デジモンと命を共有する転生者   作:銀の弓/星の弓

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いくつかの短編を織り交ぜた未来の話。
アダルト版で少しネタバレがありましたが、現在進示のヒロインが確定しているメンバーとの話です。
ゼロは血の繋がった娘なので扱いが難しい部分がありますが。

もう1周年過ぎてますが、ここまで執筆できたのも、拙作を視てくださっている方々がいらっしゃるからです。
ありがとうございます。


1周年記念番外編 とある未来の話

 

 

とある転生者と破壊神

 

 

シュクリス視点。

 

地球の日本にある双葉・榊原家の進示の自室に呼び出された私は、彼が好んで愛飲するコーヒー(暮海杏子の作品ではない)と、チョコ菓子を持って部屋を訪問する。

天使と言えど前契約者、神童竜兵との別れには思うところはある。

だが、守護天使である以上仕事に私情は挟まない。

まあ、竜兵はどのみち人間界で活動することが困難なほど魂が疲弊していたし、病というハンデもあった(それでもデジモンの究極体…しかもロイヤルナイツと単騎で戦えるレベルはおかしい、激昂したドフゥトモンを抑え込んでいたし)。死んだ今は天界で積みゲーでも消化しながら療養しているだろう。

世話役の天使もいるし、天界での生活は心配ないだろう。

竜兵との契約当初から、いずれ進示と正式契約することになることも離していたのだが、あっさりOKが出たのも当時の私からすれば拍子抜けした程だ。

本人は完全消滅を望んでいたが、進示や竜兵のような人材は少なすぎるため、それは却下されてしまったが、少なくとも100年の休養が必要な程だ。

…今にして思えば竜兵は生きることに疲れたのだろう。

 

それに、私は進示でも竜兵でもない別の男との間にできた息子の行いによって誕生したのがゼロだ。

息子は惑星・ハイネッツがミサイルで粉微塵になる前に息を引き取ったが、私は進示と杏子を陰で逃走幇助するためのジャミングやらで息子の最期には立ち会えなかった。

 

息子は、天界や父親と縁を切り、普通の人間としての生活を望んでいた。

その行先の世界で選んだ道が化学者であったが…あのような結果になるとはな。

ハイネッツ脱出直前に誕生したばかりのゼロは、2000年以上前のジールに召喚魔法で拉致されてしまい、そのまま別れることになった。

 

進示と杏子からすれば3年、ミリアからすれば5年。そしてゼロにとっては2000年ぶりにようやく家族が一堂にそろったのだ。

 

進示と契約しているとはいえ、私が水を差してもいいものかと思ったが、榊原家は全員いてもいいと言っていた。

 

 

「契約者、入るぞ」

「おお、鍵は空いてる」

 

そこにはswit〇hでエイリアンを撃退するゲームをしている契約者がいた。

恐らく武器稼ぎだろう。

 

「いや、今度関原達から地球防衛するって。一年ぶりだし」

「彼らも割と好き勝手にやってるようだな」

 

進示の悪友、関原達の集まりは実に一年ぶりになるか。

勿論私は今でこそ守護天使との契約以外に進示の愛人となったが、愛人だからと言って、進示の行動を制限する事はしない。

契約者にあまりストレスを与えるわけにはいかないのだ。

 

 

 

 

世界の消滅が見込まれるときに備えたバックアッパー。

 

そして、魂を視て、感じる能力。

 

トータスの魂魄魔法でもこの領域には踏み込めない魂の観測。

 

世界の修復に必要な能力ではあるが、実はとてつもないリスクがある。

 

「調子はどうだ?」

「ああ…お前に抱かれて…普通性別逆なのにな。ともかく、一緒に寝てから嘘みたいに体が軽い」

 

私はトレイのコーヒーと菓子を置き、ゲームをするさまを見守る。

 

「そこ、武器があるぞ」

「あ、気づかなかった」

 

進示が動かすゲームのキャラが、アイテムを集めている。

 

「…実際のところ、いろいろ建前はあるけど、俺と契約した本来の目的ってコレだろ?」

「そうだ。ありとあらゆる星と人類の悪性情報。その呪詛、怨み、怨嗟。世界の理を壊すほどに膨れ上がるその呪詛をお前は自身の魂に封じ込め、抑えている。時折、情緒不安定になったり、何もしてないのに涙を流したりするのもそのためだ」

「…それを定期的に破壊するため…か。確かに維持神の樹じゃ出来ないことだ」

「トレードは大天使最年少記録を更新してはいても、まだ未熟だ。お前の呪いを処理しきれんだろう。現状処理が出来るのは私だけだ。…契約が遅くなって済まなかった」

「星のデータを記録したまま呪詛のみを処理する…いや、破壊するか。だから俺のサポートは破壊神のお前が直々に出張ったのか。天使のフリをしてまで」

「建前上守護天使だから、使える権能には限りがある。それに、竜兵とお前と2重契約を結んだのは、神の老害どもの目をお前に向けさせないためだ」

「神の老害…、話は聞いている。神童は陽動役だったんだな。しかも、彼は全て承知の上で陽動役を引き受けた」

 

私は事情があったとはいえ、進示との正式契約が遅くなったことを詫びた。

 

「しかも…その…破壊するために寝ないといけないんだよなぁ…」

「私ほど精度が高くないとはいえ、お前の呪詛を破壊できるものは…ゼロ、ガラテア…そしてノイントだな」

「ノイント!?」

 

ゼロとガラテアは予想してたようだが、エヒトの人形である彼女は予想外だったようだ。

だが、ゼロでは近親相姦となってしまう。

 

「ノイントは…分解か!?」

「それだけではないがそうだ。今は呪詛を破壊できるほどではないが、私が指導するのだ。お前の呪詛を破壊できるように仕上げるとも。…優花や雫、ティオ、ミレディ達にも教えるが…正直アライメントが秩序寄りで、破壊の適性がない。いや、ミレディは混沌か?」

 

破壊の力を使う適正ってアライメントの問題?と考える進示。

 

「シュクリスも秩序だよな?」

「そこは人間と神の差だ。…それに、お前は龍の因子を移植したことで、不老不死になった…お前と女の間に生まれた子供も…お前より先に死ぬ」

「…やっぱり…そうなんだな」

 

ゲームをする手は止めず、コーヒーをすすりながら、ため息をつく。

 

進示は私にコントローラーを渡してきた。

 

協力プレイをしろという事だろう。

 

コントローラーを受け取ると、私は広域殲滅が出来る兵科を選ぶ。

 

「…お前はその時にも寄り添ってくれるんだな。優花も雫も普通の人間より寿命は長くなったが、多分先に死ぬ」

 

優花は魔物の肉、雫は神の気を纏えるようになったことで、若さを長く保てるが、いつかは寿命が来る。

 

「お前が望むなら次の世界に旅立つときも一緒の世界に行かせてやろうか?お前の功績は大きいから、審査も簡単に通るしな。まあ、杏子とミリアはお前と魂が繋がっている故、魂は榊原進示という扱いだが」

「そこは本人の意思を尊重な」

「…このままこの関係が続けばそんな回りくどいことをする必要もないと思うが」

 

私は心を読めるので、当然彼女たちの心も読んでいるが、進示から離れる気はない。

今更だが、優花と雫はまだ高校生故に実家で生活しているが、卒業したら榊原家に来るつもりのようだ。

因みに八重樫家の一部の者も、たまにここに来る。

デジモンの波程度の究極体ならやり方次第では一人で倒せる進示私は徒手空拳だけで上回る。

故に、八重樫家の面々にも素手だけで相手をしているが、身体能力はともかく、技術は進示と比べ物にならない。

進示の戦技指導者で、パンクラチオンの使い手でもあるトレードは『進示様の格闘技の才能はそこまで高くありません。修練を積み重ねれば一流にはなれましょうが、そこどまりでしょう。少なくとも技術面においては』と言っていたらしい。

進示は足りない部分は洞察力や魔法、兵器、仲間でカバーするタイプだ。

 

私がゲームの中で敵を広域殲滅し、歩兵の進示が残った敵を駆逐する。

 

「やっぱ効率良いな」

「…進示。こうしてゲームをしながらでもスキンシップはしてよいぞ?ぬくもりがあればそれだけでストレスは軽減されるだろう」

「…今のご時世じゃセクハラだ何だと言われるが…、」

「雫やリリアーナはまだ気恥ずかしさはあるが、少なくとも、私やトレード相手に絶対に遠慮はするな。優花もミリアもティオもノイントもガラテアも無条件でお前を受け入れてくれるだろう。暮海杏子もミレディも何だかんだ拒みはすまい…ゼロは…近親相姦になってしまうが【父さんが望むなら】だそうだ」

「ブッ!?」

 

進示は飲んでたコーヒーを吹き出してしまったが、魔法で空気中の水分と一緒に固め、氷漬けにしてしまった。

そしてそれを台所の三角コーナーに転送。

 

「おかしな話ではあるまい?生まれてすぐ召喚魔法で引き離され、父や母より年上になり、2000年もの間お前の言葉だけを縁に生き続けた。

ゼロも過酷な人生を歩んだが、私の所感としてはお前を【男】としてみているぞ」

「…マジかよ…ゼロにとってはようやく得た心のよりどころだもんな…」

「万が一そういう関係になっても私もトレードも軽蔑などすまい。神の世界も近親相姦は割と例がある」

「えええええ…」

 

恐らく聞きたくなかった裏の事情だろうな。

 

 

「…進示…お前は神々を恨んでいるか?転生前の人生を摘み取った我々を」

「…恨んでいないと思うか?」

 

…まあ、心を読んでいるので、その答えが出るとは思っていた・

「…でも、俺は怒ることはあっても、根本的に恨むことが出来ない。昔からそうだった…傍から見たらクソみてぇな外道でも事情を知ったら【しょうがない】で済んじまう。…諸行無常なんだ」

「…それは」

 

それは…強くなっても精神的に人間の域を出ない凡人の進示が至っていい境地ではない。

…いや、我々神々のせいだな。

 

…弱いのに…強くなれる才能がないのに強くならざるを得なかった。

 

いや、それだけではない。

 

「いま一度言うが、お前の魂を視る力の本質は星の魂を観測し、破壊されてはならない世界が破壊された場合の修復に必要なもの。その副作用で、星に宿る様々な知的生命体の怨嗟、憎悪を受け続けることになる」

「ああ、声自体は遮断してるけど、呪い…呪詛は今も受け続けている」

「そうか…」

 

そう言われると、ゲームがリザルト画面に入ったのを見計らって口づけをする。

 

進示は突然のことに驚いているが、抵抗せず受け入れる。

 

「…キスでも多少は浄化されるようだ」

「そうか。他のお前の愛しい女たちにもお前の呪詛を取り除くくすべを教えておこう」

「…思ったんだけどさ、自分で除けないのか?」

 

まあ、当然の疑問だな。

 

「推奨は出来ない。それは星の記録を自分自身で拒むことになる。それではいざという時に世界のリカバリーが出来ないだろう?」

「めんどくせぇ…」

「浄化の適正は先も言った通りだが、デジモンは論外として、私を除けば、トレード、ゼロ、ノイント、ミレディが高適正。ガラテアも適正は高いが、やや思いつめやすいので普通。優花と雫は適性が低い。彼女たちも思いつめやすい性格だから、星に刻まれた人の業を、正面から受け止めて思い悩む。そういった意味ではティオとリリアーナもそうだが、王族は伊達ではないな。清濁併せ呑む事は出来るから、人類の業もそれなりには飲み干せる」

 

「そっか…」

 

進示は予想してたのか、驚きもせず頷く。

 

「ただ、杏子とミリアは他のメンバーにはないアドバンテージがあるな。デジシンクロで魂が繋がっているおかげで、進示の夢の中で寄り添う事が出来る。…一人で苦しむ事はない」

「…それでいいのかな?自立できなくなる気がする」

「お前の考える自立は、助け合いもない孤高の道だ。それは自立とは呼ばん。暮海杏子にも言われただろう?」

 

進示の考えは少々極端なところがあり、彼の考える自立は例え一人で無人島に放りこまれても一人でたくましく生きていける精神力の事を指している。

 

「…」

「…契約者。本来お前には神がしなければならないことを代行させているのだ。これくらいの支援は当然だ。気に病む必要なない」

 

そして、これから相まみえる神王の正体…知ったら驚くだろうな。

あの神の老害どもは叩かねばならん。寿命が来たなら大人しく生まれ変わればいいものを、そんなに死にたくないか。

 

デジモンというデータは神にとって【喰いやすい】手軽な補給手段だろう。

デジモンがリアライズできる世界を作り、捕食する。そこに予想外の事故が起こり、イーターどもが溢れ出した。

そしてそれはエヒトにも及んでしまい、やむを得ず私が消してしまった。

イーターに寄生されたエヒトがあのまま肥大化すれば、ネットワークの海に潜るようになって殲滅不可能になるか、あるいは、肉をも喰らうファングに変質し、トータスをただの食料にしかしなくなるか。

いずれにせよ、放置すれば大惨事であろう。

まあ、あの時エヒトを消したのは竜兵の命令なので責任は竜兵に行ってしまうのだが、特にお咎めはなかったようだ。

 

 

 

 

「…生きるがいい、契約者。お前の仕事もお遊びでも何にでも付き合ってやる。お前が強くなって風格が出てしまった以上、女に言い寄られることもあるだろう。

お前がバックアッパーの宿命を背負っている以上、お前の意思に関係なく危険なことが降りかかってくるが…それに耐えられない女は見放した方がいい。

恋愛で結ばれる関係は否定しないが、恋は盲目。凡百の女は修羅の世界という現実で生きられない。

幸い、お前の愛人は私も含めて、何があろうとお前についていく不屈の精神の持ち主達だ」

「…それ、どういう巡り会わせなんだ?」

「ほぼ奇跡だろうな」

 

私個人は進示が女を増やすのは構わないが、想いだけでやっていけるほど甘くはないし、安息の生活は送れない。

竜兵の時はそれが著者だった。

彼もハーレムは築いていたが、彼が歩む過酷な人生、本人の意思に関係なく降ってくる災害に誰もついていけなくなり、残ったのは私だけだった。

 

「戦闘能力は仕方ないにせよ、エイリアンから地球を守る精神くらい持ち合わせてくれなければな。お前の愛人になるなら」

「コレも割と人間卒業してますねぇ…地球防〇軍」

 

可能性の域は出ないが、今後そうなってしまうかもしれないのだ。

私は破壊神故に破壊された土壌、食物や建物の再生などはできないのだ。

 

「あ、そう言えば。俺って普通のデジモン育てられないのかな?」

「やめておけ。お前は常に星に刻まれた人類の業を受け続けているのだろう。ゼロレベルでもない限り、自力での呪詛浄化は出来ないだろう。無垢なデジモンでは七大魔王デジモンよりもおぞましいデジモンに変質する可能性がある。しかも、お前はデジシンクロでパートナーと魂が繋がってるから余計にだ」

「…だから杏子(アルファモン)が選ばれたんだな。人間に憑依し、人間社会の荒波にもまれて、清濁併せ持った思考が出来る彼女以外に、俺のパートナーは務まらない。ミリアは生まれが龍で、後天的にデジモンに作り替えた存在だが、精神面の問題は既にクリアしていたんだ。…あと可能性があるのは岸部…ロードナイトモンとアルフォース…アルフォースブイドラモンだが、2体とも既にパートナーがいるし、関係も良好だ」

「…」

「なんだ?」

 

ロードナイトモンとアルフォースブイドラモンについてコメントがない私をいぶかしんだ進示は、私に返事を促す。

 

「………は迷いがあるな…。パートナーと別れ、独立するか、パートナーとともに居続けるか」

「…」

 

私の言葉に対し、進示は何も言わなかった。

 

 

 

 

 

とある転生者とエルフと使徒と解放者と竜人

 

ガラテア視点

 

「進示、どうぞ」

「シンちゃんだけじゃないよ!」

「私も一緒です。ガラテア」

「妾もおるぞ」

 

私の部屋に入室してきたのは、進示、ミレディ、ノイント、ティオだった。

私はある人物の革製の品物…グローブを磨きながら入室を歓迎する。

私はとある事情から化学物質に弱い体質なのだが、ゼロが私たちの世界から持ち込んだ植物をそだて、私の部屋に置いたのだ。

ベッドもジールのエルフの森の素材で進示とゼロの合作でもある。

このグローブに塗ってるオイルもその植物性の油でゼロ本人が特別に加工したグローブオイルだ。

今となっては転生者殺しの毒も気にする必要はないので、進示を害することもない。

転生者殺しの毒に関しては過去編で語りましょうか。

 

 

「何を磨いておるんじゃ?」

「…それ、キャッチャーミットだよな!?プロテクターにレガース、バットまである!?」

「はい、ゼロの物ですよ」

「…え!?」

 

まさか進示が自分の娘が野球道具を持ってるなんて考えてもいなかったのだろう。

 

「野球というスポーツの道具じゃったかのう?」

「こっちの世界の人って面白い事思いつくんだね~」

「私も見てみましたが、技術的にハイレベルなプロやメジャーもいいのですが、1敗も許されず、負けられないという精神性で戦う高校野球というものの方が惹かれます」

「ノイントは高校野球派か。ま、そこは感性の違いか」

「昔、スポーツで全てを決する世界の厄介ごとに巻き込まれたことがあるそうで、その時に事態解決のために動いていたらしいのですが、ゼロが選んだ種目は野球のようでした」

「だからか。キャッチャーミットって事は捕手なのか」

「そうですね。チームメイトの投手もゼロ相手には割と遠慮なく投げてるので、リードの仕方もうまいのでしょう。チーム事情でサードをやることもあったそうですが、肉体強化を封じられ、アスリートレベルに身体能力が下がっても、サードでうつ伏せのまま、ノーバウンドでファーストに投げられるくらいにはリストも強いんですよ」

「マジかよ…幽遊〇書みたいにスポーツを邪魔する力は使えない呪いでもあったのかね、その世界。てか、何でそんなこと知ってるんだよ?」

 

まあ、地球に来て間もない私がそんなことを知ってるのもおかしい話ですね。別の世界の未来からの大天使トレード様から知識を受け取ってるわけでもない私が。

 

「進示と杏子がジールに召喚される直前に、私はゼロに会っていたんです。その時に世界を修復するために必要な私の脳にゼロの知識を刻み込まれていたんです。(ジール編第1話参照)その時に雑多な知識もあったのですが、」

「なるほど、その時に色々知ったと。ガラテアの特別な脳ならそんな莫大な情報量でも脳が壊れる心配はない」

「その通りです」

 

進示達の疑問も晴れたところで、私はため息をつく。

 

私も崩壊が確定したジールでギリギリまで留まって姉さまの最期を見届けたが、イーターに寄生されていえ、本来イーターは精神データを取り込んで進化するだけの存在だったが、【寄生】という発想に至ったのは何故かという部分も未だに分かっていない。

 

そしてイーターに寄生された姉さまに観測された世界はイーターが出現してしまう。

 

姉さまの千里眼は過去・現在・未来はおろか、異世界、観測世界の観測すら可能という破格すぎる目だ。

しかし、それはジールという星に根付いた能力であり、ジールが消滅する以上姉さまの消滅も避けられなかったのだが、

 

姉さまに懇願されて姉さまを殺したのがこの進示だ。

私は事前に自分はどういう経緯をたどろうと死ぬことは聞かされていたし、私が進示の子供を身籠っている未来まで観測したことは聞かされていた。

 

…ジールを脱出し、トータスに流れ着いた私はハイリヒ王国でメイドとして働きながらも、姉さまの未来予知とゼロの情報にあった進示達がトータスに召喚される情報を元に彼らを待ち続けた。

 

「…改めて聞くが俺をトータスで最初に見たとき殺したいとは思わなかったのか?」

 

 

空気が凍る。

 

「…私があの場にいたことは知っていたのですね」

「正確には後から気づいた、だ。そして、ハジメ達に見せるための映像を編集している時に、お前、木の陰に隠れてチラッと移ってるぞ」

 

進示がノートパソコンを開いて問題のシーンを見せる。

 

左腕は動かないのかだらんと下げており(ミリアが再生させたばかりで、まだ神経が動かなかったのだろう)、馬乗りになって右手だけで姉さまの心臓にナイフで突き刺している彼の様子が見えた。

 

そして少し離れたところに木の影に私がいる。…顔も見えてしまってますね。

 

「…思わなかったと言えば嘘になります」

「そうか。この話を切り出したのは、不遇大典の天敵であるあるはずの…滅ぼした側のノイントと、滅ぼされた側の竜人族と解放者がいるからでもある」

「シンちゃん…それは…!」

「さっきある程度打ち合わせしたろ。それに、トータスから地球に帰ってくる前にもこの件はガラテアと話したんだ」

「ああ、だから【改めて】なんじゃな」

 

そういう事ですか。

トータスでは既にこの件について話し合ったとは言え、私の心境が変わっていない保証はないからなのだろう。

つまり、私の心境が変わってるかどうかの確認ですか。

 

(聞いた話でしかないが)現役の解放者時代からのウザさは多少鳴りを潜めているとはいえ、いい意味でも悪い意味でもムードメーカーのミレディが進示を咎めるような表情になる。

ノイントとティオも沈痛な表情になる。

 

「トータスに流れた後も暫くは泣いていました。ですが、この映像にも映っている通り、そして私が直接見たように進示、あの時泣いていたでしょう?

少なくとも殺したくないと涙を流すほどには情を持っていたはずです」

 

「恐らく、姉さまは進示と杏子がジールに召喚される前からイーターに寄生されてたんだと思います。…タイミングは杏子がデジタマになったあたりでしょうか」

「…そうか。あの時杏子は次元の壁を突破して並行世界の俺達の世界に流れ着いた。その時にイーターがどこからか漏れたのか。そして、その状態でトータスを観測したから、トータスにイーターが現れた。…でも、なんで物質界の物も喰ってしまうほどに変貌を遂げた?」

 

進示が最後に疑問を呟きますが、その横で、ティオが「では…トータスにイーターが現れるのは必然じゃったのか…」と呟いていますね。

 

「所感ではありますが、ジールにもかつてデジモンはいたという話はミリアから聞いていますね?、そのデジモンも元は転生者が持ち込んだもの。ネットワークが存在しないはずの世界に世界にデジモンんは出現できません。ゼロも転生者がデジモンを持ち込んだ時は現実世界にデジモンをリアライズさせる環境づくりはまだしていなかったはずです。ゼロの記憶が戻ったのは1000年ほど前で、デジモンが持ち込まれたのは2000年以上前の話です」

「だからミリアはあのポケベルサイズのデジモンのゲームまで持ってたのか。いや、ミリアと魂が繋がってる以上ミリアが見聞きしたことは全て承知だが、どこから手に入れたのかは分かるけど」

「その目を覗きに悪用しないで下さいと言いたいですが、もう魂の繋がりが深くなりすぎている以上、共有感覚を切ることはもう出来ないでしょう。魂の繋がりを切ったら死にますし」

「仮に、一時的に遮断できても、遮断も永遠には出来ないし、繋がったらまた記憶は同期されてしまうしな。まあ、ミリアはそれゆえに男子生徒の股間の大きさをネタにしてしまったわけだが…坂上に謝っておくか」

「そう言えばそんなことがあったのぉ…」

 

ティオは坂上龍太郎の下半身をネタにした時に現場にいたのでしたね。

 

「そもそも姉さまに寄生したイーター出現のおおよその原因も人間がネットワーク世界を開いたことです。その時デジタルワールドに入り込んだ白峰ノキアさん、神代勇吾さん、神代悠子さん、真田アラタさん、そして、杏子の助手である●●●●さんも…誰も悪くありません。アレはどうあがいても避けられない運命であり、姉さまを殺すことも本来は私がしなければいけなかったことであり、それを進示に肩代わりさせた事には逆に申し訳なく思っているのです。岸部リエであるロードナイトモンと、ドゥフトモン…武人肌で多少割り切っていますがデュナスモンは、デジタルワールド崩壊原因を作った人類に対しまだ根に持っているようですが、一先ず表立って人類と敵対はしない、特にロードナイトモンは中村恵理さん本人が関係を切りたいと思うまで、彼女の人生を最後まで見届ける気になっただけマシでしょう」

 

そう、どんなに間違っていなくても、悪行を犯さなくても、不条理が全てを奪い去ってしまう事もあるのが人の世の理なのだ。

人類の力ではどうあがいても乗り越えられない試練を吹っ掛けられてしまうこともある。

諦めなければどんな危機でも乗り越えられるというのは私から言わせてもらえば幻想だ。

恐らく、進示もそう思っているでしょう。

そして、神でも乗り越えられない試練というものもある。

ティオも、ミレディもこの場にはいませんがユエさんやシアさんも、越えられない壁に当たってしまい、家族や仲間を失った。

進示も、そんな幻想が現実になるのなら、ジールやハイネッツも存続させることが出来たはずだ」

 

「俺たちは今、その幻想を現実にしなければならない局面にぶち当たりそうなんだがな」

「…あ、声に出てましたか?」

「【おそらく進示もそう思っているでしょう】あたりからですね。トータスにいたときから思っていましたが、貴女は思考に没頭すると周りが見えなくなるようです」

 

ノイントに指摘されてしまう。そう言えばハイリヒ王国で監視をしていたのでしたね。

 

「ガラテアよ、確かに歴史は変わり、ゼロ達も本来知らない歴史を辿り、得たもの、失ったものもあるじゃろう。じゃが、そのようなプラス思考もマイナス思考も【今】が無ければできないことじゃ」

「【今】…ですか」

「そ。確かにあのクソヤローの使途…ノイちゃんと会ったときもミレディちゃんは言いようのない気持ちになったし、乱闘になりかけた。アンタたちさえいなければ皆も死ぬことはなかったって…でもね、どんな正しさよりも私たちって【心で動いちゃう】んだ。…私も戦争で殺し合うってことは理解してるけど、皆死なないで済むならそれに越したことはないもんね!だってノイちゃんって長生きしてる癖に心はまるで子供だもん。子どもが笑えない世界に価値は無いってね!それに、私たちが目の敵にしてたのは、あくまでヒトの自由を奪うあのクソ神だし♪」

「そして、心とはかつての私になかったものです。奇跡的なタイミングと巡り会わせですが、進示が私に心を吹き込んでくれた事は決して間違いではありません」

「…ほんとに偶然なんだけど、結構ハズイな…」

 

皆さん…強いのですね。

 

「ガラテア、今その心に黒いものが無ければ、みんなで仲良くなってもいいんじゃない?」

「フーディエモン…」

 

突如、私のデジヴァイスで休眠していたはずのフーディエモンがリアライズして、そう言ってきた。

 

「私だって、進化ルートによっては七大魔王のリリスモンになれちゃうのよ。でも、神か悪魔か魔王かなんて関係ないし、ハジメだって魔王呼ばわりされてるのに、身内には甘いし、何だかんだで筋は通す」

 

そう言えばハジメさんも複数進化ルートを開拓してましたね。

…ですが、そうですね。

 

「たまに姉さまを思い出して泣いてしまうことがあるかもしれません」

「構わねぇよ。俺だってフェーには殺したくないほどには情があった。当時は記憶のない杏子を護るだけで精いっぱいだったし…でも今なら強さも仲間も家族も…そして、我ながら節操無しだが、伴侶も誰もが文句のつけようがない…ま、問題児一歩手前の奴は何人かいるが、お前は大丈夫だと思うが、警察の厄介にはなってくれるなよ?…杏子も地球に帰ってきてからコーヒーで異臭騒ぎ起こしやがったし、コーヒー鑑識に回されたらどうすんだ…

「キョウちゃんやんちゃだね~」

「お前もオスカーの亡霊から聞いたがギャンブルですったことあるんだってな?」

「オーーーくーーーーんっ!?!?」

 

コーヒーの件に関しては優花にかなり怒られたらしい。

膝抱えすわりでいじけている珍しい姿が見られた。

 

いつの間にか始まった漫才に私は苦笑しながらその様子を見守る。

 

「ゼロ…貴女は私が生き残るのが必然と言ってたけど、生き残ってよかったと思えるように頑張ってみるわ。視ててね、姉さま」

 

 

もういないはずの姉さまが笑っているのを感じた気がした。

 

或る休日の一幕。

 

 

 

 

おまけ(メメタァ)

 

 

 

 

 

「それはそうと、裏の仕事(怪異退治や、世界が滅びないための準備)が忙しいのもわかりますが、学校もありますし、あまり無理はしないでくださいね?」

「まあ、分かるけど…、それなら事務仕事やってくれるか?そしたら負担は減るし、お前もある程度戦闘は出来るようだから、無理しない範囲で仕事回そうか?」

「そうですね、穀潰しでいる気はありません」

「無理してまで働く必要もないのはお前らもだからな?」

「「「「ええ(うん!)(ああ)」」」」

「それと、何故映像の編集を?」

「お前、ハジメの両親に『エルフ来たーー!!』って騒がれたけど、俺達の過去の話知りたいからって言ってな、ジール編第3話からそういう要素をちょくちょく取り入れようかなと…せっかく脳の情報読み取って映像化できるソフトもあるし…」

「最後の最後でメタですね!?」

 

 




大天使シュクリス
秩序・中庸(契約者がいるとき)
秩序・悪(契約者がいないとき)
系列:破壊神
階級:大天使
管轄:戦神
174cm58キロ(翼込みで60キロ)

胸はDカップ

好きなもの:人類
嫌いなもの:特になし

戦闘能力
能力に制限をかけた状態でも、マグナモン、クレニアムモン。スレイプモン、デュナスモン、ドゥフトモンを一騎で完封している。
本来の力は宇宙を壊せるほど。

また、武力のみならず、経済、サイバー戦争なども一流の辣腕を見せる。

神童竜兵の死後、とある経緯で本来神がするはずの仕事を進示に代行させるための補佐役を自ら買って出た。他に方法がなかったとはいえ、守護天使として進示に従うのは不当に殺害し、転生させた進示に対する贖罪でもある。
進示が樹に出会う前から既に仮契約を済ませている他(進示はその時の記憶は時期が来るまで思い出せないように封印された)、その時に樹や他の神や天使に気づかれないように加護を少しだけ与えたため、わずかだが、進示は呪詛に対する体制を得た。

神のルールに反しない範囲なら割と何でも契約者の指示を実行してしまう。
戦闘代行、訓練、ゲームのレベル上げなどくだらないことまでこなしてくれる。
セクハラ行為もラッキースケベも、平然と受け入れる。夜の営みは進示の呪詛破壊のため、彼をリラックスさせるために奉仕プレイを行うことが多い。
口腔粘膜接触(ディープキス)だけでも、進示の深層領域に入り、呪詛破壊は可能だが、進示は10人100人ではなく億人単位の呪いを受けているため、性的接触が効率がいいのだとか。

本人は「私に気遣い無用だ」と言っているが、天使である以上主の方針には意見できても滅多なことでは決定には逆らえないため、気遣いも受けている。
一応趣味や嗜好もあり、進示と契約前から蕎麦打ちが出来るし、契約後はゲームやチョコ菓子が好きになった模様。また、SASU〇Eも録画してでも見てるとか「程度の差はあれ、男達が限界に挑む姿はいいものだ」。
優花の影響で洋食も作るようになった。
数多くの男(女も)利用してきたが、進示は気にしていない。進示はそれくらい達観したものの味方が欲しかったという事もある。
シュクリスは数多くの人間を見送ってきたが、不老不死になった進示にとって、シュクリスは見送り、残されるものの大先輩でもあるため、シュクリスには割と本音をぶちまけることが多い(そもそもシュクリスは心を読めるため)

神の世界においては暴君というよりは圧政者である。
秩序属性ではあるが、守護天使の時は契約者の行動は原則制限せず、これまで仕えてきた契約者は、契約者が契約を切らない限りは、どれほど善人でもどれほど無能であっても、どれほど極悪人であっても見捨てなかった。
また、神の世界においては日本警察でいう公安のような役割をしていたこともあるとか。
口調こそクールビューティーだが、結構甘いため、男をダメにする天使かもしれない。
契約者の行動はあくまで本人の自主性に任せるスタンスのようだ。

神として自らを驕ったりはせず、神々の都合で前世の進示達の命を摘み取った責任を果たすべく、神から天使に自らの神格を下げてまで自ら下界に赴いた。
社畜のようにこき使われるか、石を投げられるか、慰み者として使われるか…。自ら望む罰ではなく、被害者が加害者の自分に与える罰を受けるために。
しかし、転生者たちは6人とも既に終わったことと話し、予想以上に待遇もいいため、少し困惑している。
過労死レベルで使われることも覚悟していただけに余計に。



ガラテアのセリフの伏字

ここはネタバレになるため、まだ描きません。ただ、伏字が4文字なのには意味があります。


作者のサイバースゥルースで最初に選んだデジモン。

パルモン、ハグルモン、テリアモンから選べますが私はテリアモンです(現在オファニモン)。


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