デジモンと命を共有する転生者   作:銀の弓/星の弓

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シア「このピノッキモン・ハウリアは変身をする旅にパワーが遥かに増します!…その変身を私たちは後2回残しています…この意味が分かりますね?」
ミリア「おお!宇宙の帝王、ハウリーザ様ですね!」
ハジメ「アホなこと言ってねぇで行くぞ!」
ユエ「シア、調子に乗らない」
シア「ユエさん。究極体先を越されたからって拗ねてますね?」
ユエ「蒼龍」
シア「ひにゃあああああ!?」

進示「…ハジメ、ホントは自分もやってみたいとか思ってるだろ?フリー〇の件」
ハジメ「ギクッ!?」
進示「図星かよ。まあ、ハジメはホントにあと2回…2つ残してる」
ハジメ「何だと!?」
進示「一つはジョグレス体だな…。もう一つは…お楽しみだ」


第26話 決着つけたかったけど逃げられるってよくあるよな

進示視点

 

「よし、何とか映像は拾えそうだ!」

 

俺は杏子のアドバイスを得ながらパソコンのキーボードを叩き、シアと清水が吸い込まれた空間の割り出しを行っている。

 

同時にパソコンに繋げているモニターの映像が映る。

 

「2人とも究極体に進化している!?」

 

杏子の言う通り、そこにはピノッキモンとジエスモンがいた。

 

「嘘…シアに先を越された…」

 

ユエが悔しがっている。

 

テイマーとしてはユエの方が先輩のはずなのにシアに先を越されて悔しいのだろう。

 

…今のユエはハジメに依存している。

俺はそれを悪いと言える資格を持たないが、それでもユエはもう一度自分自身と向き合う必要がある。

幸い、ルナモンとの交友はいい関係だしな。

ミリアの言う通り、きっかけは大事だろう。

 

「中にいるデジモンはバアルモンか!?」

 

バアルモン…すなわちカナンの主神バアルの派生物であり、それがデジモンとなったのだろうか。

 

バアルの別側面はベルゼブブだ。

 

「…ん!?アレはピノッキモン…!?でも」

「ああ、我々が知るピノッキモンとは違う」

 

清水のジエスモンは想定内。

シアも、ジュレイモンからの進化ルート上、ピノッキモンは予想の範疇。

が、頭の防止が青になり、ドクロマークがウサギの模様になっている。それに、ピノッキモン本来のハンマーとドリュッケンを足したようなフォルムになっている。

 

「どうやら、独自の進化を遂げたようだ。これは私も想定外だ」

 

杏子が何やら思案顔でそう言う。

 

「凄いな…オメガモンとまではいかないけど、ロイヤルナイツに迫る勢いだ…杏子の記憶から見た白峰ノキアのオメガモンやロードナイトモン達と比較しても…うん。充分匹敵する」

 

俺がピノッキモンハウリア(シアが脱出した後聞いた)と、ジエスモンの2体がかりでバアルモンを追い詰めている。

 

ガンクゥモンは戦闘に参加していないが、二人に経験を積ませるのと、万が一やられそうになった場合のバックアップだろう。

 

「バアルモン、あのピノッキモンのガトリングのような攻撃とジエスモンのシュベルトガイストの攻撃を全て捌いているぞ。無傷とはいかないようだが、対応している」

 

ジエスモンもピノッキモンも究極体だ。

 

それ故か、バアルモンは反撃に移れない。

 

このまま手数で押せば行けるか?

 

「あの二人、即興にしてはいいコンビネーションだ」

「うん。シミズが接近戦、シアが遠距離からのガトリング。簡単は役割分担だけど、効率のいい攻撃」

 

ハジメとユエもそんな感想を抱いているようだ

 

『…ちっ。この身体ではこれが限界か』

 

バアルモンが舌打ちをしながら後ろに飛ぶ。

 

『逃げる気ですか!?』

『こちらの想定が甘かったようだ。ジエスモンは予想通りだが、ピノッキモンの方は俺の知識にもない進化を遂げた。…これは計画を繰り上げる必要があるな。まあ、別の世界の神のやることに興味はない。オリエントどころか地球ですらないこの環境で【バアル】の名を冠するものに慣れただけで良しとしよう』

 

オリエントだと!?

 

「デジタルワールドではなくオリエント…か。あのバアルモンの中身は…」

 

杏子が何かに気づく。

…やはり俺と同じ結論か。

 

『この会話を聞いているだろう。暮海杏子。貴様と岸部リエは消滅していなければおかしい存在だ。何故なら、7大魔王デジモン放置した貴様たちのいる地球もデジタルワールドも消滅している上に、イグドラシルとの繋がりは断たれている。にも拘らず、貴様が存在していられる理由…それは榊原進示との…貴様らがデジシンクロと呼ぶ現象によって、貴様の魂が【榊原進示】と再定義されたからだ。そこの異界の龍と同じくな』

「「「!?」」」

 

バアルモンの言う通り、俺は消えたデジモンの世界を復元するために戦っているが、バアルモンの言う理屈の通りだとしたら…

7大魔王デジモンはサイバースルゥースのミレイからのミッションである7大魔王ともんざえモン討伐のミッションだよな?アレを放置したまま最後の戦いに挑んだ?

 

「という事は、岸部も誰かと…誰かはほぼ確信しているがデジシンクロによって生き延びている…!」

 

『ロードナイトモンの事か。その通りだ』

「ハジメ達のパートナーは…」

『連中は【この世界】出身だ。この場合のこの世界とは地球、トータスなどと言った【世界樹】、もしくは【世界樹の枝葉によって繋がっている世界+α】を一括りにしている』

 

世界樹の枝葉…これはこの世界では初めて聞いたが、北欧神話ではユグドラシルは宇宙樹とも呼ばれるはずだ。

 

『双葉樹…言いえて妙な名前をあの天使につけたな?仮初の名前とはいえ』

「な…!?」

 

バアルモンの言葉に驚く俺。

「妙にこっちの事情に詳しいな?」

『俺は神だぞ?平行世界だろうと全てお見通しだ。エヒトなんぞと違ってな?』

「何だと貴様!?異教の神のようだがエヒト様を愚弄するか!」

 

バアルモンの言葉に反応する神殿騎士。

おいおい、アンタの信仰先生に捧げんたんじゃないのか?

 

「デビットさん、私も聞きたいことがたくさんありますが、とりあえず黙ってください」

「う、うむ…」

 

先生に黙らされた。

 

しかし、デジモンではなく、【神】と名乗ったか…!

 

体はデジモンで中身はベルゼブブか!

 

「畑山先生、これ貸しますから、七大魔王についてはこれ読んでください。前提知識として」

 

先生に貸すのは神話の神について書かれた書籍だ。万人向けに分かりやすく嚙み砕いて書かれた(もちろん日本語で)書籍だが、マニアックなとこまで書かれた書籍はまだ早いだろう。

 

社会科の先生といえど、世界の神話まではノータッチだろう。日本の神話は詳しそうだが。

 

『嘘だろ…エヒトは知らないけど本物の神が召喚されてるのか?…ということは神話にちなんだデジモンも出てくるのか!?』

『貴様は理解が早いな、清水幸利。もっとも、デジモンだけではなく、本物の神霊が召喚されたのだが』

『…ってことは本体が出てきてるわけじゃないんだな』

『…現在の地球では一般社会において必要のない知識だが、この状況において、榊原進示たちのチームを除けば貴様が一番理解が早い』

 

バアルモンは清水を称賛するように言葉を紡ぐ。

 

『…長居しすぎたな。トータスにとどまっている7柱の神霊は俺が知る限りはあと一柱』

『逃がさないですぅ!』

 

ピノッキモン?がハンマーをバアルモンに振り下ろすが…。

 

『なっ!?空間転移!?』

「いや、今のは…どちらかというとコネクトジャンプに近い…?」

 

コネクトジャンプとは、肉体と精神が乖離した半電脳隊のサイスルの主人公の能力で、早い話が、ネットワークを自在に移動できる能力だ。

この能力なら、ネットワークのある場所なら移動、侵入し放題だ。

杏子も違法スレスレ能力っていうぐらいだし。

 

シアの攻撃が空振りに終わった。

 

『バアルモンは今は放置だ。奴には利用価値があるからな』

「どういう事だ?ガンクゥモン?」

 

手を出さなかった理由についても聞きたいところだ。

 

『いずれ来る戦いにおいても、デジモンの究極体だけでは、太刀打ちできない。…デジモンと人間の身体を融合させた上で君たちが会得すべき技…【神降ろし】。奴はそのヒントを見せてくれるだろうよ』

「なっ!?神降ろしだと!?」

 

神降ろしとは噛み砕いて言うと、神様の力、神霊を人間の体に憑依させて、その神様の力を使ったりm信託を受けたりする事だ。

 

そう言えばハジメのアポロモンはアポロン…ユエはまだ究極体ではないが、恐らくディアナ…アルテミスだ。

 

そして、優花のデュークモンは北欧神話に所縁が多い。クリムゾンモードの武器を含め、グラム、グングニルなどだ。

 

…そして、トータスには来てないが、大和田のベルゼブモン(さっきまでここにいたバアルモンとは当然別の個体だが)もベルゼブブ。

 

…そして、

 

「進示…」

 

ミリアが複雑そうな表情で俺を見る。

 

デジシンクロによって魂が繋がり、記憶も共有した今となってはミリアの正体を知った。

 

ジールで見たあの姿を鑑みれば、納得する。過去についてはまた別の機会に語る。

 

「心配すんなって。ミリアは偽名なのもちゃんと理由があるのも納得してる。杏子だって素性を隠すのは趣味だし」

「ハハハ、否定はできないな」

 

「ミリアの正体がアレとすると…計算ともし神降ろししたときの精神と肉体の負荷がどの程度かの計算も必要だし…ああ…やること多い!」

 

俺はあまりのやることの多さに頭をガシガシ搔きむしる。

 

「進示、二人を脱出させるゲートの開錠は私がやる。少し休むといい」

「そうだな」

 

俺はノートパソコンを杏子に貸して、優花が持ってきた水を飲む。

 

「いつもありがとな。…どっかで一度デートでもするか…いや、その場合買い出しとか」

「それはウィルさんを送り届けてから考えてもいいでしょう。それに、今回ハジメ君のアドリブとはいえ、デジモンを活躍させられたのだし、場所にもよりますがデジモンを外に出して連れて歩けるかもしれません」

「…ハジメ、そこまで考えてくれたのか…」

 

俺は、(俺のデジモンは2人とも人間に見えるので必要ないが)ハジメに感謝して俺を言おうとしたが。

 

「お、おう。そこまで考えてたさ!」

 

…ん?一瞬どもった?

 

「…多分その場のノリ」

「ですね!目が泳いでましたし!」

 

ユエとミリアの突っ込みに倒れ伏すハジメ。…おいおい。

 

「あ、そうだ」

 

俺はオルクスで作っておいたガラケーのような端末を取り出し、地球人召喚組の人数分渡す。

 

「トータスから地球への通信干渉はハッキングなので、ウチの組織以外の端末でハッキングをかけると問題になる。その端末で送れるメールは全部一旦樹達が使ってるシステムに転送されることになってる。これを使えば間接的ではあるが、親御さんたちとメールでやり取りできるようになる」

「ほ、ホント!?」

「製作者は俺だ。文字の打ち方は携帯電話と同じ。充電はソーラー方式。異世界間の通話は無理だが、同じ世界にいる同士の通話は可能だ。番号は登録してあるが、いつでも通信に出れるとは限らないから、その場合はメールでも送れ」

「ま、マジか…」

「ありがとう…榊原君」

「でも、こんなものがあるならもっと早くくれなかったの?」

 

宮崎が質問してくる。

 

「これを完成させたのは、落下してオスカーの隠れ家についてからだ」

「あ、そういう…」

 

納得したように頷く宮崎。

 

『進示様、聞こえますか?』

「…ん?遅かったな。もう状況は終わっちまったぞ」

『そのようですね』

 

ようやく樹から通信が来たか。

お、取り込まれた二人も出てきたな。

ガンクゥモンは…俺のスマホに居やがる。

 

 

 

 

 

清水の処遇については意外なほどすんなり纏まった。

 

魔物をけしかけてきたのは事実だが、人質を取られていたことで酌量の余地はあるが、納得していないものも少なからずいるため、先生が監督する保護観察を建前とする。

 

ただ、近年発生している道の化け物が現れた際は、その化け物の退治を清水に依頼するということになった。これは贖罪の口実になるだろう。

 

先生達や清水にイーターのことも説明し、イーターはデジモン無しでの戦闘は危険と伝え、世界の修復に清水のロイヤルナイツ、ジエスモンも必要になるから絶対に死ぬなと念を押す。

 

ただ、清水のメイドで天使の可能性…いや、ほぼ確定だが、アパルの意識が戻らない。

一応生きてはいるが、力はほぼ一般人レベルで、よく調べなければ天使とわからないほどだ。

 

目が覚めたら、こっちに連絡を入れて欲しいと頼み、清水はこれを承諾。

 

『…うむ。漢の顔になったな、幸利』

「…色々世話になったな。ガンクゥモン」

『…本当にウチの息子がお世話になりました』

「ハッハッハ。見た目に似合わず気骨のあるお子さんでしたぞ」

 

清水家の家族はお兄さん以外はガンクゥモンに感謝しているようだ。

お兄さんだけは複雑そうな表情だが、清水曰、お兄さんは学歴マウントをとるような人物らしい。

オタク趣味の清水ともそれでソリが合わないらしい。

 

あとで、シアのピノッキモンについても解析しないとな。データ取り。

 

「究極体に融合進化できるメンバーなら、次元の壁を乗り越えて地球に帰ることは理論上は可能だが、そうなるとデジモンがいないメンバーは置き去りになってしまうし、異世界召喚した時点でエヒトは地球の座標を知ったはずだ。人間の精神にも鑑賞できるエヒトなら物理的にも精神的にも地球を蹂躙できるし、そうなった場合、解決できたとしても多大な犠牲を払うことになる。

クラスメイト全員が地球に帰るための神代魔法会得は俺達で進めておくし、会得出来たら連絡は入れる…だが、ベヒモスクラスの敵で心折れるようならついてこないで大人しく待っているんだ」

 

「貴様…まだエヒト様を愚弄するか!」

 

デビットだっけ?畑山先生に信仰を捧げたといってるが、まだエヒトへの信仰は捨てきれてないか。

 

「そもそも無断で召喚で拉致った時点で信用ないし、先生に信仰を捧げたんじゃないのか?」

「…!」

 

ま、生まれて長年エヒトを仰いできた彼ら騎士からすればそう簡単にエヒト教を脱却できるとは思えない。

もしこの短い時間で脱却できたとしたら絶対先生に特殊スキルがある。いや、俺達が気づいていないだけで、もう片鱗は出てるんだろうか?

 

「うん。私の立場上あまり多くは語れないけど、迷宮の試練は直接戦闘だけじゃなくて、精神的な試練もあるから。召喚されるまで平和に暮らしてたキミ達が迷宮の試練に挑むのはちょっと無謀だね」

 

俺の言葉にミレディが補足する。

 

ミレディが何者かは神殿騎士の手前もあるので語っていないが。

 

「じゃ、何かあれば端末に連絡を寄こせ」

「優花っち、絶対死んじゃだめだよ」

「大丈夫よ。進示もいるし、心強い味方もいるしね」

「ティオもついてくる気か?」

「まあ、妾の目的上、お主たちについて行った方が都合がいいからの?」

「進示、私からもお願いしますティオも連れてってくれませんか?」

 

ミリアの嘆願に俺はハジメ達に目配せする。

 

特に反対者はいないようだ。

 

「わかった。連れていく。どの道リュウダモンもいるからな。デジヴァイスやデジモン用の医者の真似事ができるのは現状俺しかいないしな。その都合で清水にデジモン用の回復薬を多めに持たせたし」

「私も頑張って覚えます!元々地球の医学は知識だけはありますが素晴らしいと思ってましたし、デジモン医者もやってみるのもいいでしょう」

 

ミリアがデジモンの医療スキルを身に着ける気でいる。

まあ、俺の知識から知ってはいるだろうが、技術的に身に着くのは別問題だ。

 

以外にも杏子もデジモン医学は苦戦している。

覚えるのはいいが無理はするなよ?

 

「近年の進示も無理をしがちだ。進示の気持ちはうれしいが、君が倒れられる方が心苦しい」

「…俺に出会う前の杏子なら俺が倒れようが俺の行いを止めはしないだろうに」

「…何度でも言うが私の心が人間に近くなっているのだろうな」

 

…それがお前の重荷にならなければいいが。

 

「では出発だ。ウィルは俺の車に乗れ。ハジメのブリーゼは軍用車をモデルにしてるから、具合が悪くなっても寝れるスペースがない」

 

ハジメのブリーゼはミサイルやビーム砲などと言った武器を搭載してるが、逆に俺の車は武器は最低限しかない。生活面に重きを置いたからだ。

 

俺の車には小さいが医務室、旅行列車の客室のような部屋がいくつもあり、ベッドやキッチン、風呂やトイレもある。

 

ミレディ曰く、神代魔法には空間魔法とやらもあるので、それを会得したらもっとスペースを大きく出来るかもしれない。

 

「す、凄いですね…」

「キッチンは優花の要望だしな」

「フフ…ありがとう、進示」

「皆さんの世界にはこんな物が世界中にあると」

「ここまで複雑な構造の車は庶民には手が出ないし、武器は基本特殊な職業の人以外は持てないし。

4~5人乗せて走る車なら経済事情にもよるが、勤労者は比較的誰でも買える」

 

俺の言葉に驚くトータス人たち。

ミリアは地球で生活出来る知識は一通りあるので、特に驚きはなし。

 

因みにではあるが、樹から避妊に関する薬や道具の資料を送ってもらって作ってたりする。

 

まだ本物の高校生のハジメにはややきついので、俺が担当することに。

 

ユエからもそろそろ切らすとか言われて次の道具や薬をせっつかれ…え?もうなくなる?

 

「…頑張りたまえ、進示」

「…進示の記憶からハジメ君はいろんな異種族に興味がありますから、シアさんもチャンスはありますよ!でも、あまりグイグイ行き過ぎてもハジメ君はドン引きして気疲れしますので、控えめなアピールしつつ、こういうカジノに居そうな女性の服装をですね…ぎゃふんっ!?」

 

あ、ミリアがハジメにゴム弾を撃たれた。

 

「何吹き込んでやがる!?」

「ハジメ、ゴム弾くらいはいいし、余計な下ネタかましたら突込みくらいはしていいが…」

「…なんだよ?」

 

正直これを言おうか悩んだが、ミリアを失って、プライドと倫理観を捨てる原因になったのはミリアを失ってからだ(実際は生きてたが)。

だから…言ってしまおう。

俺の心を読んだ杏子とミリアが驚きに目を見開いたが構わず口にする。

どうせデジシンクロで魂が繋がっている今、もう死んでも逃げられない関係だし、3人で旅したあの日々も忘れられない。

 

 

「ミリアは俺の女だ。やりすぎたらいくらお前でも許さないからな?」

 

ハジメはまさか俺がそんなにはっきり言うとは思わなかったのか、驚いて「お、おう…」としか言ってない。

 

言われたミリアはというと…顔を真っ赤にしている。

…あれ?意外と初心?

 

「だ、大胆な…!羨ましいですぅ…」

「ん…男を見せた」

 

上からシア、ユエである。

 

しかし、

 

「ミリアは俺の女だ。やりすぎたらいくらお前でも許さないからな?ミリアは俺の女だ。やりすぎたらいくらお前でも許さないからな?」

「杏子ォッ!?復唱しなくてもいいだろ!!?」

 

そう言えばサイスルでも恋愛ネタ…特に告白セリフを復唱するような奴だった!この杏子(アルファモン)は!?

 

 

「ハハハ、いいではないか。私達にも後で言ってほしいものだ」

「…お願いね?」

「いやはや、少々童顔ではあるが、普通の顔という見た目には寄らぬなぁ」

 

周りのクラスメイトやもそれぞれ反応は違うが騒ぎ立てている。

 

先生も「ふ、ふしだらです!お説教ですよ!」というが、ミリアが「畑山先生も前回の歴史では誰のとは言いませんがハーレム入りしてたんですよ!」と、爆弾発言をかまし、さらに阿鼻叫喚となった。

この阿鼻叫喚だけでドラマCD作れそうなボリュームだ。

 

…少々迂闊だったか?

 

「シンちゃん…」

 

ミレディは…一番からかってきそうな奴筆頭だが…申し訳なさそうな顔…そういう事か。

 

「気持ちの整理がついてからでいい」

「…!ありがとう!」

 

俺の言葉の意味を察したミレディが破顔し、お礼を言ってくる。

 

「で、通信が遅れた理由は?」

『申し訳ありません。日本にイーターが出現したので、関原さんたちに対応を願ったのです』

「「!?」」

 

ここ数年は鳴りを潜めていたが…。

 

デジモンテイマーズのデ・リーパーはざっくり言うと、触れたデータを消去する存在ではあるが(加藤樹莉という例外はあったが)イーターはその真逆。触れたデータを捕食して進化してしまう。

誕生の経緯や性質は異なれど、どちらも並のテイマーやデジモンでは対処不可能だ。

 

俺でもデジモン無しでイーター相手に接近戦は出来ず、ベヒモスイーターに対しても、タイラントバスターを撃つという選択肢しかなかった。触れただけで捕食されるし。

 

映像を見せてもらうが、確かに東京にイーターがいる。

 

関原のブルムロードモンと、小山田のカオスドラモンが撃破している映像が映ってる。

 

どうやら人的被害はなかったようだ。

 

因みにデジモン無しで接近戦は出来ないイーターだが、デジモンと分離した状態でも関原はメトロ〇ドみたいなパワードスーツでひたすら砲撃し、小山田はよくわかないトラの着ぐるみ『鎧です』あ、はい…鎧を着ながら薙刀を振り回したり、デカい縦でシールドバッシュしている…ん?

 

「マジかよ…日本にこんな奴が…」

 

映像を見ている地球組も驚き、恐怖がある。

トータス組も地球の映像、街並みを見ることで、トータスよりはるかに進んだ文明に驚いているようだ。

 

 

「小山田の着ぐるみ『鎧です』…鎧、アレ着てれば接近戦大丈夫なのか?」

『はい、パワードスーツや鎧は進示さんとは違う世界で手に入れたものですが、着ぐるみ『鎧だって言ってるでしょ』…鎧にはデジモンに近い性質があるので、、一撃で破壊されたりはしないはずです』

 

小山田の守護天使・ミクが答える。

人間社会に紛れるときは大人だが、天使の姿はロリッ娘だ。

 

…それならば対抗手段も増えるか?

 

「もう一つ。ヒュドラ・イーター戦で俺と杏子がアルファモンになった時、一撃で分離させられたが…」

『それに関しては、進示様と杏子ちゃんの魂の繋がりが強く、デジモンというよりは人間に性質が近くなったせいでしょう。…これに対抗するアップデートを考えなければなりませんね』

「頼む」

『はい。お任せを』

「出来ればそのデータ俺にくださいよ樹さん!!」

『ハジメさん…少し心配ですが、コピーでよければ』

「ありがてぇ!!」

 

小山田の着ぐるみ『鎧!』…鎧もだが関原のパワードスーツの方に興味が行ったなコイツ。

 

 

 

 

 

 

 

 

色々あったが、ウルを出発。

フューレンに向かう。

 

車で移動しながら情報を交換したり、ウル戦の映像を見た南雲夫妻が、ミリアの悪ふざけの元ネタの映画を訪ねてシュ〇ちゃん談議になったり、せっかくなので、映画を何本かこっちに送ってもらって、トータス組に映画を見せたり。

 

 

 

 

 

…ミリアは俺の女って言っちまった…が、言った以上、向き合うか。

 

この日の夜、俺は車の自室にミリアを呼び出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

?視点

 

 

ママ…どこにいるの?

 

おりにとじこめられて、てつごーしのなかからこわいおじさんたちのはなしごえがきこえるの。

 

このガキはいくらするとかげいをしこむとかわからないおはなしばっかり。

 

いっしょにいたおとこのこたちもどこにいったかわからないの。

 

いまはおそとはまっくら。

 

おじさんたちはじぶんをおりのなかにいれたままどこかにいっちゃった。

 

…おなかすいたの。

 

 

 

 

「いやはや、こんな子供が人身売買されてるなんて…さすがのオイラも胸糞悪いぜ」

 

そこにいたのはくろいトカゲ?のようないきものだった。

 

まものじゃないの?

 

「オイラはアグモンさ。まあ、ウイルス種だけどな!」

 

みぎのおめめのしたにきずがあるけどだいじょうぶなの?

 

「コイツはちょっとした古傷さ気にすんなって。それよりお前、こっから出たくねぇか?」

 

これがアグちゃんとのであいだったの。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




間が空いてしまいました。
活動報告でも何回か言ってる勇者の扱いに関してはどうしようか悩んでいます。
このSSでは天之河が死んだ場合、天之河がアフターで召喚される分が進示に回ってきてしまいます。つまり、過労死待ったなし(鼻ほじ)

このSSのデジシンクロの設定上、進示が死んだら杏子とミリアが道連れ、転生者と天使の契約の関係上樹も進示が死んだらこの世界から退去。

つまり、この3人は進示が死んで次の世界に転生する時は自動的について行くことになります(樹に限っては進示が契約を破棄すれば別ですが、その場合人間界では活動できなくなります)。因みにデジシンクロは魂魄魔法や再生魔法でも剥がすことができません。無理に引きはがせば死にます。

このSSではティオが進示のヒロインであるので、あの世界の同行者はハジメではなく、進示になりそうですね。


追伸

あっちのほうがUAの伸び率がいい…だと!?やはり3大欲求は偉大なのか…!?
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