デジモンと命を共有する転生者   作:銀の弓/星の弓

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お気に入り評価や感想などありがとうございます。
短期間で予想よりお気に入りや評価が高いことにびっくりです。
見る人を選ぶ作品ですが、それでも気に入っていただける人がいて嬉しいです。

誰にどのパートナーをつけるかは、ほぼ固まっていますが、雫、遠藤、シアはちょっと迷っています。
あるデジモンを進化させるために、コロナモンを出そうかと思いましたが、2次創作で気にする必要…あるかはわかりませんが、別のデジモンに差し替えました。
アニメの録画データは喪失してるので、結構ガバいかもしれません。

あと、この投稿の使い方をまだ完全に把握してないので、アンケートやってほしい方は、すみません。

※1話の台詞と2話の前書きを少し修正しました。


第4話 おちゃめな頑固おやじと消えた黒幕

清水幸利にとっては、毎日が憂鬱だった。

 

そしてオタクだった。

部屋にあふれるオタクグッズで精神の無聊を慰めずにはいられなかった。

そうなった原因はイジメや家族との不仲がである。

他にも要因はあるが、概ねそんな感じ。

 

トータスに召喚される少し前から夢を見るようになった。

 

 

『なんだなんだ!人間がそのような腑抜けた顔をするな!!』

 

幸利はわけがわからなかった。

 

突然目の前に暑苦しいオッサン(?)がいたからだ。

 

『ふぅむ。…ただ活を入れるだけでは事態は好転せぬか』

 

オッサンはしばし、思案顔になる。

やがて考えは纏まったのか。

 

『人間の小僧、貴様ならば知ってるであろう。デジタルモンスター、通称デジモンを』

『!?』

 

オタクな幸利は知っている。

ここ2,3年で流行りだしたゲームだ。

シンプルながらよくできたゲームシステムで、オンライン対戦モードもある。

引きこもりな彼はよくプレイをしていた。

 

『よいか!貴様は【特別】になりたがっているのだろうが、貴様は一人で強くなれる人間ではない!!』

『!?』

 

特別になりたかった自分にとってそれは何よりも侮辱の言葉だ。

怒りと悔しさに震える。

 

『貴様に必要なのは貴様を理解し、また貴様も相方を想いやる心、双方の助け合いという【ヒト】の本質そのもの』

 

『…』

 

そうはいっても、自分に彼女も相方や友達なんていない。

 

『我は普段ならいきなり答えを教えることはしない…が、事態は切迫している。

今は電脳空間限定だが、時が来れば現実世界でも動けるようになろう…おい、』

『し、師匠…この人間と一緒に…?』

『!?』

 

現れたのは白い小型の竜のようなデジモンだった。

 

『デジモン…だよな?知らないデジモンだ…』

『ハックモンという。ハックモン!これからこの人間の事で様々な心を学べ。

この小僧を取り巻く環境はいいとは言えないが、だからこそ見えるものもある』

『…本当に?』

『ロイヤルナイツ…幻にして空白の席に立つ騎士のテイマーは少々人が良すぎて貴様の指導には向かん…、いや、時間さえかければ貴様の心も溶かすだろうが今回は時間がない』

『…な、なにを』

 

『従って荒療治といく!そうだな貴様の好きなサブカルチャーの台詞を引用してやろう』

 

そう言ってオッサンは背中を幸利に向け

 

 

『……ついて来れるか?』

 

 

と、異様に頼もしすぎる背中を見せつけた。

 

『ついて来れるか…じゃねぇ…』

 

幸利は立ち上がり。

 

 

『てめぇのほうこそ、ついて来やがれっ!!!!!』

 

 

オッサン…ガンクゥモンは我が意を得たりと笑った。

 

 

 

 

 

実はガンクゥモンは幸利がこのネタに反応しなかったらどうしようかとちょっぴり不安だったりしたのは内緒。

 

 

 

 

 

 

そして幸利とハックモンの地獄の特訓が始まる。

 

 

 

『別世界の我って、最後の試験にバンチョーレオモンの討伐やらせたよね?

…この小僧は体内によくないデータがある…それを取り除くには』

 

 

考えつつも他の世界よりちょっぴりおちゃめな頑固おやじである。

 

 

 

 

そして舞台はトータスへ

 

 

『この短期間で完全体に進化できるようになったのは褒めておこう。だが、小僧にはまだ足りないものがある。時が来るまではそのトータスとやらの力を磨いておくがいい。屈辱的な目に合わされようと決してあきらめるな。まだ専用端末無しでのリアライズは難しいからな』

「Dアークだよな?」

『そうだ。貴様の通信端末に声を届けられるのもこれが限界だ。我も別件があるしな』

「…今までありがとよ、クソ親父」

『フ…その気概、せいぜい失わぬことだ』

 

 

 

それきり、彼のスマホからはもうクソ親父の声は聞こえなくなった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「幸利様…誰にお礼を申し上げていたのですか…?」

「…世話焼きの頑固おやじのクソ親父だよ…実の父親より父親らしい。…アパルにはいないのか?そういうおせっかいな世話焼きが…」

 

アパルと呼ばれた青上でセミロングの幸利と同い年くらいのメイドは少し考えるそぶりをし、

 

 

「もう死んでしまいましたが…血のつながらない…父がいました。最後まで私を守ってくれた父です。特別ではありませんでしたが。私にとっては【特別】な父でした」

「そっか…」

 

 

 

 

 

 

 

 

ハックモンもハックモンで、修行の合間にこれまでの幸利の人生を垣間見ていたが、理解者のいない人生に何とも言えない顔をしていたが…少しだけ幸利の心がいい方向に向かっているのを感じた。

 

 

 

 

 

進示視点

 

 

 

召喚から数日経った。

 

毎日の夜、あの日と同じメンバーを集めつつ、少しづつ俺達の旅路の話をしていく。

転生者であることは伏せているが、ハジメの感ではもう気づかれているかもしれない。

 

…これは気を使われてしまっているかな?

 

この前の俺の頼みに関しては殆どが『考えさせてほしい』だった。

まあ、無理もないか。俺も急かさないし、何か月でも考えてもいいと言った。

先生は私にできることがあったら言ってくださいと言ってたが、スケールの大きい話で、ある上に公安や政府とも関わらないといけない点から、緊張を隠せないようだった。

 

因みにドルモンはもちろん杏子の姿でいる。

密会の度にドルモンに変身(元に戻るが正しいか?)させてモフモフしてくるメンバーが数名。

 

因みに男性陣だが、頭を撫でたり、握手くらいは許した。

流石に前進を撫で廻させたりすると…杏子の姿で想像した時がヤバ過ぎたからだ。

 

因みに異世界召喚されたことに関してカウンセリングを生徒全員にしようかと思った。

 

しかし、檜山達子悪党どもは『ああ?ナメてんのか榊原!?』とか言われて取り付く島もない。

天之河に至っては

 

『そんなことをしてるくらいなら剣を振ったらどうだ?君のステータスは分からなかったけど、訓練をサボっている以上弱いんだから』

 

とか言われた。

 

因みにステータスプレートというアーティファクトがあり、それで血を垂らした人物の能力値が分かるらしいが、俺と杏子は文字化けだらけで不明だった。

…杏子も俺と訓練量は同じだが、周りのレベルを見るために力を抑えているとはいえ、少しイラっときた。

因みに訓練はサボっているわけではなく、政治、文化、宗教、経済、歴史、市場の確認、いざという時の逃走経路の確認などに奔走しているからだ。

 

 

ただ、清水からは

 

『いや、思うところはあるけどいい。こんなとこで凹んだら頑固おやじに顔向けできねぇ』

 

と言ってきた

 

…頑固おやじ?

 

そして中村からは

 

『別にいいよ』

 

と断られた。

 

…中村からは警戒されてる?

 

まあ、紆余曲折はあったが、何名かはカウンセリングを受けるとのこと。

 

 

ただ、畑山先生が教師としての熱意か、カウンセリングは自分もやるとのこと。

 

 

 

「あら、今日も精が出ますね」

 

そう言って俺に話しかけてきたのはハイリヒ王国の王女。リリアーナS・B・ハイリヒだったか。

 

「王女ですか」

「リリィで構いませんよ。敬語もいりません」

「…少なくとも今は仕事中。プライベートではありません」

「…正論ですね」

「リリィ!どうしたの?」

「こんにちは、杏子。たまたま通りがかって」

 

…現在の杏子の精神年齢上プライベートと外用の態度を使い分けることは…ある程度はできるが、やはりずっとは気を張れないのだろう。

…ただ、ここ最近は杏子の視線が俺を見透かすような…見定めるような視線が増えてきた。

まさかね。

 

 

「聞きたいことがあります。ガラテアというメイドの経歴はご存じですか?個人情報を聞くようで心苦しいが、気になるのです」

 

すると王女は驚きに目を見開いだが

 

「彼女は…へリーナが拾ったのです。自分の生まれや故郷が分からないと言っていましたが…」

「記憶喪失?」

「…恐らくは。これぐらいしか話せませんが」

「…そうですか」

「お力になれず申し訳ありません」

 

 

へリーナというのは王女専属のメイド長だったか。

 

…気になるが今は踏み込む時間はないな。

 

「貴女はエ■ト神をどう思っていますか?」

「■ヒト様ですか…。ご立派な神だと思います…ですが、平和な世界に生きてきたあなた方を召喚したことには疑問を感じています」

「!?」

 

 

…なんだ?エヒ■の名前、聞き取れない上に発音も出来ない!?

召喚初日ははっきり聞き取れたはずだ…

 

 

『スピ■ッφでエボリューションするからテイマーズの世界かと思ったけど、この世界に関連する人とか組織とかないのに!?』

 

 

…大和田の発言…なぜ今思い出す…!?

 

…頭痛が…!?

 

「進示!?」

「大丈夫ですか!?」

 

二人が心配そうに膝をつく俺を支えようとする。

 

何とか立ち直った俺は大丈夫と告げ、杏子を伴って歩き出す。

 

王女には「無理ははなさらないでください!」と言われたが、今はこの場を離れたかった。

 

 

 

 

 

八重樫の武器も今はサーベルを使ってるが、刀じゃないと真価を発揮できないだろう。

 

読書に錬成の知識獲得その他に様々な知識獲得に精を出すハジメに刀を鍛えるノウハウを会得させる。

 

因みに亜空間倉庫に入れてあったリボルバー型の拳銃も一丁渡してあるし、密会の時には、ハイネッツで手に入れたライフルキャノンやガトリングも見せた。

先生は泡吹いて倒れたが、ハジメは興味津々で構造まで何時間も見せることになった。

 

…このガトリングとライフルが後にあんな大蹂躙のきっかけになるとは…魔物さんごめんなさい

 

 

 

 

??視点

 

…とある隔離空間

 

『な…何が起きている!?我の名を忘却するだと!?』

「滑稽だな、エヒトルジュエ」

「!?何者だ!!?」

 

 

トータスの神、エヒトルジュエの前に現れた日本人の男。

 

「今貴様を蝕んでいるの捕食体の1部は、かつて貴様とともにこの世界を開拓し、ドロップアウトした【到達者】のなれの果ての生体データが含まれている」

 

『………!!?なんだと!?』

 

 

自分とともに世界を開拓したというワードに数舜遅れて理解したエヒトは驚愕した。

 

 

「貴様があの特殊な地球から召喚魔法を使って人間を拉致した時点で、貴様の敗北は決定した。

本来の歴史はともかく、この世界の歴史でソレをやってしまうとは運がない」

 

『何を…何を言っている!!?』

 

「俺はこの世界の歴史に興味がなかったので、発覚が遅れてしまったがな。あの転生者どもはこの世界の歴史を知りもしないから、対策は立てられないだろう。運が悪かったな、エヒトルジュエ。

貴様はもう助からない」

 

『…馬鹿な!?馬鹿なあああああああ!!?』

 

「暫くは俺がエヒトの代行をするしかない。ジールが滅んだ時点で榊原進示がジールに関する記憶が消えていなければ本来は辻褄が合わん。だが、」

 

「私が、【ファング】を破壊したからな」

 

 

男性のそばに降り立つは金髪の…切れ目だが美女ともいえる天使が降り立つ。

 

 

「流石は破壊の天使。デジモンの究極体が4体必要なレベルを指先一つで消し飛ばすか」

「まだ危険度が99.5%どころか70%も行ってないから、力は制限されているが」

 

 

「このままエヒトを放置すれば、浸食され、星をも食うファングになってしまう…破壊しろ」

「…面倒なままごとをお前が代行すると?」

「仕方あるまい。この世界でデジモンがどれだけ力を上げられるかも確認せねばならん。よく確かめなかった俺の落ち度でもある」

「律儀だな」

 

 

そう言って天使はエヒトに指を向ける。

 

 

『い、嫌だ…止めろ!?しにたくないいいいいいいいいいいいいいいいいっ!?!?』

「消えろ」

 

 

 

 

 

 

 

エヒトルジュエ…僅かな運命のすれ違いによって何もできずに姿を消してしまった。

 

 

 

 

「代わりにエヒトの昔の仲間の残骸が表に出てしまったな。帳尻合わせか?」

「こちらの処理はこの世界の人間に任せればよい」

「俺がエヒトのふりをする。この映像も録画したな?」

「勿論」

「結構。神の使途やエヒトの眷属に気取られないように俺の姿を処理してくれ」

「いいだろう」

 

 

金髪の美女は男に指を向け、あらゆる情報を偽装する。

 

 

「暫く相手をしてくれくなるな…?色男」

「…色男は昔の話だ。…神どもめ、我々転生者をストレージとして使うためにこのような転生システムを作ったのか」

「…それに関しては私も疑問がある。神王は本当に…?」

 

 

天使は鋭い目を男に向ける。

 

 

「ほぼ間違いない。神様転生システム…観測者どもが【2次創作】と呼ぶ世界。

それを作り出しているのは世界のシステムのサンプルを欲している。そして…」

 

「…転生者を育てているのは【バックアップ】のためか。…エヒトルジュエも規模は小さいが似たようなことをしていた…まさに奇遇だな?」

 

「さらに…世界そのものが消えない限り、魂や電脳体でも生存できる。【パーフェクトガールプロジェクト】からヒントも得てしまった」

 

「臓器売買を目的とした人形のハーレムの罠…か。あの被害者はログアウトできなかったが、既に体を解体されていたせいだな?」

 

「ログアウトするにも【受け入れ先のアカウント】が必要だからな。そのアカウントである体がない以上帰れないのは当然だ」

 

「ああ…だからあのアルファモンに目を付けたのか」

 

天使は得心がいったとばかりに笑う。

 

 

「デジシンクロを起こしたあの転生者なら超高次元世界に肉薄出来るかもしれん。

失敗してもサンプルが取れれば十分だ。…このデジタマを龍の姫の元に転がせ」

 

「あのクラスの人間でなくていいのか?」

 

「人間の記憶容量と処理能力では限界がある。転生者以外で唯一見込みがある南雲ハジメは違う役割がある。

…その点、龍の姫なら申し分はない」

 

「了解した。異存はない。これはこれで歴史が変わるな?」

 

こうして男から卵を受け取った天使は【神域】を飛び去った。

 

 

 

「…さて、面倒だ。アドベンチャーやテイマーズといった、オリジナルのデジモン世界の記録も消えかけている。データをもとの世界に返さないと全世界が連鎖崩壊してしまう。…問題はサルベージが出来るかどうかだな。歴史の修正…みたいなものか。天使の増援がないのを踏まえると、成功率はほぼ100%か」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

竜人族の里

 

 

 

「…これは…卵…かの?妾も見たことがない」

 

 

 

そうして運命は狂いだす。いや、初めから狂っていたのだ。

 

 

 

 

 

 

 




エヒトが好きな方、申し訳ありませんがここで退場です。
代わりに、存在が示唆されていても、ほとんど何も出番がなかった到達者が出てきます。半オリキャラになってしまってますが。

因みにありふれ原作知識は無しとタグがありましたが主人公たちはありふれ知識はありません。

7人目の転生者はよく知っていますが、本文にもある通り彼は彼で世界を守るために動いています。やり方の是非はどうあれ。
しかし、7人目の転生者にとってもエヒトが喰われているのは予想外でした。


人物紹介4

7人目の転生者。

進示達6人の転生者と違い、ありふれ原作知識がある(何度も言うが、進示達は知らない)。
神の世界の思惑も既に大体の予想がついているが、これは樹たち天使ですら辿り着いていない真相である。

また、消えかけた世界の情報を修正するため、暗躍している。
修正しないと、当然ながらアルファモン(サイスル)の元居た世界も消滅する。それによって進示達の転生した世界も消滅する。

昔はもっと人間味があったようだが、彼のパートナーの天使曰く『味気なくなった』とのこと。

しかし、彼女は公私にわたって彼を支えている。




リリアーナはどちらのヒロイン?

  • オリ主(榊原進示)
  • 南雲ハジメ

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