そしてオリジナル形態が登場します。
進示視点
「「聞け! ウルの町の勇敢なる者達よ! 私達の勝利は既に確定している!」」
現在ウルの街に魔物の群れが押し寄せる直前である。その数6万越え。
「「なぜなら、私達には女神が付いているからだ! そう、皆も知っている〝豊穣の女神〟愛子様だ!」」
メガホンを使って大声で演説をしているのはハジメと…何故かミリアである。
まあ、ミリアの性格上こういうノリだってやるだろう。
俺が寝ている間にどんな打ち合わせしたんだ?
いや、デジシンクロで段取りはわかっているが。
…畜生、アイツに合わせる顔がないじゃないか。
まあ、俺達にターミネー〇ーごっこをさせようとしている時点でお察しだが。
俺はガトリングを出せるようにしておく。
…もう前回の通信から24時間経過してるはずだが、一向に通信端末から声が出ない。
日本で何かトラブルが起きたか?
今更だが、俺や関原も大和田も小山田も出口も岡本も、日常の裏で政府や公安から、彼等や自衛隊でも手に負えないオカルトや超常事件の処理を依頼されることが度々ある。
俺もその報酬で不定期だが収入があるので、学生とは思えない貯蓄はある。
まあ、現在は樹の方が収入はある(樹は表向きは社会人だし俺や杏子、関原達は高校生)。
ただ、俺が抜けた穴はアイツらなら簡単に埋められそうなものだが…。
「ティオ、お前は今回は魔法で固定砲台。エテモンはもう手遅れだが、この世界じゃデジモンは魔物に見えてしまうから、デジモンを外に出すのは最終手段だ。よほどのことがない限り俺の指示なしでリュウダモンを外に出すなよ?」
「わかったのじゃ…少々窮屈な思いをさせるのぉ」
まあ、人に見られない場所なら外に出しても問題ないが。
「それと、これを」
俺は魔力タンク用の指輪をティオに渡す。
「これは…フフフ…もう答えが出たのか?」
「そいつは魔力タンク用の指輪。俺たちの世界じゃ、戦いの前のプロポーズは死亡フラグのジンクスがある」
「嫌なジンクスじゃのう…」
「まあ、今回は力勝負じゃ負けはしないだろう。問題は…」
「搦め手じゃな?」
「ああ、ミリアの予想では清水は人質を取られているそうだ。前回の歴史では勇者になりたいコンプレックス拗らせて自分から魔人族に着いたが、今回の歴史は違うらしい。
ミリアは、この5年間俺が見聞きしたことは全て把握している」
ミリアは、この世界の清水は前回の歴史よりも【覇気がある】そうだ。
カウンセリングを断られた時も。
『いや、思うところはあるけどいい。こんなとこで凹んだら頑固おやじに顔向けできねぇ』
と言っていたが…これはガンクゥモンだろう。
「ほ、豊穣の女神!畑山愛子です!!皆さん!安心してください!私がいる限りこの戦いに敗北はあり得ません!!」
「その通り、私達は豊穣の女神、愛子様の剣にして盾!これが!私たちが愛子様に教え導かれた女神の騎士たちの力である!!」
ハジメがそう言うと、俺に目配せしてきたので、俺はその合図を受け砦の高台に跳躍。
このウルをめがけて6万の魔物が押し寄せてくるが、俺は右腕に力を籠める。
せっかくなので、セリフも拝借するか。
「御託は…」
俺の右腕に炎が宿る。
そう言えばこの技を使うのはベヒモス・イーター戦以来か。
「要らねぇっ!!!」
右腕を魔物の群れに向かってストレートで拳を突き出し、拳から熱戦が発せられる。
射線上の魔物は全て蒸発したが、これでも1万も削れてないだろう。
俺のタイラントバスターを見たティオや先生達は目を見開いている。
あ、シアもミレディも何気にユエも驚いている。
そう言えば、暴走状態じゃない通常状態で、この力を見せたのは初めてか。
すると、ミリアがメガホンで
「無駄な抵抗はやめて降参しろ!!もう逃げ場はないぞ!!」
そう叫びだした。
このセリフを合図に俺とハジメはそれぞれガトリングを取り出す(ハジメの方のガトリングはメツェライと名付けたようだが)。
俺たちのガトリングは強烈なマズルフラッシュと共に轟音を響かせる。
ガルルルルルルルルッ!!!
「戦争でも始める気か!!?」
ミリア。ネタなのはわかってるがそれは俺達が言っていいセリフじゃないぞ。
「地球に存在するガトリングよりも破壊力抜群だもんな。俺たちの腕力じゃなきゃ腕が逝ってるぞ」
「壊劫」
ユエの重力魔法の援護も入る。
というか、黒い球体が正方形のような形になって、敵の大軍を押しつぶしたな。重力魔法は俺も使えるし、今のユエの術式も完コピした。俺はどうやって使うかな。
優花もこれほど範囲は広くなくても練習すれば使えるようになるだろう。
「上からくるぞ。ティオ」
「任せるのじゃ!…吹き荒べ頂きの風 燃え盛れ紅蓮の奔流 嵐焔風塵!」
今更だが杏子は観察に徹している。司令塔の役をさせるために。
ティオは魔力消費を抑えるためにあえて詠唱をしているようだ。
シアもハジメから借りたロケット&ミサイルランチャー、【オルカン】でガトリングでは処理しきれない魔物を攻撃する。
と、ハジメがメツェライの連射をやめてしまった。
ハジメの顔には凶悪な顔…いや、イタズラを思いついたガキの目だ!?
「諸君!!愛子様のお力はこれだけに留まらない!!大陸をも破壊する白き破壊龍も愛子様の手足となり、正義の死者となる!!!」
は…!?この野郎!!アドリブだな!?
「はああああああああああっ!!」
するとミリアが咆哮をあげ、ハジメの言う白き破壊龍となった。
ドルゴラモンじゃないか!!?
一応ミリアにとっても因縁の姿だぞ!?
(心配してくれるの嬉しいですけど大丈夫です、進示。それに、進示が寝てる間にハジメ君に私のスペックを聞かれたので、答えたんですよ)
(そう言えばマトリックスエボリューションもソウルマトリクスもしてないぞ)
(これくらいは自力でなれます。しかるべき時はソウルマトリクスをお願いします。…デジモンの領域を超える進化のために)
(…ま、いいか。それに、ドルゴラモンも先生の使役力って事にしとけば、街の連中の信仰も集められる)
(そういうことです)
ミリアは魔物の群れに向き直り、
GAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAッ!!!!!!
破壊の衝撃波【ドルディーン】を放つ。
まあ、手加減はされてるだろう。
(むう…これじゃ、全力を出したとしても本来の私の50分の1にも及びませんね。かなり弱体化してます)
(…ドルゴラモンで50分の1って、普通は信じられないけど、一回だけお前の本気見たことがある俺や杏子からすると、笑えねぇ…あ、ティオが口をあんぐりさせてる)
(同感だ。しかし、今ので魔物は殆ど消し飛んだ)
魔物はもう3000もいないだろう。
「後は消化試合だな。優花が戻るまで適当に暴れるぞ」
「了解ですぅ!」
「サクッと終わらせるか」
殴り込みは俺とハジメ、シアだ。
他のメンバーは万が一のため、待機させる。抜かれるとは思わないが念のためだ。
ミレディはまだ戦闘できるほど回復してないし、ティオも本調子ではない。
3人で魔物の群れに突っ込み、シアはドリュッケンを振り回し、ハジメはドンナー&シュラークでバカスカ撃ちまくり、俺は龍の杖の殴打に拳、蹴り、時に魔法で薙ぎ払う。
以前使ったライフルには体験に変化する形態もあるが…今回は必要ないかな。
果たしてトータスで使う日が来るかは疑問だが。
…それとも俺の戦闘スタイルのモデルになったキャラの武器をネタで作ってみるか…?
資材に余裕があれば試してみたいが後回しだな。
「…いつの間にかだが、俺が勝手に指揮を執っちまってるけど。いいのかハジメ?」
「あん?いいんじゃねぇか?お前の方が経験豊富だし。シアたちの時は俺も経験積んどくべきだと思って交渉とかやったけど…この際進示に投げちまうか」
「投げっぱなしはよしてくれ」
「でも、今のメンバーでハジメさんやシンジさんの指示に疑問を挟む人はいませんよ?」
「強いて言うなら杏子だが…、指揮官の立場じゃ見落としやすいところを視てもらうかな」
そんな軽口をたたきながら魔物を処理していく…と、
「っ!」
「よお、清水」
「さ、榊原…!?」
オオカミのような魔物の背に乗った清水を発見した。
「さて、どんな事情があったにせよ、これで戦ったという建前はなるはずだ。来てもらおうか?」
「…」
いずれにせよ、もう清水に勝ち目はない。
俺は清水に一応の拘束をかけ、こっちに近づいてくる気配を察知する。
優花がお姫様抱っこをしているのは、清水の専属メイドの女性だ。意識はないようだ。気絶してるだけか。
…いつの間にそんなに人質とられるほどの関係があったんだ?
「優花」
「あ、アパル…!?」
「やっぱり、アンタのメイドだったのね?…この通り奪還したけど…やけにあっけなかったのよね」
「…」
常識外れの強い力を得ているとはいえ、優花が【あっけない】と言うほどか…。
「魔物の大軍は陽動の可能性あり…本命はやっぱり先生の殺害?」
「ああそうだよ」
やはりか。
戦争において食糧事情というのは重要な要素だ。
一部例外を除いて、生物は食事をしないと生きていけない。
ユエみたいな例外もいるが、原則メシは必要だ。
そんな兵站をたった一人で万人単位を賄える存在…味方なら頼もしすぎるが、敵にとっては厄介すぎる。
食糧事情を解決できる先生はあらゆる意味で重要だ。
「清水。一先ず事情聴取に付き合ってもらう。人質取られ手の犯行ならまだ酌量の余地はあるだろう。先生もお前を見捨てることはしないはずだ…それに」
『諦めるのはまだ早いと思うぞ?』
「なっ!?頑固親父!?」
やはりガンクゥモンと接触してたか。
俺のスマホ(特別性)からの声で驚愕する清水。
…清水からは色々聞きたいこともあるしな。
それに、まだ地球からの通信は来ない。
嫌な予感がする。
それと同時に希望も感じる。
「進示…」
「優花…お前は杏子やミリアと違って、俺の心を直接は感じ取れないが、それが普通だ。俺は嫌な予感と希望を両方感じている」
「なら、進示の不安は私が叩き潰すわ」
「…サンキュー。お前もなんか嫌な予感あったら言えよ?」
ハジメとシアがさっきから無言だが、俺達に任せるつもりのようだ。
清水を連れて、ウルの街から少し離れたところに集まった。
神殿騎士も一緒だ。
「優花、アパルさんを捕まえてたやつはお前が倒したんだよな?」
「ええ。でも清水から人質とって言うこと聞かせる奴がいるってことは…」
「…まあ、普通に考えればハイリヒにスパイか内通者がいるという事になるな…魔人族に通じている…な」
杏子の発言に神殿騎士は騒めき立つ。
「そうでなければこうもスムーズに清水君を捕まえて利用することは出来ないはずだ」
ま、これは杏子の言う通りだな。
ミリアの記憶と情報から前回の歴史の清水はガンクゥモンにも会ってないし、コンプレックス拗らせて自分から魔人族についたようだが、この歴史の清水は前提から覆ってる。
(それに…アパルから感じるこの気配…)
「色々思い出したことがあるんだよ…それに変な夢を見たんだ」
「変な夢?」
「俺が生まれたばかりのころの夢だとは思うけど、俺が生まれた病院で生まれたばかりの俺に何かしてた女がいるんだ…白すぎる肌に白い髪に灰色の瞳…目元は暮海に似てたんだ…髪型はポニーテールだが、下ろしたらそっちの女に似てると思う」
「「「ッ!?」」」
清水の言葉に俺と杏子とミリアが戦慄した。
因みに清水の言う【そっちの女】はミリアのことだ。
それはつまり
「ゼロが清水に接触してたのか…!?いや、なんとなく予想はしてたが」
『その時の様子は我も見ていた』
「だからガンクゥモンが清水君に干渉したのか」
ゼロについて考えたいことはあるが、一先ず話を聞く。
「清水君…君がそうしてしまったのはやむを得ない事情があってのことです。確かに街を襲ったのは客観的に見れば許せない事ですが、そうまでして清水君に守りたいものが出来たという事でもあります」
「…でもよ、そこの竜人族を操って、間接的にとはいえ、人を殺しちまったんだぞ?」
清水のその発言に応えたのは意外にもウィルだった。
「私はは今回の一連の事件において仲間を失いました。何もできなかった自分自身と、清水殿や、彼女にも憤りをぶつけてしまうほどには悔しかったですし、その原因を作った要因はあなたにもあります…。しかし、そもそもの要因は魔人族…。正直まだ気持ちの整理はついてませんが、罪の意識を感じるなら生きるべきだと思うんです…。彼女は…最初は殺すべきだとも思ってましたが、今回戦ったのを見て責任を感じているのは十分伝わりました」
「ウィル坊…」
ウィルは今回の戦いで逃げずに戦ったティオを見て何か感じるものがあったのか。
「ですから、あなたもやり直せるはずです、清水殿」
犯した罪や程度にもよるが、殺さずに済ませられるならその方がいい。
心に余裕がないハジメなら躊躇なく引き金を引いてしまうかもしれないが、それでも敵認定してないやつを殺しはしまい。
「…」
しばらく沈黙が続くが、先生が清水にさらに言葉をかけようと近づいたその時。
「ダメです!!!離れて!!!」
シアが先生を突き飛ばし、突如発生した謎の空間に清水とシアが吸い込まれてしまった。
「「シア!!!」」
ハジメとユエが叫ぶ。
突き飛ばされた先生は、空間に吸い込まれることなく、ハジメが上手く抱き留める。
…先生?若干顔赤いぞ?
「二人はどこに…」
優花の疑問に俺はパソコンとモニターを取り出す。
突如亜空間から機械が出てきたことに驚く神殿騎士だが、気にせずキーボードを叩く。
「…今の空間の場所を割り出してみる!!…ただ、これを発生させたのはデジモンの可能性がある…魔人族に力を貸してるデジモンがいるのか?」
「!?」
「中は電脳空間の可能性がある。その空間では魔法が使えない…!」
「何だと!?どういうことだ!?」
デビットが聞いてくるがトータスの住人に電脳空間の説明をしてもわからないと思うので、現象のみを伝える。
「シアは未来視で、先生が今の空間に吸い込まれるのを見たのかもしれない!」
「それでか…あんな行動に出たのは」
「魔人族の目的は愛ちゃんの殺害、もしくは無力化だから今の空間に閉じ込めるのは敵にとっては良判断ね。でも、そうなると…」
パタモンはシアのデジヴァイスに格納されているので、電脳空間でもパタモンの力を借りられるだろう。
だが、清水は…。
「魔法を使えない清水は無力だ。そうなると頼りになるのはデジモンだが…」
『榊原進示よ、我であればその空間に入ることができる』
ガンクゥモンがそう言ってきた。
空間を割り出したとしても侵入できるかどうか怪しいのに!?
「おいおい、見つけたとしても、幾つものセキュリティを解除しなきゃいけないんだぞ!?杏子でも容易に突破は出来ない!」
『普通ならばな。我だけは無視できる』
「…根拠があるんだな?」
『まあ、他のガンクゥモンは出来ないとは思うが…【我】のみができる』
ゼロのパートナーであるガンクゥモンだけが?
「…説明の時間はないか。どうすればいい?」
『ニュートラルのデジヴァイスを一つくれ。今の幸利ならば完全体までハックモンを進化させられるし、世界消滅を防ぐにはロイヤルナイツが必要であろう?』
「…今ここで清水のパートナーをジエスモンにする気か?」
『前回は君や南雲ハジメ達の説得にも応じなかったが、今回は前提から違う。守るものを持った漢の目を持った』
「おとこのニュアンスが渋いほうに聞こえるが…わかった。こっちも引き続き二人を現実空間に戻せないかやってみよう」
俺はガンクゥモンに新しいデジヴァイスを転送し、清水の元に行ってもらう。
「二人は助けられそうですか?」
先生が心配そうにしているが…
ハジメも普段は邪険にしているシアが心配なのか、無言で訴えてくる。
俺は俺自身の知識と経験、デジシンクロで繋がっている杏子とミリアの知識から計算し、答えを出す。
「…残念だが、二人が内側から出てくる方が確実です…!!」
清水視点
「何なんだよお前は」
俺は目の前の大量の護符で作られた白いマントや青いターバン、拘束具で隠された右腕など、突っ込みどころありすぎな奴に言いかける。
後ろの兎人族の女は、手元のハンマーに何かしようとしているのが、すぐに使えないとわかると、デジヴァイスと思われる端末を出す。
「パタモン!進化させます!」
「任せて、今見た感じだと、ここじゃ魔法は使えないみたいだから、無理しないで!」
すると、青いカードを、デジヴァイスにスラッシュさせると、パタモンはジュレイモンになった。
…ゲームでは(※この世界では樹がデジモンコンテンツをゲームなどで世に拡散させた。清水もプレイヤーである)散々進化シーンを見てきたけど、自分以外のテイマーがこうやって進化させてるところを視るのは初めてだな。
「俺はバアルモン。そこのウサギによって邪魔されたが、元は畑山愛子を殺すことが目的だった。まあ、そんなことはどうでもよかった」
「どうでもいいって…」
バアルモンの打神鞭による攻撃をジュレイモンが受けたり、受け流しながらカウンターを試みているが、バアルモンのマントが衝撃を吸収してしまうのか、決定打にはならない。
「幸利!!」
「は、ハックモン…!?」
俺の携帯端末から出てきたハックモンに驚いてしまう。
「デジヴァイス無しで現実世界に出るのは難しいけど、ここはデジタルワールドに近い世界…電脳空間だ!ここなら戦える!」
「そ、そうか…もう数ヶ月経つから忘れかけてた…」
トータスに電子機器なんてないので、つい忘れていたが、ハックモンとはあの頑固親父との特訓で電脳空間で修行していたことがあった。
「ふん!!」
そして、電脳空間であれば俺のハックモンは完全体になれる。
「うそ!?デジヴァイス無しでですか!?」
「…」
バアルモンは俺達の進化を見ても無言。
「前世から特別な存在になりたかった貴様が、ただ
バアルモンの何もかもを見透かしたような目は癪だが、俺の本質を言い当てていた。
「前世では勇者とやらに嫉妬し、魔人族の誘いに乗り、力も女も思い通りにしようとしたお前が」
「ふん!!」
セイバーハックモンが3つの赤い刃で切りかかるが、バアルモンにマントでいなされてしまう。
「チェリーボム!!」
ジュレイモンが赤い木の実を投げつけるが、これはバアルモンが右手に持っていた銃で撃ち落とされる。
「なっ!?反応早すぎですぅ!?」
「同じ完全体なのにスペックが違いすぎる」
2体がかりの攻撃にバアルモンは鬱陶しいと言わんばかりに
「カミウチ」
打神鞭から強力な雷撃を放つ。
「ぐぬぅぅ!!」
「うわあああっ!!」
ジュレイモンとセイバーハックモンが雷撃に飲み込まれ、悲鳴を上げる。
「ジュレイモン!」
「セイバーハックモン!!」
2体ははまだ戦えそうだが、受けたダメージが大きすぎる。
「そこのウサギも連れの者たちに依存しているな…いや、自分で戦う意志はわずかにあるものの、まだ仲間たちと比べての自分のふがいなさを完全に払拭しきれていない」
「そ…それは…」
ウサギ女が…シアと呼ばれてたか、彼女もバアルモンの指摘に思うところがあったのか、俯いている。
「レベル差が大きいとはいえ、こうも脆いか。まあ、我が【本来の状態】だったら、お前たちは今の俺の一撃で終わっていたがな」
バアルモンが俺達のデジモンにとどめを刺そうとする。
…やらせるか!!
「ギルティッシュ」
バアルモンの護符が様々な形状に変化して襲い掛かってくる。
「ちょっ!?魔法も能力も使えないのに!?庇うんですか!?」
「そういうお前だって体が動いてるぞ!!」
兎人族の女が何か言ってくるが、無意識に互いのパートナーデジモンを庇おうとしてるのは同じらしい。
互いのパートナーを庇いながら襲い掛かってくる衝撃に目を瞑る。
「「…あれ?」」
「随分無茶をするようになったな」
「が、頑固親父…」
「ガンクゥモン!?」
「…なに!?なぜ外部のデジモンがこの空間に来れる!?」
どうやらバアルモンの攻撃は頑固親父が打ち落としたらしい。
「お前にはこの空間を手に入れた経緯を聞きたいところだが」
「…手に入れたというのは語弊があるな」
「ほう?では【創り出した】ものだと?」
「まだ試作段階ではあるがな。そのために、アパルという女の力を利用した」
「…ふむ?」
…え?
アパルというのはトータスに召喚されてから俺の専属になったメイドだ。
そして、理由はわからないが、俺に親身になってくれた人だ。
彼女に特別な力がある?
そして困惑する俺をよそにガンクゥモンはデジヴァイスを俺に投げ渡す。
「お前もシアもすでに答えは出ているだろう?彼女はまだ目を覚まさないが、お前を案じていたぞ」
「…」
俺は思い出す。
『幸利様は思慮深い方でいらっしゃるのですね』
『…会ってまだ数日しか経っていないのに何でそんなことがわかるんだよ?』
『貴方様に何があったかを知る術は貴方様の御言葉から聞くしかないので、分かりかねます。…その何と言うか、あの勇者様と違い、あなたはこの世界に来たことに絶望していらっしゃるようでしたから』
『…』
確かに前世と違い、今この世界に召喚されたという事は、前回のように死ぬ確率が高いという事。
召喚されてから思い出したのだが、前世の俺は浮かれていたのだ。
『…貴方様はご自身に居場所がないと思っていらっしゃるのではないでしょうか?そうでなければわざわざ孤立するような行動をとったりはしないでしょう』
『あんたに何がわかるんだよ!』
俺は動きこそしなかったが、つい声を荒げてしまった。
『ええ、分かりません。差し出がましいとは思いますがご相談をくださらないと、事情を知りようが御座いません。ですが、お悩みを聞いたり、適任者を紹介したりと、私にもできることは御座います。ですので…誰かと交流を持つことを恐れないでください。どなたもいないのであれば、私が貴方とご交流を持ちましょう』
それから世間話をしたり、お互いのことを話し合ったりもした。
そのことに…体感時間で何年ぶりだろうか。
人と話し合うことがこんなにもいいものだったなんて…。
「ハジメさんに頼ってばっかりだったけど、私だってやるときはやるウサギなんです!!…父様達のアレはアレですけど…」
「シアまでハー〇マンになっちゃだめだよ?」
ハー〇マンって…アイツの家族に何があった?(後から聞いた話では南雲のせいで兎人族が魔改造されたのだとか…劇〇ビフォー〇フターかよ!)
「どうやら、既に腹は決まっているようだな」
俺とシアって娘のデジヴァイスが輝き始める。
「世界を守れとは言わん!大事なものを守れる漢になれ!幸利、ハックモン!」
――MATRIX EVOLUTION――
「やってやるさ!俺の家族はまだわかんないけど、こっちでできた大事なものは守る!」
そうして俺達の進化は始まる。
「邪魔をしないのか?バアルモン」
「…人間の精神性に少し興味がわいた」
「そうか」
俺はハックモンと融合し、他者を信頼し自身への過信を行わない…人をとの絆を作り始め、前世の自分のような思い上がりを起こさないために、聖騎士型デジモン、最後にして最新のロイヤルナイツ、ジエスモンになった。
「あちらも究極体、ピノッキモンになったが…何だ!?あのハンマーは!?」
ガンクゥモンがピノッキモンを見て驚いているが、ハンマーの形が俺の知ってるピノッキモンのハンマーじゃない!?
『名付けて、ピノッキモン・ハウリアですぅ!!』
頭の防止が青になり、ドクロマークがウサギの模様になっている!?
《…うそ、シアに先を越された…!?》
どこかからそんな声が聞こえてきた。
???視点
「はあ…、あのアパルちゃんを使って色々実験しようとしてたんだけど…あの清水君が転生者という扱いになってるだなんて…タイムリープって転生に入るのかしら?」
神の空間にいた4枚の翼を持ち、紫の長い髪と金色の瞳を持つ女がアレコレと考えている。
天使というのは転生者と契約しないと原則下界に降りられない。
しかし、力を一般人にまで落としてしまえば神の監視を潜り抜けられる。
神も一定のルールを敷いているものの、すべてを厳格に監視できるわけではない。
それに、アパルに力を使わせるために清水と契約するのもありだろう。
多少歪んでいたとはいえ清水は弱者の部類だ。但し、才能のある弱者という方が正確か。
弱者を慈しみ、救済することにやりがいを感じている彼女を言いくるめるのは難しくなかった。
「やっぱりデジモン単体じゃ、神の器としては不十分でしょうか。まあ、神の器になる御業の目途は立ちましたし、今回はこれで良しとしましょう。それに」
女はクツクツと笑う。
「アパルちゃんなら私の【眼】になってくれるし、清水君と契約してくれれば下界の事情を知ることができるわね~。竜兵きゅんが死んだとしても♡」
オルクス(表の迷宮)攻略中の一行
???視点
「はい、これで治療が終わったよ」
「あ、ありがとう、辻さん」
そう言って治療の礼をするのは野村健太郎。
白崎香織ほどではないが治癒師としての腕前は高い。
「フフフ…健太郎様、彼女に気がおありで?」
そう言って話しかけてきたのは青い髪に赤い目のクールビューティーな女性騎士、アルフォースだ。
「ふひゃい!?いいいいいきなりそんにゃなやにをいうぶふぉでしゅか!?」
「そ、そこまで動揺するほどですか?」
健太郎が驚きのあまり噛みまくってる。
アルフォースは若干引きながらも微笑ましいものを見る目で野村を見る。
「貴方に相談があるのです、健太郎様」
「な、なんですか?アルフォースさん?」
健太郎が緊張しながらも相談の内容を聞く。
「このアルフォースを…いざという時は貴方が私のパートナーになってくれますか?」
衝撃の爆弾発言である。
女性から男性にこんなことを言われれば告白と捉えられてもおかしくはない。
辻綾子は野村から気を寄せられてることには気づいていないものの、気になる女性がいるのに別の女性に告白されたのだ。
健太郎は暫くの間悶々としていた。
オリジナル形態、ピノッキモン・ハウリア
シアとピノッキモンの融合オリジナル形態。ハンマーはピノッキモン本来のものとドリュッケンの複合型である。
また、本来のピノッキモンはウイルスだが、ピノッキモン・ハウリアはワクチンになった。
帽子は青くなり、ドクロマークはウサギになっている。
必殺技は、ブリッツガトリング、グラビティハンマー。
従来のピノッキモンへの進化、使い分けも可能。
ピノッキモン・ハウリアはシア限定の形態である。