デジモンと命を共有する転生者   作:銀の弓/星の弓

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だいぶ間が空きました。


第27話 パパ友結成!?

進示視点

 

「俺に相談?」

『ん、シンジに相談』

「ハジメじゃダメなのか?」

『客観的意見が欲しい』

 

ん~究極体への進化はシアに先を越されたことと言い、何か色々抱えてそうだな。

 

『ハジメの性癖も教えて欲しい』

『ぶっ!?』

 

あ、通信の向こうでハジメが噴出した。

 

現在俺達は車2台に分乗し、フューレンに向かっている。

車間のやり取りは通信だ。

 

ウィルをイルワの元に送り届けて以来達成だ。

そうなればステータスプレートがない連中にもプレートを作ってもらえる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ウィル君!無事だったか!?怪我は無いかい…!?」

 

 

「イルワさん……すみません。私が無理を言ったせいで、色々迷惑を……それと、心配をかけました」

 

 

「……何を言うんだ……私の方こそ、危険な依頼を紹介してしまった……本当によく無事で……ウィルに何かあったらグレイルやサリアに合わせる顔がなくなるところだよ……二人も随分心配していた。早く顔を見せて安心させてあげるといい。君の無事は既に連絡してある。数日前からフューレンに来ているんだ」

 

 

「父上とママが……わかりました。直ぐに会いに行きます」

 

 

ウィルがマザコンかどうかはどうでもいいことだが、これを機に親孝行の一つでもしてみたらどうだろうか?

 

 

 

ステータスプレートに関してはデジモン組は全員ほぼすべての数値が測定不能だったが、俺に関しては今まで測定できなかったのに、こんな結果になった。

 

榊原進示、性別:男 年齢:不明

天職:歯車の生贄 大樹の守護者

 

 

 

筋力:46000(最大時:測定不能)

 

 

 

体力:42000(最大時:測定不能)

 

 

 

耐性:47000(最大時:測定不能)

 

 

 

敏捷:42000(最大時:測定不能)

 

 

 

魔力:48000(最大時:測定不能)

 

 

 

魔耐:43000(最大時:測定不能)

 

 

 

そして、技能も数えきれないほどあったが、トータス以外の世界で身に着けた技能に関してはステータスプレートに反映されていないようだ。

 

 

「うーん、それはたぶん、私が進示の体内にいた時は測定できなかったんじゃないですか?デジモン組は全部エラーなんですし」

「…そう考えれば辻褄は合うのか?だが、このステータスの高さは…ミリアインストールのせいか」

「恐らくそうだろう。まだ進示が完全に使いこなせていないとはいえ、覚醒した状態だ。…まだ無理はするなよ?」

「まあ、このステでも究極体とはまだ単騎では戦えないし、それに、覚えなきゃいけないものも沢山あるし…ノートだけでは会得出来なかったモノも教えてもらうぞ」

「それはモチロン。…ハジメ君達が進示をチートを見る目で見てますね」

 

まあ、理不尽なステータスをしてるのは自覚ある。

 

「言っとくが、体を作り替えたせいでミリアは大幅に弱体化しているが、それでも最盛期のミリアはドルゴラモンの…単純計算で50倍以上はあるからな」

「…それはなんとまあ…妾も先生の本気を見たことはないのじゃが…」

 

かつて一時的に家庭教師をしていた教え子のティオはそんな感想らしい。

 

「あの時は私も迂闊でした。本気を出したせいで、私達3人揃って指名手配ですからねぇ。杏子も奴隷商に捕まって私が救助していなければ貞操が危うかったですよ」

「ジール世界に恐れられた龍の末裔…、生まれながらにして惑星崩壊レベルの力を持つお前はそりゃ恐れられるだろうよ。実情がどうあれ、強大すぎる力は利用するか排除するかのどちらかしかないからな。普通は」

 

俺は人間社会の弱さを鑑みたうえでコメントする。

 

「でも、そんな恐れられた龍の末裔と人間的に接してくれる貴方たちのおかげで、私はこうしていられます。だから、私は何があっても進示と杏子とティオの力になりますよ。勿論、ハジメ君や優花さんたちも私にできることがあったら言ってくださいね?」

 

するとミリアはジールでもなかなか見せなかったギャグ的な笑顔ではなく、こちらが思わずどきりとしてしまう素敵な笑みを見せた。

 

 

 

 

 

 

 

 

「君達、今回は本当にありがとう。まさか、本当にウィルを生きて連れ戻してくれるとは思わなかった。感謝してもしきれないよ」

 

「ま、生き残っていたのはウィルの運が良かったからでしょうよ」

 

「ふふ、そうかな? 確かにそれもあるだろうが……何万もの魔物の群れからウィルやウルを守りきってくれたのは事実だろう? 女神の騎士様?」

「随分情報が早いな」

「それに、魔物を駆逐した白い龍も君たちかな?話の流れから言って」

 

白い龍はドルゴラモンだな。

 

「君たちのステータスの高さも…キャサリン先生が目をかけるのも納得だ」

 

それから、俺たちを危険分子としては見做さず、冒険者ランクを【金】にしてもらったうえで、可能な限り俺たちの後ろ盾になるということを取り付けてもらった。

 

 

 

 

 

「妾まで金ランクにしてもらってよかったのか?」

「ま、どうせお前のステに敵うやつもそうはいまい」

 

ティオは自分のために作ってもらったステータスプレートを見ながら質問をする。

 

「ティオ、進示は今のところティオに悪感情は抱いていません。もう1ステップですよ!ベッドインまで!」

「下ネタ色ボケっていうのは本当だったのね」

 

ミリアの発言を聞いて優花が頭を抱えている。

とは言え、自分も自分から迫ったので、特にそれ以上の突っ込みはしない。

 

「ハジメとシアは二人きりで観光区に行くとして、ユエが俺に話…大体想像はできるが、シアに究極体の先を越された件か?それだけじゃなさそうだが」

「うん…私はハジメが好き…ハジメが好きな気持ちはだれにも負けない…けど、ハジメの【大切】は増えてほしいと思うけどハジメの【特別】は渡さない…」

 

フム…

 

 

「進示。買い出しは私たちでやっておく。ユエ君の相談に乗りたまえ」

「ルナモンもユエについたほうがいいわね。ドルゴラモンをウルで活躍させたから、デジモンを表に出しやすくなったでしょうし」

「ん…」

 

そう考えるとハジメの機転も吉と出るか。

 

それに、テイマーとパートナーは一心同体。

相談の内容も共有したほうがいいだろう。

 

俺と杏子とミリアに限っては離れていても状況や言葉は共有できてしまうが。

 

 

「あとハジメの性癖~以下略」

「言うなよ!?言うなよ!!?」

 

うーん、ユエは300年も幽閉されてたから愛が重そう。

 

 

 

 

 

 

その夜

 

「は、ハジメさんとユエさんも激しいですけどシンジさんは3Pですよ!?」

「うむ、先生は意外と感じにくいタイプかの?しかし、進示と杏子の二人がかりで先生の…」

「へー、シンちゃんって甘えんぼさんって聞いてたけどホント何だね~」

「…ちょっとあなたたち?気になるのはわかるけど許可なく覗きはマナー違反じゃないかしら?」

「ユユユユッカちゃん!?」

「ユ、ユウカさん!?」

「お、落ち着くのじゃユウカ!?」

 

優花から聞いた話ではシア、ティオ、ミレディは情事を覗いた件で優花に説教されたらしい。

…これは情事をするときは結界を強化したほうがいいか。

 

 

 

 

翌日。街の人からはデジモンに対しては奇異の目で見られているが、ルナモンに関しては見た目が愛らしい故か、女性はすぐ慣れたようだ

 

エテモンはストリートライブを開いている!?ミレディがちゃっかりおひねりを回収してるし(変装で顔は隠してるけど)!?

 

…このストリートライブが後にあんなことになるとは…この時は想像もしていなかったのである。

 

 

 

俺はユエとルナモンと手近な喫茶店に入り、紅茶やケーキをルナモンの分まで注文し、俺はゲン〇ウスタイルで話を聞く。

 

「お前はハジメの特別になりたいとか言ってたが、ハジメの大切にシアが加わるのはいいのか?」

「むしろ1番の強敵はシンジ」

「俺にそういう趣味はない」

 

…まさかホモだと思われてる?…いや、この場合はバイか。

…オイコラ!笑うなミリア!

くそ、こういうことまでリアルタイムで伝わるのかよ!

杏子も「むしろ1番の強敵はシンジ」って復唱すな!

ま、買い物はちゃんとやってるようだな。

 

「…それより、もしかすると今頃色々進展しているかもしれんぞ? ユエが思う以上に」

「シアのこと?それなら嬉しい」

 

「嬉しい? 惚れた男が他の女と親密になるというのに?…俺が言っていいセリフじゃないが」

 

「……他の女じゃない。シアだから。むしろハジメはシンジを見習うべき」

「…というと?」

「シアは初めはウザかったし、下心もあったけど、あの子はなんにでも一生懸命。それに、シアは私のことも好き」

「…だから絆された?」

「…ハジメの特別は渡さないけど大切は増やしてほしいと思う。【大切】以外を切り捨てるのはアイコのいう通り【寂しい】生き方」

「…へえ」

 

 

ここで先生のセリフが出てくるとは。ウルで先生と何を話したかは杏子を通じて知っているし、杏子も興味深そうにしている。

 

「もし、奈落の底で生き残ってたった一人になったとしたら、ハジメは目につくもの全て()にしていた可能性すらある」

「…否定できんな」

 

態度や言葉遣いまで変わり、豹変したアイツを見れば想像しうることではある。

 

「話を聞く限り、ハジメは殆ど友人がいない。シンジは元の世界の友人やこれまで旅をしてきた縁がある」

「…守れなかったもの、死なせちまったやつも多いがな」

「…ごめんなさい」

「謝らなくていい。ガラテアは会ったことはないけど、ミリアだけでも生きててくれて俺は心の底からよかったと思っている」

 

これは本当だ。…だから俺のために今晩のおかず(食材だけではなく【意味深】も含む)は増やさなくてもいいからな。嬉しそうにしちゃってまあ。

 

 

「…だから俺みたいにハジメには【縁】を増やせと?」

「そう。人間関係が途切れたら…それがハジメの最期になると思う」

「…そこまでわかっているなら、いう必要はないかもしれないが、縁を増やすのはユエもだ」

 

俺はルナモンを見ながらいう。

 

「ルナモン、ユエと出会えてどうだ?」

「私はよかったと思ってる。まだ付き合いは浅いけど、生きるために一生懸命で、種族の違いも関係なく共存して協力して信頼しあえている」

 

確かに俺たちは生まれた世界も種族もバラバラだ。しかし、デジモンや、人間の垣根を越えて信頼関係を築くのは俺たちなら難しくはないだろう。

 

この世界の大半の人間は種族の違いでいさかいを起こしているし、ハルツィナ樹海でそれはさんざん見てきた。

 

あとはウルにいた騎士か。

 

 

 

「まあ、お前が懸念してたことはそう過剰な心配をする必要もないんじゃないか?

究極体の進化に関してはきっかけ一つだ。

…人の縁に関しては…長いこと世界から隔離されてたお前には実感は薄いかもしれないが、少なくともハジメしか見えてないってわけじゃない。俺に相談を持ち掛ける時点で視野は狭くない。だからそこまで心配しなくてもいい」

「…そういうもの?」

「そういうもんだ。俺たちは生まれた種族も世界もバラバラだし、ミリアや優花みたいに自分の体を作り替えちまった奴もいる…体が変わったのは俺もだが。でも、俺たちと一緒にいて嫌だと思ったか?」

 

そういうとユエは首を横に振る。

 

「だったら大丈夫だ」

「そう……あとはハジメのせいh」

 

まだそれ引きずってるのかと思ったら、俺たちの目の前(正確に少し横)が爆発した。

 

「あ!まだ半分しか食べてないケーキが!?」

「そいつは悪かった。あとで埋め合わせしてやるよ、ルナモン」

 

そういうと、ハジメとシアがいた。ハジメが引きずってるのは、ボロボロのガラの悪そうな男だ。

 

「…トラブルか?」

「まあな」

「あはは、私もこんなデートは想定していなかったんですが……成り行きで……ちょっと人身売買している組織の関連施設を潰し回っていまして……」

 

「……成り行きで裏の組織と喧嘩?」

 

「コ〇ン君もビックリのスピード展開だな」

 

 

 

ハジメの話を要約すると、シアとのデート中、ハジメの気配感知が下水に子供らしき反応を捉え、シアと2人で向かった所、海人族の少女を保護した。(デジモンらしき反応もあったらしいが、すぐに消えたとのこと)

 

その海人族の子供――ミュウ――を一通り介抱した後、意外と懐かれてしまったが、一緒に連れて行くわけにもいかず、保安署へ半ば強引に預けることにしたのだが、その後、その保安署が襲撃を受けてミュウが攫われた。

 

海人族の子供を返してほしければシアもつれて指定の場所に来いとかなんとか。

 

で、ぶちのめした構成員を尋問しながらミュウという少女を探しながら今回かかわった組織を潰すのだとか。見せしめもかねて。

 

そして杏子たちも狙われているとなれば座して待つわけにもいかないか。

 

「聞こえたな?」

『はい!お買い物も終わってますし、その人身売買組織にはお仕置きタイムですね!どうせなら「お前は最後に殺すと約束したな?」っていうくだりをやりたかったですが…、状況的に無理ですよね』

 

まあ、ネタを考える余裕があるなら顎で動かしてもいいだろう。

「どうせならミサイルに括り付けるか?」

『あ、いいですねソレ!…と、思いましたけど、そのネタやって大丈夫ですか?』

「…メタい話になるが今回はやめとこうか?」

 

なんていう会話から数名ドン引きした。

ハジメはすぐにネタを察したのか、宝物庫からミサイルをチラつかせる。

 

俺は初めに「今回はミサイルはやめとけ」というと、ハジメは若干不本意そうだったが、大人しく引っ込めてくれた。

 

ミサイルの使用は他に手がないやむを得ない状況にとどめようか。

 

ユエも最近消化不良が多いからミサイルの代わりにユエに暴れさせると言ったら、ハジメはノータイムで了承。

 

そうすると、デジシンクロで会話ができないミレディが通信端末から声を出す。

 

『ミレディちゃんは街の外に逃げそうなやつを止めておくよ。子どもの人生食い物にする奴はお仕置きがいるけど、今は顔バレできないしね?』

「好きにしろ」

 

特に反対意見はないので、ミレディは本人が申告した通りにさせる。

 

「んじゃあ、今日中に終わらせようか」

 

ハジメの号令とともに俺たちは動き出した。

 

 

とある場所では銃声が。

 

とある場所では爆炎が。

 

とある場所ではウサギの叫び声が。

 

とある場所では人を惑わす霧が。

 

とある場所では鉄球が。

 

とある場所では美女に踏まれて「ありがとうございます!」と叫ぶ男が

「おい杏子、趣旨間違えてないか?」

「フム…こういう躾をすれば男は喋るのではないか?ネットでは有名だったが…確かドМとか…。

マゾヒズムだったな。発音は英語とドイツが合わさったものだとか。肉体の痛みを性的快楽に変換するとはまた変わった趣向だ」

「やるなよ!?俺で試すなよ!?」

「…ハハハ。興味はあるがやめておこう。君の場合は性的快楽ではなく、本当に虐待された子供のように泣き叫んでしまいそうだ。魂が繋がっている今、君の心身の健康状態は私の死活問題だからな」

 

…つまり、デジシンクロ状態でなければ試したかったと!?

 

「おっと。本来の暮海杏子はサディストではない…はずだ」

「言い切れよ!?サディストはアルファモンの部分だろ!?」

「まあ、君が気遣いの塊で昔から私に気を使いすぎてるところはあるがな。むしろ堂々とやる下ネタを諫めるためとはいえ、ミリアを容赦なく蹴飛ばしたりする彼女の精神的距離感の絶妙さを見習いたいがな」

「…俺が杏子よりミリアに甘えていると?」

「下手すれば樹よりもだ。優花君は本物の女子高生だから気を使っているだろう?」

「まあ、そうだな」

「…私にも少しくらい甘えてくれていいぞ」

 

などといった会話を裏組織の構成員をボコりながらやっている。

つまり、戦闘中に雑談できるほど手ごたえがないのだ。

 

「まあ、これくらいは楽勝ですね」

「進示から殺害は最小限にとどめろって言われてるけど、余地があるも更生の余地がない人間が結構多いわね」

「まあ、更生の余地があるものは拘束だけでよかろう。次じゃ」

 

 

そうしていつの間にかミュウという少女を救助したハジメの合図でユエの雷龍が暴れるのであった。

 

「たーまやー!」

「フム。花火が上がるときにたまやとかぎやという叫びがあるが…江戸の花火屋さんの名前が元だそうだな」

「おお、また雑学王インテリ杏子ですね!杏子の記憶が戻ってるから存分に聞けるでしょう!」

「ああ、期待してくれたまえ」

 

ミリアが杏子の雑学をたたえると、杏子は笑みを浮かべて答える。

 

「まあ、記憶喪失の時の杏子も可愛かったですけど!」

「えっへん!何て言ってたしな」

「…むう、少し恥ずかしいな」

 

 

 

 

 

 

 

 

「倒壊した建物二十二棟、半壊した建物四十四棟、消滅した建物五棟、死亡が確認されたフリートホーフの構成員九十八名、再起不能四十四名、重傷二十八名、行方不明者百十九名……で? 何か言い訳はあるかい?」

 

 

「カッとなったので計画的にやった。反省も後悔もない」

 

「はぁ~~~~~~~~~」

 

「おっと、ハジメはそこまで気が回らなかったようだが、コレ使ってください」

 

俺はイルワにフリートホーフにあった売買リストを渡す。

 

「半分くらいハジメが燃やしちまったから全部はないけど、それだけあれば逃した奴の検挙に使えるはずです。俺も目を通しましたが、無駄にはなりません」

 

「おっと、君は冷静だったね。…フム。おかげで捜査が進展しそうだ」

 

イルワはハジメのほうを見ながら言葉を重ねる。

 

「まさかと思うけど……メアシュタットの水槽やら壁やらを破壊してリーマンが空を飛んで逃げたという話……関係ないよね?」

 

 

「……ミュウ、これも美味いぞ? 食ってみろ」

 

「あ~ん」

 

リーマン?以前見た〇ーマンみたいなやつか?

 

「まぁ、やりすぎ感は否めないけど、私達も裏組織に関しては手を焼いていたからね…。今回の件は正直助かったといえば助かったとも言える。彼等は明確な証拠を残さず、表向きはまっとうな商売をしているし、仮に違法な現場を検挙してもトカゲの尻尾切りでね。はっきりいって彼等の根絶なんて夢物語というのが現状だった。…ただ、これで裏世界の均衡が大きく崩れたからね……はぁ、保安局と連携して冒険者も色々大変になりそうだよ」

 

「まぁ、元々、其の辺はフューレンの行政が何とかするところだろ。今回は、たまたま身内にまで手を出されそうだったから、反撃したまでだしな」

 

「唯の反撃で、フューレンにおける裏世界三大組織の一つを半日で殲滅かい? ホント、洒落にならないね」

 

まあ、裏社会での人身売買とかは地球でもある話だ。表沙汰にはならないが。

 

それから話を纏めると、今回の活躍(?)で、俺たちの力を知らしめると同時に、イルワ(ギルド)達お抱えの金ランク冒険者という事にすれば、犯罪組織に対して相当な抑止力になるのと、ミュウの正式なエリセン送還依頼が俺達が引き受けることになった。

 

ただ、俺たちは人数が多いのでいい加減グループ名を決めようかという話になった。

 

…俺は杏子をとっさに見た。

 

杏子も俺の考えがわかったのか、口を開く。

 

「【彼】がいないのは残念だが、【彼】であれば、むしろ使ってほしい名前なのではないか?自分が活躍した証にもなるしな」

「…だな。俺たちのグループ名は…【サイバースゥルース】だ」

 

単語の意味に反して大っぴらな活動をしてしまったが、杏子が持ってきた縁であるため、使いたくなってしまった。

 

他の皆も杏子がきっかけのグループ名になったときいて特に反対意見は出なかった。

 

 

 

 

ハジメ視点

 

ミュウが俺を【お兄ちゃんと】呼ぶので、それをやめさせようとしたら何故か【パパ】になってしまった。

俺がパパ呼ばわりされた時の進示と暮海とミリア(呼び捨てでいいと言われてる)の哀愁の籠った表情は忘れられそうにない。

 

「ま、実父がおらず、誘拐された時の状況やこれまで受けた仕打ちを考えるとパパ呼びを変えさせるのは難しいな」

「それはわかるが…!」

 

進示がド正論を言うが、納得できるかは話が別だ。

 

「俺のことは何て呼ぶ気だ?ミュウ」

「おじちゃん!!」

 

ぶっ!?

 

おじちゃん呼びに思わず噴き出したが、進示は少し目を見開いただけで、俺の予想外の反応だった。

 

「…ハジメのことは最初にはお兄ちゃんと呼んでたが…なぜ俺はおじちゃんかな?」

「…え?おじちゃんはおじちゃんだよ?お姉ちゃんみたいな感じもするけどよくわからないの」

 

そう言うと、進示は何かを考えこんでる。

 

「…まさか、魂の経年が視える?それに、デジシンクロの状態も何となく…?」

「?」

 

そうか、進示は転生者だったがミュウが人の魂が見えるだって?

 

「…ハジメ、この娘、保護して正解だったかもしれん。…巫女体質の可能性がある」

「…巫女体質…巫女って日本でいう神に仕える女性だったよな?」

「ああ、この世界の神がどういうタイプかわからないけど、俺達の推理通りならば、ユエ同様依り代にされる可能性がある」

「「「「「「ッ!?」」」」」」

 

進示の推理に俺たちは息を飲む。

 

「…母親のもとに送り届けるまでが依頼だが…この娘も母親も目の届く距離に置いたほうがいいかもしれない」

「…ッ!」

 

それは、つまり俺たちの帰還を妨害する可能性の高い神に人質に使われないためにミュウと母親を連れ出すという事か。

 

「それに、最初に動いたのがシアとは言え、お前も割と懐に入れたやつには甘いし、連れて歩けば情が沸くだろう。それにお前が一番懐かれている。俺たちもサポートするから、連れて行こう。…迷宮攻略は立場上挑戦者を手助けできないミレディとエテモンに護衛させればいい」

「…それがいいかもね。あのクソ神にこの子を好きにさせる…想像しただけで反吐が出る」

 

ミレディが進示の意見に賛同する。

 

それからミュウから話を聞くと、下水道で俺たちに拾われる前は、デジモンらしき生物がミュウを逃がしたんだとか。

 

「アグちゃん…どこにいるのかなぁ」

「アグちゃん…アグモンかな?ワクチン?ウイルス?ユキ?」

「…あっ!ういるすっていってたの!!」

「ウイルス種かい?ちょっと待ってな」

 

進示が亜空間倉庫からパソコンを取り出し、テイマーのいないデジモンを探す。

 

「一先ず半径20キロ以内の反応は…あ!割と近くだぞ?街の外れだ」

 

そして、反応のある場所に向かう。

 

デジモンなら魔物と思われるから、人目を避けたんだろう。

 

「よお、どうやらお前を助けるお人よしがいたようだな。オイラはすぐにそんな奴が現れるとは思ってなかったけどな」

「あ、アグちゃん!!」

 

嬉しそうに駆け寄って抱きしめあう。一人と一匹。

 

「まあ、これは連れていく流れになりそうだな。進示。デジヴァイスを頼むぜ」

「まさか…戦わせたりは」

「ぜってぇしねぇ!!怪我したらどうすんだこんないたいけな子!!」

「お、おう…ハジメ、早くも親バカ発揮か!?」

 

進示に親バカ呼ばわりされるが、ぶっちゃけ内心では否定できなかった。

 

「ギルドの頼まれでホルアドに行くことになったが、ホルアド到着予定は…地球時間だと土曜日になるかな。通信は可能だし、親御さんとの通信もできるが…今の俺たちは教会の監視を搔い潜りたい立場だし…神殿騎士に生存を知られた時点で今更な気もするし…ま、ホルアドの様子を見て決めてもいいだろう。情報収集もしつつな」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

第3視点。

 

 

「いよいよ90層の大台だな」

「あと10層クリアすれば、この訓練も終わりだな」

「そうなったらいよいよ戦争に備えることになるわね」

「…雫ちゃん…ハジメ君…生きてるかなぁ…勿論杏子ちゃんや優花ちゃんや榊原君も忘れてないけど」

「光輝は…南雲君と榊原君が死んで優花と杏子を助けるの一点張りだものね」

 

もう彼等が奈落に落下してから数か月。

最初のベヒモス戦の件で心にトラウマを抱えたドロップアウト組を除いて、迷宮を進んでる前線組は順調だったが…彼らにとっての大きな試練はここからである。

 

「…この気配は…デジモンか?」

 

光輝たちについてきていた凛々しい騎士の女性、アルフォースは警戒を強めた。

 

その呟きは誰にも聞かれなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




おまけ

「あ、そういえば」
「なんだよ?」
「師匠…ゼロの生存はまだ直接は確認してないが、俺達、パパ友になるのか!?」
「ぶっ!?」

「ユエお姉ちゃん!シアお姉ちゃん!ユウカお姉ちゃん!キョウちゃん!ミレディお姉ちゃん!ティオお姉ちゃん!ミリアお姉ちゃん!!」

「誰がママ呼びされるかで揉めてたが、…まあ、実母は存命だしな」
「…おいおいまさか」
「…子持ちの人妻も…果てさてどうなるか」
「ちょっと待てぇ!?お前別の世界とは言え、未来を知ってるんだよなぁ!?」
「ミリアを通じてな。だが、シアのいう通り未来は絶対じゃないし、ミュウの母親がハーレム入りする保証もない」
「だ、だよな?」
「だが、あんなミュウの様子を見て母親と引き離すなんてできると思うか?」
「…」

ハジメは項垂れた。

これは覚悟を決めなければならないか。





「それにしても、私は【キョウちゃん】か…。これも宿命かな?」
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