また、主人公のパートナーデジモンには複雑な設定を仕込んでいます。
転生者のテンパっているセリフを今後の伏線のために修正します。
第1話 記憶を無くした探偵騎士
前世からの腐れである友人たちと一緒に神様転生なんて創作小説の中でしか無いような事態をいざ、自分で味わうと分かった時は、ワクワクするかと思えば案外そうでもなかった。
自分に何が起きるのか分からない不安、俺たちが元居た世界すら創作物でしかないのか、様々な疑念が思考を支配した。
そしてテンプレな女神からの説明を聞いているうちに俺たちをサポートする天使を1人1柱つけるという予想外の申し出があった。
拒否権はないらしい。
他の連中を見ていると、大体それぞれの性癖を考慮したんじゃないかと思われる天使がパートナーになっている。
俺と向き合っている天使は、緑色の癖のある髪の毛をストレートに流した清楚な大人の女性といった雰囲気だった。
「よろしくお願い致しますね」
恐らく営業スマイルかと思ったが、返事に困った俺は
「名前はあるのか」
と聞いた。
「天使としての固有名詞はあってないようなもの、地球に存在する多種多様な神や天使の分霊が別人格を持ったようなもの…と言えばご理解いただけますか?」
「ああ…分け御霊が独立して、固有の自我を持ったのか」
「はい、貴方様は聡明でいらっしゃるのですね」
「…人間社会じゃ、むしろ劣等者だぞ」
「貴方様の性質がたまたま社会に嚙み合わなかっただけでしょう。」
受け取り方によっては、彼女の台詞は神経を逆なでするようなセリフだが、彼女は恐らく本心で言っている。
そも、人間と超越者の基準を同じに当てはめる方が間違っている。
「お前に名前を付けよう。呼び名がないのは不便だからな」
「…まあ!私に名前を頂けるのですか?」
彼女は俺の発言に虚を突かれたようだが、頬を染めて嬉しそうにほほ笑んだ。
「お前の名はトレード。人間社会に紛れ込むときは双葉樹(ふたばいつき)と名乗れ。どちらも【樹】を意味する名前。俺を支える樹になるんだ。サポートをするならちょうどいいと思うんだが」
彼女は俺の発言を噛みしめるように目を伏せた後、俺に向き直るように顔を上げ。
「拝命致しました。神々の不甲斐なさゆえに、あなた方に大変な艱難辛苦を背負わせる事をお許しください。故に、この身は貴方様の仰る、貴方様を支える樹となりましょう。」
この時、彼女…トレードの言っていた【神々の不甲斐なさ】というワードが引っ掛かったが、コレがマジでそのままの意味だったことを知るのは大分先の話である。
転生先の世界で、俺は榊原進示と名乗ることにした。
ここからは俺と俺パートナーに起きた現象…あんなことになるなんて思わなかった。その経緯を掻い摘んで語ろう。
…天使たちの力で世間には隠れてトレーニングも出来ていた。
俺の肉体は小学生。
俺以外の転生者もそれぞれ契約した天使が書類上の保護者である。
「これ、デジタマだよな?」
「デジタルモンスターという作品の電子生命体ですよね?」
「おお!?生まれる!?」
「わたし、ドドモン。きみはだれ?」
ドドモン系列ってなんとなく男の子っぽいイメージがしたのでこの【わたし】という一人称が引っ掛かったのだ。
「ドルモン、おかし食べるか?」
「食べる!コーヒーも飲みたいな!マヨネーズとわさびも入れてね!」
「…なんで!?」
…そう、この時点で気づくべきだった
「な!?イーターだと!?」
「うっそやろ!?」
「ここはサイスルの世界!?」
「スピ■ッφでエボリューションするからテイマーズの世界かと思ったけど、この世界に関連する人とか組織とかないのに!?」
「…いや、だったらあの企業があるはずだ!!この世界にはカミシロとかないぞ!?」
「考察は後だ!!今の俺たちなら究極体で秒殺だ」
他のメンバーがデジモンと一つになった究極体融合進化を見届けた後、俺たちもドルモンと融合進化をしてアルファモンになろうとしたが…ここで予想外の事態が発生した。
「ぐ!?ああああああああああああああああああああ!!!???」
なんだ!?心臓が鷲掴みにされる感触!?
そして…
『イーターは倒したはず…、いや、負債がどこかの世界に流れている!!?』
『考える時間はないか、イグドラシルの反応消失…私の体が分解される感覚…やむを得ない。私の記憶、経験がほぼ全てロストするだろうが…記憶【データ】は生きてさえいればいつかは取り戻せる……それに残るデータもあるだろう。我が助手に一目だけでも会いたかったが…奇跡にかけよう』
『私の体をデジタマに…ロイヤルナイツの抑止力という役目も思い出せなくなるかもしれないが…完全消滅だけは避けなくては!』
トータス召喚前日
「俺が見れた記憶データはこれだけだな」
「【我が助手】…、あの世界の暮海杏子に憑依したアルファモンですね」
あの後分離した時はドルモンではなく、当時の肉体年齢小学生の俺と同じ外見年齢の金髪の少女が全裸で倒れていたが、生体反応がドルモンと同じだったため、彼女がドルモンと判断。
まあ、騒ぎになったが、樹に隠蔽工作を頼んだので騒ぎは最小限で済んだ。
今彼女と同じ名前を付けた杏子は入浴中であるため、俺と樹だけの会話である。
「当時は大天使である私ですらあなたとドルモンに起きた現象が分かりませんでした。ですが…」
「複数の異世界召喚の旅…ファンタジーな世界、ジールで魂に関する事柄を学んだ。SFな世界…ハイネッツで地球より高度な科学とネットワーク技術を学んだ。結論として」
「誰かの体に長年憑依したデジモンが別の人間と融合進化を起こしたことで起きたエラー、そのエラーによって魂と命を一つに繋いでしまった事象…これを【デジシンクロ】と名付けましたね」
「関原たちも融合進化をしたにも関わらず、デジシンクロが起きなかったのは、奴らのパートナーが別の人間に憑依した経験がないからだな?」
「はい…」
樹…トレードは日本人の黒髪の女性の姿で、複数のパソコンを操作しながら俺と杏子の生体データを見ている。
「彼女の構成している体…見た目は人間ですが本質はデジモンですね」
「サイスルの場合は精神が死んだ暮海杏子の肉体にアルファモンが精神活動を代行する形で、見た目は人間、中身はアルファモンを実現したから他のロイヤルナイツの目も誤魔化せた」
「今の彼女は記憶を失っているうえに、人間の体は見せかけだけのデジタルデータ…検査されると私の力無しでは人間と誤魔化せません」
樹は息を吐いて、俺を見つめる。
「貴方と杏子ちゃん…どちらか片方が死ねばもう片方も死んでしまう…あなた方はそういう状態です」
「…まさかこんなことになるなんてな…マジで托生じゃねぇか」
俺は重い溜息を吐く。
「だが、そうなるとアルファモンと同じ経歴をたどったデジモンがいるな」
「…岸部リエの体に憑依していたロードナイトモンですね?」
「ヤツがこの世界にいるかは知らないが、イーターも現れた以上、考慮した方がいいな…」
「ねえ、なんの話してるの?」
そこにはすっぽんぽんで歩いている風呂上がりの杏子がいた。
「おいィ!?服着ろ!?せめて下着を…!?」
「え?輝明(てるあき)達が風呂上りに裸でいたら進示が喜ぶって…」
「何の入れ知恵してんだあああああっ!?」
そんなやり取りを横から見ていた樹は苦笑いしつつ、
「そう言えば関原輝明さんたちが、杏子ちゃんを食べちゃう(意味深)に66兆2000億円賭けてましたね?」
「なにぃぃぃ!?」
「金額は流石に冗談のようでしたが、賭けの対象になっているのは本当です」
「よし!撤退を許可させないように追い詰めてやる!!!」
杏子が出てきてこの騒ぎになったため、イーターの話は出来ずじまいだったが、イーターの話をしておけばよかったと若干後悔することになる。
杏子は見た目こそ高校生だが、精神年齢は本来の彼女よりどころか高校生としても低く(記憶をロストしている以上当たり前だが)、眠くなったら切羽詰まった状況以外はすぐ寝てしまうので、すぐに寝かしつけて…変なことをする気には【まだ】
なれない。俺もまだ心が整い切れていないし、そもそも杏子はデジモンだ。
(…なにナチュラルに【まだ】なんて思ってるんだ!?いや、魂が繋がってる以上は、気持ちが…シンクロしてる!?いや、最近アピールが露骨になってるし!?関原たちが変な入れ知恵したせいで…!!??)
そうやって脳内で10分くらい格闘してから気持ちを落ち着け、樹のいるリビングに戻る。
「樹、万が一また異世界召喚に巻き込まれた場合、諸々の根回しとバックアップを頼む」
「心得ています。もともとわれら守護天使はそういったバックアップのためにいます。通信端末を無くさないでくださいね?それがあれば見知らぬ世界でも波長が合えば通信は可能でしょう。そして、貴方様と杏子ちゃん…ドルモンとしての同調進化も問題ありません。ラプタードラモン、グレイドモン、アルファモン、ドルガモン、ドルグレモン、ドルゴラモンへの進化も問題なく可能です。究極体はどちらも融合進化ですが、アンデッド種への進化はしないでくださいね?」
「なまじ魂が繋がってるから、アンデット種に同調してしまうと、俺の魂も汚染されるからな。それで一回死にかけたし」
自分の体を調べる段階で、デクスドルガモンにさせたら、吐き気を催すような感覚に襲われて、脳が破裂するほどの悪性情報…イーターに酷似した情報の嵐に見舞われた。無理矢理進化を解除して事なきを得たが、アレは流石に迂闊だった。
さらに大天使である樹がいなければ、後遺症が残っていた。
「これまで異世界召喚されて惚れられた女の子はいたけど、死んじまったしなぁ…杏子を守るので手一杯で。…そういえば天使って公には出来ない(意味深)なサービスもしてるし、俺も…その恩恵を受けてるけど…」
デリケートな話題ではあるが、樹は気にすることなく
「そうですね。21世紀では忌避される価値観ですが、神の世界自体、婚姻に制限はありません。ただ…終末戦争…ラグナロクとはまた違いますが、世界の外からやってくる災害との戦い続きで男性の神や天使が減っており、出生率も下がっています。」
「ああ…。例え天界が21世紀と同じ倫理観だとしても、そういったことを解禁せざるを得ない状況なのか」
「はい、21世紀の規律、道徳心は立派ですが、それも状況によりけりです。…先代の神王様がサボ…敗れた影響で、世界を覆う混沌の割合が増えています」
…今何言いかけた!?サボり!?
「それに、杏子ちゃんが死んでしまうと貴方様も死ぬのですから、その女性たちを守れなかったとしても貴方様を責めるいわれはありません、進示様」
樹が言外に【ご自身を大切にしてください】という目で俺を見る。
「悪意ある欲望で女性を傷つけるならば罪ですが、そもそも私は貴方様に頼っていただける方が嬉しいのです。貴方方が転生してそれぞれのパートナーに寄り添ってきましたが、方向性は異なれど、我々守護天使はそれぞれのパートナーの幸せを第1に考えています…少なくとも私たちはそうです」
「転生者の幸せを考えない天使もいる?」
「元から人間に仕えることを屈辱と感じる天使や、転生先で仲がこじれてしまった天使などがそうです」
「…関原の天使はちょっと病んでたけど、よくハーレム容認に持ち込めたよな…」
「…それに関しては不幸な行き違いでしょう。あの子は天使としても厳しく育てられていたようですが、あの子が師匠の本心を悟れなかったのもありますし、師匠もロクにヒントを与えなかったせいでもあります。精神が孤立していたところに輝明さんに優しくされてしまったのですから依存してしまったのでしょう」
「…俺もお前たちに依存しているとは思うが」
「ご自身で気づけるなら十分すぎます。貴方様の前世の経歴も踏まえると、貴方様は孤高の精神では強くなれません。孤高の騎士であるアルファモンのテイマーというのは皮肉が効いていますが、そのアルファモンもヒトの可能性を信じた。そも人間とは助け合う種族。例え目に見えない形であっても、助け合っているのです。…それを忘れないでください」
その言葉一つ一つに俺のためを想う願いが込められている。俺は神妙にうなずくと
ピコピコ
「ん?通話アプリ?ハジメから?…白崎さんが呼んでもいないのにウチの玄関の前でニコニコしながら佇んでいる…?前日の夜からハジメと学校行くつもりで全裸待機…全裸は流石に冗談として、ウチと南雲家は近所だからな。摘まみだしてくる」
そういうと、樹は苦笑しながら
「あらあら、お母上譲りでしょうか」
「…冗談だよな?」
白崎香織と南雲ハジメ…クラスメイトだが、そこそこ付き合いのある間柄だ。流石に白崎が不審人物として扱われると、約1名の胃が死ぬので、丁重におかえり願うとしよう。
翌朝
「おはよう~進示♪」
裸ワイシャツで俺のベッドにいつの間にか潜り込んでいた杏子がいた。
これも俺の悪友たちの入れ知恵らしい。
人物紹介
榊原進示。
本作の主人公。
転生者であり、デジモンテイマーでもあり、魔法使いでもあり、発明家でもあるが、これは全部転生先の出来事の影響。
何故該どのデジモン世界でもないのにデジモンがいる?と思ったけど、旅を続けるうちに、魂とネットワークがキーを握っている世界では?と考察する。
複数の異世界に繋がっている魔境地球で他の転生者達と一緒に戦ううちに、これ、宇宙崩壊案件じゃね?となんとなく危機を抱く。他の転生者達も概ね同じ結論に至っている。
お互いを助け合いながらもアホやる間柄の悪友たちに囲まれ、また異世界召喚に巻き込まれたら、助けてもらう気でいるし、他のメンバーが拉致されたら助ける気でいる程度には信頼しあっている。
本文の事情から、パートナーデジモンであるドルモン≒暮海杏子と命が繋がってしまった。片方が死ねばもう片方も死ぬ関係。
記憶がほぼ全て無くなってしまったドルモンだっただけに、デジシンクロが起きるまで、探偵アルファモンとは気づかなかった。
が、気づくチャンスはあったのでうっかりしてる部分もある。
個人の戦闘スタイルはかなりのパワーファイターだが、転生者中フィジカルは最弱。
筋力は魔力による肉体強化で誤魔化してるので、武器は割と力任せに振るう。魔法火力が最強なので、本来は固定砲台。
また、スナイパーライフルによる狙撃の腕は一流という、結構ピーキー。より正確に体術最弱か。
八重樫雫と同じ条件で刀を振るった場合、100%負ける。テクニックセンスが不足しているため。
リリアーナはどちらのヒロイン?
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オリ主(榊原進示)
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南雲ハジメ