ、それとも大惨事大戦でしょうか!』

 

…リアルタイムで思考を把握されるって結構キツイな…。

 

『進示も私たちの記憶見てるでしょう?まあ、見られるの防ぐ手段ないんですけど!』

 

もういい加減寝よう。

 

『おやすみなさい』

『ああ、休めるときに休め。報告書は書いておくし、通信端末のメンテもやっておこう』

 

…サンキュー。

 

…ミリアも無理しやがって。

 




格闘技と元ネタ

進示・全体的に我流でセンスが不足している。龍の因子によるパワーアップのため、二次元のマンガや格闘ゲームのキャラから選んだモデルはギルティギアシリーズのソル=バッドガイ。それをさらに自己流にアレンジしたもの。ソル本人と違い、魔法による遠距離攻撃や搦め手も多用する。また、ソルほど再生能力は高くないため、攻撃か回避か迷うような場面では回避を選択する。自分が死ねば杏子とミリア、実質的に樹も道連れになるため。樹との修行でパンクラチオンの技術も多少取り入れた。龍の杖も普通に鈍器として使うことも。銃火器全般の腕前も高い。
ミリアインストールの元ネタはもちろんドラゴンインストールである。



樹 
パンクラチオンの使い手で、徒手空拳のみならず武器全般使える。性格故か、急所攻撃をすることは稀。銃の扱いはそれほど得意ではない。神術で魔法使いのようなこともするなど割と万能。
リミッター付きで東京ドームを片手で更地にできる腕力がある。
進示と比較し、ミリアインストール無しならまだ樹のほうが上。


杏子
元がアルファモンなので完全に自己流。人間の姿で対応するために、警察がやるような逮捕術なども身に着けている。

優花
武器を失ったことも想定し、実践的な殴り合いで、進示が攻撃と防御と回避の判断を養わせた。グングニルを作ったことにより、槍術も検討に入れているが、樹から贈られたマニュアルで、基礎以外の動きはやっていない。天職上の理由から本来は投擲目的で作ったため。
余談だが、進示はこの後進化するであろうデュークモンクリムゾンモード以外に、メギドラモンの制御するための精神コントロール術を学ばせようか考え中。多くのデジモンシリーズにあるような暗黒進化のジンクスと、ミリアの師匠を殺害した自分の二の舞にさせたくないため。


ハジメ、軍隊式格闘術に近いが自己流。ハー〇マン先生方式かもしれない。

ユエ、隠れ家で殴り合いをしてたが自己流。しかし、そのせいで原作より股間スマッシュの手段が過激になった。

シア。経験が浅いためパワーに偏りがち。ハー〇マン方式も若干入っている。「優しい父様達は死にましたぁ!!(泣)」

ミレディ 自己流。自由力(重力魔法だが、ミレディの性格的に誤字でもなさそうなのが怖い)魔法の応用で筋力を調節できる。


ミリア 我流だが無駄のない動きが出来る。
体がデジモンになっているため、修正が必要。

余談だが、重要キャラにも関わらず、ミリアという名前は割と適当に決めた。




ミリアの世界知識

本当の意味での【ありふれ】原作知識は持っていない。
彼女がいたのは進示と杏子がいた世界線のみである。
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