そして開けましたおめでとうございます。
年末に心労で体調を崩してしまって…今は大分回復しているのですが、ちょこちょこ様子を見ながら執筆していきます。
本来予定にない更新ですが、重要人物であるとあるキャラの動くきっかけを短いながら書き出しました。
???視点
天界にある最高冠位の神殿。
私は休憩がてら通路を歩いていると、突然巨漢の男性神が背後から現れる。
「いよう!カタスト!今日もいいカラダをしているな!」
「私の体にしか興味がないのか」
これはいつもの挨拶替わりではあるが、私を後ろから抱きすくめて体を弄ろうとするこの男には呆れる外はない。
私はその気になれば性別を変える事も出来るが、女で通している。
私は巨漢の手を払いのけると、ツカツカと歩き出す。
まあ、この巨漢は仕事はしっかりしているし、手当たり次第に妾を増やす悪癖はあるものの、トータルでは善神だ。
この巨漢は創造神の最高冠位、クラフトだ。
「なあ、いい加減俺の妾にならんか?お前さんは仕事ばっかりで婚期を逃してしまうぞ?」
「普通の女であれば焦るかもしれんが、少なくともお前の妻になる気はない。それに、私が後継者に目を付けたタドミールも妾にしよって」
「う…そいつは悪かった…」
「悪いと思うなら、思い付きで行動する癖を直せ、特に女がらみで」
「ハッハッハッハ!そればかりはやめられんなぁ!」
仮にも破壊神の最高冠位である私に会ってそうそう体を弄る度胸があるのはこの男くらいだろう。
普通の神は私に会っただけで委縮する。
「まあ、それにしても、神様転生だったか?人間もユニークな物語を考えるなぁ!」
「失職した女神も転生者に付き従う契約をする守護天使システムで稼げるようになったのは、まあ、信仰エネルギー問題の大部分を解決することになったな」
神は人間の世界の存在を保証、整備するものではあるが、神も人間の祈りのエネルギーが無ければ滅んでしまう。
やり方は違えど相互関係ではあるのだ。
地球では21世紀辺りから考えられ、電子の世界で人気が出るコンテンツだが、なろ〇系の物語などは人間が【こうなりたい】という空想にあふれて、祈りのエネルギーがかなりの量を取れることが分かったのだ。
我々神はその文化に便乗し、仕事がない女神や天使に向けた新たな雇用システムを考えた。それが守護天使システムだ。
「まあ、人間に仕えるのが屈辱と考える神もいるようだが、不穏な動きもある。クラフト。特に女には注意しろよ?」
「ナッハッハ!頭の固い神はそう考えるなぁ!…まあ、心当たりがない事もないが…」
「?」
コイツ、こんな殊勝な顔する奴だったか?
「いや、俺も結構長いこと現役でいすぎた。…ここらが潮時かもしれんなぁ」
「…お前、何を考えている?」
「いや、人間に世代交代があるなら我々もそれに倣った方がいいかと思ってなぁ、まあ、引退したら別の仕事も考えちょる」
いつもは私にセクハラをしながら話すこの男の真意を読めず、目で話せと訴える。
「話してもいいがお前さんの乳を揉ませてくれるか?」
「…他に言うことはないのか?乳を揉みたいのであればお前の妻たちがいるだろう、もう何百柱娶った?」
「いや~男は杖に新しい刺激が欲しいのよ!」
「…本当に欲望に忠実だな」
するとクラフトは、私に何かを投げてきた。
「…記録媒体?」
「パスワードは教えられんが、まあ、お前さんなら分かるだろう。…妻の誰にも渡していない極秘のメディアだ。俺に何かあったときはそれを開いてほしい、カタスト」
「…!?」
待て!と叫ぶが既にクラフトは姿を消していた。
それからしばらくして
仕事でデスクワークをしている所に一本の通信が入った。
「私だ…タドミール!?」
『カタスト様!クラフト様が…死んでしまって…全力で蘇生を試みていますが、蘇らない!!』
「何だと!?」
私は仕事を中断し、クラフトの後宮に向かう。
そこには、医療や治癒などと言った神術の心得がある者たちが、ピクリとも動かないヤツの蘇生を試みていたが、妻たちの大半は涙を流している。
「…これは、もう駄目だな…、死んでからそこまで時間は経っていないな。それに、生き返らないように呪いがかけられている」
「カタスト様、状況を鑑みるにこれは暗殺、人間を守護することに反対の勢力の者かと思われます」
「クラフトは人間守護派…ありえなくはないが…クラフトの妾達の中に…いや、早計だな…タドミール、お前は私の後を継いで最高冠位の破壊神にならないか?」
「…わ、私が!?クラフト様の妻になる前はそう言ったお話を受けたこともありますが…貴方様は?」
「私はやることが出来た」
現場検証を終え、私は最高冠位の創造神、クラフトの死亡を発表した。暗殺ということは伏せて、事故で処理しようかとも考えたが、ここはあえて中途半端に隠蔽はせず、他殺という形で公表した。
当然私も含めて事情聴取を受けた神は何百柱もいるが、犯人は見つからなかった。
それからまたしばらくして、
「タドミール、最高冠位の破壊神の就任おめでとう」
「カタスト様…」
「もう私はカタストではない。守護天使シュクリスだ」
私は最初に契約した人間との関係を終え、天界に戻ってきたが、そこには見違えるほど立派になったタドミールの姿があった。
流石に私が目を付けただけはある。思慮深く、慈愛に満ち、感情任せに破壊行為を行わない者を何人か候補にしていたが、タドミールで正解だったな。
髪の毛、瞳の色が銀色というのも個人的に好んでいる。髪の毛は踵にまで届きそうなので、足を引っかけないかは心配だが。
「クラフト様を殺した者は人間界に潜伏しているのですか?」
「…クラフトを直接殺ったのはただ雇われただけであろうよ。犯人を突き止めて現場に向かったが、既に自決していた…機密保持のためだろう」
「そんな…では、捜査は振り出しですね」
「我々神の者はよほどのことがない限りそのまま人間界には出れない。だが、暗殺の主犯は裏技を使って人間界にいる。私も裏技を使おうと思ったが、正攻法に守護天使システムを利用して人間界に出立した。まあ制限は多いが、それなりに楽しくもある」
「…人間の男性とも寝たのですか?」
「当然だ。ヒトは3代欲求がなくば生存・繁栄が出来ない。性欲は無くても何とかなるかもしれんが、我慢しすぎて凶行に及んだり、ストレスで壊れたりした人間を何人も見てきた」
一般的に醜い欲求であるとされる性欲も、子孫を残すためには欠かせないものだ。
本来雌雄の区別がない神も、人間の誕生によって…ヒトの祈りによって神が人間の体というアバターを得た。
クラフトは男性の体を取ったが、ある意味人間の祈りに染まりすぎたと言える。
「雌雄の区別がなく、人間の子供の祈りによって生まれた…デジタルモンスターと言ったか?アレはなかなか興味深い。雌雄の交わり、恋愛感情などにもとらわれない種族だからな」
「…ある意味旧時代の神と通づるところがありますね」
「だが、ヒトは男だけでは出来ないこと、女だけでは出来ないこと…それぞれの欠陥を補いあうことで、絆を育み、時には感情で絆を断つ…クラフトを殺した犯人の動機を知るにはヒトの欠陥と長所を知る必要がある」
「…成長するという概念ですか?」
「デジモンが人の精神と絆を持って進化するというのなら、心とは何かを知る必要がある。知識ではなく、実感としてな」
私は次の契約者を迎える準備に入る。次の転生者は…割とすぐ来るな。
「シュクリス様…」
「暫くは転生者にくっつきながら調査をしてみる。…動機は案外くだらない…他人から見ればバカバカしい理由かもしれんが、それこそが心を動かすのかもしれない」
私は
神童竜兵や榊原進示と出会うのはこの数千年先の話である。
今回は気分転換の更新でもあるので短いですがここまでです。
ここまで情報を伏せていたハイネッツ編の執筆も始めました。
ハイネッツ編も彼女、シュクリスが裏方で進示と杏子を助けます。
本編の方も気になると思いますが気長にお待ちくださいませ。